綺月陣のレビュー一覧
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龍一郎と暮らし始めても、相変わらずカフェとホストのバイトを続ける竜城。そこには竜城なりの男としての矜持や、自分は893ではなく一般人なのだという一線を画したい気持ちが見え隠れしています。
極道の嫁として、まだどこかふんぎりがついていない竜城です。
カフェをクビになったことで、龍一郎にあたりちらしちゃったりしています。
竜城にとってみれば、愛した男がたまたま極道だったわけで、相変わらず893は嫌いなまま。
それでも、二人の絡みシーンはどんどん濃厚になっています。新婚そのもの!横に寝てる颯太を起こしてしまい焦るシーンなんかはリアルでちょっと微笑ましかったりします。仲良くて幸せそうだなと。
ところが、竜城には極道の嫁として、避けては通れない厳しい試練の道が。一般常識では考えられないような事態に竜城は不安をつのらせます。
やっぱり、竜城は893というものを少し甘く見てましたね。
やわな心臓では、龍一郎についていくことはできません。
それに、一度その世界に足を踏み入れてしまったら、もう二度と元には戻れない恐ろしさもあります。
893らしい立ち回りや見せ場は少ないですが、ちょっとしたところに常識を逸脱したものを見せつけられ、どきっとさせられます。
救いは、竜城が男だというところです。見かけによらず強靭でしなやかな心の持ち主。
龍一郎の生い立ちを知ったのが、決め手ですね。龍一郎も悲惨な状況から893に救われ、そこに自分の居場所をもらったという深い恩義を感じているのです。
竜城もまた、自分の居場所をもらい、その上深く愛されています。
そして大事な颯太の幸せを考えれば、もう結論はただ一つなんですよね。
竜城は自分も極道の世界にいることを認め、龍一郎の嫁として姐さんとして、覚悟を決めようとします。すごい葛藤があっただろうなと思わせるところがよかったです。
エロ的にもハードで濃厚。次郎は、龍一郎がツンツン姫の竜城に振り回されているのが気に入らなかったんじゃないかな。竜城の気持ちを疑っていたように思います。でも、「龍の宝玉」で二人のラブっぷりに本気だということを納得したみたいですね。竜城には迷惑で非道なHだけど、ものすごく893っぽくて萌えました。
あとがきまんがで颯太の小悪魔にキュンキュンきました。 -
Posted by ブクログ
兄弟モノ・主従モノ・世間知らずのイノセンス開発モノ・3Pのどれか萌えポイントが当てはまれば、それら全部網羅されているのに「過剰」な「盛り込み」感がないのは凄い。しかも笑いツボも刺激されると言う…世間知らずで孤城に籠りっきりのお坊ちゃん・聖也の、見るもの全て新鮮で新しい、ってあの下りで、思いっきり笑っちゃった。井の中の蛙が外界へ出た時の描写が秀逸だった。盛り込み過ぎに感じないのは、一重に、弟の賢司のキャラ付けが突飛なようでそうじゃないからじゃないだろうか。悠介:杉田、賢司:鳥さん、聖也:しんちゃんしか浮かばなかった(笑)。とにもかくにもお坊ちゃん・聖也がナイス過ぎる。とてもよく出来た、凌辱とかプレイちっくな要素皆無の希有な3Pだった。
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満員電車の中、片手で自分の体を支えてくれた精悍な面立ちの大人の男に憧れて、とか、一見物凄くBLファンタジー設定の王道のように思うのだが、主人公の薫がトラウマを抱えていながらそれに立ち向かおうといつも笑みを浮かべている様や、自分を堕落させた男との心理戦、そう言う「心の中の動きや計算」部分が緻密に書かれていると思う。どん底に在りながらも自己憐憫に浸りきって、その弱った姿を見せて同情を買うタイプではない薫が痛々しくて、それでいて実に人間臭く、いつの間にか物語に引き込まれるように一気に読んでしまった。ゾネの過去も、薫の過去も、BL作品内では予想の範疇内かもしれないが、作者の作風と言うものが「自己陶酔」に浸らない筆致で書かれている。ヒーローが最大のピンチに駆け付けるなどは、やはり王道なんだけども、その後の、病室のベッドの上でゾネの言葉と態度に「愛の形」を実感する薫の心理描写なども、作者の作風の言ったんだと思う。
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ネタバレBL界にはままある「もしも自分が女性だったら、攻は自分を好きになってくれるだろうか」という、受のセンチメンタルな語りが……。
まさかのまさか、本当に女にしちゃうお話は、BL界広しといえどそうそうない。
この一種狂気じみた受の、ねっとりねっちりとした攻への執着には、思わずぞっとするものがある。
自分の社会的地位や立場、性別に戸籍等々全てを捨ててでも、攻に振り向いて貰いたいという、悲しいまでの受の覚悟に胸が痛みました。
じゃ、どうしてそこまで?
