高階秀爾のレビュー一覧
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1969年の旧版を改版して、2023年に図版のカラー化・追加・拡大などを施したもの。
やはり全ページがモノクロというのは厳しかったと痛感させられる。
ベラスケス「宮廷の侍女たち」の天井部分とか、ターナー「国会議事堂の火災」とか、モノクロ図版では厳しかった。
あと、活版だから誤植を修正できないでいるのか、何か深い意図があるのかと勘ぐっていた箇所が誤植だったと確認できた(魔法陣→魔方陣と修正されていた)。
カラーになってよりよくなったと思うが、本文の記述内容については旧版から素晴らしかったので感想は変わらない。
よって、その感想を再掲しておく。
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読み継がれてきた名著だ -
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2巻では印象派から抽象絵画までを扱っている。開幕がモネの「パラソルをさす女」といきなりご機嫌な名作のエントリーで解説も全体的に軽やか。色彩と形象を拡張、開放していった、絵画史の一番面白い時期をメインにしているが、むしれ目を引かれるのは美術史の流れと背景に目を配りながらも根本的には作品と作者の固有性に目を向けているところだろう。
どうしても印象派や抽象絵画やキュビズムと言った場合その言葉と歴史そのもののインパクトに流されて、作品を歴史を勉強、再確認するためだけに流してしまうことがよくある。スーラの絵画を見て点描法や後期印象派の作風を語ったところで、それは既に書かれた教本の追認に過ぎない。作者は -
Posted by ブクログ
長年読みつがれた定番の名著を図版をカラーにしただけでなく、理解を深めるための関連図版を大量に追加した54年目の完全版。
解説は見る限り前と変わっていないが全く古びておらず、研究によって左右されることのない基本的なところから説いてくれているのがわかる。単に教科書的というのではなく、ファン・アイクやベラスケスの駆使した鏡のギミックなど技巧的に凝った部分にも言及して絵画の愉しさを直に伝えてくれる。
話の運び方がうまく、一見見た通りの絵だが実は奇妙なところがある→その奇妙なところは実は……と意外性のある導入から謎解きするようにテーマやモチーフを教えてくれるので娯楽的な入門書としても質が高い。
こ -
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西洋近代社会の例に見られるように、文化は、聖から俗へ、富裕層から庶民層へと広まっていきます。
日本でいえば、太平洋戦争後の焼け野原から奇跡の復興を図っていく1960年代の高度経済成長期以降、クラシック音楽も美術鑑賞も庶民層に広がっていったそうです。
そして、その当時から美術鑑賞の指南役となっていたのが、本書の著者である高階秀爾先生だったということです。
わたしが、高階先生を知ったのは、NHK教育テレビ(今のEテレね)の「日曜美術館」という番組でした。
丁寧に作品の解説をしていらっしゃいました。
その語り口はエレガントで、時にはお洒落な冗談もおっしゃる。
子どものくせに、知的なも -
Posted by ブクログ
ネタバレ2024年に新しくエラスムスの本が出た事実を嬉しく思う。
●エラスムスと孤独とふるさとについて
「我、何者にも譲らず」というエラスムスの態度をあらためて格好良いなとおもう。
その一方で、私生児としてうまれ早くに両親をなくし結婚もせず、最後には新旧両派から敵視され友は遠ざかっていった様は、どうしても胸がくるしい気持ちになる。
ラテン語を自在にあやつりヨーロッパ各地を転々としたコスモポリタンとしての彼が最後にのこしたことばが「Lieve god」(愛する神よ)という故郷オランダの言葉だったことは、非常に示唆的である。
私生児として生まれた彼は、「デシデリウス・エラスムス」という名前さえ自分で