【感想・ネタバレ】《受胎告知》絵画でみるマリア信仰のレビュー

あらすじ

【複数色を使用したコンテンツです。モノクロ端末では一部読みづらい場合がございます】聖母マリアが身籠ったことを知らされる一瞬の出来事を描いた《受胎告知》は、近現代に至るまで1500年以上ものあいだ、多くの画家たちが手掛けてきた、人々を魅了するテーマだ。時代によって、また画家によっても全く異なり、イエスも描かれていないのに、なぜ人気だったのか――。本書では、カラー48点の作品を、歴史だけでなく図像学的なモチーフやその変遷、さらに、名高い画家たちの名作の秘密や背景も解説。西洋絵画屈指の名場面の魅力を明らかにする。 《構成》【序章】キリスト教と西洋美術の関係 ●文化に溶け込んだマリア信仰 ●実は聖書に具体的な記述はない 【第一章】《受胎告知》とは? ●わずか数分の出来事を一枚の絵に収める ●告白された日は、いろんな都合で「三月二十五日」に…… 【第二章】なぜマリア信仰が盛んだったのか ●ペストが流行したゴシック時代から優しいマリアに ●教会内で飾られる位置は決まっている…… 【第三章】ルネサンスの写実的な表現と細密描写 ●富豪たちが積極的に寄進した理由とは ●ルネサンス時代になって人間らしく描かれた…… 【第四章】マニエリスム――特異な表現様式と宗教戦争 ●カトリックの戦略的な宗教普及 ●さらに神秘性を強調した表現…… 【第五章】バロック――そして近現代における《受胎告知》 ●宗教絵画に日常表現を取り入れる ●描かれなくなった現代でも有名なテーマ……

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

792円

164P

これ分かる。エル・グレコは20世紀の画家達に通づるものがあると思ってた。

ニースとアンティーブorヴァロリスって東京横浜間ぐらいの距離だから普通に日帰りで泊まる場所はニースにした。

高階 秀爾
(たかしな しゅうじ、1932年2月5日 - 2024年10月17日)は、日本の美術史学者・美術評論家。位階は従三位。東京大学文学部名誉教授。日本芸術院会員、文化功労者、文化勲章受章者。日本芸術院院長、公益財団法人西洋美術振興財団理事長、大原美術館館長などを務めた。秋田県立美術館顧問。1932年、東京で生まれた。父は哲学者・高階順治で、母方の姓を継いで旧姓・佐々木を名乗った[1]。東京高等師範学校附属小学校(現・筑波大学附属小学校)に入学し、のちに東大教授となる芳賀徹、平川祐弘、石井進、平田賢とは同じクラス(第1部)であり、波多野里望とはこの頃から仲良しであった。1944年に小学校を卒業し、東京高師附属中学(現・筑波大学附属中学校・高等学校)に入学。1944年9月から1946年9月まで、父親の出身地である秋田県(大曲町)に疎開し、旧制角館中学で学んだ。1948年、四修で旧制第一高等学校に入学。1年修了で翌年新制東京大学に入学。在学中に矢代幸雄の『世界に於ける日本美術の位置』を読み、西洋美術史研究を志す。1953年、東京大学教養学部教養学科を卒業。東京大学大学院に進み、在学中の1954年から1959年まで、フランス政府招聘留学生として渡仏。パリ大学付属美術研究所およびルーブル学院で西洋近代美術史を専攻し、展覧会の運営など美術行政についても学んだ。帰国後、国立西洋美術館主任研究官に就いた。美術館勤務の一方で評論活動も開始し、1967年には遠山一行、江藤淳と雑誌『季刊藝術』を創刊。編集長は古山高麗雄で1979年まで計50号発行した。学界では、1968年に発足した日本文化会議に参画(1994年に解散)。1971年、東京大学文学部美術史科助教授に就いた。1979年に同教授昇格。1992年に東京大学を定年退官し、名誉教授となった。同1992年4月、国立西洋美術館館長に就任。2000年まで務めた。1997年、パリ第一大学より名誉教授を授与された。2002年4月~2023年6月、大原美術館館長[2]。2004年、京都造形芸術大学大学院長となり、同比較藝術学研究センター所長も兼ねた。2008年、京都造形芸術大学を退職。2015年、日本芸術院会員に選出された。2020年10月~2023年9月まで日本芸術院長を務めた[3]。2024年4月に発足された大原芸術研究所の所長に就任[4][5][6]。運営財団の理事も兼務していた[7]。2024年10月17日、心不全のため、死去[8]。92歳没。死没日付をもって従三位に叙された[9]。西洋美術館研究官、東京大学の美術史教授として、1963年の『世紀末芸術』を始め数多くの著作があり、啓蒙的役割を果した。ルネサンス期以降の西洋美術を専門としながら、日本近代美術にも造詣が深くその方面の著作、画集編集もある。
同じ東京大学比較文学教授を務め、京都造形芸術大学名誉学長である芳賀徹とは小学校時代からの友人。『名画を見る眼』正・続(岩波新書)は、半世紀重版され計・82万部出された(新版の紹介より)。
家族・親族
父:高階順治は哲学者。
母:佐々木信。
祖父(母方):佐々木秀一。
妻:舞台女優・エッセイストの高階菖子(しょうこ)
娘:京都大学人文科学研究所教授で美術史学者の高階絵里加。

