あらすじ
米国の経営手法に革命を起こした「現代の古典」が、増補改訂版として刊行
「偉大な企業はすべてを正しく行うが故に失敗する」
業界トップ企業が、顧客の意見に耳を傾け、新技術に投資しても、なお技術や市場構造の破壊的変化に直面した際、市場のリーダーシップを失ってしまう現象に対し、初めて明確な解を与えたのが本書である。
著者、クリステンセン教授が掲げた「破壊的イノベーションの法則」は、その俄に信じがたい内容にも関わらず、動かしがたいほどに明晰な事例分析により、米国ビジネスマンの間に一大ムーブメントを引き起こした。
この改訂版では、時代の変化に基づく情報更新と破壊的イノベーションに対応するための組織作りについて、新章が追加されている。
【原書タイトル】The Innovator's Dilemma
※本電子書籍は同名出版物を底本とし作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。
※印刷出版再現のため電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。
※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。予めご了承ください。
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Posted by ブクログ
技術分野に関わらずすべての社会人が読むべき。
技術やサービスが定着すると、ユーザーはその拡大や強化を求め、組織もそれに応えるよう動くようになる。まったく新しいものを既存ユーザーのニーズで評価すると大失敗する。
この本が出てから何十年も経つが、自分のいる会社含め未だにあちこちでこの本に載せられる事例が増えていくばかり。
ジレンマにどう立ち向かうかも指摘されており、賢者なら歴史に学ぶべきだ。
Posted by ブクログ
自身の職場と比較しながら、読み進めていると納得するところが多々ある。特に顧客ニーズに依存しているところは、まさにそのとおりだとかんじた。新しい取組への見えない壁みたいなものの存在が、この書籍で晴れ明らかになった気がする。
今後何度も読み返し立ち振る舞いを見直すのにこの本を活用したい。
Posted by ブクログ
成功した大企業が持っている強みこそが弱みになるイノベーションの面白さと、大企業の社員の立場から見た時の難しさをひしひしと感じた。同じように大企業の企画職などにいる人であれば、思い当たる節が多すぎて何かに刺されている気分になるだろう。学習のための計画を行う姿勢、情報を生み出す必要性、組織を切り離す意義など、処方箋的なことも強調されていて救いがあった。
Posted by ブクログ
大企業の中で新規事業を立ち上げる中での動きにくさ、違和感の原因がよく分かった。理屈がわかれば対処のしようがあると思う。また、この原理を逆手にスタートアップとしてどこの市場をどう攻めるかも考えやすくなる
Posted by ブクログ
需要線を供給が上回った時に破壊的イノベーションが作用する
技術が進歩しすぎて需要を追い越すらしい。
イノベーションには持続的と破壊的がある
大企業ほど目先のニーズの見える持続的イノベーションに注力し厳しい競争を強いられる中で品質を上げようと努力する。
しかし、需要を技術力が上回った時に信仰勢力の破壊的イノベーションが発生する。
破壊的イノベーションをおこすにはそれにあった組織が必要。
資源、プロセス、価値基準が組織の能力をきめる。
そのためには別体の会社にする必要がある、
破壊的イノベーションは市場予測は誰にもできないためトライアンドエラーのみ
【まとめ】
1 持続的技術と破壊的技術
優良経営企業の場合、すぐれた経営こそがリーダーの座を失うことにつながる。これらの企業は、顧客の意見に耳を傾け、顧客が求める製品を増産し、改良するために新技術に積極的に投資したからこそ、市場の動向を注意深く調査し、システマティックに最も収益率の高そうなイノベーションに投資配分したからこそ、リーダーの地位を失ったのだ。
●持続的技術
製品の性能を高める新技術。主要市場のメインの顧客が今まで評価してきた性能指標にしたがって、既存製品の性能を向上させる。
●破壊的技術
従来の顧客が求めていたもの、今までの市場にあったものとは全く違う性能をもった新技術。
大企業は持続的技術には投資をするが、破壊的技術には積極的に投資をしない。その理由は3つある。
①破壊的製品のほうがシンプルかつ低価格で、利益率も低いから
②破壊的技術が最初に商品化されるのは、一般に、新しい市場や小規模な市場であり、投資額に見合った旨みがないから
③破壊的技術は、初期段階ではニーズを満たせるほど性能が良くないから
持続的技術…ガラケーの性能向上
破壊的技術…スマホの登場
と読み替えるとしっくりくるかもしれない。
最初は小さな芽だった破壊的技術の企業が、しだいに大きな企業に取って代わるほどの大企業に成長し、市場を席巻する。優秀な企業ほど、この破壊的イノベーションを取り入れることができず、やがて業界から追い出されることになる。これが「イノベーションのジレンマ」だ。
2 破壊的技術の5つの原則
大企業は、以下の5つの原則に逆らおうとするときに失敗する。これらの原則と対峙するのではなく、調和し順応することが大切。
①企業は顧客と投資家に資源を依存している
経営者は会社の資源の流れを自分が管理していると考えているかもしれないが、実際は顧客と投資家を満足させるパターンを取っている。すぐれた企業ほどこの傾向が強く、顧客が望まないアイデアを排除するシステムが整っている。そのため、顧客が望まず利益率の低い破壊的技術に、十分な投資がされないままチャンスを逃してしまう。
