谷垣暁美のレビュー一覧

  • パワー 上 西のはての年代記III
    ギフト、ヴォイスと言葉の力、本の力にまつわる物語が語られて、そして、最後はパワー。文庫版だと、上下2巻。西の果ての年代記の最終巻。

    奴隷として、幸せな(!)生活を送る少年が、自由と自分に目覚めていく物語。
    西の果ての年代記は、ゲド戦記にくらべると、著者が今の世界の比喩として生み出した世界ということ...続きを読む
  • パワー 下 西のはての年代記III
    原題が、powersであると、訳者のあとがきを読んで知る。
    なるほど、と思う。
    この本は、主人公の力について書かれた本ではなく、世の中に存在するすべての力について書かれたものであったか、と腑に落ちる。

    なかでも物語中、たくさん出てくるのは信頼の力についてだ。
    主人公の少年は、人を信じやすい。そして...続きを読む
  • パワー 下 西のはての年代記III
    さまようガヴィア。クーガに拾われ、森の心臓で暮らし、水郷にたどり着く。そこも違う。
    本当の自分の場所を求めて、再び出発する。オレックのいるメサンを目指して。
    居場所が見つかって一安心したけれど、彼の旅はまだまだ続くのだろう。未来へ
  • パワー 上 西のはての年代記III
    都市国家でよい待遇とは言え奴隷として育ったガヴィア。
    姉を喪った事がきっかけで、お館を出て行ってしまう。
    心も身体も放浪する彼が、時間によって、出会った人々によって少しずつ癒されていく。
    悲しいことがあったら、ちゃんと泣くんだよガヴィ
  • ヴォイス 西のはての年代記II
    声の持つ力を感じさせると同時に本の持つ力も考えさせる。
    長い間 書物を、書く事を認めない者にねじ伏せられている町に住むメマー。
    オレックとグライがやってきたことで、転機が訪れる。創り人で語り部であるオレックは朗誦に力を持つけれど、読むことが創ることに繋がっている。読むことも話すことも力になると知って...続きを読む
  • ギフト 西のはての年代記I
    ゲド戦記以来、何年経ったのかわからないけど、ひさびさにル=グウィンの新作が児童書コーナーに並んでいるのを見つけたときは興奮した。
    「早く文庫になれ」と念じてたら、文庫になったので、さっそく購入。
    既存の価値観に立ち向かうル=グウィン。ゲド戦記は、海と島に、黒い肌の人々たちが暮らす世界だった。今回は、...続きを読む
  • 最後の三角形 ジェフリー・フォード短篇傑作選
    幻想小説というのだろうか、この類は。

    苦手だわ。
    理屈も何もあったもんじゃなく、なぜ、と考え出すと訳がわからなくなる。結局なんなん?

    一つの物語が終わって、その次が始まると、何が起こっているのか理解するのにまた時間がかかる。

    グロもあって気持ちわるいし。

    が。

    読み続けるのが負担だったが、...続きを読む
  • ヴォイス 西のはての年代記II
    ・『ゲド戦記』の似姿
     『ギフト』でもうっすらと感じたことだが、『ヴォイス』ではさらに感じた。
     『ヴォイス』に対応する物語は『壊れた腕輪』であろう。喰らわれしものアルハは設定が完璧すぎて、テナーをお姫様にしてしまった。その反動が『帰還』で爆発し、それによって一部の読者はやっつけられてしまった。
     ...続きを読む
  • ギフト 西のはての年代記I
    はじめに覚えたのは戸惑いで、ずいぶんと説明調だなと。
    物語というのはいつでも、序盤では特に説明的にならざるを得ない。しかし、説明するのではなく物語れとは自身の言葉ではなかったか、と。

    やがて、説明調というよりは、読み聞かせ、あるいは朗読の本なのかもしれないと思うようになった。

    最後に覚えたのはま...続きを読む
  • 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ
    ゲド戦記の作者

    子供は言われたことを信じないといけない。子供にとって、進んで信じることは生き続けるために、人間らしくなるために必要なこと。
    教えられることに耳を傾けてそれを信じなくてはならない。情報が妥当であるかテストすることは常に許されるべきだが、同時に危険を伴う。
    道路に飛び出したら?コンロの...続きを読む
  • 万物創生をはじめよう――私的VR事始
    VRの歴史を知りたい人におすすめ。

    【概要】
    ●著者の一つの物語
     1984年~ VR研究開発会社
    ●VR技術の話と物語

    【感想】
    ●古典的なVRの話が多い。
    ●MRの話はあまり出てこない。最新の技術の話がないのは残念だった。
  • 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ
    猫を飼ったことがないけど、猫の章が面白かった。ジョークや表現が日本にはないもので新鮮。
    ちょっと大人過ぎたので、また歳を重ねてから読みたい。
  • 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ
    最初からほぼずっと何かを非難したり責めたりしているので、なんだか疲れる。「鋭い指摘」とか、誰かをけなすための「ユーモアたっぷりの皮肉」とか、合う人はきっとたくさんいるんだろうけど、私がエッセイで読みたいと思っているのはそういうタイプの文章ではないな、とようやく気づいた。絲〇さんとかもズケズケ言う毒舌...続きを読む
  • 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ
    途中、途中、飛ばしながら最後まで完走。内容の厚いエッセイで、読んでいると考える脳を刺激され、落ち着かなかった。すんなり入ってくることもあれば、なんとなくしか理解できないことも。読む側を想定しないまるで独白のような文章を読むことはとても心地良く、エッセイというもののほとんどがこうであるなら楽しいなと思...続きを読む
  • ラウィーニア
    下敷きの「アエネーイス」全然知らなくても楽しめるのか?と言えばYesなのだけど(生き生きした登場人物に引き込まれ、面白かった)、でも知っていたらもっと面白いのだろうな、とずっと感じさせられてしまう。世界史、古代イタリアに興味のない、SF作家ル=グウィンから入った自分にすら、「アエネーイス」に興味を持...続きを読む
  • 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ
    ル=グウィン晩年のエッセイ集。自分と家族の生活、信頼を寄せる友人、読者からの手紙、そして猫のこと。80代の生活は、最後まで充実していたのだなぁ。
  • 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ
    知らない書籍への注釈が多く難しい言葉も多く読み辛い感がした。猫の話のほかは殆ど理解できない。
    レベルが高すぎてついて行けない感。
  • 暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ
     巨匠(SFの、いや米文学の)に対して失礼かもしれないが、あまり面白くないんです。「エッセイ」とありますが、ブログをまとめたものです。ただ、80歳を過ぎてからブログを始めたのですから、それ自体はスゴイなと。
     普通のお婆さんのブログだと思って読む。すると不思議なことに、ふんふんと頭に入ってくる。やは...続きを読む
  • ギフト 西のはての年代記I
    西のはての年代記Ⅰ~北の高地のブランターに伝わっている不思議な能力はギフトと云うが,低地の人々は魔法使いだと思っている。カスプロ家に父から息子に伝わるギフトは「もどし」だ。父カノックはこのギフトで低地から妻であるメルを得て,オノックが生まれたが,オノックにはギフトの兆しが見られない。父との訓練,母と...続きを読む
  • パワー 上 西のはての年代記III
    西のはての年代記Ⅲの上巻~ガヴは西のはての都市国家群のひとつであるエトラのアルカ家の少年奴隷だが,幸せなことに姉がいて面倒を見てくれエヴェラ先生から目を掛けられ次の教師としての教育を受けている。そして,これから起こることを思い出す特別な力がある。思い出したのは,緑の幟を立てた兵士がエトラの町を荒らし...続きを読む