穂高明のレビュー一覧
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「お寿司屋の父親と違って、握れないから『おにぎり』よりも『おむすび』の方がいいかな」という父親の言葉でお店の名前が決まった「むすびや」。就活に全敗して、むすびやではたらくことになった息子の結と周囲の人たちの物語でした。
この「むすびや」のおむすびがとてもおいしそうでした。炊きたてのごはん、手作りの具材、そして海苔を使い、しかも握りたてを食べられるなんて、とても贅沢。おにぎり2個と漬け物、みそ汁付きのむすびやセットを食べたくなりました。今はお米が気軽に買えなくなったから、余計にそう思ったのかもしれません。
お店で働いていくうちに徐々に前向きになり、自分の名前に誇りを持った結のこれからが楽しみ -
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震災が絡む小説は読まないようにしてきた。被災地の外からの、自己満足とか押し付け感満載の「絆」とか音楽の力で元気にするみたいな胡散臭さが嫌いだし、逆に、被災した側からの「どうせわかりっこない」「所詮他人事でしょう」的な言われようにも抵抗があるから。
だからこの作品を読みながら終始モヤモヤしていた。何かをしようとしても、逆に何もしなくても彼らは被災してない外側にいるの私たちを冷めた目で断罪するのだと思うと、もう何もできないし、何をすることも思うことも許されないのだなと思う。
そうやって他人を切り捨てて、内にこもって、自分を責めて、そんな姿ばかり描かれても、経験していない人間の想像力は現実に遥か -
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就職活動で全敗し、家業のおむすび屋を手伝うことになった結。
実家の商売に子供の頃からコンプレックスを抱いてきた結だが、 おむすびに実直に向き合う両親の姿を目の当たりにし、徐々に気持ちが変わってゆく。
亡き祖母が「結」という名前に込めたある想いも、前途を温かく照らしだす――。
一人の青年の新たな出発を描いた成長物語。
実家のおむすびやを手伝うことになった男の子。最初はやる気が感じられず、しぶしぶ…という感じだったけれど、だんだん前向きに仕事に向き合うようになっていく。結の周りの人たちが語り手になる回もあり、みんな仕事のことで色々悩みながらも、がんばっている。そして、温かさを求めておむすび -
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『これからの誕生日』が良かったので、こちらも読んでみた。
就職活動をしたものの全敗だった結(ゆい)。
幼いころは女の子のような名前に悩んだこともあった。
不本意ながら、両親が営むおむすびやさんを手伝うことになる。
家業がおむすびやさんであることを嫌っていた結だったが、お店を手伝うようになり、少しずつ成長していく。
連作短編集。
あたりまえにある幸せにはなかなか気づけない。
たくさんの人に支えられていることにもなかなか気づけない。
そのことに少し気持ちが動き始めたら、人は人に優しくなれる。
ほっかほかのおむすびとあったかいお味噌汁が食べたくなる。
そんな一冊。 -
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昔ながらの商店街のおむすび屋。
就職活動に失敗してどこからも内定が出なかった
主人公の結(ゆい)がなんとなく家業の手伝いを
するうちにすこしづつ成長していくお話。
とにかく出てくるおむすびが美味しそうだ。
中に入っている具材(梅、鮭、きゃらぶき等)を
題材に商店街の人や幼馴染をうまく絡めながら
結の平凡な毎日、と言ってしまえば面白くも
なんともない感じになってしまうが
まぁ、あまり起伏のない展開ではあった。
続編出そうな感じかな。
酒屋の娘や中学の時の先生とのからみ
もう少しその後が見てみたいなーと思った。
でも、やっぱり就活失敗しても家業を継げる身って
羨ましいけどなー。
そう思われるこ -
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就活に失敗して実家のおむすび屋を手伝うことになった結(ゆい)。祖父の代は寿司屋で、父はあとを継がずにサラリーマンに。ところが祖父が亡くなった折り、寿司屋の女将として生きてきた祖母が「寿司は握れないけど飯は炊ける」とおいおい泣く。そんな祖母の側についたのが嫁に当たる母で、父はやむなくおむすび屋に。男なのに女のような「結」という名は、祖母が付けてくれた名前。
おむすび屋が入る商店街の面々を主人公に、各章タイトルはおむすびの具材の名前。イートインもできるおむすび屋のおむすびは、温かいうちも冷めてからも美味しい。おかかの鰹節を結が削り、鮭フレークももちろん手作り。付け合わせの漬け物のための糠床も。八