②小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない
企業が成長して大きくなると、将来大規模になるはずの新しい小規模な市場に参入することがしだいに離しくなってくる。成功している企業は、株価を維持し、社員の職務範囲が広がるようチャンスを設けるため、成長しつづける必要がある。しかし、4000万ドルを売り上げる企業が20%の成長率を達成するには、翌年の売上高を800万ドル増やすだけでよいが、40億ドル企業では8億ドルの増収が必要である。これほどの規模を持つ新市場はない。そのため、組織が大規模になり、成功するにしたがい、新しい市場を会社の原動力とすることに無理が生じてくる。
③存在しない市場は分析できない
優秀な企業は、投資の段階で市場規模や収益率を数量化してから参入する。ところが、破壊的技術が起きる市場は事前に察知できない。
④組織の能力は無能力の決定要因になる
破壊的技術を生み出すためには組織的能力が必要になる。組織の能力は二つの要素によって決まる。
一つはプロセスである。これは、組織の人員が習得した労働力、エネルギー、技術、資源といった「インプット」を価値の向上という「アウトプット」に変える方法である。
もう一つは組織の価値基準である。これは、組織の経営者や従業員が優先事項を決定するときによりどころとする基準である。
人間はきわめて柔軟性が高く、訓練しだいでさまざまな物事をうまくやれるが、プロセスや価値基準に柔軟性はない。大企業においては組織の能力を生みだすはずのプロセスや価値基準も、破壊的技術に対応するための業務に当てはめようとすると、効率が悪化する。
⑤技術の供給が需要を超えてしまう。
いわば「顧客が必要としていない技術を無駄に追加してしまう」現象。
競合する複数の製品の性能が市場の需要を超えると、顧客は、性能の差によって製品を選択しなくなる。製品選択の基準は、性能から信頼性へ、さらに利便性から価格へと進化することが多い。
企業は、競争力の高い製品を開発し優位に立とうとするために、急速に上位市場へと移行する。多くの場合、高性能、高利益率の市場をめざして競争するうちに、当初の顧客の需要を満たしすぎたことに気づかない。そのため、低価格の分野に空白が生じ、破壊的技術を採用した競争相手が入り込む余地ができる。
3 破壊的技術に直面したときは
①既存顧客から離れ、破壊的技術の開発を、そのような技術を必要とする顧客がいる組織にまかせ、プロジェクトに資金が流れるようにする。
②小さな市場に対応できるよう、組織を独立させたり買収したりしながら、小規模組織を作る。
③トライ・アンド・エラーを繰り返す。破壊的技術を商品化するための初期の努力は、学習の機会と考え、データを収集しながらアジャイルしていく。
④早い段階から行動し、現在の技術の特性に合った市場を見つける。既存の主流市場とは別の、魅力の薄い新しい市場が、破壊的技術をつくり出す要因になる。
Posted by ブクログ
クリステンセン教授の代表作。経営書としては古典の領域なんだけど、全然古臭さを感じさせない面白さがやはりあった。クリステンセン教授はホント面白い本を書いてくれるなぁ。
「イノベーションのジレンマ」とはつまり(真に顧客が求める)評価軸の誤解と呼んで良いだろう。今売れている製品がより高品質になっていくことは、決して顧客や市場が求め続ける姿じゃない。技術とは進歩していくものなので、いつかローエンド商品が真に求められる範囲の規格を満たしてしまう。
まぁ難しいのは「市場で求められる製品規格」を決めるのは流動する市場のあり方からしか見えず、関連企業(本の中では「バリュー・ネットワーク」と呼んでいたが)が一意に決められないという部分。市場は出たこと勝負なのに、決められると誤解することが破壊的イノベーションを許してしまうというわけだな。
この理論を消費者目線からみた時がつまり『ジョブ理論』なのだなぁ、と勝手に理解しました。最初からこっちを読んでおけばもちっと理解が深まったかも?
古典でありながら強い説得力をもった一冊。オススメです。
Posted by ブクログ
優良企業は、その優良な経営によって失敗する。
冒頭から謎めいた結論をつきつけられ、どうしてだろう、と自然に疑問を持って読み進めることができた。
本書では、イノベーションを持続的イノベーションと破壊的イノベーションの2つにわけ、それぞれの性質の違いにより、上記の結論が導かれることになる。
持続的イノベーションとは、抜本的、漸進的なものを問わず、今ある製品の性能を段々と高めるようなものをいい、優良企業はこれへの対応に長けているため、それによって利益を上げている。
ところが、破壊的イノベーションは、既存の市場からすると、性能も収益率も低い、新しい下位市場で起きることが多い。これは、優良企業の収益も満たせず、また、その主要な顧客からのニーズもないため、優良企業は、顧客のニーズにきちんと応えるために、破壊的イノベーションへの対応が遅れる。
しかし、破壊的イノベーションによる技術が進歩するにつれて、それは下位市場からやがて既存の市場を塗り替えていくものとなる。
こうして、優良企業は、優良な経営ゆえに失敗する。
本書では、事例も含めて、この内容が詳細に検討されており、破壊的イノベーションに対応するのに、主流組織と別の組織により対応するという方法についても検討されている。
しかし、実際応用するとなると難しいと思う。何より破壊的イノベーションは、今までにない市場を生み出すし、それが破壊的イノベーションなのか、事前にはもちろん知りえない。
「見たものがすべて」と思いがちの人間からすると判断は難しいだろう。
また、破壊的イノベーションが起きてから、本書をひいて、後知恵で語るのは簡単なことだ。
なんにしても、優良企業がその優良な経営ゆえに失敗するというのは、イノベーションへの考えを変えてくれた。
