慟哭の物語でした。近年、こういった「同性愛」を真っ向から禁忌な題材として扱ってる作品少ないので、新装版ではあるけど、たいへん貴重なJUNE系。
イラストも往年のJUNEぽく、いかにもな感じでベストマッチです。表紙がすばらしい。
圭介への報われない愛に絶望した彰は、生まれ変わることで愛されようと人生
...続きを読むの全てを懸けます。そしてそれは、神の領域をも侵す罪を繰り返す発端に。
彰や安藤たちが優秀な外科医でなければ、そんな発想はなかったはず。彰は自殺して終了するしかなかったでしょうね。
ここで大切なのは彰が性同一障害とは違うところ。愛されるための手段として変身します。自己意識では男だと認めているし、圭介に男としての自分を愛してもらいたかったと思ってます。そこが愚かで哀れ。悲しい男心がひしひしと伝わってきます。
それにしてもほんとに圭介は鈍すぎです。全てに鈍。頭がよくて優しくて真面目な男はこんなもん?まあ、そこに彰は惚れたんだから仕方ないけど。
確かに常識的で仕事一筋の男なら、それが心からの厚い友情だと思うのが当然かな。男同士で愛し合うなんて無理!と決め込んでる一般的でまっとうなタイプ。
安藤のフォローがなかったら、圭介は彰への気持ちをこの先もずーっと真面目に「友情」だと決め込んでた気がします。
圭介がもうひとつダメダメなのは、優秀な医者ならHの時点で事実にちゃんと気がつけよってところ。
やっぱり、鈍過ぎる。彰の選択した悲しい方法でしか圭介は目覚めなかったかも…
圭介のことを一生懸命全身全霊をかけて愛している彰が、健気でかわいくて胸がしめつけられます。そして、彰を優しく愛して受けとめた圭介に安堵。褒めてあげたい。
話の中でいい味出してる安藤ですが、彼が手を貸してしまったさらなる罪は、エリート黒崎の狂気めいた計画です。
正直ドン引いた。生々しい描写がリアルすぎて、それが寂寞とした黒崎のエゴをいっそう浮き彫りにしてます。神をも恐れぬ尊大な考えが、実は愛情の暴走だとしたら悲しすぎます…
安藤や和巳の明るい性格にとても救われました。
Hシーンも生々しく夢やロマンからは遠い感じではあるけど、かなり煽られてしまった。濃厚です。