ClaytonM.Christensenのレビュー一覧
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ネタバレクリステンセン教授の代表作。経営書としては古典の領域なんだけど、全然古臭さを感じさせない面白さがやはりあった。クリステンセン教授はホント面白い本を書いてくれるなぁ。
「イノベーションのジレンマ」とはつまり(真に顧客が求める)評価軸の誤解と呼んで良いだろう。今売れている製品がより高品質になっていくことは、決して顧客や市場が求め続ける姿じゃない。技術とは進歩していくものなので、いつかローエンド商品が真に求められる範囲の規格を満たしてしまう。
まぁ難しいのは「市場で求められる製品規格」を決めるのは流動する市場のあり方からしか見えず、関連企業(本の中では「バリュー・ネットワーク」と呼んでいたが)が一意に決められないという部分。市場は出たこと勝負なのに、決められると誤解することが破壊的イノベーションを許してしまうというわけだな。
この理論を消費者目線からみた時がつまり『ジョブ理論』なのだなぁ、と勝手に理解しました。最初からこっちを読んでおけばもちっと理解が深まったかも?
古典でありながら強い説得力をもった一冊。オススメです。 -
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優良企業は、その優良な経営によって失敗する。
冒頭から謎めいた結論をつきつけられ、どうしてだろう、と自然に疑問を持って読み進めることができた。
本書では、イノベーションを持続的イノベーションと破壊的イノベーションの2つにわけ、それぞれの性質の違いにより、上記の結論が導かれることになる。
持続的イノベーションとは、抜本的、漸進的なものを問わず、今ある製品の性能を段々と高めるようなものをいい、優良企業はこれへの対応に長けているため、それによって利益を上げている。
ところが、破壊的イノベーションは、既存の市場からすると、性能も収益率も低い、新しい下位市場で起きることが多い。これは、優良企業の収益も満たせず、また、その主要な顧客からのニーズもないため、優良企業は、顧客のニーズにきちんと応えるために、破壊的イノベーションへの対応が遅れる。
しかし、破壊的イノベーションによる技術が進歩するにつれて、それは下位市場からやがて既存の市場を塗り替えていくものとなる。
こうして、優良企業は、優良な経営ゆえに失敗する。
本書では、事例も含めて、この内容が詳細に検討されており、破壊的イノベーションに対応するのに、主流組織と別の組織により対応するという方法についても検討されている。
しかし、実際応用するとなると難しいと思う。何より破壊的イノベーションは、今までにない市場を生み出すし、それが破壊的イノベーションなのか、事前にはもちろん知りえない。
「見たものがすべて」と思いがちの人間からすると判断は難しいだろう。
また、破壊的イノベーションが起きてから、本書をひいて、後知恵で語るのは簡単なことだ。
なんにしても、優良企業がその優良な経営ゆえに失敗するというのは、イノベーションへの考えを変えてくれた。 -
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イノベーションを「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」に分類し、ハードディスクや掘削機、製鉄を例示して、持続的イノベーションは顧客の声を傾聴し顧客に受け入れられる技術を積み重ねることにより大きな収益を得るのに対して、破壊的イノベーションは技術のレベル(顧客の求める性能)や収益は小さなものかもしれないが、新たな市場で元の大きな市場を凌駕していく可能性を秘めていることから、持続的イノベーションから抜け出せない既存企業の対応をイノベーションの「ジレンマ」と呼んでいる。
最後に(第十章)でその破壊的イノベーションをマネジメントする方法として1997年時点で電気自動車を例示している慧眼に感服した(地球環境の逼迫という大きな潮流はあるが)。今のテスラや中国のBYD等の破壊的イノベーションを予見していたのか!と思う。 -
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ネタバレ★20くらいつけたい超良書。
クリステンセン教授は『ジョブ理論』をすでに読んでいたんだけど、その思想を活かしたまま「人生」の生き方について語ってくれる。