Posted by ブクログ
イノベーションを「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」に分類し、ハードディスクや掘削機、製鉄を例示して、持続的イノベーションは顧客の声を傾聴し顧客に受け入れられる技術を積み重ねることにより大きな収益を得るのに対して、破壊的イノベーションは技術のレベル(顧客の求める性能)や収益は小さなものかもしれないが、新たな市場で元の大きな市場を凌駕していく可能性を秘めていることから、持続的イノベーションから抜け出せない既存企業の対応をイノベーションの「ジレンマ」と呼んでいる。
最後に(第十章)でその破壊的イノベーションをマネジメントする方法として1997年時点で電気自動車を例示している慧眼に感服した(地球環境の逼迫という大きな潮流はあるが)。今のテスラや中国のBYD等の破壊的イノベーションを予見していたのか!と思う。
Posted by ブクログ
イノベーションのジレンマを読んで
日本語版刊行にあたって
日本の大企業の問題点を指摘。
序章
本書で取り上げるのは、業界をリードしていた企業が、ある種の市場や技術の変化に直面した時、図らずともその地位を守ることに失敗する話。
"すぐれた"経営者こそ、業界リーダーの座を失った最大の理由。これらの企業は、顧客の意見に耳を傾け、顧客が求める製品を増産し、改良するために新技術に積極的に投資したからこそ、市場の動向を注意深く調査し、システマチックに最も収益率の高そうなイノベーションに投資配分したからこそ、リーダーの地位を失った。本書では、この破壊的イノベーションにおける判断を法則化した。
本書の第一章から第四章は、イノベーションのジレンマの構図(原因解明)、第五章から第十章は解決法に関して。
すぐれた経営が失敗につながる理由
① 「持続的」技術(製品の性能を高めるもの)と「破壊的」技術(短期的には製品の性能を引き下げる効果を持つイノベーション)の間には戦略的に重要な違いがある。 ② 技術の進歩のペースは市場の需要が変化するペースを上回る可能性がある。 ③ 成功している企業の顧客構造と財務構造は、ある種の新規参入企業と比較して、その企業がどのような投資を魅力的と考えるかに重大な影響を与える。
①に関して破壊的な技術には、主流から外れた少数の、たいていは新しい顧客に評価される特徴がある。こちらの製品は、通常、低価格、シンプル、小型で使い勝手が良い場合が多い。
②に関して、企業が競争相手より優れた製品を供給しようと努力すると、顧客が必要とする以上のものを提供してしまう恐れがある。
破壊的技術の5つの法則。① 企業は顧客と投資家に資源を依存している。② 小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない ③ 存在しない市場は分析できない。④ 組織の能力は無能力の決定的要因になる ⑤ 技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない
① 顧客と投資家を満足させる投資パターンを持たない企業は生き残れないため、実質的に資金の配分を決めるのは顧客と投資家。
⑤ 顧客が製品を比較して選択する際の基準が変化することを示す。製品の性能が市場の需要を超えると、製品選択の基準は性能から信頼性へ、さらに利便性から価格へと進化することが多い。企業は、競争力の高い製品を開発し優位に立とうとするために、急速に上位市場へと移行する。多くの場合、高性能、高利益率よ市場を目指して競争するうちに、当初の顧客の需要を満たしすぎたことに気づかない。そのため、低価格の分野に空白が生じ、破壊的技術を採用した競争相手な入り込む余地ができる。
第一章 なぜ優良企業は失敗するのか
実績のある企業はプラスの不連続性を乗り越えて業界をリードする力はあるが、マイナスの不連続性に直面とすると、業界でのリードを失うのが通常。
プラスの不連続に対する技術革新は持続的な投資能力を持つ大企業が強い。(持続的なイノベーションには強い)
企業は新技術を開発する能力があったにも関わらず、既存の顧客への対応をし、新技術の発展には遅れた。
まとめ ① 破壊的イノベーションは技術的には簡単。 ②この業界の先端開発は常に軌跡グラフの右上の利益率の高い領域に達することを目的としてきた。 ③ 破壊的技術を率先して開発し採用してきたのはいつも新規参入企業。
第二章 バリュー・ネットワークとイノベーションへの刺激
同じ製品であっても、バリューネットワークごとに、何をもって価値とするかが異なる。
製品ごと、コスト構造ごとなどでバリューネットワークが分かれる。
技術のSカーブは、技術戦略を考える際に最も重要。変曲点を見極めることが大事。破壊的イノベーションは別の性能を縦軸に取った図の上で発展し、別のバリューネットワークで求められるレベルになると、そのネットワークを侵食しはじめる。
破壊的技術が既存企業で開発→マーケティング担当者が主要顧客に意見を求める→実績ある企業が持続的技術の開発速度を上げる→新会社が設立され、試行錯誤の末、破壊的技術の市場が形成される→新規参入企業が上位市場へ移行→実績ある企業が顧客基盤を守るために遅まきながら時流に乗る(しかし、新規参入企業が製造・設計の面で圧倒的な優位を築いている)
第三章 掘削機業界における破壊的イノベーション
油圧式掘削機が破壊的イノベーション。始めは、小規模な住宅工事業者などに売られた。ケーブル式掘削機とは異なる尺度で測られる市場から始まる。実績ある企業は既存の市場で戦い、また敗北。
第四章 登れるが降りられない
高い利益率を得られる市場に移動していく傾向がある。ハイエンド市場に進むほど、粗利益率が高く、管理費の高さを補う構造になっている。
序章②?
