羽根由のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本当に読み応えがあった。
実在の事件をモチーフにした圧倒的迫力のクライムノベルの下巻。
あとがきを読んで、あらためてこの強盗事件を起こした3兄弟(実際の事件を起こしたのは4兄弟で、そのうちの犯行に加わらなかった一人が本書の著者・ステファン・トゥンベリ)の視点や心情がリアルに描かれていることに驚愕した。それほどまで、犯人グループの心情に寄り添ってこの事件が描かれているのだ。
次々と成功する銀行強盗、犯人グループに翻弄されまくる警察。
もはやこの『軍人ギャング』と名付けられた犯行グループの犯行を誰も止めることはできないのか。
しかし、どんなに完璧な犯行も、回数を重ねていくごとに、不安が募り、グループ内での関係に変化が生じてくる。
これまでは完璧なリーダーとして君臨していた長男のレオに対して、弟たちは違和感を覚えていく。
「暴力に支配されてしまった兄」
これこそ弟達が感じてしまった違和感だ。
どんなことであっても、物事は『中毒』になり得る。
『銀行強盗中毒』になってしまった兄レオは、さらに大きな銀行、さらに高額な金額を求めて強盗計画を作って行く。
そして、犯行に破綻がやってくる。そう破綻はいつも内部から始まるのだ。
三兄弟の心情が『現在』と父親達から虐待を受けていた『過去』の二つに分けられ交互に描写され、読者は三兄弟の心情に深く深くのめり込んでいく。
重厚な物語の結末は、驚くべきずさんな犯行により幕を閉じる。
読者の誰もが「そんな計画で、そんなメンバーでは成功するはずがない」と分かっているのだが、レオは突き進んでいく。
本書を読み終わった後、長い沈黙が僕の胸に訪れた。
圧倒的な暴力は人の人格を変える。
それは子供のころから育まれる。
人生とは、もう既に始まった時から終わり方は決まっているのかもしれない・・・。 -
Posted by ブクログ
スウェーデン・ストックホルム市を舞台にしたクライムノベル。実在の事件をモチーフにした小説ということで非常に期待して読んだ。
さすが北欧ミステリーの傑作だ。面白い。
超暴力的な父親から虐待を受けていた3人、レオ、フェリックス、ヴィンセントの兄弟が主人公。
三兄弟とその幼なじみのヤスペルとの4人組がスウェーデン史上、類を見ない強盗事件を次々と起こしていく。
彼らの用意周到な強盗に翻弄される警察。
レオ達は首尾良く犯行を成し遂げ、警察を出し抜けるのか。
それともストックホルム市警のブロンクス警部が彼らを追い詰めるのか。
手に汗握る攻防が繰り広げられる。
そして下巻へ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ過去と現在から語られる家族の物語
本筋は現代編の犯罪計画よりも過去編の親子の確執?葛藤?にぐいぐい。圧倒的に迷惑でしかない親父と三兄弟。しかしどうしようもなく親子なわけで。主人公は息子なのにどうしても迷惑な親父にシンパシー。セリフがかっちょいーから抜き出してPOPに。圧倒的な厚さのゲラの上に「頭の打ちどころが悪かった熊の話」の熊が。主人公レオも父親もそれぞれの「レディベア」を探していたのかもしれません。
犯罪計画を追う刑事が捜査の過程で父親の下へ行った際の描写「拳の関節のうち、人差し指と中指の付け根が陥没して平らになっている。頻繁に人を殴る人間の手だ。」に震えた
圧倒的ボリューム
抑圧的父権支配
父親は剥き出しの暴力で、妻を、息子を、家族を支配し、不器用に愛した。
少年は大人になり兄弟を護る為に銀行強盗を計画し暴力で夢を叶えようとする。
快調なクライムアクションの現在編と交差する息詰まる過去編がページの分厚さを感じさせない!