「どうすれば幸せで成功するキャリアを歩めるか」
「どうすれば人間関係を幸せにできるか」
「どうすれば誠実に生きていけるか」
簡単に見えて一つすら答えるのが難しい問いにしっかりと向き合ってくれる。
アナタが本心で何をしたいのか、そしてそれが為されるためには何が無ければ駄目なのか。
もちろんタイミングが違うこともあれば、運命が邪魔をして成し遂げられないこともある(クリステンセン教授がライターにならなかったように)。けれど「自分が何をしたいのか」をしっかり持つことが、自分の人生を本当の意味で豊かにする。
問い続けることは苦しいけれど、それを疎かにしたり手を抜いてしまうことは、家族や誠実さに背いて遠い未来に間違いだったと気付くことになってしまう。
なりたい自分。望んだ姿。願った未来。
すべてが思い通りになるわけじゃないけれど、いつかの自分が満足できるように精一杯頑張ってみようと勇気をもらえた。
直近で読んだ『ビジョナリー・カンパニー』との類似点も多かったり。意外とビジネス書の真理なのかもしれないなぁ。 -
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イノベーションのジレンマを読んで
日本語版刊行にあたって
日本の大企業の問題点を指摘。
序章
本書で取り上げるのは、業界をリードしていた企業が、ある種の市場や技術の変化に直面した時、図らずともその地位を守ることに失敗する話。
"すぐれた"経営者こそ、業界リーダーの座を失った最大の理由。これらの企業は、顧客の意見に耳を傾け、顧客が求める製品を増産し、改良するために新技術に積極的に投資したからこそ、市場の動向を注意深く調査し、システマチックに最も収益率の高そうなイノベーションに投資配分したからこそ、リーダーの地位を失った。本書では、この破壊的イノベーションにおける判断を法則化した。
本書の第一章から第四章は、イノベーションのジレンマの構図(原因解明)、第五章から第十章は解決法に関して。
すぐれた経営が失敗につながる理由
① 「持続的」技術(製品の性能を高めるもの)と「破壊的」技術(短期的には製品の性能を引き下げる効果を持つイノベーション)の間には戦略的に重要な違いがある。 ② 技術の進歩のペースは市場の需要が変化するペースを上回る可能性がある。 ③ 成功している企業の顧客構造と財務構造は、ある種の新規参入企業と比較して、その企業がどのような投資を魅力的と考えるかに重大な影響を与える。
①に関して破壊的な技術には、主流から外れた少数の、たいていは新しい顧客に評価される特徴がある。こちらの製品は、通常、低価格、シンプル、小型で使い勝手が良い場合が多い。
②に関して、企業が競争相手より優れた製品を供給しようと努力すると、顧客が必要とする以上のものを提供してしまう恐れがある。
破壊的技術の5つの法則。① 企業は顧客と投資家に資源を依存している。② 小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない ③ 存在しない市場は分析できない。④ 組織の能力は無能力の決定的要因になる ⑤ 技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない
① 顧客と投資家を満足させる投資パターンを持たない企業は生き残れないため、実質的に資金の配分を決めるのは顧客と投資家。
⑤ 顧客が製品を比較して選択する際の基準が変化することを示す。製品の性能が市場の需要を超えると、製品選択の基準は性能から信頼性へ、さらに利便性から価格へと進化することが多い。企業は、競争力の高い製品を開発し優位に立とうとするために、急速に上位市場へと移行する。多くの場合、高性能、高利益率よ市場を目指して競争するうちに、当初の顧客の需要を満たしすぎたことに気づかない。そのため、低価格の分野に空白が生じ、破壊的技術を採用した競争相手な入り込む余地ができる。
第一章 なぜ優良企業は失敗するのか
実績のある企業はプラスの不連続性を乗り越えて業界をリードする力はあるが、マイナスの不連続性に直面とすると、業界でのリードを失うのが通常。
プラスの不連続に対する技術革新は持続的な投資能力を持つ大企業が強い。(持続的なイノベーションには強い)
企業は新技術を開発する能力があったにも関わらず、既存の顧客への対応をし、新技術の発展には遅れた。
まとめ ① 破壊的イノベーションは技術的には簡単。 ②この業界の先端開発は常に軌跡グラフの右上の利益率の高い領域に達することを目的としてきた。 ③ 破壊的技術を率先して開発し採用してきたのはいつも新規参入企業。
