無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
1969年の旧版を改版して、2023年に図版のカラー化・追加・拡大などを施したもの。
やはり全ページがモノクロというのは厳しかったと痛感させられる。
ベラスケス「宮廷の侍女たち」の天井部分とか、ターナー「国会議事堂の火災」とか、モノクロ図版では厳しかった。
あと、活版だから誤植を修正できないでいるのか、何か深い意図があるのかと勘ぐっていた箇所が誤植だったと確認できた(魔法陣→魔方陣と修正されていた)。
カラーになってよりよくなったと思うが、本文の記述内容については旧版から素晴らしかったので感想は変わらない。
よって、その感想を再掲しておく。
ーーーーーーーーーーーー
読み継がれてきた名著だが、なるほど、格調が高い。
ファン・アイクからマネまで、15点の名画(画家)をピックアップして、各10ページ程度で論じる。
それぞれの章(名画)の文章構成には定型がある。
1 その絵で何が描かれているかを述べる。
2 テーマに即した比較対象の絵との類似点・相違点を述べる。
3 技術的な特長を述べる。
4 歴史的・宗教的な背景事情との関係に言及する。
5 結論としてその絵(画家)の現代における価値を述べる。
という感じ。もちろん前後することや変化をつけることはあるが、定型の存在を読者に感じさせながらの変化である。
「守破離」という印象を与える書きぶりで、そこに格調の高さを感じた。
なんといっても「その絵について説明する」ことを序盤に行っていることが素晴らしい。
当たり前のことと言いたいが、その当たり前を実践することがどれだけ難しいか。
絵に描かれたことを言語化する作業は手間もかかるし面倒だと思うが、それを根気強く実践している。また、書き方によっては冗長に、つまらないものになりがちだが、そこも手際よく処理していると感じた。
こうした「基礎情報」がないと後に続く記述を読んでもピンとこない(逆に言うとピンとくるように書いている技術)。
もちろん、絵そのものの写真も掲載されているのだが、新書サイズだしモノクロだし1960年代の印刷技術だし、言語的な説明が必須という事情もあるだろう。
しかし一方で、限られた紙幅なのでそういった「基礎情報」ではなく早く本論に進みたいのが人情だ。それをこらえているとも言えるのだし(前振り、撒き餌だと割り切るのがプロなのか)。
というわけで、絵について論じた内容を云々する以前に、文章が良くて感服してしまった。
内容についても面白いのだけど、50年以上も経った現在の目から見れば目新しさはないのかもしれないし、もしかすると先行研究をまとめたものでオリジナリティはないのかもしれない。
そういった留保条件がありつつも、★5つ評価にしてしまう。
ちなみに、本書と正反対に位置付けられるのが洲之内徹だと思う。でも私は洲之内も好きなんだよね。
Posted by ブクログ
長年読みつがれた定番の名著を図版をカラーにしただけでなく、理解を深めるための関連図版を大量に追加した54年目の完全版。
解説は見る限り前と変わっていないが全く古びておらず、研究によって左右されることのない基本的なところから説いてくれているのがわかる。単に教科書的というのではなく、ファン・アイクやベラスケスの駆使した鏡のギミックなど技巧的に凝った部分にも言及して絵画の愉しさを直に伝えてくれる。
話の運び方がうまく、一見見た通りの絵だが実は奇妙なところがある→その奇妙なところは実は……と意外性のある導入から謎解きするようにテーマやモチーフを教えてくれるので娯楽的な入門書としても質が高い。
これに加えて歴史的背景もビシッと要を得ている書き方なので勉強にもなるが、驚異的なのはこの文章のうまさと解説の情報量で1章15ページちょっとという短さ。不要を省いた洗練された文章家だ。
一巻はファン・アイクからマネまで。個々の作品に焦点を当てた点描式だが、近代絵画史の流れをつかむのに十分なセレクトである。
Posted by ブクログ
西洋近代社会の例に見られるように、文化は、聖から俗へ、富裕層から庶民層へと広まっていきます。
日本でいえば、太平洋戦争後の焼け野原から奇跡の復興を図っていく1960年代の高度経済成長期以降、クラシック音楽も美術鑑賞も庶民層に広がっていったそうです。
そして、その当時から美術鑑賞の指南役となっていたのが、本書の著者である高階秀爾先生だったということです。
わたしが、高階先生を知ったのは、NHK教育テレビ(今のEテレね)の「日曜美術館」という番組でした。
丁寧に作品の解説をしていらっしゃいました。
その語り口はエレガントで、時にはお洒落な冗談もおっしゃる。
子どものくせに、知的なものを精一杯背伸びして吸収しようとしていた当時のわたしには分かりませんでしたが、後に、これがエスプリというものだと知りました。
この本の初版は1969年10月。カラー版の本書は2023年5月に発行されています。
作品の批評は微に入り細に及び、膨大な知識と緻密な研究成果から解説されています。
美術作品の部分を捉えて仔細に描写していく筆致は、まるでフランス近代ロマン派作家のユゴーやバルザックの背景描写を読んでいるように的確であり流麗です。
また、西洋文化の基盤となっているキリスト教の秘蹟やギリシア哲学から連なる2500年間の思想背景も併せて説明してくださっています。
20世紀末以降、美術批評や美学の潮流は様々に分化し、作品もデジタル技術(死語か?)を取り入れたインタラクティブな現代アートが拡張しています。
3DMRIやAIなどの技術を駆使した名画の分析研究も盛んです。
このような現代の状況にあっても、高階先生の美術批評は一時代を築いた金字塔です。岩波新書がカラー版を2023年に発行したことも証と言えるでしょう。
(『 Ⅱ - 印象派からピカソまで』も同年6月に発行されています。)
ぜひ、新書というサイズの利点を活かして本書をバッグに入れ、紅葉鮮やかな日当たりの良い公園や、落ち着いた雰囲気のカフェなどでページを繰っていただきたいと思います。
超一流のキュレーターが企画した展覧会を、最高の解説者の話を聞きながら観覧するようなものですから。
「文化の日」を前に 哀悼をこめて
Posted by ブクログ
「西洋美術史入門」の本というにはあまりにも高度で深い解説。取り上げられている15点の絵画は有名なものばかりですが、絵画の技法のみならず、神話、歴史、哲学、宗教や音楽に至るまで様々な視点から論じられていて、まさに「絵画とは全人間的な精神活動(あとがきより)」と感じさせられます。絵について論じる著者のことばの選び方と表現力には舌を巻いて感嘆するばかりでした。絵画の知識を得るだけでなく、文学作品のように読みごたえもある1冊です。
―「オランピア」には、今にも崩れ去ろうとする壮麗な建築を最後の一点で辛うじて支えているような緊張感と不安感とがある。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
試し読み
ビジネス・実用
ビジネス・実用
試し読み
ビジネス・実用
試し読み