【感想・ネタバレ】これからの誕生日のレビュー

あらすじ

千春はバス事故で友人や教師を失い、一人生き残った罪悪感に打ちのめされる。そんな千春を取り巻く弟、伯母、担任教師、亡くなった友人の母親、新聞記者、ケーキ店店主という6人の視点で、人間が新たな一歩を踏み出してゆくまでの道のりを丹念に見つめる。明日を生きるための強さを優しく描きだした連作短編集。

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Posted by ブクログ

穂高 明さん、初読み。宮城県出身とのことで、馴染みのある地名が出てる。
残された者の苦しみ、周りの見守り、嫉妬、何気ない言葉の暴力。主人公千春の視点はないものの、どうして良いか悩みながらも支える人間の視点から感じ取れる。
生き残った自分、その人にしか分からない。でも、助けになるのは周り。そこで考え、言葉にして伝えることで喪失からの再生に繋がる。

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2024年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

辛いけれどページをめくる手がとまらなかったです。

バス事故でじぶんだけが生き残ってしまった主人公とその周りで生きている人々の視点から描かれた作品。

それぞれの気持ちが丁寧に描かれているからこそ上手く伝わらない部分にモヤモヤしたり悔しくなったりしました。


ゆっくり時間をかけて生きていく。

るい兆しが見えたラストで救われました。

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2024年04月25日

Posted by ブクログ

読みながら悲しみの涙が溢れ、読後には嬉し涙が溢れる傑作。穂高明の三作目の連作短編小説である。

鳴子で起きた車の事故で、学校の友人や教師が亡くなる中、ひとりだけ助かった橋本千春の苦悩の日々…千春の周りの弟、亡くなった友人の母親、新聞記者、伯母、洋菓子店の店主の視点で物語は描かれる。それぞれの視点で展開される物語は、全て千春の苦悩へとつながっていく。

この作品は、文庫化される前、東日本大震災の数ヶ月後に単行本で読んでいるのだが、あの時の感動をもう一度味わいたくて、再び読んでみた。解っていながらも涙がこぼれた…

東日本大震災の後、『月のうた』を読み、痛んでいた心が癒され、当時、絶版だった『かなりや』も手に入れ、その心暖まる物語に感動し、『これからの誕生日』と続けざまに読んだ記憶がある。

殺伐とした現代にこれほど心が洗われるような作品を描ける作家はなかなか居ないと思う。

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2014年03月20日

Posted by ブクログ

「月のうた」「かなりや」に続き。
とても久しぶりの穂高さんの作品読みました。
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バス事故で、
たった一人助かった少女。
人知れぬ心の痛みを抱えて生きる、
その先に――

彼女が成長して大人になった時、
悲しを享受して
素敵に笑う姿を想像してみる。
るように想像してみる。
小泉今日子さん推薦!
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2011年に刊行された作品なんですね。
忘れもしない東日本大震災のなか、
このテーマは当時の私では読めなかったかもです。
なので、このタイミングで出会えたことに感謝。

バス事故で唯一の生き残りの千春は引きこもり不登校に。
千春本人の視点ではなく、
弟、伯母、担任教師、亡くなった友人の母親、新聞記者、ケーキ店の店主と、周囲の視点で物語は進みます。

それぞれ事情があって、
それぞれ見せたい顔があって、
優しい気持ちもあって、
でも綺麗な感情だけではない。
悲劇、かわいそうだけでは終わらない。
ひとつひとつ連続短編のようになっていますが、
各話の終わり方は完全に決着をつけるようなものではなくて。
特に、伯母と新聞記者の章は好きでした。
出来事はひとつでも、見える景色や感情は違ってて。
人間らしいけれど、
できれば隠したいところを見せて、
完璧じゃないし、ままならないけれど、
それでも時は進んでいく。

千春の未来が明るいものでありますように。
そして、周囲の人たちの人生が温かいものでありますように。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

「サバイバーズギルド」になってしまった千春。

辛いのはいつの時代もいる、関係ない人達からの批判の無責任な書込み。

本人の辛さはもちろん、千春の母の、どう対処していくかわからなくなっている感じや、担任だった先生が、千春のためには何かしてあげたいと思いながらも本音の感情も出てきてきまったり、その揺れ動く感じが書かれている。

