高階秀爾のレビュー一覧
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本書は15世紀後半から16世紀初頭のイタリア(特にフィレンツェ)に焦点を当てて、その時代の代表的な美術作品から見て取れるルネサンス時代の精神風土を分析した本になります。題名にもありますように、ルネサンスとは明るい側面だけではないこと、確かに強い光はあるが、その裏側には強い闇も存在しているということが本書(上巻)を通じて主張されます。さらに、「ルネサンスとは宗教からの人間の解放だ」という主張に対しては、それが間違っていること、むしろ古代ギリシャ思想がキリスト教と融合したことこそがルネサンス文化の本質である、という旨が主張されています。
本書によれば、ルネサンス時代の闇とは、終末期思想、あるいは -
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絵画を学ぶことは人間の心のうちに秘める苦悩や葛藤や喜びといったあらゆる気持ちの変遷や歴史をなぞっていくことである。
ぽっと思いつきで絵が描かれているなんてことはなく、当時の体制に対する批判、常識を覆すことへの気持ちの表れなどが形となってキャンパスの中に表現されているのだ。
誰が見ても魅力的な絵というものは確かにあり、それはそれで大変な価値のあるものだ。
しかし、絵画が描かれた当時の背景、画家の生い立ち、気持ちに触れることで、一枚の絵に対する見方は全く異なってくる。
この一冊は近代から現代へ向かって進む時間の中で、どう絵画が変貌を遂げていったのかを追うことのできるものであることに間違いはない。 -
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Ⅱは印象派以降の14人の巨匠、14点。
高階先生の授業を直接聴かせて頂いているような語り口。
各章の絵画だけではなく、その周辺の作品の解説も語られているので個々にストーリー、歴史があることがよくわかります。
美術史という学問は近代を理解するための学問の1つなのだと思いました。
Ⅰの15点も含めて自分で直接見る機会がある絵画があと何点あるのかわからないが
その際にはこの本を必ず読み返すでしょう。
〇モネ 「パラソルをさす女」
〇ルノワール 「ピアノの前の少女たち」
〇セザンヌ 「温室のなかのセザンヌ夫人」
〇ゴッフォ 「アルルの寝室」
〇ゴーギャン 「イア・オラナ・マリア」 -
Posted by ブクログ
Ⅰを読んだならばⅡも読まねばと、早速ひもときました。
Ⅰは歴史、美術史の解説なども含まれていましたが、Ⅱは美術史上の年表幅が少ないらしく(さくっと100年くらい)そのせいなのか、あまり細かな歴史的背景には言及せず、画家本人の略歴や手法などの解説が細やかに書かれている。
馴染みのある画家名も多く『これ見たことがある』というものが多いので、読んでいて飽きない。その反面、いわゆる抽象画も多いので、解説を読んでも分かったよーな分からないよーな、そんな気持ちになることもしばしば……
別の本に出ていた名前をここで見つけて、作中に出ていた店名はこの画家からとったのかと妙に納得したりして、楽しく読めた。