加藤政洋のレビュー一覧
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自由に生きるための知性
これはいってしまえば=教養なのかなと思った
第一部が特に心に残った
教養を学ぶ意義
教養と社会の関係について整理できた
いま、教養が大事だと改めていわれている理由
→教養から専門知に傾いて
専門家と一般人のコミュニケーション
が上手くいかず、さらには
非対称な垂直な関係になり
専門家と一般人の間の信頼が崩れた
→終身雇用制度が崩壊しており
学び続ける力が必要になってきている
=エンプロイアビリティ
一方で、教養・リベラルアーツとは、
それがある人とない人を隔てる垣根であり
いま社会から求められている教養との間に
ジレンマが -
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大阪市に立地する空間の地理学。著者が「約十年間に大阪の街々を歩きながら感じたこと、考えたことをもとにして、現代都市としての大阪を特徴づける<場所>と<空間>について、およそ明治期以降の歴史性をふまえて叙述する」本。書の前半は主としてキタ、後半は主としてミナミを語るが、著者の思い入れはミナミにあるせいか、後半のほうが面白かった。とくに、第5章「ミナミの深層空間ーー見えない系をたどる」は、50頁もの分量を割きながら、阿倍野と千日前、飛田新地と釜ヶ崎、黒門市場を結ぶ三角帯の歴史地理学的意義を大いに語る秀逸な章だといえる。「東京もん」からすると、なじみの薄い大阪の地名が時折見られる。たとえば、でんで
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京都の麺、丼ものといった食堂文化を語った本。昔、京都の大学に通っていたころ、学食でたぬきうどんなるものを見つけてはじめて京都のあんかけ文化に遭遇し、驚いたことを思い出した。その時は、あまりおいしいとは思わなかったが、歳を取っていくと、なぜかむしろ出汁の効いたあんかけが乗っている京うどんが恋しくなるから不思議である。
本書の内容は、以下の通り。
第1章 上方〈麺〉問答 -諸説覚書
第2章 〈しっぽくの美学〉
第3章 なにを「とじる」か
第4章 食堂と町中華の不思議
以上で出てくるメニューも、たぬきうどん、あんかけ、けいらん、しっぽくうどん、衣笠丼、木の葉丼、中華そば、黄そばなど食 -
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敗戦後、占領軍から「一般の婦女子をまもるために防波堤を築く」べく組織されたRAA(特殊慰安施設協会)の話は有名。半年あまりでRAAは閉鎖されるものの、その後の赤線の誕生に大きく寄与したことは間違いない。
しかし、だ。戦後の性風俗、とりわけ赤線に象徴されるような売春街の成り立ちを、占領軍との関わりの所産としてのみ捉えることは一面的でしかない。著者は、明治以降の西南の役、日清・日露戦争期を経て遊郭が「発展の道」を辿ってきたことに触れ、戦前からの連続性を指摘する。戦時中から設置されていた産業戦士慰安所などの経験が土壌となって、しっかりと占領下においても引き継がれていったというわけだ。
戦前戦時の流 -
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[ 内容 ]
占領下で成立した赤線。
けれどもその要因は、はたして「占領下」という特異な状況だけだったのだろうか。
旧遊郭との関わりの有無を含め、赤線の起源、ならびにその成立事情を、あらためて考える。
[ 目次 ]
第1章 赤線の誕生
第2章 カフェー街としての赤線
第3章 特飲街成立のミッシングリンク―東京の事例から
第4章 駅に近接する個室付浴場街―金津園(岐阜市)の来し方をたどって
第5章 赤線ではなく青線、それが問題だ―国際園(岐阜市)の移転問題
第6章 京花街の周辺文化―雇仲居と席貸(戦後編)
第7章 戦後那覇の都市建設と「歓楽街」の設置問題
[ POP ]
[ おすすめ度 -
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“赤線”といってピンと来る世代ではない。青線とか二業地・三業地との違いもよく知らないでいたが、この本のおかげでやっと知識を得ることができた。といっても営業形態の違いなどを知りたかったわけではない。敗戦後、米軍統治下で、なぜそういった売春地帯域が公に存続できたのか、長年の疑問がある程度解けたのである。
一般に、遊郭が最も衰微した時期は戦中であったとされる。享楽産業にたいする規制や、戦時増産体制のための建物供出、従業員の勤労動員などを命じられ事実上営業が不可能になったという。だが本書によれば、その一方で、軍人、工場労働者慰安という目的で残された“部分”があった。そしてそれこそが戦後の公設売春地帯