あらすじ
いい詩とは、ひとの心を解き放つ力をそなえているばかりか、生きとし生けるものへのいとおしみの感情をも誘いだしてくれます。詩人である著者が、その心を豊かにしてきた詩の宝箱の中から忘れがたい詩の数々を選びだし、情熱をこめて語ります。ことばの花々にふれてみなさんは、きっと詩の魅力にとらえられるでしょう。
感情タグBEST3
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詩の入門書としてまず読みたい。詩とは何かという問いに分かりやすく答えてくれるているような。例に出されている詩が本当に素晴らしく、何度でも読みたいし子供にも大人にもお薦めしたい。
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茨木のり子自身の詩は書かれていないものの、多くの詩人の詩を自分で解説したものである。したがって、詩の入門書としては最適であり、これらの詩で気に入ったら改めてその詩人の詩集を読むことができる。
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好きなバンドのボーカルがオススメしてたから読んだ
以下好きだった詩とか茨木さんの言葉とか
賭け(黒田三郎)
“馬鹿さ加減が ちょうど僕と同じ位で 貧乏でお天気屋で 強情で”
“毒舌を吐き散らす 唇の両側に深いえくぼ”
僕はまるでちがって(黒田三郎)
“ぼくはまるでちがってしまったのだ”
“それでもぼくはまるでちがってしまったのだ”
君はかわいいと(安水稔和)
を紹介したあとの茨木のり子の言葉
↓
言葉のヤツはくるしがって君のからだ中をかけめぐり憤然と死んじまうに違いない
葉月(阪田寛夫)
“おれはほんまにつらい あんまりつらいから 関西線にとびこんで死にたいわ”
“まるでろうやにほうりこまれて 電気ぱちんと消されたみたいや”
“そやけど むかしから 女に二時間待たされたからて 死んだ男がおるやろか それを思うとはずかしい”
練習問題(阪田寛夫)
全文
顔(松下育男)
“これらと 世の中 やってゆく 帰って 泣いた”
見えない季節(牟礼慶子)
“できるなら 日々のくらさを 土の中のくらさに
似せてはいけないでしょうか”
言葉(川崎洋)
全文
ちびへび(工藤直子)
“暖かいのだもの 散歩は したいよ”
てつがくのライオン(工藤直子)
全文
便所掃除(濱口國雄)
全文
住所とギョウザ(岩田宏)
を紹介したあとの茨木のり子の言葉
↓
はるかに心にぐさりと突き刺さる。それは作者が自分の恥の痛覚を隠していないからです。
愛(谷川俊太郎)
“いつまでも そんなにいつまでも むすばれているのだどこまでも”
一生おなじ歌を 歌い続けるのは(岸田衿子)
全文
くらし(石垣りん)
全文
茨木のり子の言葉
↓
浄化作用(カタルシス)を与えてくれるか、くれないか、そこが芸術か否かの分かれ目なのです。だから音楽でも美術でも演劇でも、私のきめ手はそれしかありません。
読んでよかったなー、と思った本だった
学校で詩を教えてくれるのは素晴らしいことなんだな
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詩人による、好きな詩とその検証
素敵な詩と、美しく優しく様々なものやことの本質を端的に示す解説
詩や詩人、表現や人生の在り方など、自分の興味を広げさせられる
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ひたひたと 沁みます。
思いがあふれるのに、うまく言葉にできない。
生きていたらそんな季節にぶつかってしまうことってありますよね。
「詩のこころを読む」 茨木のり子
そんな時、気がつけばまたこの本を読みかえしてしまいます。
若年者向けの詩の入門書という位置づけのアンソロジー。
子供の頃に読み、大人になって買いなおして今でも時折戻ってきてしまう本。
生きるじたばたを、優れた詩人たちが見事に言葉にすくい上げています。ゆっくりと胸を打つ、親しむべき作品の数々。
最近ふとまた読みかえしました。
