森嶋マリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分の脳がジョンフォンノイマンのように優れていたら、世の中はもっと違う見え方がするのだろうか。今はまだ生命に対して殆ど何も知らない状態だが、脳がもっと使えたら何か答えが出せるのだろうか。人生が一度きりなら、その答えに辿り着くために時間を割きたい。読書のモチベーションの一つは、本自体からその真理や知識、経験を得る事だが、もう一つは、読書という行為を通じて思考力を鍛えたい、という思いもある。残念ながら、本書には「読書と脳」というテーマはないが、最新の研究結果を網羅的に紹介する分厚い本であり満足度が高い。
一部、アンデシュハンセンの『運動脳』とか『ストレス脳』などと被るが、それは仕方ない。いや、二 -
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原題はHellow World:How to be Human in the Age of Machineであり、アルゴリズムとは一言も書いていない。しいていえば機械時代の人間はどうなんだろうか、ということになるのかもしれない。ただし中身はAIのことであり、AIとは言っていないが、アルゴリズムがどのようになっているかについて書かれている。映画のヒットを予測するためのテキストマイニングがあてにならなかったということや、コンピュータが作成した曲がオーディエンスには最もバッハと思われたの例がある。また、有名なバイオリニストが5億円のストラディバリで地下鉄の出口で45分演奏して35ドル
だけだったとい -
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政治家として16年ドイツの首相を務めたメルケル。それを支えた自分の資質を一つだけ挙げるとすれば何かと著者がインタビューした際に得られた答えは「忍耐力」。その言葉には、途切れぬ集中力やダメージを受けてからの回復力(レジリエンス)も含まれると著者。読み終えて、この意味がよく分かる。
為政者を取り上げた著作には、軸とする好奇の視点に加え、好意あるいは悪意が、どちらかに偏って主張される。本著は明らかに前者だ。メルケルを批判しようにも、隙が無かったとも言えるかも知れない。東ドイツ出身の科学者で女性政治家というマイノリティ。少なからず、そうしたバックボーンは彼女の人格に影響しているだろう。知的で理性的、 -
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非常に読み応えがあり、学びが多い一冊でした。
メルケルという人物を知るだけでなく、ヨーロッパの歴史や政治、世界の流れを理解する上で、非常に役立ちました。
メルケルは事実に基づいた粘り強い交渉の人でした。
多くの歴史・文化・思想を持つ難しいヨーロッパの中で、物理学者らしく事実をベースに困難な調整を進めます。そして東独出身の彼女は民主主義や自由の重要性を認識しており、その価値観を世界に訴えていきます。
プーチン、トランプ、中国などとも、謙虚な姿勢で対等に謙虚な交渉を続けていきました。
彼女のライフスタイルは、政治スタイルと同様、目立つことはなく、ベルリンの賃貸アパートで、質素に配偶者と暮ら -
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読みごたえのある一冊でした。
2021年首相退任までの様子が書かれているので、現在の世界(EU)情勢がよく分かった。
イギリスのEU離脱に見られるように、決して一枚岩ではないEUの中で重要なポジションにいるのがドイツの首相。
メルケルさんは、35歳まで東ドイツで暮らした女性の物理学博士という西側諸国の政治家としては稀有な存在です。
謙虚で質素、正確で根拠(エビデンス)に基づいた意思決定を信条とする。
どんな時でも、どんな相手でも、地道に辛抱強く合意点を見つけ出し問題解決に取り組んできた。
「日本の女性政治家」といえば、市川房枝さん、土井たか子さん、「日本のお母さん」といえば、京塚昌子さんが -
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世界最高の権力を持った女性宰相メルケルの決定的評伝!東独出身の地味な理系少女が、なぜ権力の頂点に立てたのか?――その強さの源泉は「倫理」と「科学」にあった。
メルケルのことはあまり知らなかった。東独出身の女性ということくらいしか。結婚していたことも知らない。でも演説などからは自分の理想に近いなと思っていた。
でもこの本を読んで、彼女の冷静さ、女性たちが後に続けるよう声高に叫ぶよりも着実に実績を残すこと、話し合いを諦めず妥協地点を見つけること、全てに感銘を受けた。自分はかっとなりやすさがあるし、立場も仕事も違うけれど、おおいに参考にしたい部分がたくさんある。もちろん欠点もあるけれど人だから当たり -
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この時期(ウクライナ情勢の懸念からウクライナとロシアの戦争となってしまった)に、この本を偶然読めたことで、もしもメルケルがまだドイツの首相であったなら...
ウクライナ情勢は変わっていたのかもしれないなぁ〜と思いながらワールドニュースを毎日見ていました。というか見ています。
読み応えありです。かなり...
政治の裏(?)話、交渉とは...
文章を読みながらTVで見ていた過去のニュースの画像が目に浮かび、世界の政治がよりリアルに感じられます。
そしてメルケル、そのほかの登場人物(各国の首相など)の
心の動きまでも読み取れる文体で政治音痴の私も本当に十分に興味津々で読み進めることができた。