成功した経営者が、5つの原則を役立てた方法
① 破壊的イノベーションを「適切な」顧客に結びつけた
② 破壊的技術を開発するプロジェクトを、小さな機会や小さな勝利にも前向きになれる小さな組織に任せた
③ 破壊的技術の市場を探る過程で、失敗を早い段階にわずかな犠牲で留めるよう計画を立てた。
④ 破壊的技術に取り組むために、主流組織の資源の一部は理由するが、主流組織のプロセスや価値基準は利用しないように注意した。破壊的技術に適した価値基準やコスト構造を持つやり方を作り出した。
⑤ 破壊的技術を商品化する際は、新たな市場を見つけるか、開拓した。
第五章 破壊的技術はそれを求める顧客を持つ組織に分かれる
破壊的技術が出現した時、経営者はどうするべきか。
① とにかく破壊的技術を追求し、収入源である顧客が拒否しようと上位市場の技術より収益性が低かろうと、その技術は長期的に重要であると全社員に伝える
② 独立した組織をつくり、その技術を必要とする新しい顧客の中で活動させること
(独立していることは、収益構造などの違いが悪影響をきたさないため。)
第六章 組織の規模を市場の規模に合わせる
新しい市場の成長率を上げようと、組織の規模が大きいまま行うと短絡的な成長需要を満たすことができない。また市場がうまみのある規模に拡大するまで待つと、新たな市場に馴染めない可能性がある。(破壊的製品の発売と、その販売対象となる市場の開拓をリードすることが重要。)
つまり、小規模な組織で対応するのが良い。独立した組織でも良いし、買収しても良い。
第七章 新しい成長市場を見出す
破壊的技術の市場予測は難しい。どのような顧客がどの程度の量を必要としているかは誰もわからないという前提のもと、プロジェクトを進めるべき。そして、製品の設計、設備投資は、様子を見ながら行うべき。
試行錯誤して適切な戦略を見つける前に資源や信頼を失った場合は事業として失敗。
破壊的技術には実効のための計画ではなく学習のための計画が必要。そうすれば後戻りのできない開発や投資をする前に、仮定が正しいかを検証したりできる。
第八章 組織にできること、できないことを評価する方法
組織にできること、できないことは、資源(人材、設備、技術、情報、資金、顧客との関係など)、プロセス(商品開発、調達、予算作成、事業計画、人材開発、資源配分など)、価値基準(コスト構造や事業モデルを反映したもので、企業の収益を上げるために従業員が従うもの)の3つの要因によって決まる。
失敗した企業は、破壊的技術でも成功する資源は持っているが、プロセスと価値基準な無能力だった。
新しいプロセス、価値基準を持った別組織を買収する場合は、親会社と統合すべきではない。統合すると、親会社の判断基準を踏襲することとなる。(資源は統合ok)
スピンアウト組織を作る場合は、独立組織が資源配分プロセスから独立していることが重要。
まず経営者は、資源を確認し、次に組織に成功するためのプロセスや価値基準があるかを確認するべき。
第9章 供給される性能、市場の需要、製品のライフサイクル
性能の供給が市場の需要を超えたときに何が起きるか?
ドライブの話では、容量が市場の需要を超えると、大きさという別の性能指標が取られるようになった。
一般に、ある特性に対して求められる性能レベルが達成されると、顧客は特性がさらに向上しても価格プレミアを払おうとしなくなり、市場は飽和状態に達成したことを示す。
ウィンダミア•アソシエーツの「購買階層」によれば、機能、信頼性、利便性、価格順で顧客の製品選択の指標は変化する。
顧客の需要の軌跡と、自社の技術者の供給の軌跡の両方を理解することは大事。
第十章 破壊的イノベーションのマネジメント
技術が破壊的かどうかは、市場で求められる性能向上の軌跡と、技術が供給する性能の軌跡をグラフにするのが良い。
マーケティング戦略のポイント(1. 主流市場で使えないことを認める 2. 初期の市場がわからないことを認める 3. 学習のための計画策定
潜在市場の推測。破壊的技術の弱みが強みと考えられる市場であろう。
開発としては、単純で信頼性が高く、便利なものを追求すべき。(9章の競争基盤の変化より)
第十一章 イノベーションのジレンマまとめ
感想
わかりやすく書かれた本。
③の原因から考えても、市場が求めているもの以外に自分が凄い可能性を感じていると思う分野には行動した方がいい
やっばりこの本を読んで思うのは、多様なポートフォリオを持ち、収益を色々なところから確保していける企業は生き残る。またその際特化した市場を持っていることももちろんプラスの要素にはなる。
新しい技術をいつも主流顧客に持ち込もうとする傾向はマーケティング能力の不足を表している。(本文) 顧客に新技術の必要性を解いたり、新たな顧客を探す努力はしなきゃだね。
Posted by ブクログ
これまでに多くの企業がその技術力などで市場を獲得し席巻している一方で、実績を持ちすぎたがゆえに市場からの退却を余儀されなくなっている事実が多くある。
こうした状況は何が起きているのか?そこにイノベーションのジレンマがあると言うのが本書である。
こうしたことがたびたび起きるのは、経営戦略などが間違っていたのか?と思われがちだが、そう言うわけでもない。むしろ優秀な経営者が正しい判断をしてしまうが故にイノベーションのジレンマが生じてしまう。
具体的には持続的技術と破壊的技術と言われるものがあり、それぞれ主流市場(規模が大きい)と新興市場(規模が小さい)もしくは上位市場と下位市場と位置付けられる市場がある。