私たち愚かだけど愛すべき「人」への、著者の温かい視線を感じました。
多感な子供時代にこの小さな宝箱のような本に出会えてよかったです。
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詩は難しい。詩を読む時の考え方の指南だったり、一緒に読んでくれる頼もしいパートナーだったり、茨木のり子さんとの楽しい読書時間を味わえる一冊。出てくる詩は難しいものも、なぜだか言葉が刺さって泣けてくるものも。そして茨木のり子さんが解説に選ぶ言葉の秀逸さ。なんて濃厚な一冊だろう。
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詩をどのように読むか、の話ではなく、特定の詩を茨木のり子がどう読んだか、についての話だった。彼女の鋭さと温かい感受性に包まれ、幸せな気分になった。良い本だった。
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『詩のこころを読む』
茨木のり子さんの選んだ詩と解説&メッセージ。
まず、最初から私の大好きな詩。谷川俊太郎さんの「かなしみ」
学生の頃、「何かとんでもないおとし物」が気になった。歳を重ねた今でもその思いは変わらない。いやより一層大きくなっている。
恋の詩といえば、黒田三郎さんの「僕はまるでちがって」
恋は風景の彩りを変える。
「白い美しい蝶」をもたらした黒田三郎さんの妻はこの詩が公表されてプンプン怒っていたという。自分に対してだけのラブレターであってほしかったのでしょう。
黒田三郎さんの「夕方の三十分」も忘れられない。
子ども達と暗唱した詩の一つ。
父が「自分でしなさい 自分でェ」と言うと
小さなユリが「ヨッパライ グズ ジジイ」とやり返す。
でも最後に訪れるのは「静かで美しい時間」
たまらなくいい!
茨木のり子さんは、法律によって、木挽町、紺屋町などの町名が変えられていったことを嘆いている。
これもとんでものない落とし物のひとつだろうか。
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素晴らしい本でした。
私の中では石垣りんの「くらし」が白眉の一編でした。
詩のことはよくわからないからという理由であまり触れてこなかった。
けれどこの本の中にある詩に一つひとつ触れ、解説を読む。
少しだけわかったような気がする。詩にもう少し触れてみようかなと思う。
私は宇多田ヒカルの歌詞が好きなのだけれど、(特にFantome以降)彼女の詩のどの部分に惹かれているのか、言葉のチョイスなのか、その飛躍なのか、とか自分なりに理解出来るかもしれない。
音楽が好きなのでたくさんの詩に触れてきた、とも言えるのだ。
歌詞も詩だと仮定する。私の世界はこれから途方もなく広がる。
姪っ子柄中学生になったら、高校生になったら渡してあげたい。読むか読まないかは本人にお任せするけれど。
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詩はてんで疎くよくわからないものが大半な私ですが、こちらの本で詩の読み方、視点や視座を教えてもらった気がする。
解釈を読んだあともう一度詩を読み返した時の、腑におちる感覚が心地よく、詩の苦手な私にはとても新鮮な体験ができました。
詩の捉え方はおそらく人それぞれだと思うけれど、今の私には最適な1冊だった。
楽しみ方がもうちょっと身に付いたら詩集なんかにも手を出したい。
ちなみに好きな詩も出来てホクホク♪
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月の満ち欠けの周期に関係ありと言われてきた女の生理現象を、第一連第二連で触れ ています。男よりも、より自然に近い女のからだのリズム、そのようなリズムをくりか えしながら、心はどうあれ、からだは月々確実に待っているのです。第三連では、まる で古代の母系制社会のように、主体性は女の側にあり、堂々と健やかで、「遊ぶ」とい う言葉が、まるで新品のように洗い出され、輝いています。いつかやってくるだろう夫 と子供たち、ととれば未来のことになりますし、すでにいる夫や子供たちと思ってもか まわないでしょう。 女の生理現象、結合、生殖も、猥に語ろうとすればどこまでも卑猥にすることがで へんげん きるし、この詩のように、どこまでも涼しく高い次元であらわすこともできる変幻きわ まりなさです。
