谷垣暁美のレビュー一覧
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作品紹介・あらすじ
かつて野良仕事に駆り出された子どもたちの為に用意された架空の友人、言葉人形。それはある恐ろしい出来事から廃れ、今ではこの博物館の片隅にその名残を留めている――表題作ほか、光と星の秘密を追う研究者の実験台となった無垢な娘の運命を綴る残酷な幻想譚「理性の夢」、世界から見捨てられた者たちが身を寄せる幻影の王国が、少女王妃の死から儚く崩壊してゆく「レパラータ宮殿にて」など、世界幻想文学大賞、シャーリイ・ジャクスン賞、ネビュラ賞、MWAなど、数々の賞の受賞歴を誇る、現代幻想小説の巨匠の真骨頂ともいうべき13篇を収録。
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ジェフリー・フォードを読むのは二冊目。本書の後に -
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ネタバレジェフリー・フォードの短編集その1。評判の良い「最後の三角形」が読みたくて、まずはこちらから。
非常に幻想味の強い作品が多く。ただ、それでも魅力的なストーリー展開の作品ばかり(いくつかは本当に訳がわからなくて、うーんていうのもあったけど。。。)。
以下、作品ごとの感想。
◯創造
木の枝や実で人形を作ると翌日にはいなくなっていた。生命を創造してしまったと考える少年の話。ラストの父との余韻が非常に良い。
◯ファンタジー作家の助手
有名なファンタジー作家の助手となった女の子の話。作家の妄想か、彼女の妄想か。本の世界が具現化する。終わってみれば、優しさに溢れた世界。
◯〈熱帯〉の一夜 ★おす -
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SFが読みたい!2023より購入しました。
素晴らしい!の一言です。
文学の詳しいことはわかりません。
なので、私観的ですが
SFが読みたい!を十分満足させてくれたと同時に
SF サイエンスフィクションに入るのかどうか
は別として、満足させてくれます。
まず、言葉が、(訳が素晴らしいのもありますが)
想像に難くない表現で
とても読みやすく、
一話一話、ひたっていられる感覚です。
が、ついつい次々読んでしまいました。
そして、全話偏りない
なんでこんなに色んな話が書けるんだろうと
才能に驚きます。
短編集は、あまり好きではないのですが
短編なのに、最後の数ページで
あーそーなるのかってい -
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ジャロン・ラニアーの本は毎回面白いと感じているので、深く考えずに本書も購入しましたが、期待を上回る面白さでした。本書はVRの歴史を解説した本であるとともに、VRを生み出してきたラニアー自身の幼少時からの自伝でもあります。その意味では、あたかもラニアーの人生をVRで追体験しているかのようでありました。
本書ではラニアーが考えるVRの定義がたくさん紹介されていますが、私が個人的に最も印象に残った定義は「VR=-AI」です。どういうことか。私なりの理解ですが、AIは便利ではあるものの、ある意味人間の思考能力や感性を鈍らせる存在である。それに対してVRとは、人間の世界認識能力、感性を研ぎ澄まさせる存 -
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ネタバレ語り手としてのラウィーニア、生きているラウィーニア。読者として物語に向き合ったが、両者は、一体化したり離れたりを(よく練られた語りに!)感じさせすぎることなく、ただ、「ひとり」の人間として在ったと思う。ときどき冷静な視点が内省するところは読者/わたしにも良い振り返りどきになったし、終わりの語り手としてだけのラウィーニアの出現にはどきりとした。それにしても、後代の詩人の登場と、それによって「未来を知っている」ためのラウィーニアの嘆きや恐怖、さらにはそれを超えたところで、自分が知っていることを利用できる強かさ、その描かれ方が素晴らしい。あくまで想像だけれど、「神」と向かい合う行為から、土と血と礼拝
