あらすじ
○博覧強記の金融ジャーナリストが膨大な文献を渉猟し、古代バビロニアから、中・近世ヨーロッパ、現代の日本、アメリカ、欧州、中国にいたるまで、金利の歴史絵巻を豊富なエピソードでカラフルに描き出す。そして、21世紀の超低金利時代における金利の本質、金融政策の有効性を問い直す。歴史を通じて現代を問う骨太で出色の読み物。
○金利とは何か? 利子は正しいものか? 適正な金利の水準とは? 何が金利の水準を決めるのか? 金利と経済成長の関係は? 「時間の価格」ととらえるのが最も妥当である金利は、生産、消費、投資、為替レートなどあらゆる経済の動きにかかわる。
○だが、歴史上、そして現代においても、金利は幾度も大きく低下し、そのたびに経済は不安定化し、乱気流に呑み込まれてきた。1920年代の大恐慌、1980年代の日本のバブル、2008年の世界金融危機はその悲惨な典型だ。そして、中央銀行の物価安定政策のもとで、主要国の金利は歴史上かつてないほど沈み込んできた。適切な金利がなければ、生産、貯蓄、投資すべての経済行動の価値を計るモノサシを失うことになる。資本主義経済は市場が定める金利がなくても繁栄することができるのか?
〇本書は、極端な低金利は資産価格インフレをもたらすだけでなく、経済成長率の低下、不平等の高まり、債務の累積、年金危機、不動産・資産バブルなど、経済全体にいかにダメージを及ぼすかを明らかにする。著者は、中央銀行による低金利政策はその意図とは逆にかえって経済を損ない、「隷従への新たな道」につながると警鐘を鳴らす。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
金利が高い、低い、で、何が起こるのか、を、ここ数百年分まとめています。ゼロ金利政策は、日本だけかと思ったら、欧米でもそれに近い事は行われていたんですね。中国の不動産バブルはマジでヤバそうです。
Posted by ブクログ
低金利はモラルハザードを生みやすい。
金利が経済成長率より低く抑えられる時には、格差が拡大する傾向がある。
利子の起源は種子や動物の貸し出しにある。
生産目的のための貸し付け
オーストリア学派にとって利子は投資と消費が長期的に調整できるようになるために必要との考え。
金利は社会の時間先行の反映である
2008年のリーマンショックは、FRBが消費者物価に集中して他の金融不均衡を無視する政策(低金利政策)をとったから。
アメリカで格差の拡大が起こったのは、1980年台に金利が下がり始めたあとだった。
金融緩和により資産バブルに拍車がかかり、資産バブルが格差を悪化させた。