「これはな...熊のダンスだ。ちゃんとステップを踏んで、ちゃんとパンチを命中させれば、お前は熊にだって勝てる!」
弟たちにはわからない父親との愛憎渦巻く濃厚な関係。どうしても父親側の視点に寄りガチなのがもどかしい。父親に手を出したあの時のショックを受けた顔と今の寝たきりになった父親の顔も重ね合わせて古傷がグジグジする。
付箋の数だけ名シーンとセリフが押し寄せて鼻の奥をぶち抜かれて鉄の味がする!
圧倒的オススメです!
(※本編には熊は出てきませんw) -
Posted by ブクログ
題名:熊と踊れ (上・下)
原題:Bjorndansen (2014)
著者:アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ Anders Roslund & Stefan Thunberg
訳者:ヘレンハルメ美穂・羽根由
発行:ハヤカワ文庫HM 2016.9.15 初版 2016.11.26 4刷
価格:各¥1,800
『このミステリーが凄い』2016年の圧倒的一位を獲得した年、ぼくはこの作品を不覚にも未読で、翌年、これを読んで歯噛みしたものだった。どうみてもこれは圧倒的な作品だったからだ。分厚いだけではなく、スリルとアクションが親子・兄弟の人間ドラマと表裏一体となって驀進する大型重戦車の出来であったのだ。
山中にある謎の施設が実は軍の武器庫であったと知ったときから、ドゥヴニヤック家三兄弟の犯罪は始まる。武器庫襲撃、そして次々と間髪をおかずに、警察の包囲網を嘲笑うかのような手法による現金輸送車や金庫の襲撃が始まる。一度ではなく、同時に連続して何か所もという複数犯罪も一つの特徴である。
作戦参謀が天才なのである。長兄のレオ。そして以上は現在。彼らの犯罪のモチーフとは何であったのかを語るのが、過去。そう。本書は犯罪ファミリーの現在と、なぜ彼らがそうなったのかに至る家族の悲劇を描いているのだ。凄まじいほどのDV。壊され傷つけられる幼い人格。最早、望んでいた普通の家族生活に手に届かなくなった時に、犯罪モンスターとして世界に対峙する存在となってゆく彼らのドラマが生まれてゆく。
実はこの凄玉犯罪プロットは、スウェーデンをかつて震撼させた実際の事件を元にしている。この兄弟では描かれなかったもう一人の兄弟は実在している。アンデシュ・ルースルンドの共著者であるステファン・トゥンベリがその一人である。彼は父親による嵐のような家庭内暴力を実際に体験した一人なのだ。犯罪に手を染めてゆく兄弟に加わらなかった一人として本書の執筆に手を貸している。現実と創作の境界がどこにあるのかは、この本からはわからない。
しかし現実の凄みこそが、この作品のリアリティを圧倒的に高めているのは確かである。人はどうやって怪物的で天才的な犯罪者に育ってゆくのか? そしてその心のうちは? 兄弟たちの葛藤は? 父と母と彼らとそれぞれは運命の中でどのように愛や憎悪や赦しを交わし、あるいは離反してゆくのか? 様々な運命の矛盾は現実を土台にしか生まれ得ないと思われる。この小説の持つ行間に溢れる切迫感、スピード感は、そうした負のエネルギーを動的内燃機関経由で爆発させた結果生まれたものに違いない。
20年に一度の傑作がここにある。この本を契機にアンデシュ・ルースルンド関連の作品はすべて手に取るようになったが、どれも共通して言えるのが、現実に材を取った少なからず社会的小説と呼べるものばかりだ。本作品は二作構造となっており、昨年『兄弟の血 熊と踊れII』が邦訳された。そちらは現実をもとにした本書の、創作された続編であるが、セットでお読みいただくことを強くお勧めする。 -
Posted by ブクログ
題名:熊と踊れ (上・下)
原題:Bjorndansen (2014)
著者:アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ Anders Roslund & Stefan Thunberg
訳者:ヘレンハルメ美穂・羽根由
発行:ハヤカワ文庫HM 2016.9.15 初版 2016.11.26 4刷
価格:各¥1,800
