松本剛史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
コモディティ商社について歴史的な背景から踏まえて解説をしている。後半の参考文献のページだけでも50ぺージ以上ある。
コモディティ商社のトレーダーが表舞台に立つことなく、違法も承知の上でビジネスをして世界を動かしてきたことがよくわかる。
特に資源を安く買い付けて時間差で高く売るというようなことを繰り返してきたことが分かる。
政治的な関与はせずにあくまで経済合理性のある取引をすることがポリシーのようだが、実際にはその経済的リターンが取引相手に入ることで政治的な行動が加速されていることもよく分かる。
世界情勢に影響を与えてきたとも言え、知っておいて損はないだろう。
ただ、主に石油やアルミなどの資 -
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ネタバレハンナ・ティンティ初読。ずっと読みたかった作品。文庫化を待った甲斐があった!
物語は娘ルーの成長が描かれる現在の章と、父ホーリーが初めて撃たれた時から現在に至るまでの章の二つが交互に語られる。
ルーの章は、ティーンならではの苦悩、恋愛が描かれ、所謂ヤングアダルト小説のよう。
一方ホーリーの章は、どこかで手を引いて真面目に暮らしたいと思いつつも、ついついヤバイ仕事に手を染めてしまう、ハードボイルド風小説を味わうことができる。
どちらの章も良いが、特にホーリーの章は一つ一つの完成度が高い。そして毎回、痛い目にあう笑
出版された時期的に「ザリガニの鳴くところ」と比較されそうだが、「ザリガニ・・・ -
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久しぶりにディーン・クーンツさんの小説を読めた喜びに浸っている。彼の作品は、想像すらしたこともないような悪と、善良な主人公が対峙する手に汗握るミステリー的なものが多い。本作も純粋な悪と善良なる主人公との戦いが繰り広げられる。テンポよく物語が展開し、ページをめくる手が止まらなくなる娯楽作品だ。
本作品は著者の作品である『ウォッチャーズ』の続編といってもいい作品で、賢い犬が登場する。
クーンツさんの作品は、以前は書店に多数文庫本が並んでいたが、今はあまり見かけなくなってきた。本書は書店で見かけて、声を上げそうになるのを抑えて喜びとともに手にとった。原題は『DEVOTED』、辞書によると、忠実な、献 -
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「ミステリアムとは何なのか」を調べず、前作を読んだ直後に読み始める。
ここ2週間ほど仕事が忙しく、落ち着いた時間も取れずつらつらと読み進めるがこの本がどうにも面白く、少しずつだと読後感にも影響が出そうで読むのがもったいなくなり「読みたい」けど「まとまった時間でドップリ読みたい」という葛藤を繰り返していました。
何故かはわからないが人間の言葉を理解し、そんな自分のことを理解してくれている飼い主と暮らす犬のキップ
高機能自閉症であり、言葉を発しないが特別な頭脳を持ち「事故死した父親の謎」を調査する少年、ウッディ
その彼を愛し、苦難に立ち向かう
ウッディの母親、メーガン
キャンプ地で虐待を受 -
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前兆のない自殺者増加の謎に、
同様の症状で
自身の夫を亡くしたFBI捜査官が迫るサスペンス
内容はベタな捜査官モノですが、やはりクーンツ…すごい惹きつけ方で読者を引っ張り読ませていきます。
謎を追う彼女を脅迫してくる邪悪な「彼ら」からの逃走劇など、クーンツあるあるが満載なのも嬉しい…
ただの焼きまわしと言うわけではなく、監視カメラやGPSによる「敵の網」テロ、邪悪な組織、政府機関 など現代の「1984」を盛り込んでます。
タイトルの「昏い場所」の意味とは
現代のアメリカの暗い未来への嘆き。
なのですが、暗殺者グレイマンの様な孤独な闘いをする主人公なのに、出会う良い人悪い人を含む様々な人 -
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相変わらずザカリアの文章はとても面白い、確かに面白いのだが、今作はなんだかしっくり来ない。いくつか理由があるように思う。
本書では、オランダ、イギリス、フランス、アメリカの4つの革命を取り上げ、ここから何らかの示唆が出そうとする。ただ、その4つを取り上げた理由は判然としない。普通に考えればロシアか中国が入るべきではないか?ザカリアは、イギリスでは「ボトムアップ的変化」が成功した一方、フランス革命では急進的な「トップダウンの変革」が恐怖政治と混乱を生んだと対比するが、では日本の明治維新は何だったのかとも思う。
後半は、テクノロジーの進化やグローバリゼーションについて論じるが、特にテクノロジーにつ -
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原題 THE TWELVE LIVES OF SAMUEL HAWLEY
Life can only be understood backwards,
人生は後ろ向きにしか理解できないが、
過去の回想と現在進行形の物語が紡ぎ出す、未来。最終章でルーが撃ち上げる先に待ち受けるものはなんなのか。明るく、または暗く、あるいはぼんやりと、読み手の立ち位置によって違ってくると思います。いずれにせよ、ホーリーは解放されるんじゃないかなぁ。ルーはもう大丈夫。
前を向いてしか生きられない、のです。
but it must be lived forwards.
