高階秀爾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
しかし、だからと言って、印象派 絵画がチューブ入り絵具から生まれたと言うことはむろんできない。 戸外における現場での制作は、すでに一八三〇年代のバルビゾンの画家たちの時代から、絵画の野望のひとつであった。持ち運びのできる便利な絵具の発明は、それまできわめて困難であったことを容易に実現させてくれるという便利さをもたらしたに過ぎない。ただ、それによって思いのままに戸外で制作できるようになった七〇年代の若い画家たちが、眼の前の自然のな かに、それまでの絵画の知らなかった新しい世界を発見したことは事実である
ところが、モネたちは、太陽の光の下では、自然のなかのものは固有の色を持っていないということを -
Posted by ブクログ
美術分野の素人の書評になりますのでその点はご留意ください。下巻では主に「光」の部分に焦点が当てられます。具体的には美もしくは愛についての解釈です。その際の題材になるのがボッティチェルリの「春」と「ヴィーナスの誕生」ですが、それぞれの絵のなかの登場人物や背景、またこれらの絵が描かれた経緯などが詳しく語られています。詳細についてはぜひ本書を読んでいただけたらと思いますが、本書を通底しているのは「二面性」あるいは「二であり一でもある」というキーワードでしょう。例えば愛情についても現生的な愛と天上界的(理想的)愛情がある。どちらがより優れているとかではなく、これらは愛情の二面性であって、言い換えれば古