『このミステリーが凄い』2016年の圧倒的一位を獲得した年、ぼくはこの作品を不覚にも未読で、翌年、これを読んで歯噛みしたものだった。どうみてもこれは圧倒的な作品だったからだ。分厚いだけではなく、スリルとアクションが親子・兄弟の人間ドラマと表裏一体となって驀進する大型重戦車の出来であったのだ。
山中にある謎の施設が実は軍の武器庫であったと知ったときから、ドゥヴニヤック家三兄弟の犯罪は始まる。武器庫襲撃、そして次々と間髪をおかずに、警察の包囲網を嘲笑うかのような手法による現金輸送車や金庫の襲撃が始まる。一度ではなく、同時に連続して何か所もという複数犯罪も一つの特徴である。
作戦参謀が天才なのである。長兄のレオ。そして以上は現在。彼らの犯罪のモチーフとは何であったのかを語るのが、過去。そう。本書は犯罪ファミリーの現在と、なぜ彼らがそうなったのかに至る家族の悲劇を描いているのだ。凄まじいほどのDV。壊され傷つけられる幼い人格。最早、望んでいた普通の家族生活に手に届かなくなった時に、犯罪モンスターとして世界に対峙する存在となってゆく彼らのドラマが生まれてゆく。
実はこの凄玉犯罪プロットは、スウェーデンをかつて震撼させた実際の事件を元にしている。この兄弟では描かれなかったもう一人の兄弟は実在している。アンデシュ・ルースルンドの共著者であるステファン・トゥンベリがその一人である。彼は父親による嵐のような家庭内暴力を実際に体験した一人なのだ。犯罪に手を染めてゆく兄弟に加わらなかった一人として本書の執筆に手を貸している。現実と創作の境界がどこにあるのかは、この本からはわからない。
しかし現実の凄みこそが、この作品のリアリティを圧倒的に高めているのは確かである。人はどうやって怪物的で天才的な犯罪者に育ってゆくのか? そしてその心のうちは? 兄弟たちの葛藤は? 父と母と彼らとそれぞれは運命の中でどのように愛や憎悪や赦しを交わし、あるいは離反してゆくのか? 様々な運命の矛盾は現実を土台にしか生まれ得ないと思われる。この小説の持つ行間に溢れる切迫感、スピード感は、そうした負のエネルギーを動的内燃機関経由で爆発させた結果生まれたものに違いない。
20年に一度の傑作がここにある。この本を契機にアンデシュ・ルースルンド関連の作品はすべて手に取るようになったが、どれも共通して言えるのが、現実に材を取った少なからず社会的小説と呼べるものばかりだ。本作品は二作構造となっており、昨年『兄弟の血 熊と踊れII』が邦訳された。そちらは現実をもとにした本書の、創作された続編であるが、セットでお読みいただくことを強くお勧めする。 -
Posted by ブクログ
NSAのネットワークに侵入したのはリスベットだった。
彼女はある目的のため、この犯罪組織を追っていたのだ。
犯罪組織のリーダーはサノスと呼ばれていた。
一方ミカエルは、セルネル社が『ミレニアム』編集部から彼を追い出そうとしていることを知るが、さらに衝撃の事件が発生する。
万全の警備システムを設置し、自閉症の息子と暮らすバルデルの家が襲撃されたのだ。
警察の捜査が開始され、リスベットと連絡を取ることに成功していたミカエルも独自に調査に乗り出す。
だが、今度はバルデルの息子に魔の手が伸びてきた。
全力で息子を護るミカエルとリスベット。
やがて一連の事件の背後に、リスベットの知られざる過去が大きく関わっていることが明らかになる。
そして、リスベットに犯罪組織の暗殺者たちが、さらにはNSAの追っ手が迫る! -
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雑誌『ミレニアム』を発行するミカエルたちの会社は経営危機に陥り、株式の30パーセントを大手メディア企業のセルネル社に売り渡していた。
ミカエルにも優れた記事がなく、時代遅れの記者との非難にさらされていた。
そんな彼のもとに、ある男から大スクープになるという情報が持ち込まれる。
人工知能研究の世界的権威であるバルデル教授が何か大きな問題を抱えているようなので、会ってほしいというのだ。
男の話からリスベットが関係していると確信したミカエルは、彼女に連絡を取ろうと試みる。
一方、アメリカのNSA(国家安全保障局)は、産業スパイ活動を行なう犯罪組織の関連会社からバルデルが革命的な研究成果を持ち出したため、彼の身に危険が迫っているとの情報を得る。
折しも、鉄壁の防御を誇るNSAのネットワークに何者かが侵入した!