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ネタバレ読者を呑み込む、というのだろうか。いやそれでは乱暴に過ぎる。けれどわたしは、この物語を読んでいるあいだずっと、主人公とともに歩んでいたように思う。信じては裏切られ、また、助けられ助けてという旅路。奴隷であり、追われるものであったという「鎖が切れたと思う」という表現は前後の文脈含め完璧にひとつの「流れ」の終わりを示しているようだし、最後の機知に富んだやりとりは物語を総括して「支配」という「暴力」について見事に結論づけている。鉤括弧が多くて申し訳ないが、この物語を読んだ方ならば納得してくださると思う。そして解説がいうようにこのシリーズの原題はすべて複数形で、ちからが働くもの、働かせるもの、その働き
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ネタバレこの物語には、アーシュラ・K・ル=グウィンの頭のなかには、わたしたちが自分が属すると思っている以上の集合体の声が、流れているにちがいない。
わたしは、大きな絶望感と空虚感の最中に、ほぼ偶然これを手に取って読んだ。グウィンは、むろんその腕を最大限伸ばして知識を得ただろうが、それのみに留まらず、実際に起こったであろう(グウィン自身には起きていないだろうが)ことをしずかに聞いたのだと思う。「奴隷」という人びとの受ける扱い、かれら自身が思い込むことで耐える拠り所……わたしとておおよそは本で伺い知った(そうでないところも、いちおうあるが)その考え方の構造のようなもの、そして残酷さを、ゆっくり誠実に、内な -
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ネタバレグウィンの作品の中でどれが好き? という(ある意味とても酷で厄介な)問いを投げかけられたら、いまの私は「ゲド戦記」や「闇の左手」よりもこの本(「西のはて年代記」二巻)をえらんでしまうかもしれない。そのくらい気に入りで、また、わたしにはまだおぼろげにしかわからない深い霊性を湛えた本のように思う。物語そのものは、高い地位の生まれの母を持ちながら「侵略の落とし子」として生まれた少女メマーを主人公に、その目を通して進んでいく。メマーは豊かな感性の持ち主で、その考えのくるくる踊るところーーたとえば客人のための食材を用意したり、自分に半分血を入れた侵略者に強い憎しみを露わにしたり、そのひとりと「男の子」と
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あとがきまで愛に溢れて少し切ない。幅広い読者層に受け入れられると確信!
ウェルギリウスと『アエネーイス』へのル・グウィンさんの敬意と、彼女に対する翻訳の谷垣暁美さんの敬意で二重に包まれた、温かく素敵な一冊がいま私の手元にある。
・とある国のお姫様が男に出会う
・その男は未来で叙事詩を書いたウェルギリウス
・そう。現代の我々の世界にも繋がっている
・お姫様は彼の作品に出てくる登場人物だと告げられる
・自分が二次元創作物だったなんて強展開!信じられる?!
・古典アエネーイスのスピンオフ
・けど原作知らなくてもイケる
ここらへんまでで、ライトな小説勢も面白そうだと思いませんか?
・姫は運命 -
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ネタバレ『西のはての年代記III』の上下巻。
表題はパワーだが、原題はもちろん複数形。個人の背景となる「権力」でもあり、個人の持つ「力」でもある。主人公のガヴィアは姉のサロとともに幼いときに水郷の地空奴隷狩りによって都市国家エトラの「アルカマンド」につれてこられて働いている。かれは、ひと目見たものをすぐさま覚えて暗証することができるという能力によって、アルカ家の子供達(主人一族や奴隷をふくむ)とともに学校で学んでいる。姉のサロは、その美貌と性格により、同じ学校で学ぶ主人一族の長男にギフトされる立場となっている。ここの段階でのパワーというのはまさに、権力構造そのものをさすが、主人公のガヴィアは主人一家 -
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ネタバレル=グウィンの『ゲド戦記』シリーズのあとしばらくたった書かれたファンタジー。少年オレックと少女グライの物語。
オレックはカスプロマントの跡継ぎで、代々「もどし」のギフトを継承することが期待されている。グライは隣国のロッドマントの生まれで、母から「呼びかけ」のギフトを継承している。「呼びかけ」のギフトは動物たちを呼び寄せるもので、動物たちにとって狩られるという負の部分と人間に飼いならされるという正の部分をもっている
オレックの母のメルは低地の生まれで、オレックの父カノックが「もどし」のギフトと交換に手に入れた低地から贈られた「ギフト」でもある。低地の人々から、カスプロマントなど「高地」の人々