第二章 バリュー・ネットワークとイノベーションへの刺激
同じ製品であっても、バリューネットワークごとに、何をもって価値とするかが異なる。
製品ごと、コスト構造ごとなどでバリューネットワークが分かれる。
技術のSカーブは、技術戦略を考える際に最も重要。変曲点を見極めることが大事。破壊的イノベーションは別の性能を縦軸に取った図の上で発展し、別のバリューネットワークで求められるレベルになると、そのネットワークを侵食しはじめる。
破壊的技術が既存企業で開発→マーケティング担当者が主要顧客に意見を求める→実績ある企業が持続的技術の開発速度を上げる→新会社が設立され、試行錯誤の末、破壊的技術の市場が形成される→新規参入企業が上位市場へ移行→実績ある企業が顧客基盤を守るために遅まきながら時流に乗る(しかし、新規参入企業が製造・設計の面で圧倒的な優位を築いている)
第三章 掘削機業界における破壊的イノベーション
油圧式掘削機が破壊的イノベーション。始めは、小規模な住宅工事業者などに売られた。ケーブル式掘削機とは異なる尺度で測られる市場から始まる。実績ある企業は既存の市場で戦い、また敗北。
第四章 登れるが降りられない
高い利益率を得られる市場に移動していく傾向がある。ハイエンド市場に進むほど、粗利益率が高く、管理費の高さを補う構造になっている。
序章②?
成功した経営者が、5つの原則を役立てた方法
① 破壊的イノベーションを「適切な」顧客に結びつけた
② 破壊的技術を開発するプロジェクトを、小さな機会や小さな勝利にも前向きになれる小さな組織に任せた
③ 破壊的技術の市場を探る過程で、失敗を早い段階にわずかな犠牲で留めるよう計画を立てた。
④ 破壊的技術に取り組むために、主流組織の資源の一部は理由するが、主流組織のプロセスや価値基準は利用しないように注意した。破壊的技術に適した価値基準やコスト構造を持つやり方を作り出した。
⑤ 破壊的技術を商品化する際は、新たな市場を見つけるか、開拓した。
第五章 破壊的技術はそれを求める顧客を持つ組織に分かれる
破壊的技術が出現した時、経営者はどうするべきか。
① とにかく破壊的技術を追求し、収入源である顧客が拒否しようと上位市場の技術より収益性が低かろうと、その技術は長期的に重要であると全社員に伝える
② 独立した組織をつくり、その技術を必要とする新しい顧客の中で活動させること
(独立していることは、収益構造などの違いが悪影響をきたさないため。)
第六章 組織の規模を市場の規模に合わせる
新しい市場の成長率を上げようと、組織の規模が大きいまま行うと短絡的な成長需要を満たすことができない。また市場がうまみのある規模に拡大するまで待つと、新たな市場に馴染めない可能性がある。(破壊的製品の発売と、その販売対象となる市場の開拓をリードすることが重要。)
つまり、小規模な組織で対応するのが良い。独立した組織でも良いし、買収しても良い。
第七章 新しい成長市場を見出す
破壊的技術の市場予測は難しい。どのような顧客がどの程度の量を必要としているかは誰もわからないという前提のもと、プロジェクトを進めるべき。そして、製品の設計、設備投資は、様子を見ながら行うべき。
試行錯誤して適切な戦略を見つける前に資源や信頼を失った場合は事業として失敗。
破壊的技術には実効のための計画ではなく学習のための計画が必要。そうすれば後戻りのできない開発や投資をする前に、仮定が正しいかを検証したりできる。
第八章 組織にできること、できないことを評価する方法
組織にできること、できないことは、資源(人材、設備、技術、情報、資金、顧客との関係など)、プロセス(商品開発、調達、予算作成、事業計画、人材開発、資源配分など)、価値基準(コスト構造や事業モデルを反映したもので、企業の収益を上げるために従業員が従うもの)の3つの要因によって決まる。
失敗した企業は、破壊的技術でも成功する資源は持っているが、プロセスと価値基準な無能力だった。
新しいプロセス、価値基準を持った別組織を買収する場合は、親会社と統合すべきではない。統合すると、親会社の判断基準を踏襲することとなる。(資源は統合ok)
スピンアウト組織を作る場合は、独立組織が資源配分プロセスから独立していることが重要。
まず経営者は、資源を確認し、次に組織に成功するためのプロセスや価値基準があるかを確認するべき。
第9章 供給される性能、市場の需要、製品のライフサイクル
性能の供給が市場の需要を超えたときに何が起きるか?