ミレニアム続編!!おもしろすぎる!! -
購入済み
リスベット最強!
ミレニアムは小説1〜3、映画もドラゴン•タトゥーの女、スウェーデン版の3作全て観てきましたが、作家が変わり、エンターテイメント性が大いにアップしたように感じます。
リスベットのスーパー•ヒーロー(ヒロインではなく)振りも興奮度大です。
最近、マーク•グリーニー好きな私としては、最高に楽しめた作品でした。
映画化の際には、リスベットの人選に気を付けて欲しいですね。、 -
購入済み
また会えた!
夢中になって読んだ。人工知能、自閉症、どちらのテーマも元々興味をもっていたので、勿論面白かったけど、何よりリスベットが変わってない!また会えた!こんなに嬉しいことはない。
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Posted by ブクログ
ネタバレ下巻になっても物語は疾走することなく、一気にラストに流れ込んだ。
この作者がオリジナルの小説が初めて、と言うのは驚異。
もちろん、4作目のプロットがある程度出来ていたのは知っているが、それにしてもここまで完成度を高めるのは至難の業。単に上手くかけてるだけではなく、それぞれのキャラも今までの物語を踏襲したうえで発展させているし、過去キャラや過去のエピソードも散りばめられている。しかも過去の作品を読んでいる読者には楽しめ、そうでない読者も戸惑わない程度に、という絶妙のバランス。
敢えて難癖をつけるなら、登場人物が多すぎて戸惑う点?
本筋に全く関係ないキャラまでしっかり肉付けされていて、そこまで過剰に描写しなくても、という事くらいか?
これで一応解決は見たものの、リスベットの最強のライバルが登場した以上、この作品がヒットすればこの作者での続編もありうる。次こそは作者の実力が試されるわけだが、この作品で十二分にその実力は分かったので、是非次回作もこの作者で出してほしい。 -
購入済み
上下巻一気読みして
続編を期待していなっかったから、上下巻一気読みしました。作者は違っても充分面白かった。1、2、3巻は何度も読み、映画(DVD)ハリウッド版もスエーデン版の1、2、3作も何度も観ました。4巻もハリウッド版で映画化して欲しいです。ルーニー マーラーの一人二役観てみたい。
原作者の構想は10巻迄あったそうですね。続きが出れば読みますが、余韻を残しつつこの辺りで終わらせる方が僕は好きですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ3部作があまりにも良かったのに、作者ラーソン氏が急逝したため、もう読めないかと思っていたミレニアムシリーズ。別の作家が続編を書いたということで、楽しみに読んでみた。
結果、十分に面白いし、ミレニアムシリーズの魅力もしっかり引き継いでいると思えた、これなら、さらに続編があっても継続して追いかけようという気持になった。決着のついてないメインキャラもおるわけだし、先が楽しみである。
ただ、ラーソンが書こうとしていた続編とは違うだろうな、という印象は今否めない。
実際ラーソン原理主義者(笑)の本作批判は結構厳しいようだし。
ただ、原理主義者ってのはそういうもんで、ガンダムにせよ、ゴジラにせよ、スターウォーズにせよ「オリジナルの雰囲気をそこなった」って批判はどうしても避けられないもんなんだろうな。
個人的には、そんなん言うたって、ラーソン氏が亡くなっている以上、ない物ねだりしても時間と体力の無駄だと思うし、ここまでしっかりシリーズの意思を継ごうとする作者がいて、質の高い作品を提供してくれるなら、それを楽しめばいいのに、勿体ないなぁと思うのだが。