詩は感情の領分に属していて、感情の奥底から発したものでなければ他人の心に達す ることはできません。どんなに上手にソツなく作られていても「死んでいる詩」という しかばね のがあって、無残な屍 をさらすのは、感情の耕しかたがたりず、生きた花を咲かせら れなかったためでしょう。
ときどき頭が痛くなったりするのも、弱い頭をそんなに酷使してもらっちゃ困るとい う、頭脳のストライキです。下痢するのは胃腸の、風邪ひくのはからだぜんたいのスト ライキ。からだに関しては一人ひとりがそれぞれの経営者であり、労働者でもあって、 歯車の一つが「もう厭!」と言えばちぐはぐになって、全体がダウンです。休めという ことで、その言いぶんを聞いてやらなくてはなりません。
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あまり読んだことも書いたこともなかった詩ですが、何となく惹かれて読んでみました。
茨木のり子さんが選んだ傑作ばかりが載っていて、どう読んだか、どこが良いのか、などをこれまた素晴らしい文章で教えてくれます。独特な漢字の使い方が、その言葉の意味を熟知して使っているんだなと感心させられることもありました。
読みどころを教えてもらうと、一層その詩が唯一無二の、とても力を持ったものに感じられて、読むのが面白くなってきます。
淡々と、情景描写や経験したことが書かれた後に、ふと最後の数行で、作者自身の中に入り込んでくる言葉があると、その詩は一気に飛翔して、作者の処から読み手の処へとやってきます。その瞬間、その詩がとても愛しく感じられるから不思議です。
メモしていなかったので、正確な言葉を覚えてないのですが、「人間として上等でなければ、良い詩が描けない」といったことを茨木さんが書いていました。確かに心打たれる詩を読んでいると、作者の人間性に惹かれ、私もこんな風に生きてみたいと思うことが何度もありました。
心に残った詩と、茨木さんの文章
※生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ(吉野弘)
※「その夜」から
私を横に寝かせて起こさない
重い病気が恋人のようだ。(石垣りん)
※自分の中に1人の一番厳しい教師を育てた時、教員はなれり、という気がします。
※浄化作用(カタルシス)を与えてくれるか、くれないか、そこが芸術か否かの分かれ目なのです。
この他、特に好きだった詩は、
石垣りんさんのものと、
新しい刃 安西均
助言 ラングストン・ヒューズ(木島 始訳)
などがありました。
詩が好きな人はもちろん楽しめますし、私のようにあまり触れてこなかった人は特に、詩を読む面白さを知ることができる、かなりの良書だと思います。この本に出会えて良かったです。
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茨木のり子さんの詩を見る度、ストレートかつ個人主義であるカッコ良さが伝わります。
そんな方が、大事になさった他の詩人の詩の解説
なんて贅沢な一冊なんだ。
特に、石垣りんさんの詩の選詩と解説は、感情が豊かになりました。
岩波ジュニア新書、あざす。
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詩はわからないと思っている人におすすめ。
もちろん、詩が好きな人にも。
実は歌詞なんかで、
現代人も詩には触れているはず。
詩の一つ一つももちろん素敵なんだけど、
案内人である茨木のり子が本当に素晴らしいと思う。
茨木のり子が、恋の歌、人生の歌、労働の歌、老年の歌…さまざまな詩の世界に導いてくれる。
年代的には自分が生まれる前の本だったらしく、
奥付を見て驚いている。
それくらい古びない。
