あらすじ
名作はどのように生まれたのだろうか? 本書は,西洋絵画の本質について一歩進んで理解したいとする人びとの願いに応えて執筆された,西洋美術鑑賞の手引きである.一枚の絵に隠された芸術家の意図,精神性を探りながら歴史を一望する.Ⅰ巻では,油彩画の誕生からマネまで,一五人の画家と一五の名画を丁寧に解説する.
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名画を見る眼Iを読みました。
マネまでの、15人の巨匠の15の代表作の短めの評論です。
遠近法などの描き方や題材・内容の時代による変遷が分かりました。
実際に見て、確かめたいと思いました。
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各時代・各絵画様式を代表する一枚を挙げそれに関する解説の書かれた本。作品を通じて筆致の特徴や前時代の作品と比べた革新性、画家の生きた時代の解説までを端的にわかりやすく書かれた本でよかった。
ちなみに、ベラスケス「ラスメニーナス(この本では「宮廷の侍女たち」)」の解説では画面に登場しているベラスケスはマルガリータ王女を描いているという解釈だったが、この解釈はこの本で初めて見た(視点に映っているフェリペ4世を描いているという解釈しか見たことがなかったので)。
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以前近代絵画史の本でとても分かりやすい解説だった著者の油彩画から近代までで代表する作品の紹介
タイトルの通り、前半と後半は印象派の時代が境目になっているが、
やはり当時エポックメイキングな出来事だったのだろう
確かにパトロンからの依頼に自身の筆をどう反映しているかから、画家自身の考え方を表現することへ時代と共に変化していくことがよく分かる
ヨーロッパ史、特にフランス革命に至るまでの流れや思想の変容と合わせて考えるとかなり面白い
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西洋近代社会の例に見られるように、文化は、聖から俗へ、富裕層から庶民層へと広まっていきます。
日本でいえば、太平洋戦争後の焼け野原から奇跡の復興を図っていく1960年代の高度経済成長期以降、クラシック音楽も美術鑑賞も庶民層に広がっていったそうです。
そして、その当時から美術鑑賞の指南役となっていたのが、本書の著者である高階秀爾先生だったということです。
わたしが、高階先生を知ったのは、NHK教育テレビ(今のEテレね)の「日曜美術館」という番組でした。
丁寧に作品の解説をしていらっしゃいました。
その語り口はエレガントで、時にはお洒落な冗談もおっしゃる。
子どものくせに、知的なものを精一杯背伸びして吸収しようとしていた当時のわたしには分かりませんでしたが、後に、これがエスプリというものだと知りました。
この本の初版は1969年10月。カラー版の本書は2023年5月に発行されています。
作品の批評は微に入り細に及び、膨大な知識と緻密な研究成果から解説されています。
美術作品の部分を捉えて仔細に描写していく筆致は、まるでフランス近代ロマン派作家のユゴーやバルザックの背景描写を読んでいるように的確であり流麗です。
また、西洋文化の基盤となっているキリスト教の秘蹟やギリシア哲学から連なる2500年間の思想背景も併せて説明してくださっています。
20世紀末以降、美術批評や美学の潮流は様々に分化し、作品もデジタル技術(死語か?)を取り入れたインタラクティブな現代アートが拡張しています。
3DMRIやAIなどの技術を駆使した名画の分析研究も盛んです。
このような現代の状況にあっても、高階先生の美術批評は一時代を築いた金字塔です。岩波新書がカラー版を2023年に発行したことも証と言えるでしょう。
(『 Ⅱ - 印象派からピカソまで』も同年6月に発行されています。)
ぜひ、新書というサイズの利点を活かして本書をバッグに入れ、紅葉鮮やかな日当たりの良い公園や、落ち着いた雰囲気のカフェなどでページを繰っていただきたいと思います。
超一流のキュレーターが企画した展覧会を、最高の解説者の話を聞きながら観覧するようなものですから。
「文化の日」を前に 哀悼をこめて
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宗教画としての絵画も、識字率の低い時代に聖書を読めない人のためという側面もあるので、元々絵画は読み物であるという観点から言うと、とても勉強になる一冊。
作品の背景や作家が表現したかった事を知る事で、作品の表象的な理解にとどまらず、深く理解することができる。
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「西洋美術史入門」の本というにはあまりにも高度で深い解説。取り上げられている15点の絵画は有名なものばかりですが、絵画の技法のみならず、神話、歴史、哲学、宗教や音楽に至るまで様々な視点から論じられていて、まさに「絵画とは全人間的な精神活動(あとがきより)」と感じさせられます。絵について論じる著者のことばの選び方と表現力には舌を巻いて感嘆するばかりでした。絵画の知識を得るだけでなく、文学作品のように読みごたえもある1冊です。
―「オランピア」には、今にも崩れ去ろうとする壮麗な建築を最後の一点で辛うじて支えているような緊張感と不安感とがある。