ドライブの話では、容量が市場の需要を超えると、大きさという別の性能指標が取られるようになった。
一般に、ある特性に対して求められる性能レベルが達成されると、顧客は特性がさらに向上しても価格プレミアを払おうとしなくなり、市場は飽和状態に達成したことを示す。
ウィンダミア•アソシエーツの「購買階層」によれば、機能、信頼性、利便性、価格順で顧客の製品選択の指標は変化する。
顧客の需要の軌跡と、自社の技術者の供給の軌跡の両方を理解することは大事。
第十章 破壊的イノベーションのマネジメント
技術が破壊的かどうかは、市場で求められる性能向上の軌跡と、技術が供給する性能の軌跡をグラフにするのが良い。
マーケティング戦略のポイント(1. 主流市場で使えないことを認める 2. 初期の市場がわからないことを認める 3. 学習のための計画策定
潜在市場の推測。破壊的技術の弱みが強みと考えられる市場であろう。
開発としては、単純で信頼性が高く、便利なものを追求すべき。(9章の競争基盤の変化より)
第十一章 イノベーションのジレンマまとめ
感想
わかりやすく書かれた本。
③の原因から考えても、市場が求めているもの以外に自分が凄い可能性を感じていると思う分野には行動した方がいい
やっばりこの本を読んで思うのは、多様なポートフォリオを持ち、収益を色々なところから確保していける企業は生き残る。またその際特化した市場を持っていることももちろんプラスの要素にはなる。
新しい技術をいつも主流顧客に持ち込もうとする傾向はマーケティング能力の不足を表している。(本文) 顧客に新技術の必要性を解いたり、新たな顧客を探す努力はしなきゃだね。 -
Posted by ブクログ
これまでに多くの企業がその技術力などで市場を獲得し席巻している一方で、実績を持ちすぎたがゆえに市場からの退却を余儀されなくなっている事実が多くある。
こうした状況は何が起きているのか?そこにイノベーションのジレンマがあると言うのが本書である。
こうしたことがたびたび起きるのは、経営戦略などが間違っていたのか?と思われがちだが、そう言うわけでもない。むしろ優秀な経営者が正しい判断をしてしまうが故にイノベーションのジレンマが生じてしまう。
具体的には持続的技術と破壊的技術と言われるものがあり、それぞれ主流市場(規模が大きい)と新興市場(規模が小さい)もしくは上位市場と下位市場と位置付けられる市場がある。
これらはマーケティング戦略で正しく判断しようとすると、大きな企業であればその企業が持つ価値基準によって、利益にそぐわない投資(破壊的技術への)が必要になり、また新興市場というものは予測が不可能なものであり、意思決定においてどうしてもジレンマが生じてしまう。
そこで、どう行動すべきか?それをクリステンセンが示唆してくれている。
今でこそ、要約動画などが出回っているが、本書をしっかり読み解くことと、要約動画で知った気になるのとは天と地ほどの理解の差がある。
企業経営に携わるものは必携の書と言わざるを得ない。 -
Posted by ブクログ
製造業に携わる人々必須の1冊。
優良企業であるほど、優良企業であるがゆえに失敗を犯す・・・。
それは経営者が怠けていたわけでもなく、過信していたわけでもなく、それどころか顧客の意見を真摯に受け止め、製品の改良に積極的に投資してきたハズ。。。
それなのになぜ失敗するのか??
そしてこの優良企業(たいてい大企業)を駆逐する破壊的イノベーター(たいてい零細企業)とは???