これらはマーケティング戦略で正しく判断しようとすると、大きな企業であればその企業が持つ価値基準によって、利益にそぐわない投資(破壊的技術への)が必要になり、また新興市場というものは予測が不可能なものであり、意思決定においてどうしてもジレンマが生じてしまう。
そこで、どう行動すべきか?それをクリステンセンが示唆してくれている。
今でこそ、要約動画などが出回っているが、本書をしっかり読み解くことと、要約動画で知った気になるのとは天と地ほどの理解の差がある。
企業経営に携わるものは必携の書と言わざるを得ない。
Posted by ブクログ
正に古典的名著である。第10章の電気自動車についての考察は正に現在テスラが起こしているイノベーションを予感させるものであり、読んでいてワクワクさせられた。
Posted by ブクログ
破壊的イノベーションとはなにか、技術の進歩はどのようにしておこるか、詳細に書かれています。専門外の部分は読み飛ばしたが、それでも非常に分かり易い本でした。
Posted by ブクログ
最高の顧客の意見に耳を傾け、収益性と成長率を高くする新製品を作り出す優秀な企業がどうして衰退してするのか。
また、組織の能力は、人材の能力とは無関係であり、じん、資源などの入力を価値の向上というプロセスと優先事項を決定する価値基準によって決定される。
読みやすく、腑に落ちる本であった。
Posted by ブクログ
最強に面白いし、怖い。
「偉大な企業はすべて正しく行うが故に失敗する」
主要顧客や株主の期待に応えて高利益率の製品を提供し続けてるうちに、全く異なる指標で評価される市場で生まれる利益率が低い製品にいつのまにか代替される。
最近だと地銀の勘定系システムのクラウド移行が例かな。
勘定系の評価軸は信頼性や性能。メインフレームが主に利用される。
ただ、スケールや管理の容易さで評価されるシステムにてクラウドが導入され始め、徐々に勘定系システムで要求される信頼性や性能を満たすようになり、メインフレームを代替。
メインフレームを提供する企業は持続的イノベーションを加速
→異なる指標で評価されるローエンド市場で破壊的イノベーションであるクラウドが勃興
→メインフレームは勘定系の評価軸に対して供給過多になり、クラウドが勘定系の需要を満たすようになり代替。
恐ろしいなあ。
Posted by ブクログ
なぜイノベーションにやられてしまうのか、実感した。
企業の成長に対する期待値から必然とやられてしまうところを、どう防ぐのか、考えたいと思うきっかけになった。
Posted by ブクログ
中小企業の中で組織人として新事業立ち上げに従事している私としては、あまりにも身に覚えがありすぎて、グサグサと胸に刺さる本だった。
「わかる…!!」と噛み締めながら読んでいた。
私の勤める企業が優良企業かどうかはさておき、「古い経営慣行が邪魔をして新しいことへの対応が遅れる」という本書の論旨はあまりにも刺さりすぎた。
私は3人の小さなチームに所属していて、幸い会社の中でもかなり若く、勢いのある人員が揃っているから、モチベーションは高い方だ。
しかし、それでも「なんで会社はそんなことにばかりこだわって動きが遅いんだ!今までの商売と違うんだから、古いやり方に当てはめられるわけないだろ!さっさとやって、失敗しながら直して前に進んでいけばいいじゃないか!」と、はらわたが煮え繰り返ることがこの一年本当に何度もあった。
だから著者の本書での主張は、本心から賛同できる。
読み応えのある本だから簡単に人に勧められないが、同じように組織の中で鬱屈した思いを持つ人には良いかもしれない。
やっぱり何か新しいことに挑戦するときは、ある程度エイヤで一か八か的な姿勢でいかないと、物事は始められないのだろう。
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# メモ
## 破壊的技術の原則
1. 企業は顧客と投資家に資源を依存している
2. 小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない
3. 存在しない市場は分析できない
4. 組織の能力は無能力の決定的要因になる
5. 技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない
優良企業は、優れているがゆえに失敗する。
## イノベーションに気付いたときには遅すぎる
「新事業をやらないと」というのは多くの会社が考えることだが、「そんな小さい売上では会社は支えられない」と言われることも、あるあるだろう。
会社の新事業立ち上げに関わっている私自身、首がもげるほど頷きたくなった。
アイデアは出たが、市場が大きくなるまで待たないとと言われる。しかし大きくなった頃には競合がうじゃうじゃいて、もう勝てない。
誰もがサボっているわけではないし、知見もあるが、今のビジネスのお客さんをさらに満足させようとすればするほど、業界をひっくり返すような新しい技術には見向きしなくなってしまう。
顧客の声に応えるよう積極的に投資することは企業が成功するために必要なことであり、真っ当なことだ。しかし、そうするあまり小さな市場には目がいかなくなり、イノベーションの種を見逃してしまう。
2001年に書かれた本書の中で「電気自動車は破壊的技術」とあり、確かに今はその通りになった。
「大切なのは、そうした破壊的技術の種を見つけても馬鹿にせず真剣に受け止めて、それでいて現在の顧客をないがしろにしないこと」と著者は言う。
未来と現在、両方とも大事ということだろう。
## 企業がイノベーションを見落とすわけ
企業は通常、より収益性の高い(粗利率の高い)市場へ移動したがる。それが健全な企業としての活動だ。