なんて綺麗な言葉だろう。
茨木のり子の美しい言葉で詩を紹介されるのだけど、
さすが詩人としかいえない着目点。
詩を読んでいたときに、なかなかその感覚やイメージって言葉にしにくい。
茨木のり子は比喩を巧みにつかいながら、詩から受ける「何か」をすらすらと読者に伝えてくれる。
詩を読みながらときに男女の恋愛のイメージの違いについて考えたり、
ときに人生の寂しさについて考えたり…。
人間力が総合的に上がりそうなお話が随所に見られる。
詩の力としかいいようがないけれど。
詩人って、美しいものを美しいまんま切り取らないんだ。
私たちが見逃していた細部を切り取って、
ハッとさせることができるんだ。
それが心のあり方でも、
社会のあり方でも、
生命のあり方でも。
詩人って本当にすごいな、とめちゃくちゃ感激した。
Posted by ブクログ
1979年、著者が53歳くらいの頃に書かれた本書は、一切古さを感じさせない文章で「詩を読む楽しさ」を教えてくれる。
著者がそれまで出会ったお気に入りの詩を選りすぐり、ユーモアを交えながら卓越した考察力で読み解いていく。
「誕生」から「死」までの5段階で流れるように並べられているので、小説のように一気に読み進めてしまうところも魅力だ。
『はじめに』の冒頭3行で、全てが語られている。
「いい詩には、ひとの心を解き放ってくれる力があります。いい詩はまた、生きとし生けるものへの、いとおしみの感情を優しく誘いだしてもくれます。どこの国でも詩は、その国のことばの花々です。」
自分の気持ちを代弁してくれる詩に出会い、心にスーッと入って感じるカタルシスは最高の慰めになる。そして何より優しい気持ちになれるのだ。
あまり詩というものに触れてこなかった自分にとっては目から鱗であった。
自分が53歳になる頃にはお気に入りの詩を並べてみたいと思う。
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紹介されている全ての詩が大好きになるような解説。
詩人による解説は贅沢で、読んでいる時間も至福でした。
何度ドキッとさせられたことか。
詩って、難しいと思っていたのですが
素直に読んで、感じて、分からなければ分からないでそっと閉じていいのかな、と
あるいは、優しい詩を好んで読んでも
それは素敵なことなのかな、と思えました。
ここで知った詩人の詩集も買ってみようと思いました。
Posted by ブクログ
なんておもしろく詩を読める本だこと!
詩人の著者が、
「生まれて」
「恋唄」
「生きるじたばた」
「峠」
「別れ」
の5つのカテゴリーに分けて選んで、
いろいろな詩人の現代詩を教えてくれます。
この5つのカテゴリー自体が、ひとつの人生の流れでもあります。
詩は、感情や感性のもの。
散文は論理を積み重ねていきますが、
そうやって分析することができないものを、
詩人は、詩として表現する。
だから、
読んでみて浮かぶ感想ははっきりした言葉にならず、
大かたは、
「ああっ」
だとか
「はああっ」
だとか、
「そうなんだよ!」
だとかの感嘆や納得の気持ちが多い。
あるいは、詩は自分の内部に埋もれている感覚や感情や記憶を
呼び起こすトリガーになったりもするでしょう。
詩でこそ開いていける、というところがある。
社会に対してだってそうだし、
人間理解だってそうだし、
世の中そのものだって、過去や未来や宇宙にだってそうなんだなと
今回、本書を読んでそう思いました。
繊細だけれど力強くもあり、
まあるくなってそうで、とがってもいる。
体内を流れる血であり、流れ出た血でもある。
何を書いているかはっきりはからないから苦手、という人は多くいそうです。
僕だって、ずっとそうでした。
言葉の遊戯、言葉のパズル、言葉のコラージュなんだろう、
と決めつけたこともあります。
そういった面は、技術としてあるのでしょうが、
詩が発現してくる源に目を凝らしてみると、
また考えが改まります。
本書は、著者・茨木のり子さんの解きほぐし方が、
丁寧だし、いろいろと察してもいるし、
大事に詩を扱っているし、
言葉がわかりやすいしで、
詩にひたる経験がしたい!
