綺月陣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
満員電車の中、片手で自分の体を支えてくれた精悍な面立ちの大人の男に憧れて、とか、一見物凄くBLファンタジー設定の王道のように思うのだが、主人公の薫がトラウマを抱えていながらそれに立ち向かおうといつも笑みを浮かべている様や、自分を堕落させた男との心理戦、そう言う「心の中の動きや計算」部分が緻密に書かれていると思う。どん底に在りながらも自己憐憫に浸りきって、その弱った姿を見せて同情を買うタイプではない薫が痛々しくて、それでいて実に人間臭く、いつの間にか物語に引き込まれるように一気に読んでしまった。ゾネの過去も、薫の過去も、BL作品内では予想の範疇内かもしれないが、作者の作風と言うものが「自己陶酔」
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Posted by ブクログ
ネタバレBL界にはままある「もしも自分が女性だったら、攻は自分を好きになってくれるだろうか」という、受のセンチメンタルな語りが……。
まさかのまさか、本当に女にしちゃうお話は、BL界広しといえどそうそうない。
この一種狂気じみた受の、ねっとりねっちりとした攻への執着には、思わずぞっとするものがある。
自分の社会的地位や立場、性別に戸籍等々全てを捨ててでも、攻に振り向いて貰いたいという、悲しいまでの受の覚悟に胸が痛みました。
じゃ、どうしてそこまで?
という疑問が湧くわけですけれども、この攻がもうBL攻様としてはあり得ないくらいの鈍感男なんですよ……しかも完全にヘテロ。
そして女の身体になって攻の前 -
Posted by ブクログ
BLとしてはかなり硬派。重いです。巷でもマスコミを騒がせる麻薬がらみの話なので、当然といえば当然ですが、ヘビーな内容です。
ですが、薫登場のシーンは明るくて、微塵の不安も感じ取ることはできない仕掛けになってます。就活する薫が満員電車で運命の出会いをする場面は、とても印象的。憧れの職業と、憧れの先輩大曽根への思慕が、淡々と描かれていて、時折挟まれる暗澹とした心理風景がもの凄く暗くて、どす黒くて、そのギャップに衝撃を受けます。
下手に頭が良いだけ、ほんとどうしようもない井原は、薫の暗黒過去の元凶なんですが、この二人の救いようのない関係が話の殆どを占めています。壮絶だし、リアルに迫るものがあるし、 -
Posted by ブクログ
とりあえず室岡さんが超イイ人です(笑)これは至が顔をメイクで隠すという「トラウマ」的あらすじに惹かれて買ったのですが、その設定もしっかりしていたし、フォローもちゃんとされていました。挿絵も綺麗だったし。まぁ、欲を言えばセックスシーンはもう少し少なくていいよ、ってくらいか。(別に特別多くもないですよ)至が本当に自己中っ子ちゃんというか、駄目っ子ちゃんな辺りがイライラさせられて星1つ減らしましたがそれって物語に引き込まれて同調してるからなんだろうな…ということで減点する理由じゃないんだけど、なんとなく(苦笑)
室岡さんは誠実だしイイ人、でも叱るときは叱る。そんな大人の男っぽさにキュンです。