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僕のような素人向けの一冊。オリジナルは1969年刊行。今年、カラー版として刷新された。ルネサンスから19世紀の初めまで、ファン・アイクからマネまでが紹介される。主題となった名画だけでなく、参考図版も多く収録されているのが嬉しい。おかげで分かりやすい。西洋絵画のお約束の一端が腑に落ちる。
続巻は印象派以降を扱っていると思うけど、楽しみだ。
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国立西洋美術館館長を務め大原美術館館長の高階秀爾さんが語る名画。
中野京子さんの書でも感じる、絵と解説が同時になる部分は本当に何か対策がないかと思った。
とても細かな見過ごしてしまう部位を、プロの眼を持って解説してくださるのに、本の中心に折れてなんだかわからなかったりする。残念でならない。
絵の上手さから見過ごしてしまうちょっとした細工に気付いて驚きと納得に至る。この感覚は本当に素晴らしい。展覧会でも音声ガイドがメジャーになったが、こうした本の力でもっともっと深く好きな絵が見つかり他の絵を見た時にもその眼その視点が楽しみをもたらす。
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初版は1969年。カラー版になるとともに、参考図版や、この50年での研究の進展などにつき簡単な注を加えてある。このⅠは、ルネサンスから印象派の手前まで
文章が端正で、古びた感じはまったく受けない。やはり、作品の背景や、漫然と眺めているだけでは気づかないポイントにつき解説があるのはありがたい
Posted by ブクログ
15人の有名画家の代表作をとりあげるとともに、関連作品時代背景などをわかりやすく解説した本。割と俗っぽく、うんちくを楽しみたい私にぴったりな本だった。ひとりあたり15ページくらいの分量というのも手軽で有り難い。
初版が1969年と50年以上前の本で、画家名や地名などの記載は初版のままだけれど、変化のあったところは章末に追補されていて誠実なつくりをしている。
またカラー版として刷新されていて、参考として上げられている彫刻や絵画までカラーで掲載されているのは素晴らしいと思う。
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名作・定番。
何度も読み返して名画を楽しみたくなる。
照会された絵画のいくつかは見たことがあるのだけど、もう一回近くで見て確かめたくなる。
【Ⅰ】はルネサンスから19世紀まで。
ファン・アイク 「アルノルフィニ夫妻の肖像」
ボッティチャルリ 「春」
レオナルド 「聖アンナと聖母子」
ラファエロ 「小椅子の聖母」
デューラー 「メレンコリア・Ⅰ」
ベラスケス 「宮廷の侍女たち」
レンブラント 「フローラ」
プーサン 「サビニの女たちの掠奪」
フェルメール 「絵画芸術」
ワトー 「シテール島の巡礼」
ゴヤ 「裸体のマハ」
ドラクロワ 「アルジェの女たち」
ターナー 「国会議事堂の火災」
クールベ 「画家のアトリエ」
マネ 「オランピア」
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人物ごとに解説がなされており、読みやすかった。
絵画の書き方や見方だけでなく、その人物や絵画がアート界にもたらした影響を知ることができ、見る目が変わった。特に印象に残ったのはゴヤ。前期、後期の作品の違いを知り、一度後期作品の版画は見たことがあるため、前期の作品も見てみたいと思った。
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今まで「綺麗だな〜すごいな〜」だけだった名画への解像度が上がり、とても勉強になった。
それぞれの国や宗教的な背景が絵にあらわれていることを知り、昔の時代に思いを馳せるきっかけになった。
海外の美術館にも行ってみたい。
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絵画をなんとなく見ていたものにとって、とても勉強になる本。絵画の持つ「目で見るもの」という機能と「目に見える以上の寓意を描くことができる」という機能、「作者が書いた以上のものを読み取ることもできる」という意味で本質的には文章でのコミュニケーションとほぼ同義なのかもしれない。2も読まねば。
Posted by ブクログ
絵画の見方を、要を得た文章で伝えてくれる。白黒版を若い頃に読んでいたが、内容はほぼ忘れていた。図版がカラーになったことは喜ばしい。白黒では分からなかった部分がかなりあったからだ。しかし、初読の時ほどの感激はなぜかなかった。感性、経験、知識ともに深化してしまったがゆえか。
Posted by ブクログ
15点の有名な絵画について、著者の保有する広範な知識や経験を基にその作品の背後に隠された様々なエピソードが次々に現れる好著だ.現物を見たものはなかったが、画集などで出会ったものが多かったが、ここまで綿密に解説してある事例はなかった.今後の絵画鑑賞の手引きとしたい.特にフェルメールの「絵画芸術」の論評が楽しめた.
Posted by ブクログ
描かれた背後にある時代と社会、主題とモティーフ、技法、画家の生涯を知ることで、絵画の味わいが深まることを知る。
歴史を学ぶことで、絵画の味わいはまだまだ広がる予感の楽しみ。
革新的な画家マネと保守的な人間マネの同居の面白み。
Posted by ブクログ
絵がカラーになっているためとても見やすい。また、1前の絵からこれだけの洞察ができることにも驚かされる。
数百年前の絵がきれいなかたちで残っているのには、文化を保護することに対する先人達の知恵があるのだろう。