こんな一見すると摩訶不思議なおはなしが、実は当然のことであることが実に明快に理解できます。
エンジニアリング的な話やマーケティングの話の実例が山ほど登場するので、勉強というよりも、読み物としても非常に楽しめます。
単純に、「次はどんな展開だろう??」みたいな期待が絶えませんでした。
ただ、一番興味があった巻末の電気自動車の話はなんだか取ってつけたような話でイマイチでした。
まぁ、実践するとしたらこんな考えで・・・みたいな参考にはなりますが。
なお、ドラッカーの「ネクストソサエティ」を呼んでいるとより理解が深まります。 -
Posted by ブクログ
うまくいっている大企業ほど革新的なことができなくなってくるという「イノベーションのジレンマ」の考え方を提唱したクリステンセン氏の著書。
今作では企業というよりは、人生においての大切なことを説いている。
ハーバード大学の同級生が華々しいキャリアを形成していったはずが、同窓会で会うたびに、不幸になっている人を見かける。何度も離婚を経験してしたり、起業して失敗したり、借金だらけになっていたり、犯罪を犯してしまっていたりする人がいる。
ハーバード大学卒というキャリアを持ちながら、いい会社に入りながらも、不幸な人生を送っているような人たちがいるのはなぜか。どこで間違ってしまったのか。
本当に価値のある人生を送るためには、何を最も大切にすべきだったのか。それを守るための考え方の変革(イノベーション)を与えてくれる本だった。
著者が繰り返し述べているのは、家族の大切さだ。特に子どもへの接し方に自らの時間を十分に配分すべきとしている。キャリア形成のため、家族との時間を犠牲にしてまで頑張って、軌道に乗ってから家族との時間を大切にしようと思っても、すでに手遅れだと説く。最も大切なものに時間という自分の資源を配分すべきなのだ、と。
いい学歴や、いい会社だけが幸せな人生を送れるわけではない。家族、人とのつながりを大切にする生き方。それを目指して行動していこうと思えた。
まずは、家族との時間をたっぷりとって、たくさん話をしよう。そして、しばらく会っていなかった友人へ連絡をとってみよう。豊かな人生にするかどうかは、行動次第だな。
何度も読み返してみたい、人生の教科書としての本だった。 -
Posted by ブクログ
イノベーションの理論を人生に当てはめるというクリステンセン教授の面白い本。「何を」ではなく「どのように」を教えることで、普遍的な「理論」から、個別の経営や人生のケースで解決策を導いていくという方法には共感した。
衛生要因と動機付け要因について。確かに報酬は衛生要因であり、一定ラインを超えると幸福度が増えないというのは感覚的には分かる気がする。ただし、一度、あるラインの報酬を得てしまうと、それを下げることには相当の抵抗がある。報酬は自分の値段かのように見え、それが下がるというのは、日常生活への金銭的影響だけではなく自尊心を下げることにもなると思う。報酬の設計はそこまで突き詰めて考えなければならない。
創発的戦略と意図的戦略、総費用と限界費用の考え方も、脳を柔らかく、しなやかに生きていく上で、重要な示唆だと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ中小企業の中で組織人として新事業立ち上げに従事している私としては、あまりにも身に覚えがありすぎて、グサグサと胸に刺さる本だった。
「わかる…!!」と噛み締めながら読んでいた。
私の勤める企業が優良企業かどうかはさておき、「古い経営慣行が邪魔をして新しいことへの対応が遅れる」という本書の論旨はあまりにも刺さりすぎた。
私は3人の小さなチームに所属していて、幸い会社の中でもかなり若く、勢いのある人員が揃っているから、モチベーションは高い方だ。
しかし、それでも「なんで会社はそんなことにばかりこだわって動きが遅いんだ!今までの商売と違うんだから、古いやり方に当てはめられるわけないだろ!さっさとやって、失敗しながら直して前に進んでいけばいいじゃないか!」と、はらわたが煮え繰り返ることがこの一年本当に何度もあった。
だから著者の本書での主張は、本心から賛同できる。
読み応えのある本だから簡単に人に勧められないが、同じように組織の中で鬱屈した思いを持つ人には良いかもしれない。
やっぱり何か新しいことに挑戦するときは、ある程度エイヤで一か八か的な姿勢でいかないと、物事は始められないのだろう。
