谷垣暁美のレビュー一覧
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グウィンの編んだこの物語には、読み終えて符合に気がつき驚くところがいくつもあった。まさに細部に神は宿るといったところか。その人その人でなければ見えないことが語られている、その意味に至って「ああ!」と思うーーその、主人公たるひとりの少年の成長に絡んでいく繰り返しが、かれが決意を定めるシーンに繋がって大...続きを読むPosted by ブクログ
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ファンタジーを愛するすべての子どもと大人へ。
ゲド戦記のル=グウィンがファンタジーについて語ったエッセイ集。ファンタジーをよく読む人はぜひ手に取ってもらいたい。なぜ子どもはファンタジーを愛するのか、ファンタジーは子ども向けなのか、ファンタジーとは何か。よくあるファンタジーへの問いかけにル=グウィン...続きを読むPosted by ブクログ -
ゲド戦記のル=グィンによるファンタジー評。
寓話やメッセージを分かりやすく伝えるツールとしてのファンタジーではなく、もっと本質的なファンタジーでしか描くことができないことを語るウィットに富んだテキストはとても素晴らしい。
動物物語について語る章が特に興味深く、いくつかの類型に小説の中の動物の描き方を...続きを読むPosted by ブクログ -
ゲド戦記の著者という事だが今の時点でゲド戦記は読んだことがなく、ジブリのアニメを一度観ただけで「あらすじ」の様なものしか理解していない自分にとっては、先入観もなくタイトルが気になって手に取った。
いろんな事に触れている。この人のきっぱりした口調が好きだ。経済の成長については全く同意見で、同じ意見があ...続きを読むPosted by ブクログ -
ひさびさに骨太なエッセイを
読みました。
高校生の頃ゲド戦記を読み、
作者が作り上げる世界や
言葉遣いに感銘を受けたことを
おぼえています。
今回のエッセイを読んでいても
付箋を貼りたい箇所が、たくさんあり
手元に置いて何回も読み返したい
一冊になりました。Posted by ブクログ -
ジブリアニメとして制作された『ゲド戦記』の著者として有名な、K・ル=グウィンさんのエッセイ。猫との生活(バード日記)や、年齢を重ねてたどり着いた生活について、作家としての思いや、人生の一コマについてだったり、様々なテーマで語っている。
一番印象に残ったエッセイが『ファーストコンタクト』という題名のも...続きを読むPosted by ブクログ -
ゲド戦記はわが青春の愛読書だが、エッセーは初読。
彼女の作品に出てくる、老いた聡明な龍のような
鋭い言葉が印象的。
余暇という言葉の裏にうかがえる
「大切なもの」が見えない愚か者(現代の大多数の大人)への辛辣な批判、ファンタジーの意味が「そのありかたでなくてもいい」ことを問いかけること、など卓見に...続きを読むPosted by ブクログ -
格調高い文章で、脳細胞が刺激されました。老いや怒り、といった身近なトピックでもルグウィンにかかると哲学チックです。噛み締めて読みました。Posted by ブクログ
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言葉の使い方にとても厳格で大切にしているのが心に残る.ル・グウィンに言葉にしてもらうと今まで何となく感じてたことがクリアに整理されて目の前が広がっていくような気がする.時々挿まれる猫との風景にも,生きる姿勢のようなものが見えて,ただ微笑ましいエピソード以上のものがある.私も「本当に大切な本を読むのに...続きを読むPosted by ブクログ
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「白い果実」のジェフリー・フォード。なので、短編とはいえ、重層的で目の眩む、読み応えある物語たち。読み始め、あれ?ジェフリー・フォード?と思ったけれど、あ、やっぱりジェフリー・フォード、になっていく、グラデーションある物語の並び。足元がぐらぐらするところに立つような不穏な感じ。熱があるときに見る夢だ...続きを読むPosted by ブクログ
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相当長い間、積読していたのだが、東京モーターショウに行った東京のホテルで読んだら、面白すぎて一気に読み終えてしまう。続編を大至急買わないと!
それにしても、ル=グウィンは、独特の世界観を作るのがうまい、うますぎる。Posted by ブクログ -
数年前に何冊か読んでとても引き込まれ、SFに触れたいと思ったきっかけになった気がする。その後ディックなど手に取るが実はサッパリ。今回はファンタジーが強く、ほぼSF色は見当たらす、とてもディープな世界に連れていかれた。幾度か寝落ちしながら読み、また再開。ほんとうに夢を見てるような、何か山の一軒家で木の...続きを読むPosted by ブクログ
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ファンタジー
サンリオやハヤカワ文庫で知ったSF作家ル=グウィンと、『ゲド戦記』や『空飛び猫』の作者が一緒と気付いたのは、21世紀になってからだPosted by ブクログ -
SFでもなくただ不思議なことが起こるという意味合いの「ファンタジー」でもなく、本当に「幻想文学」という言葉が相応しい作品。ストーリーに時間や空間の捻れが生じ、気がつけばそれに絡め取られているような感覚に陥る。これまで発表されてきた著者の作品を集めた短編集だが、徐々にファンタジー色が強くなっていく構造...続きを読むPosted by ブクログ
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好きだったのは『ファンタジー作家の助手』と『巨人国』の2つ。
作家になる素質を物語のなかの人たちとファンタジー作家が見いだしてくれるなんて、最高Posted by ブクログ -
西のはての年代記Ⅱ~南のサル山を望む港町アンサルは東の砂漠から押し寄せたアスダーに占領され,多くの住民が殺され,書かれたものは悪だと多数あった書物を破棄され,17年が経過している。アンサルの実質的中心地のガルヴァマンドの主・道の長は悪魔の穴を教えなかったために拷問にかけられて両足を折られ不自由な生活...続きを読むPosted by ブクログ
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「ゲド戦記」以来のル=グウィン作品。
彼女は心に闇を抱えた少年を描くのが上手いなぁと思う。ゲドもそうだけど、この本の主人公オレックもまたそんな少年の一人で、家族との関係とか、幼馴染との関係とか、いろいろ自分に関わる人との中で闇を抱えざるを得ない状況になっていく姿が痛々しいながらもそっと後ろから応援...続きを読むPosted by ブクログ -
子どもの頃から
ハイファンタジーをあまり好まなかったので、
児童書の中で、1番、腰の上がらないジャンル。
読もうと思ってから、数年経過し・・・
ようやく手に取りました。
前半の回想部分(というか、すべて回想なのだけど)の、
部族の名前やら、その力やら、地名やらが、頭に入らず、進まず、
こんなに読...続きを読むPosted by ブクログ -
「ゲド戦記」以降久々に読み応えあるファンタジーに仕上がってると思う。
「ギフト」に翻弄されるオレックが自らの力を封じるために目隠しをしつつ、それでも冷静な判断と精神的な成長を果たしていくのは読んでてすごく引きこまれた。翻訳もそんなに気にならず、細かい表現部分で却って原書を読みたい気がしたPosted by ブクログ