柴田さとみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
旧東ドイツ出身で統一ドイツ初の女性首相メルケル氏の回顧録。
彼女の在職時の決断は必ずしも全て正しく成功した訳ではないと思うが、それでもグローバル化の波や難民問題、イスラム国やリーマンショックにパンデミック等々、様々な事態に向き合って来たことは評価させれるべきだし、さらに間違いには正直に謝罪する姿は中々できることではない。
そしてヨーロッパ、そして世界でリーダーシップを発揮して世界平和のために働く姿は、日本のリーダーとの格の違いを感じさせ、羨ましく思っていた。
そして今のロシアのウクライナ侵攻や、中国の台頭は、メルケル氏の退任とオバマ大統領の「アメリカは世界の警察ではない」発言がきっかけなんだと改めて感じた。
メルケル以降、世界政治の中で重しとなるリーダーがいないように思える。
そしてリーダーたる者、やはり人格者であって欲しい。 -
Posted by ブクログ
メルケル独首相の時代に世界では本当にいろいろな事件があり、それに奔走している姿が凄い。時系列ではなく、テーマごとの取り組みへの記述が、複数の事柄が並行して起こっていたことを思い起こさせる。リーマン・ショックに始まる世界金融危機、ギリシャの経済危機、ロシアのジョージア侵攻、ロシアによるウクライナ・クリミア併合、フランスでのイスラムによるテロ事件、英国のEU離脱、難民の欧州への大量流入問題、トランプ大統領誕生による世界環境問題取り組みの後退、そしてコロナ・ウィルスによるパンデミック、ロシアのウクライナ全面戦争など。これらの事件においてフランスのサルコジ・オランド・マクロンの歴代各大統領との密接な独仏連携ぶりは、欧州の安定に大きく寄与していることを感じた。ロシア・プーチン、米・トランプ、そしてトルコ・エルドアンなどの独裁傾向が強い指導者への強い嫌悪感を早い段階から隠さずに述べていることは驚きだった。彼らの行動への正直な感想の記載が実に愉しい。巻末で書いているように引退後に記憶に基づいて再現したものだそうで、今の評価が反映しているのかも知れないとは言え、成程という気もする。中国訪問において、破綻した共産国・東ドイツ出身であったことの中国側の警戒があったことなどは興味深い話だった。一人の政治家の心情を理解し、世界の動きの舞台裏を読み解く楽しい読書だった。
-
Posted by ブクログ
【自由】 アンゲラ・メルケル 著
『WAR 3つの戦争』では、米国の書籍ながら中東情勢がわかる内容になっていました。今度は、欧州事情などがわかるかとメルケル氏の新著を読んでみました。上巻は主に東ドイツ時代から首相就任までとなっており、下巻からはよく見聞きしたメルケル首相の行動履歴が書かれています。
多くの自伝では、思想的背景や信条などを吐露しますが、本書は「叙事詩」となっており、事実関係中心に書かれているという印象です。スタッフを集めて精緻に調査した由で、元・物理学者である著者らしいとも言えます。トランプ氏とは相性が悪かったと本人も自覚していたようですが、この点も頷けます。
それにしても、ドイツ首相ともなると、各国の首脳陣と極めて頻繁に電話会談・面会をし、自国外のことにも深く関与していたことがわかります(日本の閣僚はずっと国会にいてよいのだろうか?)。最後に、「政治家は、次の厳しい質問が飛んでくる時間をなくすために、質問をはぐらか」す傾向にあるが、「具体的な質問に具体的に答える勇気」をもってもらいたいと結んでいます。最近、「丁寧に説明」、「議論する」とか「躊躇なく」という言葉をよく聞きますが、「答える勇気」が必要と痛感した一冊です。 -
Posted by ブクログ
著者はドイツ人女性。
いままでドイツの方に親近感を
抱くことはなかったけども、
やっかいな人間関係とか、
やっかいな思い込みとか、
そういうのめんどくさいー!
っていう感覚は国籍変わろうが
一緒なのね♪
という発見がありました。
本書では、
いろんなめんどくさい事柄を
一切スルーしたらどうなるか?
というのをまとめた一冊。
スルーの結果、
成功するものもあれば、
地雷を踏んでしまうこともある。
教訓がいっぱいつまってます。
私が2歳児子育て中ということもあって、
出産・子育て編には
あああーと共感。
最後の恋愛・結婚編も
グッときました。
その中でも
『怒らなければ、怒らずにすむ』
という言葉が
当たり前すぎて
なのに
なんでこんなに心に
響くのだろうか笑
笑いながら読んで、
スカッとしました♪ -
Posted by ブクログ
ファイザーCEOによる新型コロナウイルスワクチン開発物語。開発、臨床、製造、配布、その後の諸々の政治駆引きに至るまでの非常識的なスピード感と二千億ドルの開発資金拠出をできる企業はそうそうない。
ロケットを月に打ち上げるくらいのムーンショットそのものの事例といえる。
見方はいろいろあるだろうけど、アルバートCEOのリーダーシップが光っていた。
■アルバートCEOはギリシア移民の獣医学博士なのだとか。こういう方がCEOになるあたりがアメリカあるいはメガファーマの特徴的なところなのかな。
■開発プロジェクト名はライトスピード。光速ってのがいいね。
■時は命なり、というフレーズが印象に残る。高潔な理想に向かって困難に立ち向かうエンジニアやプロジェクトメンバーの姿はベタだけどアツイ。治験結果発表のシーンがクライマックス。
■CEOからの5つの提言
・医療をうける費用やインフラの改善
・知的所有権保護。創薬ではこれが命だろう。
・テクノロジーとAIによる革新
・患者自らが判斷や選択ができる環境
・改革を止めないこと
-
Posted by ブクログ
ネタバレコロナもあまり騒がれなくなったので復習の一冊。
ファイザーワクチンの製造経緯を語った本書なのだけど、実はある科学者夫婦が立ち上げたビオンテック社がメインで作り上げていた…など全然知らんことだらけだった。
mRNAってのはタンパク質を作るように指示する設計図みたいなモノなんだけど、それをコロナに対応するようにする…というのが大筋の発想かな。mRNAワクチンの最大の特徴は、通常のワクチンと違って人の身体自身に抗体を作らせる点。生物学的薬剤とかに近い考えかもね。
しかしワクチン供給のタイミングが妙に早いと思っていたら、こんなスゲー背景があったとはね…。どちらかというとビジネス書としての色が強いかもしれない。