「「受胎告知」と聞けば、ただちに美術史を彩る、いくつもの名作が思い浮かぶ。事実、中世初期から現代に至るまで、それぞれの時代にさまざまな画家たちによって、多くの受胎告知図が描かれてきた。  もちろん、他にも《アダムの創造》や《最後の晩餐》など、聖書に基づく絵画の例は少なくない。しかし《受胎告知》ほど、幾度も繰り返し描かれた主題は他にないと言っていい。  ヨーロッパを旅したことのある人なら、修道院や教会、あるいは美術館を訪れて、その壁を飾る《受胎告知》に感銘を受けた経験があるに違いない。古い町の場合は、通りを散歩している時に、建物の壁に《受胎告知》の像がつつましく設置されているのを目にすることもある。つまり、《受胎告知》はそれほどまでにヨーロッパの文化に、そして人々の日常生活の中に溶け込んでいるのである。  この《受胎告知》という主題は、単純と言えば単純なものである。だが、一見単純なようでいて、その中に侮れない奥深さを秘めている。」

—『《受胎告知》絵画でみるマリア信仰 (PHP新書)』高階 秀爾著

「それというのも、そこには神秘/現実、超越的なもの/日常的なもの、天上(神)の世界/地上(人間)の世界などの対立する要素が交錯し、複雑に絡み合っているからに他ならない。  また、《受胎告知》はキリスト教神学の根本的で本質的な思想を核にしながらも、憧れや喜び、恐れ、不安などさまざまな人間的感情を投影できる主題であることも見逃せない。  つまり、深遠であると同時に、身近で親しみやすい側面も兼ね備えている。  だからこそ《受胎告知》は数多くの芸術家たちの想像力を刺激し、折に触れてバリエーション豊かな表現を生み出し、その時代、その時代の民衆の心をとらえてやまなかったのである。」

—『《受胎告知》絵画でみるマリア信仰 (PHP新書)』高階 秀爾著



六か月目に、天使ガブリエルは、ナザレというガリラヤの町に神から遣わされた。ダビデ家のヨセフという人のいいなずけであるおとめのところに遣わされたのである。そのおとめの名はマリアといった。天使は、彼女のところに来て言った。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」マリアはこの言葉に戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ。すると、天使は言った。「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない。」マリアは天使に言った。「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」天使は答えた。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。あなたの親類のエリサベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。神にできないことは何一つない。」マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」そこで、天使は去って行った。



「マリアに関しては折に触れて解説していくが、ここでは大天使ガブリエルについて少し触れたい。  キリスト教の信者以外にとって、ガブリエルの地位を誤解する者は少なくないだろう。「大天使」という呼び名だから偉い天使なのかというと、実はそうではなく、下から二番目の地位にすぎない。キリスト教の天使には階級制度があり、九つの階級に分けられている。上・中・下の三段階があって、さらにそれぞれ、上の上・上の中・上の下といったように細分化される。これは仏教の九品仏や軍隊組織とも共通する。後者では、まず大将・中将・少将がいて、次に大佐・中佐・少佐、そして大尉・中尉・少尉となる。」

—『《受胎告知》絵画でみるマリア信仰 (PHP新書)』高階 秀爾著




「 天使では、まず、上位三隊に熾天使・智天使・座天使、中位三隊には主天使・力天使・能天使、そして下位三隊に権天使・大天使・天使がいる。要するに大天使は下の中にあたり、軍隊でいえば中尉といったところだろう。  なおキリスト教では、ガブリエルとともにミカエルとラファエルは三大天使と呼ばれ、崇敬されている。ミカエルは戦いの天使である。アダムとエヴァを追放したのもミカエルであり、悪魔を相手に戦うこともある。ラファエルは子どもの守護聖人で、たとえばトビアスという子どもが旅する時に守ってくれた。  ガブリエルはお告げの天使である。背にふたつの翼を備える大天使は、神と人間を結ぶ役割を担っている。前図下の熾天使(セラフィム)や智天使(ケルビム)のような格の高い天使たちは絶えず天上の神のそばにいて、地上に降りてくることはない。地上の人間とかかわり、人間に向けて神の意志の代行者を務めるのが大天使なのである。」