という疑問が湧くわけですけれども、この攻がもうBL攻様としてはあり得ないくらいの鈍感男なんですよ……しかも完全にヘテロ。
そして女の身体になって攻の前あらわれた受に、攻はすんなりとその身体を受け入れてしまったものだから、心はちゃんと男性である受にはなんと辛かったことだろう……と胃がきりきりしてきます。
性同一性障害というわけではないだけに、余計に受にとってつらい。
BLと思って読むとちょっときついと思うんですが、真っ向から性差に切り込んでく姿勢に感嘆します。これがデビュー作ってすごすぎ。 -
Posted by ブクログ
BLとしてはかなり硬派。重いです。巷でもマスコミを騒がせる麻薬がらみの話なので、当然といえば当然ですが、ヘビーな内容です。
ですが、薫登場のシーンは明るくて、微塵の不安も感じ取ることはできない仕掛けになってます。就活する薫が満員電車で運命の出会いをする場面は、とても印象的。憧れの職業と、憧れの先輩大曽根への思慕が、淡々と描かれていて、時折挟まれる暗澹とした心理風景がもの凄く暗くて、どす黒くて、そのギャップに衝撃を受けます。
下手に頭が良いだけ、ほんとどうしようもない井原は、薫の暗黒過去の元凶なんですが、この二人の救いようのない関係が話の殆どを占めています。壮絶だし、リアルに迫るものがあるし、正直読んでいて心が折れそうになりました。
でも、読み通してよかったと思います。
人生をあきらめて、従順になって、それでも尚そこから這い出して「マトリ」という職業を薫はなぜ選んだのか、そして命にかえて何を守ろうとしたのか、ぜひ一読して薫の心理を追求してみて下さい。
伏線の張りかたがとてもよかった。ま、細かいツッコミどころはいろいろあるけど、カフスとイチゴミルクは印象的で使えていましたね。
あと、ストーリーの流れで凌辱シーンがてんこ盛りで読む人を選びそうですが、これがないと大曽根の気持ちとか、薫の決断とかが浮き彫りにならないので無駄なシーンではないと思います。それに、それほど痛くないかも。薫に強さがあります。で、適度に濃いエロさもあるので。
タイトルの「祈り」もぴったりだったと思います。祈りが通じたのか通じなかったのか、そのあたりも見所です。 -
Posted by ブクログ
とりあえず室岡さんが超イイ人です(笑)これは至が顔をメイクで隠すという「トラウマ」的あらすじに惹かれて買ったのですが、その設定もしっかりしていたし、フォローもちゃんとされていました。挿絵も綺麗だったし。まぁ、欲を言えばセックスシーンはもう少し少なくていいよ、ってくらいか。(別に特別多くもないですよ)至が本当に自己中っ子ちゃんというか、駄目っ子ちゃんな辺りがイライラさせられて星1つ減らしましたがそれって物語に引き込まれて同調してるからなんだろうな…ということで減点する理由じゃないんだけど、なんとなく(苦笑)
室岡さんは誠実だしイイ人、でも叱るときは叱る。そんな大人の男っぽさにキュンです。