-Søren Kierkegaard -
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”目的”を持つことが人生を豊かにするだけでなく、物理的にも科学的にも医学的にも役に立つことが、心理実験などのデータを交えて紹介される。
いずれも目新しい事ではないが、”目的の力”にフォーカスされているので分かりやすい。
特に”SPACE”の5つ「Sleep(睡眠)」「Presennce(マインドフルネス)」「Acetivity(運動)」「Creative(創造=文化的活動)」「Eating(食事)」が重要であるという視点で構成されている。
実の娘との死別で文章が始まるが、全体的にエッジの効いたユーモアがあちこちにあり、哲学的な考察もありながらも平易な文章で最後まで楽しんで読める。 -
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Posted by ブクログ
AIによって高スキル職が非熟練化され、誰でもできる仕事に変わるというシナリオは、ChatGPTをはじめとするAI技術で現実になりつつある。
自分はエンジニアだがすぐにAIツールを取り入れた結果、生産性が数倍に向上したと実感している。
同時に、最低限のスキルさえあればAIツールを使って近いレベルのアウトプットは出せるだろうとも感じている。
AIに完全に代替されるのはまだまだ先かもしれないが、人間を補助して能力を高める用途においてはもう十分すぎるほどに実用的だ。
今はまだ全員がAIツールを使っているわけではないが、これがスタンダードになると、人手が要らなくなり、賃金もおそらく下がっていく。
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Posted by ブクログ
ワンコ大好き、クーンツのホラー。
あれ、なんか違うww
でも、クーンツ的、王道ですよ。
自閉症の少年に、その美しい未亡人の母親、そしてそれを助けるナイスガイ、で、不気味な敵。
そしてワンコ!!!
「ウォッチャーズ」的なのは、もうどうしようないけど、読んでいて、これこれ、これを求めていたのよ、って思っていたよ。
いやあ、やばい、「ウォッチャーズ」の魔力。
なんせ、ワンコ大嫌いの私が、小説よんだだけで<ワンコ大好き>に急展開させられた作品だからな。
とはいえ、キングもそうだけどクーンツも年をとっているわけで…。
敵が、もうどうしようもないクズで不気味にキモイのだけど、ど -
Posted by ブクログ
「ウォッチャーズ」の正当な続編、というのはさもありなん。物語に直接の繋がりはないのですが、ここに登場する犬たちは明らかにあのアインシュタインの子孫たちなのだろうか、と思えます。犬好きは必読。ちなみにとことん猫派、「ウォッチャーズ」の一番の魅力はアウトサイダーの悲哀だろう! と思っている私でも、犬が可愛いと思えました(笑)。
知能を持った犬のキップと、高機能自閉症の少年ウッディ。その素晴らしい出会いと、彼らを追う恐ろしい者たちの脅威。という骨組みは「ウォッチャーズ」と似ていると言っちゃ似ているのですが。今回の方が危機は大きいのでは。ウッディの素晴らしい知能、そして彼の周りに集まる人たちも素晴らし