エドワード・ルトワックのレビュー一覧

  • エドワード・ルトワックの戦略論

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     現代の戦略研究の第一人者の一人である著者の和訳本で2014年に発行されているが、もともとは1987年原本出版であり、和訳が遅すぎよう。内容が難しいこともあるが、欧州各国はもちろん中国韓国よりも遅いのは、このような戦略研究者が防衛省や自衛隊に限られているというお寒い状況のせいだと思う。
     副題の戦争と平和の論理こそが、内容を的確に示している。通常生活における合理的な直線思考とは異なり、逆説の論理が技術や戦術から戦略まであらゆる場面で支配している、という。それをこれでもか、という膨大な実例で解説する。
     おおいに感心したが、難しい表現や複雑な説明も多々あり、一度読んだくらいでは理解したとは言いが

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    2015年03月14日
  • ラストエンペラー習近平

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    2021年時点での習近平体制を軍事的・外交的・地経学的特徴から見ていきつつ、後半では「軍事テクノロジーの逆説」「戦略の逆説」など逆説を軸に軍事を見ていく一冊。
    現在と本書刊行時点とで中国の実態が様変わりしているとはいえ、全体通して中国や習近平体制を過小評価気味ではなかろうか。

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    2025年05月02日
  • 戦争にチャンスを与えよ

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    国連などが戦争に中途半端に介入して止めることはマイナスしかない。当事者同士が最後まで戦って完全な勝者と敗者ができるか、双方がもうこれ以上戦いたくないと思うまでやってやっと平和が生まれ、復興が始まる。
    この主張は理解できる。中途半端な正義感や覚悟のない介入では負の連鎖は止まらないし、筆者の言うようにやらない方が良い。

    ただ自然に任せるのがベストだと言うような主張はダーウィニズムや新自由主義のニオイが感じられ、人間の知恵を軽視する方向になる。

    人類の歴史は戦争の歴史であり、今も続いている通り根絶は困難である。だからと言って止める努力を放棄してはいけない。その手段が哲学や宗教などの思想であり、政

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    2025年03月06日
  • 中国4.0 暴発する中華帝国

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    旧帝国海軍が先の大戦で真珠湾攻撃を成功させながら、戦争自体に敗れたのは言うまでもなく、戦術面で勝利しながら戦略面で負けていたからである。日本側は希望的観測で真珠湾で大打撃を与えれば、当面はアメリカは太平洋に進出できず、あわよくばアメリカ国民の感情を挫き、早期和平に持ち込めると読んだからに他ならない。歴史が示す通り、これは全く逆効果で、そもそも中国進出を狙っていたアメリカが日本側に最初の一手を打たせ、国民に復讐心による戦争参加を促す目的だった事が明らかになっている。これはアメリカが大局的には日本より遥かに先を読み、展開を予測できていたからに他ならない。アメリカの国力を知っていた山本五十六ですら、

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    2024年06月14日
  • 戦争にチャンスを与えよ

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    2024.02.07
    2017年に刊行された本だが、ロシアのウクライナ侵攻、ハマスとイスラエルの戦いが現在進行形のいま読むと示唆に富んでいることに驚く。すると、尖閣はどうなるのか!
    考えると恐ろしさしかないが、そういった「思考停止」状態こそ筆者の忌むところである。

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    2024年02月07日
  • 戦争にチャンスを与えよ

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    タイトルが気になり本書を手に取ってみた。一見すると戦争する事で生み出される利益に注目する様な刺激的な内容を想像するタイトルだが、戦争は極力避けるべきという考え方に基づいて書かれている。
    筆者エドワード・ルトワックが1999年に記した同タイトルの論文について訳者のインタビュー形式にて日本語化されたもののようだ。全編にわたってベースとなる考え方は「パラドキシカル・ロジック(逆説的理論)」で、私の理解ではある一方向からみた正しさはその影響を受ける他方から見た場合、誤った見方になっているという点だろうか。良かれと思ってしている事が、実は物事の根本解決にはなっておらず、逆に本来望んでいる姿とは真逆の結果

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    2023年06月03日
  • ルトワックの日本改造論