しかしそうするあまり、「収益性は悪いけど、将来業界を改変するようなイノベーションの種」を見落とすことがある、というのが本書の主張。
上位市場には移動するが、下位市場へは移動しないという。
例えば、鉄くずを再利用して鉄鋼を作るミニミルという技術は、低コストながら大手製鉄所は当時見向きもしなかった。
収益性がないからだ。
当時のミニミルは鉄筋くらいにしか使えず、鉄筋は利益率が低くて魅力の薄い業界だったので、大手は手が引けてほっとしたくらいだったらしい。
一方で、ミニマルはその後成長し、どんどん上位市場に食い込んでいく。
さらに業界に新しい技術が現れるとミニミルを扱う会社がそれを取り入れ、大手が安定を目指して高収益事業に邁進している間に、シェアを広げていった。
たしかに、組織人として働いていると納得感がある。
仕事が軌道に乗ってくると、「もっと売ろう」と攻勢をかける。そして経費も増える。なので、より大きな市場、収益性の高い市場を目指すことになる。
そして、新しいけど小さな市場に参入するためには、たくさんの根拠を必要とするようになってしまい、腰が重くなる。
私の勤める会社でもまさにそう(大企業じゃないけど)。
これまでの既存の商売があるから、それを伸ばそうと試みる。その活動も大切なのだが、同時に、「新しい事業の種」を植えて育てることもやっていかないといけない。
種は植えてすぐに果実がなることはないのだから、早く植えて大事に育てていかなければならない。
## 既存の顧客による束縛
ハードディスク業界の破壊的技術は「小型化」、掘削機業界の破壊的技術は「油圧式」だった。
すごい速度で成長していたハードディスク業界の破壊的技術は「小型化」だったと後で分かるが、その時にそれが業界を塗り替えるほどと思った人は少なかっただろう。
カズオイシグロの小説『日の名残り』でもスティーブンスが「ターニングポイントは後になって気がつくもの」と言っていたが、まさにそうだ。
その時々の変化を捉えて、「これ、すごいんじゃない?」と気がついた少数の人はチャンスを掴める。
ハードディスク業界の主力企業たちも、小さな製品を作る技術はあった。なのに戦略的決定が遅れて負けた。
それは、『既存の顧客による束縛』があったからだと著者は言う。
「新しい技術があるらしいけど、うちのお客さんが求めるものをちゃんと作り続けなきゃ」と頑張っているうちに、気付いた頃には業界が塗り変わっていた。
既存事業が成功しているからといって、日々世の中に生まれる新市場の種を見下し、無視していたら、いつか足元をすくわれるということだろう。
## 新しい技術を市場に押し込むのでなく、評価される新しい市場を見つける
ハードディスクを小型化する技術を見つけたら、それの用途を新たに生み出す。
油圧式を見つけたら、それの用途を新たに生み出す。
そうして破壊的技術は市場に出てくる。そして出てきた時には、大企業では狙えない、狙いたくない小さな市場であって、対応が遅くなる。
重要なのは「この技術が受け入れられる市場はどこだ」とターゲットを探す姿勢。
マーケットイン、プロダクトアウトという言葉があるが、そもそも役に立つかどうかも怪しい「新技術の種」のプロジェクトを前進させるのは、プロダクトアウト以外の何物でもない。
「これはすごい技術のはず!」と、ある程度一か八かになるだろう。
「評価される場所を見つけてそこに行く」というのは、自分のキャリアを設計するのも同じだ。
自分の持っているポテンシャルを評価してもらえる場所を探して移動することで、評価も満足度も大きく違うだろう。
## マネージャーによる「ふるい分け」
「ほとんどのイノベーション案は組織の深い場所から生まれるが、その中から何をどう上に通すかは、中間管理職であるマネージャーが行うことが多い。そして、マネージャーは自分が通したプロジェクトが失敗することを恐れるため、確実に市場の需要があるであろうと思われるプロジェクトを支援したがる。どのプロジェクトを上層部へ持ち込むか、どのプロジェクトを放っておくかは、中間部のマネージャーが決めている。」
そう著者は言う。
これは、組織人に私にとっても身に覚えのありすぎる話だ。
みな、それぞれのポジションの仕事を全うしようとするあまり、大胆な行動はとりづらくなるのかもしれない。
下部の人員は「ふるい」にかかるようなアイデアを出すことはもちろん大事だが、「ふるいの目の細かさはマネージャー次第」というのがやきもきするポイントだろう。
会社の誰もやったことのないアイデアや、さらには市場でも新しいアイデアは、どのくらいの効果があるのか一か八かに思えるので、上司は安牌を取りたがる、というのも理解できる。
しかしそれらを放っておき、現状維持を選択することは、衰退する選択肢を選ぶことと同義である場合があることも、分かっておかないといけない。
よく投資の世界では「現状維持は実質損している」といったことが聞かれる。
投資を恐れて利率の低い銀行口座に貯金しているだけでは増えず、物価をはじめ支出は増え続けているので、実際は貯金の価値は目減りしている、という話。
ビジネスの世界でも同様だが、そのバランスを取ることが、経営者のセンスの問われるところだろう。
## 小さい組織に任せる
「大企業では小さな新市場に投資しにくいので、小さな組織を用意して任せる方が良い」というのが本書の主張。
大企業から見て小さな新市場は魅力的じゃないので、積極的に関わる人も少なければ、得られる売上も本業に比べてとても小さく、「それで事業としてやっていけるの?」となるだろう。
だから、小さな売上でも十分な小さな組織を作って任せる方が進むということかと理解した。
小さな組織なら、小さな売上でもモチベーションを高く保てる。
