戸部けいこのレビュー一覧
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自閉症の子供と母親の物語。
子どもが生まれ、育てていく過程で、親はいつでも何らかの不安を感じるもの。この親子においては自閉症という障害もプラスアルファとして加わる。
子どもが生まれ、成長する中で自閉症ということを知ったばかりのころ、主人公(母親)は障害に対し消極的になり、内に閉じこもっていく。家庭までが壊れそうな中、仲間や理解する人たちと出会う事で、現状を肯定し、積極的に社会とかかわり生きていくことができるようになる。その主人公の姿に感動する。
人と感じ方、考え方が違う、社会の通念から外れることは、相当の生きづらさを感じるもの。
そのような現状の厳しさをきちんと見つめ、悩み、迷いながら、気づきを得、どこにでも居る弱い人間である主人公が、困難に立ち向かっていくようになる。
ヒロイックに描かれるわけでもなく、着実に地道にひとつひとつの困難をクリアしていく。
人生を肯定する力、それはタイトルにもある「光」を見出だすということなのではないだろうか。(「光」は子供の名前でもある。)
周りに理解してもらうこと、偏見をなくしていくことは、大きな一歩であり、広く自閉症というものを知ってもらうことは重要。この漫画は啓蒙的な面でも大きな働きをする。
小難しい話でもなく、少女マンガや、昼ドラの王道のような、人間関係のことも書かれていて、物語を身近に感じられるように構成されているところがなかなか技あり。
広く読まれてほしい本です。 -
Posted by ブクログ
「光とともに」のシリーズの中で、わたしが最も好きな7巻。
お父さん(雅人)は、上司の意地悪によって左遷されてしまったが
それでもめげずに時間を有効活用して、たくさんの企画書を作り
それを社内に応募することで、本社への復帰を果たす。
幸子も汗でぐっしょりのワイシャツを見て
「お茶もだしてくれないのかも……」と気づいて水筒を用意したりと
警察にお世話になったあの日から、懸命に雅人を支え続けたので
うれしさもひとしお。子どもたちの前でうれし泣きするほど。
そのときの光くんも、台ふきでとはいえ幸子の涙を拭いてあげて
あぁ、他者への関心が芽生えているなぁとこちらもジーンとくる。
雅人は本社で、きのこ栽培をする特例子会社を設立することになった。
そこで、当然ながら光くんの将来、つまり働く大人になることについて
幸子もいろいろ考えるようになる。
そこでちょうど心理の大沢先生に勧められた発達検査を受けることになる。
難しい課題が続くと脱走しようとした場面も見られたが
長い検査を頑張って受けた光くん。
その姿を見学で見にきてくれた学校の先生たちも
光くんの「この先」を見据えたときに、何か力をつけられることを
できないかと、あれこれ思案してくれて、わたしも胸が熱くなった。
そしてこの巻で最も好きなエピソード。
それは幸子が体調を崩したときのこと。
熱でもうろうとする中、食器を割ってしまい、その欠片を踏んだ光くんに
「あ~、踏んじゃった」と言ったことで
幼いころ、食器を割って幸子に軽く叩かれていたことを光くんは思いだす。
一方の花音ちゃんは、鍵を閉め忘れていた部屋にあった
幸子の大切な口紅をイタズラで使ってしまい、怒られて大泣きしてしまう。
そんな花音ちゃんを光くんは「大丈夫」と慰め
幸子も「口紅、触りたかったんだね」と花音ちゃんの気持ちをくんであげる。
それで花音ちゃんも素直にごめんなさいが言えた。
こういう互いが互いを思いやれる家族があたたかくて羨ましくて
親だって人間なのだということも
メッセージとして伝わってくる本当にいいエピソードだと思う。
ただ、この巻は素晴らしい点が多いぶん
「どうしてわたしはこうしてもらえなかったの?」と
すこしうつうつとしてしまうところもあったかな。
コウくん(2歳半)というおひさまハウス利用者の子の
療育場面を見て、幸子も「遠回りしちゃったな」と落ちこんでいたが
小山田さんが言うように、遠回りや無駄なんかないと思って
日々こつこつと、障害とは向き合い続けていくしかないのだろうね。 -
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花音ちゃんの水ぼうそうがうつってしまった光くんだったが
ぶじに治って林間学校に参加できることになった。
3泊4日の長い林間学校を、光くんがどのように過ごしたか。
この巻はその話でほとんどが割かれている。
光くんがトンネルで声が響くのが楽しくて
もっと遊びたい! と思っていたのに
団体行動だからと、介助の先生が工夫してその場から離れたため
心残りができてしまった光くんは
夜に脱走騒ぎを起こしてしまうのだけれど
そのあとの西脇先生、介助の先生の対応が素敵だった。
西脇先生、授業参観のあと保護者たちに詰め寄られたときは
げっそりしていたのに、今回は「みんな(ASDに関して)若葉マークだから」と
校長先生にこってり絞られたあとでも
落ちこまず、どうしてそうなったのか? 原因まで考えてくれた。
それで、トンネルに光くんもリトライできて、本当によかった。
たまたま林間学校の日時と場所が同じだった青木先生が
西脇先生たちに言っていたけれど
いちばん無理なくできるやり方で「拒否・要求・選択」ができて
それに応えてあげることが、伝えたい気持ちを育むというのは
その通りだなぁと思った。
発信することが難しいからこそ、その貴重なチャンスを