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    無料の不妊治療とチャイルドケアで子どもの数を増やせ、から入る。少子化と戦争の密接な結びつきを主張、クレフェルトを引用し、男たちの戦争忌避で女は愛する戦士を失い子どもが生まれなくなったという。
    オランダ人やスウェーデン人の反独感情と韓国の反日感情との比較が面白い。積極的に協力した臆病な父祖を持つ国ほど、後で憎しみを増す。韓国が苦悩しながら自国の歴史と向き合わない限り、日韓関係の発展はない。
    シーパワーとマリタイムパワーを理解していない中国。経済が停滞すれば、自由の代わりに経済成長を約束してきた共産党への不満が膨れ上がり、目を国外にそらせるために冒険的な行動に出ることがありうる。日本が他国に装備品

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    2022年04月14日
  • ラストエンペラー習近平

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    習近平を「つまずかせる」には、面子を潰すことだ。中国が格下と見ている国が習近平に「ノー」と言い続けることだ。
    中国がオーストラリアにつきつけた「不満」がすなわち「弱点」なのだ。ここを突けばよい。

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    2022年02月15日
  • ラストエンペラー習近平

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    訳者の奥山さんが著者のルトワックさんにインタビューなどをしたものをまとめた、ということなので半分くらいは共著に近いのかもしれない。実際、いつものルトワック節論文よりかなり柔らかい感じの習近平論考になっていると思う。
    中国は確かに豊かになり強くなったが、それが災いして戦略的には弱くなる一方である、例えば、という論考がいくつも披露される。曰く、チャイナ4.0になって内も外も全方位に喧嘩を売って回る戦狼外交があらゆる他者を反中国同盟に駆り立てる。ジャックマーはじめ国内の起業家を叩いて回るから中国経済の行方に暗雲が立ち込める。お前たちは小国だから黙っていうことを聞けと明言するほどの外交音痴。
    毛沢東に

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    2021年12月07日
  • ルトワックの日本改造論

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    ネタバレ

     ゴリゴリの戦争の話について始まるのかと思ったら少子化対策の話から始まったので意外だった。
     また「男は戦争を愛し、女は戦う男を愛す」というのは、生物学的に人間に刷り込まれてるものなのかなぁと思った。この言葉左翼はキーってなりそうだが、間違いじゃ無いかなと。
     米中冷戦の時代において、日本の国防に対する本気度がアメリカなどから問われているわけだが、岸田政権でどこまで進むことやら、、

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    2021年11月21日
  • ラストエンペラー習近平

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    国際政治というのは複雑だが面白いと感じました。中国はこれからどうなるんでしょう?
    大国が小国に勝てるとは限らない。
    これに尽きる気がします。
    習近平がいなくなるまでは、中国は拡大志向なんだろうと思います。転換はできないんでしょうね。

    あと、軍事力の大切さも改めて痛感です。

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    2021年08月28日
  • ラストエンペラー習近平

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    「大国」のアクションに対しては、必ず「小国」のリアクションが有り、「小国」は連帯するというのが一つ。
    中国には、対等な外構という経験値がゼロであるため、「強者」と「弱者」の概念しかない。だから中国は戦狼外交に陥ってしまう。しかも独裁者の顔色をうかがう事が最優先な貯め、外を見ていない。これがもう一つ。

    ただね、森を見て木を見ずというか、さすがに有人戦闘機や軍艦を無用の長物扱いは先を見すぎ。そこは同意できないのね。

    薄い分、☆一つ減

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    2021年07月29日
  • ルトワックの日本改造論

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    前著『戦争にチャンスを与えよ』同様、通常は口にするのを憚れる内容も空気を読まずズバズバ指摘してて小気味いい。皆が心底では何となく感じている矛盾を、堂々と言語化するその姿勢は、勇気や信念に起因するというより、市井の人と視点と感覚が異なる…というか、そもそもこういう人なんだろうw。賛否あると思うが、世界の潮流の中で日本がどういう立ち位置にあるかをイメージする為に、一読の価値あると思う。基本的に「日本」について語っているが、その文脈での米国・中国・韓国・北朝鮮に対する考察は非常に興味深い。彼の日本に対するSuggestionは一言でいうと

