茨木のり子のレビュー一覧
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ネタバレ2024.9.26再読。
韓国語を勉強し始めた直後に一度読み、約1年経った頃に再読してみた。
レベルがあまり上達していないので抱く感想が変わったということはあまり起こらなかったが笑、感想を書いておく。
この本の出版は1989年。
当時はなぜハングルを勉強するのか不思議がられたという。また当時は漢字の使用がギリギリ残っていた時代らしく、日本の若者がハングルを学ぶ場合一番苦労するのは隣国式漢字読みかもしれない、と著者は述べている。
今はハングルを勉強する人は全く珍しくないし、漢字の読みを覚える必要もない(べた一面ハングルは極めて読みづらいとも述べられているが、本当にそうなってしまった)。この数十 -
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ネタバレ『詩のこころを読む』
茨木のり子さんの選んだ詩と解説&メッセージ。
まず、最初から私の大好きな詩。谷川俊太郎さんの「かなしみ」
学生の頃、「何かとんでもないおとし物」が気になった。歳を重ねた今でもその思いは変わらない。いやより一層大きくなっている。
恋の詩といえば、黒田三郎さんの「僕はまるでちがって」
恋は風景の彩りを変える。
「白い美しい蝶」をもたらした黒田三郎さんの妻はこの詩が公表されてプンプン怒っていたという。自分に対してだけのラブレターであってほしかったのでしょう。
黒田三郎さんの「夕方の三十分」も忘れられない。
子ども達と暗唱した詩の一つ。
父が「自分でしなさい 自分でェ」と -
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素晴らしい本でした。
私の中では石垣りんの「くらし」が白眉の一編でした。
詩のことはよくわからないからという理由であまり触れてこなかった。
けれどこの本の中にある詩に一つひとつ触れ、解説を読む。
少しだけわかったような気がする。詩にもう少し触れてみようかなと思う。
私は宇多田ヒカルの歌詞が好きなのだけれど、(特にFantome以降)彼女の詩のどの部分に惹かれているのか、言葉のチョイスなのか、その飛躍なのか、とか自分なりに理解出来るかもしれない。
音楽が好きなのでたくさんの詩に触れてきた、とも言えるのだ。
歌詞も詩だと仮定する。私の世界はこれから途方もなく広がる。
姪っ子柄中学生 -
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月の満ち欠けの周期に関係ありと言われてきた女の生理現象を、第一連第二連で触れ ています。男よりも、より自然に近い女のからだのリズム、そのようなリズムをくりか えしながら、心はどうあれ、からだは月々確実に待っているのです。第三連では、まる で古代の母系制社会のように、主体性は女の側にあり、堂々と健やかで、「遊ぶ」とい う言葉が、まるで新品のように洗い出され、輝いています。いつかやってくるだろう夫 と子供たち、ととれば未来のことになりますし、すでにいる夫や子供たちと思ってもか まわないでしょう。 女の生理現象、結合、生殖も、猥に語ろうとすればどこまでも卑猥にすることがで へんげん きるし -
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ネタバレ人生で最初に好きだと思って、今も一番好きな詩人はこの人。本当にありがたい。2006年に急逝されたとのことで、同じときに生きていたことに驚きと感謝。
これからも読み続けたい。読み続けなければならない気がする。
自分の感受性くらい
はもちろん、今回響いたものはこちら。
「ギラリと光るダイヤのような日」
世界に別れを告げる日に
ひとは一生をふりかえって
じぶんが本当に生きた日が
あまりにすくなかったことに驚くだろう
「怒るときと許すとき」
女がひとり 頬杖をついて
慣れない煙草をぷかぷかふかし
油断すればぽたぽた垂れる涙を
水道栓のようにきっちり締め
男を許すべきか怒るべきかについて
思いを -
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あまり読んだことも書いたこともなかった詩ですが、何となく惹かれて読んでみました。
茨木のり子さんが選んだ傑作ばかりが載っていて、どう読んだか、どこが良いのか、などをこれまた素晴らしい文章で教えてくれます。独特な漢字の使い方が、その言葉の意味を熟知して使っているんだなと感心させられることもありました。
読みどころを教えてもらうと、一層その詩が唯一無二の、とても力を持ったものに感じられて、読むのが面白くなってきます。
淡々と、情景描写や経験したことが書かれた後に、ふと最後の数行で、作者自身の中に入り込んでくる言葉があると、その詩は一気に飛翔して、作者の処から読み手の処へとやってきます -
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詩はわからないと思っている人におすすめ。
もちろん、詩が好きな人にも。
実は歌詞なんかで、
現代人も詩には触れているはず。
詩の一つ一つももちろん素敵なんだけど、
案内人である茨木のり子が本当に素晴らしいと思う。
茨木のり子が、恋の歌、人生の歌、労働の歌、老年の歌…さまざまな詩の世界に導いてくれる。
年代的には自分が生まれる前の本だったらしく、
奥付を見て驚いている。
それくらい古びない。
なんて綺麗な言葉だろう。
茨木のり子の美しい言葉で詩を紹介されるのだけど、
さすが詩人としかいえない着目点。
詩を読んでいたときに、なかなかその感覚やイメージって言葉にしにくい。
茨木のり子は比喩を -
Posted by ブクログ
ネタバレ1979年、著者が53歳くらいの頃に書かれた本書は、一切古さを感じさせない文章で「詩を読む楽しさ」を教えてくれる。
著者がそれまで出会ったお気に入りの詩を選りすぐり、ユーモアを交えながら卓越した考察力で読み解いていく。
「誕生」から「死」までの5段階で流れるように並べられているので、小説のように一気に読み進めてしまうところも魅力だ。
『はじめに』の冒頭3行で、全てが語られている。
「いい詩には、ひとの心を解き放ってくれる力があります。いい詩はまた、生きとし生けるものへの、いとおしみの感情を優しく誘いだしてもくれます。どこの国でも詩は、その国のことばの花々です。」
自分の気持ちを代弁してく