—『《受胎告知》絵画でみるマリア信仰 (PHP新書)』高階 秀爾著


「このエフェソス公会議の結論が、中世以降のヨーロッパ社会に強い影響を及ぼした。イエスは人間ではあるが、やはり神なので畏れ多く、ちょっと近寄り難い。  そこで、親しみやすいマリアを仲介者として、天上の神に執り成してもらうことを民衆は望んだ。人々はマリアに祈りを捧げることで、神に救いを求め、赦しを請うた。マリアが「とりなしの聖母」と呼ばれるゆえんである。また、「憐れみの聖母」と言われることも多い。  マリア信仰が盛んになるのはゴシック時代以降のことだが、崇敬の念を抱くと同時に、どんなに貧しい、どんなに卑しい人間でも、安心して保護と救いを依頼できる優しい存在として親近感が持たれるようになったからである。  むろん、マリア信仰のあり方も、時代とともに異なる。それに伴って、《受胎告知》や《聖母子像》などに描かれるマリアの表情やしぐさなども異なる。」

—『《受胎告知》絵画でみるマリア信仰 (PHP新書)』高階 秀爾著

「キリスト教は、絶えず布教を行なってきた。十一世紀末から十字軍の遠征が始まり、大航海時代にはさらに広範囲にわたって布教を行ない、十六世紀半ばには日本にもイエズス会のフランシスコ・ザビエル(一五〇六頃 −五二年)が、はるばる伝道に訪れたのはよく知られた話であろう。  一方、中世において書物は一般の人たちの間では普及しておらず、多くの民衆は本を読む習慣などもっていない。  そもそもヨハネス・グーテンベルク(一三九八頃 −一四六八年)による活版印刷術の発明以前には、もっぱら写本のかたちで存在した書物は、ごく限られた人しか、目にすることはできなかった。  そこで絵画や彫刻などの視覚芸術が、伝達手段として利用された。一般の人たちにキリスト教について説明する際に、聖なる物語の絵解きとして大いに活用された。いまの言葉に置き換えるなら、教義プロモーションの手段として絵画が活用されたのである。」

—『《受胎告知》絵画でみるマリア信仰 (PHP新書)』高階 秀爾著



「エル・グレコは存命中、高い評価を得ていたが、その死後、次第に忘れられるようになり、バロックの時代にはもはやスペイン以外ではほとんど顧みられることはなくなっていた。  しかし、二十世紀を迎えてフォーヴィスムや表現主義などの新しい芸術運動が登場すると、事態は大きく変わった。特にドイツ表現主義の画家たちを中心に、グレコ再評価の機運が高まり、強烈な色彩や大きな動きを特色とする表現主義の先駆として、エル・グレコの存在がクローズアップされるようになったのである。」

—『《受胎告知》絵画でみるマリア信仰 (PHP新書)』高階 秀爾著

「「受胎告知」とは、なんとも魅力に富んだ主題である。  奥深い神秘に包まれた天上の神の世界と、きわめて身近な日常の人間の世界とが一瞬だけ交わる玄妙不可思議な出会いのドラマ、それが「受胎告知」に他ならない。  もっとも、ドラマと言っても登場人物はわずか二人、内容も、天使がマリアにお告げの言葉をかけ、マリアは最初は驚き、恐れ、怪しみながら最後に神からのお告げを受け入れるという単純なものである。  しかし、その奥に秘められた神秘は多くの人々の心をとらえ、なによりも数多くの多彩で豊かな美術作品を生み出させた。  だいぶ以前のことになるが、長いことイタリアに滞在して美術の研究を重ねてこられた鹿島卯女さんから、《受胎告知》の名品を集めた豪華画集を作りたいというお話があり、私は卯女さんとは小さい時からお世話になったご縁もあり、喜んでお手伝いさせていただくことになった。その結果、鹿島卯女監修、高階秀爾編集による『受胎告知』(鹿島出版会、一九七七年)が刊行された。私にとって、忘れられない仕事である。」

—『《受胎告知》絵画でみるマリア信仰 (PHP新書)』高階 秀爾著

0
2026年08月07日

Posted by ブクログ

時代や背景によって変わるマリア信仰、そしてそれが如実にあらわれる絵画。
絵画の解説もキリスト教の簡潔な歴史とその背景も盛り込まれていて、わかりやすかった。

日本人には馴染みの薄いところではあるけれど、美術館や今後観光でヨーロッパ各地を訪れた際には確実に触れる部分だと思うので、この本で学べてよかった

0
2021年10月22日

Posted by ブクログ

著者の体の動きに関する記述にはどうにも首を傾げる。胸に手を当てて…いるか? おじぎして…いるか?? 体をひねって…いるか???

0
2019年01月06日

「趣味・実用」ランキング