あらすじ
画期的な新薬が開発され、寿命が延びる。素晴らしき哉、医学の勝利!……のはずだった。だがその先に待ち構えているものに我々は慄然とする。爆発的に膨張する医療費は財政の破綻を招き、次世代を巻き添えに国家を滅ぼすこと必至なのだ。「命の値段」はいかほどか。我々はいつまで、何のために生きればいいのか。雑誌発表時から新聞、テレビ等で大反響の論考を書籍化。巻末に作家・曽野綾子さんとの対談を特別収録。
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Posted by ブクログ
オプジーボを基点として、誰もみてこなかった問題に切り込んでいくスタイルの本。この先生は医学と国家の行き詰まりをなんとかするためには、1つの考え方しかないとしているんだけれども、僕はもっと、違う考え方、違うやり方があるんじゃないかと思った。
けれども、これは実は未熟な生徒の考え方であり、最先端で戦ってきた先生から見ると、本当に現状はどうしようもないのだ、という事実もありえそうなので、なんとも言えない。
Posted by ブクログ
馬鹿高いオプジーボのことは知っていたが,現役の医師がこのような問題意識を持っていたことに安堵した.p52にある提案「75歳以上の患者には,すべての延命治療を禁止する.対処療法はこれまでと同じようにきちんと行う」には大賛成だ.この時点で癌が発見されたとしても,急速に癌細胞が増えるわけでもないので,治療をしなくても寿命が数年縮まる位と思っている.また,至適投与法の検討を示唆されており,これも重要だ.人は必ず死ぬのだということを,改めて認識できた.
Posted by ブクログ
オブジーボなどの高価な薬が発売されて、医療現場は自己負担のアメリカ型と、日本のようなお上による完全に保険で賄える中での問題を取り扱っている。
オバマ・ケアも有名になったが、日本の保険医療制度では、高額医療控除のために本当に多くの税金が、90歳の人間を120歳までに延命するなどのために使われる可能性がある。
ある意味人とは何か、治療とは何か、できなかったことができるようになったからこそ、考えさせられる命題をつきつけられているように感じた。
Posted by ブクログ
週刊新潮の連載コラムを愛読しており、高齢者のガン治療を例にとって著者が警鐘を鳴らす日本の医療危機問題について改めて認識したけれども、本筋から外れたところで不用意に漏らす誹謗のいくつかが(週刊誌らしいといえばそれまでなのだが)大事な議論の尊厳を損なっているのが残念。