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# メモ
## 破壊的技術の原則
1. 企業は顧客と投資家に資源を依存している
2. 小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない
3. 存在しない市場は分析できない
4. 組織の能力は無能力の決定的要因になる
5. 技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない
優良企業は、優れているがゆえに失敗する。
## イノベーションに気付いたときには遅すぎる
「新事業をやらないと」というのは多くの会社が考えることだが、「そんな小さい売上では会社は支えられない」と言われることも、あるあるだろう。
会社の新事業立ち上げに関わっている私自身、首がもげるほど頷きたくなった。
アイデアは出たが、市場が大きくなるまで待たないとと言われる。しかし大きくなった頃には競合がうじゃうじゃいて、もう勝てない。
誰もがサボっているわけではないし、知見もあるが、今のビジネスのお客さんをさらに満足させようとすればするほど、業界をひっくり返すような新しい技術には見向きしなくなってしまう。
顧客の声に応えるよう積極的に投資することは企業が成功するために必要なことであり、真っ当なことだ。しかし、そうするあまり小さな市場には目がいかなくなり、イノベーションの種を見逃してしまう。
2001年に書かれた本書の中で「電気自動車は破壊的技術」とあり、確かに今はその通りになった。
「大切なのは、そうした破壊的技術の種を見つけても馬鹿にせず真剣に受け止めて、それでいて現在の顧客をないがしろにしないこと」と著者は言う。
未来と現在、両方とも大事ということだろう。
## 企業がイノベーションを見落とすわけ
企業は通常、より収益性の高い(粗利率の高い)市場へ移動したがる。それが健全な企業としての活動だ。
しかしそうするあまり、「収益性は悪いけど、将来業界を改変するようなイノベーションの種」を見落とすことがある、というのが本書の主張。
上位市場には移動するが、下位市場へは移動しないという。
例えば、鉄くずを再利用して鉄鋼を作るミニミルという技術は、低コストながら大手製鉄所は当時見向きもしなかった。
収益性がないからだ。
当時のミニミルは鉄筋くらいにしか使えず、鉄筋は利益率が低くて魅力の薄い業界だったので、大手は手が引けてほっとしたくらいだったらしい。
一方で、ミニマルはその後成長し、どんどん上位市場に食い込んでいく。
さらに業界に新しい技術が現れるとミニミルを扱う会社がそれを取り入れ、大手が安定を目指して高収益事業に邁進している間に、シェアを広げていった。
たしかに、組織人として働いていると納得感がある。
仕事が軌道に乗ってくると、「もっと売ろう」と攻勢をかける。そして経費も増える。なので、より大きな市場、収益性の高い市場を目指すことになる。
そして、新しいけど小さな市場に参入するためには、たくさんの根拠を必要とするようになってしまい、腰が重くなる。
私の勤める会社でもまさにそう(大企業じゃないけど)。
これまでの既存の商売があるから、それを伸ばそうと試みる。その活動も大切なのだが、同時に、「新しい事業の種」を植えて育てることもやっていかないといけない。
種は植えてすぐに果実がなることはないのだから、早く植えて大事に育てていかなければならない。
## 既存の顧客による束縛
ハードディスク業界の破壊的技術は「小型化」、掘削機業界の破壊的技術は「油圧式」だった。
すごい速度で成長していたハードディスク業界の破壊的技術は「小型化」だったと後で分かるが、その時にそれが業界を塗り替えるほどと思った人は少なかっただろう。
カズオイシグロの小説『日の名残り』でもスティーブンスが「ターニングポイントは後になって気がつくもの」と言っていたが、まさにそうだ。
その時々の変化を捉えて、「これ、すごいんじゃない?」と気がついた少数の人はチャンスを掴める。
ハードディスク業界の主力企業たちも、小さな製品を作る技術はあった。なのに戦略的決定が遅れて負けた。
それは、『既存の顧客による束縛』があったからだと著者は言う。