また、「人にとってプロジェクトが意味を持つのは、それが重要な顧客のニーズに応え、組織に貢献し、昇格の可能性を高める場合」と著者は言う。
「それやる意味あるの?」的状況のプロジェクトのマネージャーは、投資してもらうために社内を駆け回ることに労力を持って行かれてしまう、とも著者は言っており、これまた頭が飛んでいきそうなほど頷いた。
そんな意味でも、小さな組織でモチベーション高く進める方が良いのだろう。
## 不可知論的マーケティング
「破壊的イノベーションに直面したとき、マネージャーが打ち出す計画と戦略は、実行するためのものというより、学習し発見するための計画であるべき」と著者は言う。
市場の将来性を分かっていると思い込んでいるマネージャーより、不透明性を認識しているマネージャーの方が、柔軟に対応できる。
こんなとき、誰かが市場の輪郭をはっきりさせるまで待つという姿勢では乗り遅れる。
やったことのないもの、見たことのないものを、既存の社内の仕組みに無理に当てはめようとしても上手くいかないということかと理解した。
市場の未来は誰にも分からないのだからトラブルは起きるものだし、何が起きても修正できるように余力を残した上で計画を進めるべき。
## 変化に対応できる組織か否か
「変化に直面した組織を率いる経営者は、資源が確保できるか、成功するためのプロセスや価値基準があるかを検討しないといけない。慣例的に使ってきたプロセスは新しい問題に適しているか?」と著者は言う。
慣例の力は強い。
「うちのやり方はこうだから」「いつもこうしてきたから」と既存の方法に捉われているうちに、世の中はどんどん変わっていく。
だからその場合は、別の組織を買収するか、独立した組織をスパンアウトして作るかする方がいいというのが本書の主張。
しかし気をつけるのは、買収した企業の価値基準を親会社に合わせようとさせること。
それをすると、結局同じように変化に腰が重くなる。
## 性能の供給過剰
性能の向上がある一定のレベルに達すると、顧客は別の価値基準に価値を見出すようになる。
ハードディスクなら、処理速度が各社変わらなくなってきたら、次は小さくて軽いものに価値を見出す。
機能性、信頼性、利便性と、他社商品と差別化できなくなったら、もう価格しか見られない、というのが本書の主張。
作り手、売り手からすると「他とは違うのにお客さんは値段しか見てくれない!」と憤るかもしれないが、他者から見たらもう差はほとんど感じられない、ということは悲しいけどありそうだ。
私の仕事に関する家具について言えば、「機能性」はもう差はないだろう。「利便性」についてはLOWYAが「1台7役!」みたいな家具を販売しているが、あれに当たるか。「利便性」はECだろう。さらに「価格」も安いときた。こう考えると、LOWYAはめちゃくちゃ強い。
だから、たぶん「ズラす」のが良いのだろうと私は思う。例えば「家具」というジャンルをもっと細かく分けて、土俵を変えて戦う。
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高付加価値化、高額化の罠についての警告。本当にその通り。現在の技術を極めていく事で得られる高品質、完成度、その代償としての高額化、組織や商品発想の硬直化。その一番の原因が、サボっているからではなく、技術者が現在の枠組みやルールの中で一生懸命に取り組んでいるから。そして、枠外の最初は品質もルールも担保されないような発想にコストメリットで凌駕され、やがて品質でも並ばれて負けていく。しかし、ではどうすれば良いのだろう。。。事例で出てくるのは油圧シャベルやHDDの古い話。この事例については賛否あるらしいが、指摘されている警告は正しいと思う。現在進行形はグローバルの自動車業界か日本のモノづくりか。
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サラリーマンでありながら、今まで経営論というものを全く読んでこなかったことに気づき、とりあえず古典といわれる本書を手に取ってみた。
企業が組織されたばかりの段階では、その競争力は人材の内にある。それは、次第に、プロセス・価値基準へと移行し、最終的には「文化」に行き着く。
企業の能力が人材にあるうちは、変化に対応しやすいが、既存の優良企業においては、プロセス・価値基準、文化が競争力の源泉となっており、これに柔軟性は乏しい。
優良企業の能力というのは人材と関係がないという指摘、深くうなずける。
優良企業の資源配分のパターンは、実質的に、顧客が支配している。
顧客のニーズを満たしすぎる。
こういう傾向も日々実感しているところ。
ディスクドライブ、油圧式機械、ホンダの50ccバイクなど下位市場から上位市場へ移行していくパターンの理論も興味深く読んだが、これが今なお有効なものなのかどうかよくわからない。
企業の能力の核となるプロセス・価値基準および「文化」は変化を拒む。では、既存企業がイノベーションを起こすにはどうしたらいいのか。
企業内に独立した組織を設立するということが提案されていたが、イノベーションというものが本質的に未知の市場を開拓するという定義上、まあ、そういう大括りなものにならざるを得ないだろう。答えはない。
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優良企業が、新規参入企業に成すすべもなく「破壊」される仕組みを暴く。
一番の理由が、「破壊的技術」 だ。
小さな市場や、これまでになかった市場の中で
生まれた革新的な技術が急拡大することで、
大企業が築いてきた市場そのものが縮小する
からだ。
ではなぜ、大企業が革新的な技術が生まれる
市場を支配できないのだろうか?
