酒井駒子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
岩瀬さんは児童文学者としては社会派なんだ。
いじめや不登校をテーマにして、共感させて明るい未来を感じさせる終わり方っていうのが、今どきの児童文学の定番で、虐待や貧困が出てきても、そんなに生々しくは描写されないし、最悪の状態ではないのが普通なのだが、このところの岩瀬さんのは救いがないというか、あまりにリアルというか。
『きみは知らないほうがいい』も『ぼくが弟にしたこと』も逃げ場がない感じだったが、この本の貧困シングルマザー家庭も、これからどうなってしまうのだろうかと、読んでて心配になるのだが、最後まで状況は変わらない。お菓子を食事にしたり、母親が帰ってこなかったり、気に入っている服を「あんたには似合わないから」と説得されて売られたり、母が転職するのも、学校給食のパートから清掃業で明るい未来は見えない。実際貧困家庭ってこうなのだろうけど、小学生の女の子が語る形式をとっているので、この子の心がどんなに不安と寂しさで押しつぶされそうになっているかが伝わってきていたたまれない。(またこういう子どもの心情を語らせるのが上手いんだ。)
主人公だけでなく母はもちろん、別れた父と暮らしている弟も情緒不安定から見えない生き物がいると言ったりするし、老母と暮らす絵描きの老嬢も、教会の人も、近くの戸建ての子も、皆心に闇を抱えて生きにくそうにしている人ばかり。
『そのぬくもりはきえない』や『「うそじゃないよ」と長谷川君はいった』『まつりちゃん』は厳しい状況を描いても、救いがあったし、『くもりときどき晴レル』は切ないけれどさわやかで良かったのだけど、なんか、これは『迷い鳥飛ぶ』系の暗さ。子供向けとしてはちょっと辛すぎる。