自分が、本人だつたら、母だったら、遺族の家族たったら…。

マスコミはこういう時、煩わしいものでしかないと思っていたが、新聞記者、小泉の書き方で、いかようにもなるんだなぁと思った。

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2023年08月26日

Posted by ブクログ

自分だけが生き残ってしまった生還者の罪悪感を「サバイバーズ・ギルド」と言うのですね。事故の唯一の生存者である千春は助かった命に前向きに向き合う事が出来ず、笑うことも生きることにも罪悪感を感じ心を閉ざしてしまう。千春を取り巻く人達の心の機微が丁寧に書かれており、最後は前向きに進もうとする明るい未来が見えて、生きる事への前進に喜びを感じる。じっくり沁みる1冊でした。

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2020年05月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

穂高さんの本は初めて。
読んでみたいと思っていた作家さんのひとり。

高校生の千春。
バスの事故で友人、教師が犠牲になる中、たった一人助かった。
罪悪感にさいなまれる千春。
千春を支えたい家族、担任教師。
亡くなった友人たちの家族の千春への思い。
この事故を取材する新聞記者。

苦しい現実。
伝わらない思い。
でも、前に進むしかない。
時間はかかっても…

良い本でした。
他の本も読んでみよう。

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2018年06月27日

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内容(「BOOK」データベースより)
どうして私だけ生き残ってしまったの。たったひとり、少女はバス事故で助かった。深い心の痛みを抱えて過ごす日々の先に―。とりまく人々の心模様を絡めて描いた、優しい強さが沁みわたる「再出発」の物語。

事故で生き残った人はどうやってその後の生活に戻って行けるのだろうと考えさせられる本です。日航機墜落で生き残った方達も、励ましの言葉も呪いの言葉に思えたでしょう。今のようにネットでなんでも発信できる今、一般の人の心ない一言のダメージは計り知れない物があります。
この本はそんな人間の二面性、強さと優しさ、それを上回るどす黒さがなんともやりきれない。しかもみんな悪気無いんですね、へたすると裏サイトに書きこんでいる生徒ですら正義気取りなのですから。でもこれ日常的に現実あることなんでしょうね・・・。

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2017年05月04日

Posted by ブクログ

痛くて苦いんだけれど、読み進めてしまう。
優しく、少しだけ光が差す。
人生そういうものかもしれない。

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2014年07月20日

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どうして私だけ生き残ってしまったの.バス事故で友人たちと教師を失った千春.一人だけ生き残った罪悪感と謂われない誹謗に苛なまれていく.本人,弟,伯母,担任教師,新聞記者,隣人と様々な視点で描かれる心の叫び.重たいテーマではあるが,優しい気持ちにさせてくれる連作短編.素敵な一冊でした.おススメします.

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2014年04月27日

Posted by ブクログ

演劇部の合宿に向かったある日、千春の乗っていたワゴン車が東京の高校バレー部員を乗せたバスと衝突した。
車が崖を落ちるほどの大事故で、助かったのは千春1人だった。
そこから、千春の孤独な日々が始まる。
「どうして私だけ助かったの…」
家族、担任教師、亡くなった同級生の親たち、新聞記者、町のケーキ屋の店主…千春を取り巻く人達からの視点で語られる、それからの日々。
人の気持ちに寄り添うことの難しさを改めて感じる作品。

2019.11.27

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2019年11月28日

Posted by ブクログ

気持ちが沈む作品でした!
高校の演劇部に所属し、元気に過ごしていた千春さんは、バスの事故で顧問の先生と部活の仲間を全員亡くし一人生き残る。千春さんは生き残ってしまったことに罪悪感をだき、1人で苦しむ。

寄り添おうとする弟の存在が助けです。
励ましの言葉の無力さも感じます

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2016年03月13日

Posted by ブクログ

2014/08/05
人にはそれぞれの立場があって、決してきれいごとだけでは生きていけない。
辛い時は憎むべきではない人を憎んだりして、そんな自分がまた嫌になったりするんだよなぁ。
最後の登場人物達の気持ちの変化が少し唐突に感じたのが残念。

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2014年08月05日

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