「新しい技術があるらしいけど、うちのお客さんが求めるものをちゃんと作り続けなきゃ」と頑張っているうちに、気付いた頃には業界が塗り変わっていた。
既存事業が成功しているからといって、日々世の中に生まれる新市場の種を見下し、無視していたら、いつか足元をすくわれるということだろう。
## 新しい技術を市場に押し込むのでなく、評価される新しい市場を見つける
ハードディスクを小型化する技術を見つけたら、それの用途を新たに生み出す。
油圧式を見つけたら、それの用途を新たに生み出す。
そうして破壊的技術は市場に出てくる。そして出てきた時には、大企業では狙えない、狙いたくない小さな市場であって、対応が遅くなる。
重要なのは「この技術が受け入れられる市場はどこだ」とターゲットを探す姿勢。
マーケットイン、プロダクトアウトという言葉があるが、そもそも役に立つかどうかも怪しい「新技術の種」のプロジェクトを前進させるのは、プロダクトアウト以外の何物でもない。
「これはすごい技術のはず!」と、ある程度一か八かになるだろう。
「評価される場所を見つけてそこに行く」というのは、自分のキャリアを設計するのも同じだ。
自分の持っているポテンシャルを評価してもらえる場所を探して移動することで、評価も満足度も大きく違うだろう。
## マネージャーによる「ふるい分け」
「ほとんどのイノベーション案は組織の深い場所から生まれるが、その中から何をどう上に通すかは、中間管理職であるマネージャーが行うことが多い。そして、マネージャーは自分が通したプロジェクトが失敗することを恐れるため、確実に市場の需要があるであろうと思われるプロジェクトを支援したがる。どのプロジェクトを上層部へ持ち込むか、どのプロジェクトを放っておくかは、中間部のマネージャーが決めている。」
そう著者は言う。
これは、組織人に私にとっても身に覚えのありすぎる話だ。
みな、それぞれのポジションの仕事を全うしようとするあまり、大胆な行動はとりづらくなるのかもしれない。
下部の人員は「ふるい」にかかるようなアイデアを出すことはもちろん大事だが、「ふるいの目の細かさはマネージャー次第」というのがやきもきするポイントだろう。
会社の誰もやったことのないアイデアや、さらには市場でも新しいアイデアは、どのくらいの効果があるのか一か八かに思えるので、上司は安牌を取りたがる、というのも理解できる。
しかしそれらを放っておき、現状維持を選択することは、衰退する選択肢を選ぶことと同義である場合があることも、分かっておかないといけない。
よく投資の世界では「現状維持は実質損している」といったことが聞かれる。
投資を恐れて利率の低い銀行口座に貯金しているだけでは増えず、物価をはじめ支出は増え続けているので、実際は貯金の価値は目減りしている、という話。
ビジネスの世界でも同様だが、そのバランスを取ることが、経営者のセンスの問われるところだろう。
## 小さい組織に任せる
「大企業では小さな新市場に投資しにくいので、小さな組織を用意して任せる方が良い」というのが本書の主張。
大企業から見て小さな新市場は魅力的じゃないので、積極的に関わる人も少なければ、得られる売上も本業に比べてとても小さく、「それで事業としてやっていけるの?」となるだろう。
だから、小さな売上でも十分な小さな組織を作って任せる方が進むということかと理解した。
小さな組織なら、小さな売上でもモチベーションを高く保てる。
また、「人にとってプロジェクトが意味を持つのは、それが重要な顧客のニーズに応え、組織に貢献し、昇格の可能性を高める場合」と著者は言う。
「それやる意味あるの?」的状況のプロジェクトのマネージャーは、投資してもらうために社内を駆け回ることに労力を持って行かれてしまう、とも著者は言っており、これまた頭が飛んでいきそうなほど頷いた。
そんな意味でも、小さな組織でモチベーション高く進める方が良いのだろう。
## 不可知論的マーケティング
「破壊的イノベーションに直面したとき、マネージャーが打ち出す計画と戦略は、実行するためのものというより、学習し発見するための計画であるべき」と著者は言う。
市場の将来性を分かっていると思い込んでいるマネージャーより、不透明性を認識しているマネージャーの方が、柔軟に対応できる。
こんなとき、誰かが市場の輪郭をはっきりさせるまで待つという姿勢では乗り遅れる。