    ”Si vis pacem, para bellum(汝、

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    2021年06月25日
  • ルトワックの日本改造論

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    明解な文章で、分かりやすい。
    2019年12月の発行なので、世界情勢は少し前のことを書いているが、米中冷戦についての予言などは、的中しているものもあり興味深い事この上ない。
    あくまでもルトワックの視点から書かれたものだが、国際情勢を俯瞰して見るのに役立つ一冊。
    後半年したら、もう一回読み直したい。

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    2020年08月23日
  • 日本4.0 国家戦略の新しいリアル

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    日本を含むアジア情勢について、北朝鮮に関することを中心に戦略を述べています。
    ほんとに、先制攻撃できる手段を持つことは重要です。戦争自体は反対だけど、戦争を遂行できる能力を持つことは大賛成。こういう話をしてもあまり周りには賛同してもらえませんが。
    例えていうなら、お金持ちのスネ夫は、ジャイアンにむしり取られるだけ、ということ。のび太はドラえもんという戦略兵器を持って、ジャイアンからの直接的な攻撃に対抗するだけでなく、攻撃する気も起こさせないようにすべし。今の日本は、お金を持っているのび太です。

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    2020年07月26日
  • 日本4.0 国家戦略の新しいリアル

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    『勝利という目的は得たいのに、リスクという代償は払いたくない。実際には莫大なコストがかかり、犠牲が増える可能性すらある。軽減されているのは指導者の責任だけだ』とあります。これは今の低強度紛争に対する大国の作戦を批判した文脈ですが、日本のリスクナーバスな意思決定そのものにも向けられているようにも思えました。多くの示唆お得られる一冊。

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    2020年01月31日
  • 戦争にチャンスを与えよ

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    表題の1999年の論文はPKOが「戦闘に巻き込まれたり、意図的に攻撃される民間人を守れないことを恐れて」「消極的な傍観者」にとどまる、と看破する。日本と同じぐらい(自国民の命を重んじる)マスコミがうるさいらしい(マスコミは本質的に左翼)セルビア。NGOの「難民支援・保護」活動は、「生地に戻れるという虚しい希望を抱かせて」難民状態を長期化するだけ。パレスチナ問題がまさにそうで、ハマスは失地回復でなくイスラエルの《完全な消滅》を目指している。パレスチナ人難民を国連難民救済機関が養い、その子供をハマスが教育する

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    2019年09月08日
  • 日本4.0 国家戦略の新しいリアル

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    日本の国家戦略について書かれている
    非常に参考になる本

    戦後システムは日本3.0
    同盟による抑止力であった。

    今後は日本4.0に移る必要がある
    北朝鮮(朝鮮半島)の脅威
    米中対立を軸とした地経学
    少子化社会
    への対応

    予測不能な武力に対しては抑止の理論が効かない
    防衛としての先制攻撃が必要

    日本自らが対処しなければならない問題

    未来は子どもたちにかかっている
    無償のチャイルドケアを施すべき
    不妊治療の無償化
    小学校に行くまでのチャイルドケアが必要

    地政学から地経学へ

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    2019年08月27日
  • 戦争にチャンスを与えよ

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    ネタバレ

     なかなか挑発的なタイトルです。
     本書は経済学者、戦略家、歴史家、国防アドバイザー、シンクタンクの上級顧問といった様々な肩書を持つエドワード・ルトワックの著作。
     
     「戦争の目的は平和をもたらすことにある」

     著者は本書の中でそう説きます。
     この逆説的に思えるテーゼが何故言えるのか、それを実際の戦争(紛争)の歴史を振り返って説明をしてくれます。

     本書は著者が過去に寄稿したいくつかの論文で構成されています。
     そのため章ごとにテーマが変わるので、最初から最後まで一貫したテーマで通底しているわけではありません。
     いうなれば過去論文の短編集、といった感じです。

    ◆「1. 自己解題「戦

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    2019年06月15日
  • 日本4.0 国家戦略の新しいリアル

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    日本が立ち向かう問題=1.北朝鮮、2.米中による地経学的紛争、3.少子化と捕らえて、日本への実戦的アドバイスを送る。

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    2019年05月26日