【感想・ネタバレ】タイワニーズ 故郷喪失者の物語のレビュー

あらすじ

彼らがいたから、強く、深くつながり続けた。

戦前は「日本」であった台湾。戦後に「中国」になった台湾。1990年代の民主化後に自立を目指す台湾。戦争、統治、冷戦。常に時代の風雨にさらされ続けた日本と台湾との関係だが、深いところでつながっていることができた。それはなぜか。 台湾と日本との間を渡り歩いて「結節点」の役割を果たす、多様な台湾出身者の存在があったからである――まえがきより

台湾をルーツに持ち、日本で暮らす在日台湾人=タイワニーズたち。元朝日新聞台北支局長の筆者が、彼らの肖像を描き、来歴を辿りながら、戦後日本の裏面史をも照らす。

【目次】
・蓮舫はどこからやってきたか
・日本、台湾、中国を手玉にとる「密使」の一族 辜寛敏&リチャード・クー
・「江湖」の作家・東山彰良と王家三代漂流記
・おかっぱの喧嘩上等娘、排除と同化に抗する 温又柔
・究極の優等生への宿題 ジュディ・オング
・客家の血をひく喜びを持って生きる 余貴美子
・「551蓬莱」創業者が日本にみた桃源郷 羅邦強
・カップヌードルの謎を追って 安藤百福
・3度の祖国喪失 陳舜臣
・国民党のお尋ね者が「金儲けの神様」になるまで 邱永漢

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Posted by ブクログ

【大日本帝国から戦後へと続く日本,分断された中国,そして出身地の台湾という東アジアの境界を行き来しながら,失われてしまった自分の帰属すべき祖国・故郷を探し求めてきた人々がタイワニーズなのである】(文中より引用)

国際情勢の荒波に揉まれながらも,日本・中国・台湾という国家の国境をひらりと越えて自らの思うところに従った,台湾と関係を持つ「タイワニーズ」たちの半生を記した作品。著者は,『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』等の台湾をテーマとした作品でも知られる野嶋剛。

国際社会の荒波をもろに被り続けてきた人々の一人ひとりのエピソードが中心となっているため,非常に読みやすいというのがまず高評価に値するかと。著者の丹念な取材活動を基に記録されていますので,それぞれの章が抜群に読み物として興味深い点にも驚かされました。

ジュディ・オングのエピソードが特に印象に残ります☆5つ

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2021年06月24日

Posted by ブクログ

登場する一人一人のタイワニーズのエピソードが大変興味深い。陳舜臣の著作は手広く読んでみたいと思った。

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2021年04月03日

Posted by ブクログ

とにかく面白い本。色々な台湾と日本に関係がある人々タイワニーズについてまとめた本。この本がそのまま中国や台湾で翻訳出版されると面白いのだが。

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2019年01月07日

Posted by ブクログ

題材が興味深い内容ということもあり、筆者の記者としての取材力もあり、それなりの分量ではありますが、非常に面白くて一気に読んでしまいました。日本で活躍している綺羅星のごときタイワニーズたちのファミリーストーリーを語りつつ、国家と民族の関係を深く考えさせられる著書となっています。

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2018年09月26日

Posted by ブクログ

連坊の回から始まりやや違和感を覚えたが、彼女の祖母を含め選ばれた人物やそのエピソードはどれも興味深く、主に客家である日台両方にルーツを持つ人々が両国を結び付けるよすがとなっていると強く感じる。

一方で、日本ー中華民国ー台湾と外力によって帰属を変えさせられた歴史を持つ人々がコスモポリタンとなる必然性も思わされる。
東洋のユダヤというべきか。

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2019年05月27日

Posted by ブクログ

「日本は二度台湾を捨てた」この言葉は日本の敗戦と、その後の台湾との断交〜中国との国交正常化について書籍や映画などでよく出てくる言葉だ。日本にとっては苦渋の選択だったかもしれないが、それ以上に台湾という国と、そこから巣立って日本に来て活躍した多くの政治家や文化人、作家などにも多くの影響を及ぼした。
本と台湾の文化的な距離は非常に密接になっているなかで、日本に住んでいるタイワニーズの存在がぽっかりと空いているのをこの本を読み終わって改めて痛感した。
台湾への興味や関心の次のステップとして歴史と政治、そして二重国籍問題なども含む人間のアイデンティティーについて考えを巡らすことが出来る良作。

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2019年04月13日

Posted by ブクログ

現代の台湾を日本との関わりで理解するために、わかりやすくかつ親しみやすい話題から入っていける、好適な一冊です。
普通の日本人には実感の薄い、国籍、国家、民族、母語、などのテーマを考えるキッカケにもなると思います。

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2018年08月30日

Posted by ブクログ

タイワニーズその人となりに着目されており、とても興味深く読んだ。その生き方、歩んできた道、考え方はとても興味がひかれるし、読んでいて元気が出るようだった。まだまだわたしには難しい。また、もっと一人一人を知りたいとも感じたので、参考文献を読んで、より理解を深めたい。

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2018年08月02日

Posted by ブクログ

友人知人であっても、国籍や個人のプライバシーについては、面と向かって質問しにくい。歴史に明るくない場合は、敢えて口に出すことも憚られる。先方が何かのきっかけで語ってくれることが無い限り、これらの情報は知るよしも無い。
気になりながらも知る術がなかった数々の物語を、この本で知った。日本で馴染みのある著名人らの側面が、ありのままにレポートしてある。先祖、生まれ育った環境、国や国境とは何なのか。それぞれの想いは様々のようである。作家として活躍する人々の関連著書にも興味を持ったので、追っていくつか読みたい。

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2020年05月16日

Posted by ブクログ

また嘉義や台南に行きたくなったな。◆ジュディオングの項は面白かった。◆◆邱永漢の食へのこだわり、残す人にはもうご馳走しないというようなことは良くわかる。

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2020年07月27日

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