それは、それらの市場は大企業の成長ニーズを
解決できないからだ。
そのため、大企業が既存の市場を維持しながら
破壊的技術に対応するには、独立した小回りの
きく組織を作り、小さな市場やこれまでにない市場を生みだす仕組みを作ることが必要だ。
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イノベーションのジレンマとは、
市場で地位を築いた優良企業が、その経営手法が優れているがゆえに、新技術に抵抗することができず、失敗するということである。
優良企業は、持続的技術の向上には優れており、それは企業が直面するイノベーションの大部分において有効である。なぜなら、顧客の求めるものに忠実に、積極的な投資を行い、既存の軸においてよりよい製品・サービスを生み出すから。
しかし、この下で最適化された能力・組織・文化は破壊的技術の前には通用しない。なぜなら、破壊的技術は既存の主要顧客にとっては価値のないものであることが一般的であり、かつ市場も小さく優良企業にとって魅力的な果実を得られるものではないために、資源を投資することが困難だからである。
破壊的技術は、既存の主要顧客の判断軸においては劣っているものが多いが、その特性が逆に付加価値となる市場が存在するはずである。マーケティング戦略によってこの市場を見つけ、そこにおいてより上位市場を目指して技術を向上させることで、いずれ既存の判断軸においても十分な性能に達する。これが、破壊的技術が持続的技術を完全に上回るタイミングであり、破壊的技術を無視してきた優良企業が地に落ちるときである。
技術の向上速度が市場の需要速度と一致しているとは限らず、技術が需要を上回ったタイミングが、破壊的技術が誕生するときである。技術が需要を上回ると、顧客の判断軸は価格へと移り、それ以上に技術を向上させたところで意味はない。
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2023年2月現在、この本を読んでいるとひたすらにAppleの iPhoneが頭に浮かぶ。明らかに、iPhoneの近年の画質向上とそれによる端末価格向上は市場の需要を上回っているものであり、何かしらの破壊的技術が頭を覗かせているのではと思う。
カリスマ経営者スティーブ・ジョブズがiPhoneを生み出してから約15年。世界を制したAppleは破壊的技術に対して適切な行動を取れるのか、それともこれからも持続的技術を追い求め、いずれ敗者となるのか。
Posted by ブクログ
有名な名著。
会社が非常にその市場で強いため、また経営陣が非常に優秀であるほど、破壊的イノベーションに破れるというもの。
どのようにその罠をかわすか、明確な答えはないものの、暗示的な回答は示されている。
Posted by ブクログ
業界をリードしてきた優良企業だからこそ、その成長を追い求めるという至極まっとうなことをした先に、破壊的イノベーションの攻撃に飲み込まれてしまうという現象を説いている本です。
ビジネス名著だけあって、この本で言われていることはよく引用されていると思うが、なかなか会社組織や業界の構造上、実行に移すことが容易ではないのでビジネスは難しいですね。
この本では、すぐれた経営者の健全な決定が失敗する法則と、それを解決するために優良企業がすべきことが書いてあります。ディスクドライブ業界の例を中心に、各業界の失敗・成功例を引用し、グラフもたくさんあって読むのが大変ですが、伝えたいことはとてもシンプルだと思いながら読みました。実行するのが大変なだけです。
自分の会社ではどういうフェーズにいるのか考えたり、だれかとディスカッションしながら読むと学びが深まると思います。日本の破壊的イノベーションは何か調べてみるのもいいですね。スマホやデジカメ、ファストファッションなど業界の構造が入れ替わった身近な例がたくさん見つかります。
今後破壊的イノベーションで優良企業を攻撃するのは...ノーコードの技術はどうでしょう。エンジニアやコーダーの仕事の大半がAIを味方にしたノーコード技術に取って変わられる時代が来るのではないかと予想しています。
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クリステンセン教授が実務家であるからこそ鋭い地に足のついた洞察が出来たのだろうと思われる。
本書は優れた経営者のもとなされる健全な決定が大企業を失敗に導く一方、既存事業を衰退させかねない破壊的技術にアロケーションしていく方法を解き明かす。
破壊的イノベーション=市場でそこまで求められていない技術においては既存顧客に聞いてはいけない。
まさに客に聞きすぎるきらいは日本に強くあり、スピンオフなのか強力なリーダーシップなのか市場に逆らった取り組みもあるなかでどのように生き残るのか。
持続的イノベーションばかりが目立つが、破壊的イノベーションを生み出せるのか、そこがこれからの鍵なのだろう。
Posted by ブクログ
・破壊的技術が優良企業を失敗においやる。
・優良企業が、破壊的技術に投資しない理由は、①破壊的技術の方がシンプルで低価格、低利益率であることが通常
②破壊的技術は一般に新しい市場か小規模の市場で商品化されるため
③優良企業の収益性の高い顧客は、破壊的技術の商品を求めないため、破壊的技術の商品は最初は市場で収益性の低い顧客に受け入れられる。
Posted by ブクログ
▽一言感想
大企業がなぜイノベーションで敗れるのか、その構造的な理由がよく分かった一冊。
▽3つのポイント
① 持続的イノベーションは既存顧客に向けた改良、破壊的イノベーションは新市場を切り拓く変化。
② 成功企業ほど既存顧客の声に縛られ、破壊的技術を軽視してしまう。
③ 破壊的イノベーションに対応するには、別組織や小規模プロジェクトでの取り組みが必要。
Posted by ブクログ
評価はものすごく高いけれど
大企業のお話なので、あまり響く箇所なく。
中小企業は当たり前にやっていることが
書かれていると思う。
忠実に翻訳されていると思うが
もっと読みやすくしても良い。
ハードディスクの大きさをインチで語られても
頭に入らない。そこは翻訳しないのか。
大学生が読むにはちょうどよいかも。