という人にはうってつけの本でした。
教科書で詩を読んだし、国語の授業で作ったことだってあるけれど、
いまいちよくわからないんだよなあ、という人にはもっと推奨したい本です。
子どもにも大人にもおすすめでした。
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またとない本。大切なものに出会ってしまった。愛蔵書だよ。嬉しい。人間を過つことなく見つめることができ、背骨がしゃっきっとした。
茨木のり子さんの文章が美しい。日本語が美しい。視点がしなやか。構成もまた素晴らしい。茨木さんが語ると、その詩が何倍にも輝く。これはすごい。文学について余計な解説が加えられることは多いが、茨木さんの場合はさらに重層的な詩作に昇華している。
ラングストン・ヒューズ「忠告」
吉野弘「生命は」
金子光晴「寂しさの歌」
濱口國雄「便所掃除」
安水稔和「君はかわいいと」
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懐かしいこれ!むかし暗記した好きだった詩がいろいろでて来て嬉しい!日本語の美しさを堪能できる。
ジュニア新書だけれど、大人がゆっくり楽しめる一冊。
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小さな四行詩に、ささやかな拍手を
音楽の歌詞でなく、俳句や川柳とも違う「詩」。わたしは詩にそこまで興味はなかったのですが、詩について語る機会があり、なにか参考になる本はあるかと探りを入れてみたところこの本と出会いました。『自分の感受性くらい』等で有名な伝説的詩人・茨木のり子が、今まで詩という大海の浅瀬しか知らなかった私に、「もう一歩だけ沖に近づくと面白いかもよ」と教えてくれるような本で、著者の優しさを感じます。著者がセレクトしたたくさんの詩を、わかりやすい解説とともに味わうことができ、詩の入門書にうってつけです。基本のキである「詩の味わい方」を説いてくれます。
辻征夫『春の問題』という詩のなんともとぼけた味のかわいらしいこと。原始時代に生きる遠い祖先が春をどうすごしていたかを空想する作者。ラスト一文のバカ真面目なおかしみもあと引く味わいです。
12歳で自殺した詩人、岡真史にはびっくり。詩という形で自分の言葉を残すという考えを、わずか11才の子が持つというこの感性が、何よりも彼の詩人としての素質を証明していると思います。
松下育男『顔』も読み終えてフッと吹き出してしまいました。おかしみと悲しみが絶妙なバランスで表裏一体となっていて、言葉の間(ま)も素晴らしい。
濱口國雄『便所掃除』を読んだ感動はひときわ強いものがありました。まるで目の前に糞まみれの便器があるかのようなリアルさで、思わず息を止めながら読んでしまうほどですが、一転してユーモラスなラストでプハッと息を吐き出せるような素晴らしいゴールです。"頭のしんまでくさくなります"、"神経までしびれる悲しいよごしかたです" といった表現の朴訥さとハードな内容の対比も味わい深い。
詩集になじみのない私が今回気付いた詩のいいところは、「好き嫌いの分かりやすさ」でした。好きなものは自分で気づかぬうちにのめり込んで読んでいるけれど、ピンとこないものはさっさと読み飛ばしている自分に気がついたのです。
小説のように序盤でさぐりさぐり読むということがなく、効率的とも言えます(読書に効率は求めていないけれど)。いやそれよりなにより、理屈の鎧を着ることがない、自分のなかの直感的な好みを感じることができることが嬉しかったです。裸の感性を自覚できるような、ひいてはこの詩が好きな自分はどんな人間なのかがほの見えるような、そういった読書体験になりました。
作者の痛みや怒りのメッセージが、こちらの心をえぐるような切れ味で閉じ込められている詩も印象的です。でもわたしはほのかなユーモアを感じつつ、大げさなエンディングのない、気が抜けたように幕を閉じる詩が好きだと気づきました。
大脳が発達した人間だからこそ、詩を味わうことができると私は思います。もちろん詩だけでなく小説、音楽や美術もです。抽象的な概念や今ここにないもの、形がなく触れられないものを思うことができる人間だから、これを楽しまないなんてもったいない。
あとがきもなく、最後は小さな四行、それこそ詩のように終わる。この本に相応しいかわいらしい着地に、わたしから小さい拍手を送ります。