やったことのないもの、見たことのないものを、既存の社内の仕組みに無理に当てはめようとしても上手くいかないということかと理解した。
市場の未来は誰にも分からないのだからトラブルは起きるものだし、何が起きても修正できるように余力を残した上で計画を進めるべき。
## 変化に対応できる組織か否か
「変化に直面した組織を率いる経営者は、資源が確保できるか、成功するためのプロセスや価値基準があるかを検討しないといけない。慣例的に使ってきたプロセスは新しい問題に適しているか?」と著者は言う。
慣例の力は強い。
「うちのやり方はこうだから」「いつもこうしてきたから」と既存の方法に捉われているうちに、世の中はどんどん変わっていく。
だからその場合は、別の組織を買収するか、独立した組織をスパンアウトして作るかする方がいいというのが本書の主張。
しかし気をつけるのは、買収した企業の価値基準を親会社に合わせようとさせること。
それをすると、結局同じように変化に腰が重くなる。
## 性能の供給過剰
性能の向上がある一定のレベルに達すると、顧客は別の価値基準に価値を見出すようになる。
ハードディスクなら、処理速度が各社変わらなくなってきたら、次は小さくて軽いものに価値を見出す。
機能性、信頼性、利便性と、他社商品と差別化できなくなったら、もう価格しか見られない、というのが本書の主張。
作り手、売り手からすると「他とは違うのにお客さんは値段しか見てくれない!」と憤るかもしれないが、他者から見たらもう差はほとんど感じられない、ということは悲しいけどありそうだ。
私の仕事に関する家具について言えば、「機能性」はもう差はないだろう。「利便性」についてはLOWYAが「1台7役!」みたいな家具を販売しているが、あれに当たるか。「利便性」はECだろう。さらに「価格」も安いときた。こう考えると、LOWYAはめちゃくちゃ強い。
だから、たぶん「ズラす」のが良いのだろうと私は思う。例えば「家具」というジャンルをもっと細かく分けて、土俵を変えて戦う。 -
Posted by ブクログ
高付加価値化、高額化の罠についての警告。本当にその通り。現在の技術を極めていく事で得られる高品質、完成度、その代償としての高額化、組織や商品発想の硬直化。その一番の原因が、サボっているからではなく、技術者が現在の枠組みやルールの中で一生懸命に取り組んでいるから。そして、枠外の最初は品質もルールも担保されないような発想にコストメリットで凌駕され、やがて品質でも並ばれて負けていく。しかし、ではどうすれば良いのだろう。。。事例で出てくるのは油圧シャベルやHDDの古い話。この事例については賛否あるらしいが、指摘されている警告は正しいと思う。現在進行形はグローバルの自動車業界か日本のモノづくりか。
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Posted by ブクログ
ネタバレイノベーションへの解 実践編
2013/5/16(木) 16:00-19:30に行われた、Innosight社のCEO Kevin Bolen氏によるセミナのテキストとして配布された本です。
クリステンセン教授のイノベーションの解の理論を元にコンサルティングを行った成果がまとめられており、企業からイノベーションを起こすにあたっての方法や留意点が、「イノベーションのジレンマ」「イノベーションの解」「明日は誰のものか」の内容を要約しつつまとめられています。
破壊的なイノベーションに関しては知っていたので、今回の学びは四つ。
1. 事業の計画を立てつつも創発的な方向転換を行って行かないと失敗する。何故なら計画を立てた時点での仮定が間違ってたり、時間が経つことによって変化したりしているから。
2. イノベーティブな事業は、利益は短期に確保し、成長は長期的な見地で。
3. マーケットセグメントを行う際には顧客の「かたづけるべき用事」までさかのぼってニーズ把握と条件設定を行う必要がある。年齢や性別、地域などのマーケットセグメントでは購買のモチベーションまではカテゴライズできない。
4. イノベーションを起こすにはメインストリームの評価指標からイノベーションの評価指標で管理する別の組織構造が必要。
まあ、テクニックよりも熱意がまずは必要。テクニックは熱意が空回りしないための道具。
そして、トップマネージメントがインキュベーションしなければすぐに駄目になる。
竹蔵