里見清一のレビュー一覧
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なかなか面白かった。現役医師の側からの率直な提言集。個人的には「患者さま撲滅運動」、「インフォームドコンセントハラスメント」などが興味深かった。患者の態度や医療に関する報道への批判が多いように受取られるかもしれないが、裏を返せば、医師側が能力をフルに生かして自信を持って患者の治療にあたるべし、という逆説的な医師としての心得集だと思う。まあ医療に関する法律論に関して一部の弁護士の意見のみを参照しているのは、ご愛嬌か。
ちなみに、筆者の名前は、「白い巨塔」に出てくる登場人物から拝借したらしい。本名ではこの本は出せないところに今の医療の問題点があるような気もする。 -
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『ライフシフト』がベストセラーになってからというもの「人生100年」というワードは、もう耳にタコができるほど聴いた気がする。
人類は、誕生してからずっと、死の恐怖からの解放を追いかけてきた。その結果、ついに100年すら当たり前の時代に突入しようとしている。
なのにこの本は「人生100年」は不幸だと主張する。
なぜ、やっとの思いでたどり着いた長寿が不幸なのか?
幸福な長寿時代は、本当にあり得ないのか?
そんな思いで手に取ってみた。
多くの人は、自ら死を選択できない。
死に方を自身で選ぶことなんて到底無理であり、自死すらもほとんどの人が、する覚悟さえ持てない。
どんなに長寿になったとしても、 -
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命の問題についてはコストを度外視しても取り組むべき。そんな美名の下、結果として膨大なコストを次世代にツケとして先送りしている。国民皆保険制度が破綻してしまえば最低限の保証も受けられなくなる。著者は言う。たとえば75歳以上の高齢者へは高額薬剤による延命治療を差し控え、その代わり緩和医療を充実させてはどうか。医師でもある著者は、こんなことを言っても何のトクにもならないし、ただ嫌われるだけと自嘲する。とにかく角がたたないようにと逃げ腰の言論・議論が横行する中、批判は承知の助と蛮勇を奮う。高齢者は死ねというのか、などという感情論に流されるのではなく、今こそ一人ひとりが高額医療の問題について真剣に考えな
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大学病院の教授回診や一般病院の院長回診の類は、ほとんどが無駄。有益な情報が見つかることはほぼない。それでも患者の多くは儀式的な回診を喜ぶ。回診に合理的意味はないが、白い巨塔に出てくる家族は来てくれなかった財前を恨み訴えることになる。財前は医師としてすべき指示は行っているし、患者に顔を見せ体に触れたからといって結果が変わるわけでもない。しかるに無駄を合理的に切り捨てたことが結果として自らを破滅の道へと導いた。コミュニケーションにおいて有効なのは面倒くさくて無意味と思われることを敢えて行うこと。手紙に書いたことを電話で話す。テレビ会議の音声と資料を直接その場で皆と共に見る。明らかに重複であり無駄で
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いろいろ学ぶことが多い。印象に残った言葉。
素人は、100%白黒を要求する。プロは、グレーのケースもあることがわかっている。
敗戦処理はエースの仕事。医師の仕事は、敗戦処理?こいつは逃げてないと思わせること。
情報が害毒を生産する。すべての情報を盛り込むこと問題。見る人は何をもとめているか。医療情報は、安心感を求めている。
人は、自分がやったことではないことにリスク0を要求する。しかし現実にはリスク0ではない。
人間はじっとしていられない生きもの。いらぬ治療でも行なうことにかける。
諸悪の根源は、民主主義。現代の選挙制度破綻している。
病気と偏奇境目を人為的につくっている。 -
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右か左かと言えば右寄りな腫瘍内科医による本音トークがなかなか痛快。インフォームドコンセントのまやかし,延命治療と尊厳死,命の価値に上下はある,などのテーマを辛口で喋る。賛同しかねる所も多々あれど,やはり本音が聞けるのは良いことだ。
研修医時代の救命センターでの経験を「念仏の如く『命の平等』を唱える良識的な連中より、『自殺未遂や暴走族の自爆は、俺たちが治療しなくていい』と傲然と言い放つわが指導医の方が正しい、と思ったのである」等と書いてたり(p.102),非匿名の医師としてはなかなかできない発言なのではないだろうか。里見清一はもちろん筆名で,以前の著書では顔も本名も伏せてたけど,この本では実名と