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Posted by ブクログ
圧倒的に読ませる文章力。
北京と台北の二つの故宮から、近代中国の悲哀と昨今の両岸関係事情をも包含したドラマを紡ぐその展開に思わず一気読みした。
故宮の文物が中国大陸を彷徨い、最後に台湾まで渡ったその経緯は数奇に思えるが、文化は即ち政治であり、正統性を与えるものとして権力の象徴であった、中国の長い歴史から見れば、その流浪の旅もまた歴史上に繰り返されてきた一コマに過ぎないのかもしれない。混沌としているから、それを生き抜いてきた文物がより眩く見えるのか。
辛亥革命から100周年の年に、二つの故宮展を東京国立博物館で統一させようとした平山郁夫の演出も味があり、日本が、その歴史的経緯からも主要な参画プレーヤーだということを改めて思い知る。
台北の故宮が台湾の人から受け入れられるのか、台湾化と中華主義の攻防も、台湾の複雑な内部事情を物語る。執筆時から相当時間が経っているが、いまだに内容として褪せない。
二つの故宮から、ここまで両岸、そして時に日本をも巻き込んだ歴史、政治、文化にわたるドラマを描けるものなのか。ただただ脱帽する。
Posted by ブクログ
北京と台北にある故宮。その歴史は蒋介石の意志によるところが大きそうです。中華思想を体現する宝物として、文化資産が北京から出て、南京そして中国各地を転々とし、国民党軍の台湾への退却に伴い、船に載せ海峡を越えて台湾に運び込まれる!日本軍、中共軍との戦いの中で、良くあれだけの資産を損傷することなく、運び込んだという執念に驚きです。蒋介石にとっては三種の神器のようなものだったように思います。そしてこの2つの故宮の合体が今では大陸・台湾の和解という政治的な意味合いを持って語られることに歴史の皮肉を思います。元の黄公望という書家の風景画「富春山居図」という長大な絵巻の作品が焼け残って台北と杭州の博物館に分かれており2011年の文化交流として杭州から台北に片方が運ばれたというのは感動的な話です。しかし中華思想は元々台湾の本省人にとっては迷惑なものでしかないのも理解できました。人口700万人の島に200万人の本省人が49年に渡ってきたということは、考えてみれば恐ろしいことです。
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