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若いときはまず自立して生きていくことに必死で、プラス旅行やら趣味やらひとつひとつ新たな経験ができれば十分満足だった。詩というのはそういう価値観と距離がある気がする。感じ方の木目の細かさに充実感があるというか。折に触れて覚えている詩を思い出して自分の今を思う、というのは素敵だな。私も少し近づけるとよいな、詩に。
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卒業以来久しぶりに詩に触れた。
学生の頃にはただ暗唱させられ、深く味わうということもなかったが、詩とはかくも力強く、日本語は美しいものだったのだと感心した。
これまで詩の読み方がわからなかったが、他の詩も読んでみたいと思った。
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こころにひっかかって取れない詩歌
人のそういうのを知れるってとても素敵で、私にはこうなんだよって対話をしたくなって、古本屋で迎えたこの本に引かれていた赤線と、お話をしている気分になった。
なんとも、素敵でわくわくする時間を久しぶりに過ごせて、有難いなと思ったし、私には必要なんだと何度でも再確認する。きっとこれからも。
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性格的に、詩よりも散文、評論、随想のほうが好きなのですが、一度くらいちゃんと触れてみようと思い、読んでみた一冊。詩人でもある茨木のり子さんが、自分の好きな詩を集め、その詩とともに解説を書いている本(この前読んだ国語の教科書『新編 国語総合』に「詩集ではないが、最良の詩の入門書」と書いてあったので購入)。
詩は理屈ではないので、あいかわらず「分からんなぁ」というものも多いのですが、中にはピンと来るもの、好きなものもあって、次はその人たちの詩集を買ってみようと思う(川崎洋、阪田寛夫、黒田三郎など)。
そういう意味では、「最良の詩の入門書」という触れ込みもダテではない。
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「茨木のり子」という著者の名前も、教科書で目にした記憶しかない。それくらい不勉強な私でも、一編一編、著者の視点を通して詩の世界にぐっと近付けてもらった。
自分の気持ちに合う詩、を探すことは、自分自身にとって新しい読書体験になるかも。
印象に残った言葉
・言葉が着陸の瞬間を持っていないものは、詩とはいえない。
重装備でじりじり地を這い、登山するのが散文
地を蹴り宙を飛行するのが詩
・詩人が人々に供給すべきは、感動である。
それは必ずしも深い思想や、明確な世界観や
鋭い社会分析を必要としない。
気になった詩
・I was born 吉野弘
→どこかで読んだことがある気がするが、
いつも最後にドキリとしてしまう
・練習問題 阪田寛夫
→思春期をお洒落に表現している
・くるあさごとに 岸田衿子
→くるくる、、
忙しい毎日、駆けまわる毎日を思ってしまう
・海で 川崎洋
→粋な若者たちの冗談に、心が爽やかになる
・風 石川逸子
→戦争に基づく詩のようだが、
今のSNS社会を風刺しているように感じる
・新しい刃 安西均
→また1つ成長する息子を眩しく見つめる視線に
親近感を覚える
・その夜 石垣りん
→働き続ける女性に病が迫る日があったとしても
「私ひとりの祝祭日」と受け止める強さを持ちたい
・悲しめる友よ 永瀬清子
→古いジェンダー観と切り捨てることもできるが
もし苦しむ友がいれば、この詩をそっと教えてあげたい
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詩をじっくりと味わいつつ解説もあるので、詩を読みたいけど読み方とか、、という人には良い。
本来正解の読み方とうはないが、想像力を膨らませていくのも練習がいるので著者の解説と一緒に詩をよめるこの本はいいのではないか。
ジュニア新書だけあって学生でも読みやすいと思うし、社会人も読める。
Posted by ブクログ
詩、単体で「好き」と思うものと、茨木のり子さんの鑑賞により「おお、そうか」と思うものと。生まれて/恋唄/生きるじたばた/峠/別れ、という章の編み方も良い。
また十年後に読みたい。