しっかり受けとめられる経験が、「もっとこうしたい」を
引きだすのだろうな。
光くんがいない間の東家では事件が起こった。
雅人が卑怯な上司に目の敵にされたせいで
左遷されてしまい、やけ酒でぐでんぐでんになった雅人は
通りかかった歩きたばこの中年男性にやけどさせられ
けんかをしてしまった挙句、一時的に警察に保護された。
目撃者のおかげでなんとか家に帰れたものの
雅人にも幸子にもつらい経験となってしまった。
蛇足だけれど、光くんのマイブームになっていた
「森のくまさん」を延々と歌う遊び。
あれもこだわりの一種なのかな? 落ちつくのかなぁ。 -
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光くんが万華鏡を分解したことで、中身のガラスを
花音ちゃんが踏んでしまい、ケガをする話でこの巻はスタートする。
幸子の「あ~」という声をきくと緊張する光くんだが
まずいことが起こったと思うことだけが理由ではないのだろう……
ということが匂わされるエピソードが後の巻である。
光くんがうまく言葉を使えないなりに
「人に伝えたい気持ち」が育ってきていることが
ザリガニ研究所や、西脇先生のいる交流学級で過ごすことで
強調されているエピソードが多かったように思う。
光くんも5年生ということで、幸子は思春期に備え
どう子育てしていったらいいのか考え始める。
一方、本田さんは焦りもあって幸子に八つ当たりをしてしまうが
美羽ちゃんとお父さんの橋渡しを「いってらっしゃい」という
録音をきかせてみせる……というアイディアをひらめき、成功させる。
郡司先生はまたもや、かんしゃくを起こす光くんたちに
「わがまま」という態度をとり始めたが
何か問題がある度に、怒りながらもどうすればいいのよ! と
向き合おうとする姿勢を見せてくれる面もでてきた。
そんな中、花音ちゃんが水ぼうそうになる。
幸子は、保育園を休んで花音ちゃんが寝ている隙に
光くんの登校につき合っておこうと思ったが
途中で花音ちゃんはめざめてしまったらしく
玄関先で泣いていた。
それを見て、今後花音ちゃんと光くんとの接し方を
どうすればいいのか悩む幸子だったが
青木先生の結婚式のとき登場した渋沢さんが
「おひさまハウス」というNPO法人をより拡大したことで
「家族以外のひとに頼る」という選択肢を受けいれられるようになった。
お義母さんか花音ちゃんだけを引きとりたいと言ったり
交流学級での参観日に光くんがトライするも
静かにしない保護者たちで調子を崩してしまったり
いろいろと困ったことも起こるけれど
前向きにひとつひとつの問題と丁寧に向き合っていく幸子は
本当にひたむきに子育てをしているなと、感心させられる。 -
Posted by ブクログ
1巻は保育園の卒園式で終わったので
2巻は小学校入学以降の光くんについて主に描かれていた。
幸子は妊娠し、出産準備・育児・仕事と手いっぱい。
そんな中、小学校のあさがお教室(支援級)に光くんは入学したものの
その生活は決して平穏なだけではなかった。
DVを受けており家庭がうまくいっていない片倉さんに妬まれ
集団登校の時間を10分遅く伝えられたことがきっかけで
光くんが迷子になったり、片倉さんの娘の絵理ちゃんは
そんなお母さんの様子を見て、光くんが体育倉庫の中にいるのに
鍵をかけられてしまったことを、担任の若林先生に伝えられず
光くんは大けがをしてしまったり。
それでも、運動会では青木先生たち周囲のひとの配慮のおかげで
ひかる君はダンスや50m走を頑張ることができた。
絵理ちゃんも、50m走の途中で転んでしまったけれど
お母さんに怒られず「頑張ったね」と言ってもらえてよかった。
そして、運動会が終わってしばらく。
幸子は夫の出張と台風が重なってしまったときに、お産が始まってしまう。
ボランティアのひとや家族の支えで無事に出産を終え
光くんは花音ちゃんという妹ができるが
赤ちゃんの泣き声が苦手な光くん。赤ちゃん返りもでてきて
少し不安定な様子を見せ始めていた。
それでも、コミュニケーションの障害だからこそ
光くんに「いやだ」と「ちょうだい」は表現していいのだと
光くんとのかかわりを幸子は大切にしようと奮闘する。
そんなことを描いていたら、いきなり光くんは3年生になり
花音ちゃんとも少しずつ折り合いをつけて生活できるようになった。
最後のほうで幸子が、与えても返ってくるものがなくて
逃げだしたかったけれど、産みの親だからできなかった。
それだけでひたすら頑張ってきたけれど、今は心から
子どもたちがかわいいと思えると言っていたのが印象的だった。
子育ての困難さと、喜びを教えてくれる素直な言葉だと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ絶筆の最終巻。
最後2話がネームの状態なのに驚いて、ああ……と思いました。
もっと読みたかったです。ご冥福をお祈り申し上げます。
嫁姑問題も、それでなくても難しい問題なのに、自閉症児を抱えて……となると壮絶ですね。
おばあちゃんの気持ちもわからないではないのですが。
今はずいぶん世間の理解も進んできたのかなぁ、とは思いますが、やっぱりこういう考え方も根強いだろうな、と思います。
この漫画で、疑似的にですが自閉症児をもつ家庭を知り、その苦労を知り、その成長を知ることができました。
現実にはいろいろなケースがあり、様々な苦労があるのだろうと思いますが、この漫画を知ることができて良かったと思います。
子どもに関わる人全てに読んでほしい漫画です。