倉田幸信の一覧
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ユーザーレビュー
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VRの可能性と危険性について知ることができた。単なるエンタメの道具と思っていたが、インターネットと同等あるいはそれ以上に人間の行動を変えるインパクトがあることを知り、VRを早く体験してみたいと思った。
Posted by ブクログ
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政治家として16年ドイツの首相を務めたメルケル。それを支えた自分の資質を一つだけ挙げるとすれば何かと著者がインタビューした際に得られた答えは「忍耐力」。その言葉には、途切れぬ集中力やダメージを受けてからの回復力(レジリエンス)も含まれると著者。読み終えて、この意味がよく分かる。
為政者を取り上げた
...続きを読む著作には、軸とする好奇の視点に加え、好意あるいは悪意が、どちらかに偏って主張される。本著は明らかに前者だ。メルケルを批判しようにも、隙が無かったとも言えるかも知れない。東ドイツ出身の科学者で女性政治家というマイノリティ。少なからず、そうしたバックボーンは彼女の人格に影響しているだろう。知的で理性的、忍耐強く、プーチンに仕返し、堂々と主張すべきを述べ、一方で涙ぐみながら移民の少女の話を聞くほどに、常識的で優しい感性、道徳に満ちている。
とりわけ、各国のトップとの交友秘話が本著の面白さだ。ブッシュ、オバマ、トランプ、プーチン、サルコジ、マクロン。ギリシアのアレクシス・ツィプラス。例えば、2007年、メルケルが犬を怖がると知ったロシアのプーチンは、自らのソチの豪邸に招き、愛犬のラブラドールレトリバーをけしかけた。対してメルケルは、プーチンのトラウマであるKGB時代潜伏地のドレスデンで意趣返し。メルケルとブッシュ大統領は良好な関係。当初は気候変動に関して懐疑的だったアメリカ大統領を味方につけることができた。ブッシュは気候変動が現実に起きていることを初めて公に認め、2050年までに排出量を半減させることを検討するとG8サミットで。また神経をとがらせていたプーチンを気にして、メルケルはウクライナとジョージア共和国をNATOに加えると言うブッシュの計画に反対し、メルケルの意見が通った。今の世界情勢を見るにメルケルの存在感は大きい。ただ、本著はメルケルを正義、プーチンやトランプを悪者として単純化している印象だ。
読めば読むほど、国のトップの役割の大きさを改めて感じる。日本は大丈夫だろうか。本著の副作用として、その不安が増長してしまった。
Posted by ブクログ
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民主主義を守るためのエッセンスが詰まっています。メルケルの様な政治家が今後も誕生して世界をリードしていって欲しいと心から願う気持ちになりました。産まれた時から自由が当たり前だった戦後生まれの日本人には是非読んでもらいたいです。
Posted by ブクログ
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非常に読み応えがあり、学びが多い一冊でした。
メルケルという人物を知るだけでなく、ヨーロッパの歴史や政治、世界の流れを理解する上で、非常に役立ちました。
メルケルは事実に基づいた粘り強い交渉の人でした。
多くの歴史・文化・思想を持つ難しいヨーロッパの中で、物理学者らしく事実をベースに困難な調整を
...続きを読む進めます。そして東独出身の彼女は民主主義や自由の重要性を認識しており、その価値観を世界に訴えていきます。
プーチン、トランプ、中国などとも、謙虚な姿勢で対等に謙虚な交渉を続けていきました。
彼女のライフスタイルは、政治スタイルと同様、目立つことはなく、ベルリンの賃貸アパートで、質素に配偶者と暮らしているようです。
今までの私の政治家のイメージは、言葉のパワーを使ったリーダーシップタイプでしたが、メルケルは全く違いました。事実を中心に粘り強い交渉で物事を前に進める。そして信頼感を蓄積し、他国のリーダーや人民との信頼感を築いていく。様々な価値観が衝突する現代において、最もふさわしいリーダーであったと思いました。
謙虚さ、忍耐力、レジリエンス、理性の大事さを学びました。
Posted by ブクログ
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読みごたえのある一冊でした。
2021年首相退任までの様子が書かれているので、現在の世界(EU)情勢がよく分かった。
イギリスのEU離脱に見られるように、決して一枚岩ではないEUの中で重要なポジションにいるのがドイツの首相。
メルケルさんは、35歳まで東ドイツで暮らした女性の物理学博士という西側諸
...続きを読む国の政治家としては稀有な存在です。
謙虚で質素、正確で根拠(エビデンス)に基づいた意思決定を信条とする。
どんな時でも、どんな相手でも、地道に辛抱強く合意点を見つけ出し問題解決に取り組んできた。
「日本の女性政治家」といえば、市川房枝さん、土井たか子さん、「日本のお母さん」といえば、京塚昌子さんが思い浮かびます。
メルケルさんは政治家なのですが、「ドイツの肝っ玉かあさん」というイメージもどこかに感じます。
これほど存在感と信頼感があり、親近感すら感じる政治家は他にはいません。
メルケルさんは、戦争に敗れロシアに支配された東ドイツという国で人生の半分を過ごしている。
ベルリンの壁が崩壊の時、そこに35歳のメルケルさんもいた。
壊された壁の向こうは、自由度も経済力も科学技術力も別世界だった。
東ドイツはどうなるのだろうと心配になったが、東西統一だと聞いてびっくりした。
ベルリンの壁が崩壊の時、東ドイツに派遣されていたKGBの諜報活動局のプーチンもいて、(おそらく)苦々しい思いを抱いていた。
今またロシアがウクライナ侵攻を再開しているが、2014年のロシアのウクライナ侵攻に対して粘り強く交渉し停戦に尽力したのがメルケルさんです。
メルケルさんはロシア語が話せる。プーチンはドイツ語が話せる。両者は通訳なしに会話ができる。
メルケルさんは長い間ロシアの監視社会の中で生きてきたので、ロシアの思想も理解しておりプーチンと最善の対応ができる人物として頼られもしたのだ。
ロシアのエネルギー、中国の市場、アメリカとは安全保障と、この3国と特に密接な関係にあるのがドイツという国だ。
アメリカとは、ブッシュ、オバマ時代は友好関係を築いてきたが、2017年にトランプが出現しアメリカが信頼できるパートナーではなくなった。
ドイツにとって最重要3国のトップが、プーチン、習近平、トランプになってしまったのだ。
実は2016年メルケルは首相の座を降りようとしていたが、世界各地での権威主義の台頭がそれを許さなかった。
ISテロ対策と難民受け入れがあり、イギリスのEU離脱が決まり、トランプが西側の秩序を壊しまくる。
プーチンは西側諸国の分断を大いに喜ぶ。習近平は様子を見て弱いところをじわじわ攻めてくる。
このままではプーチン、トランプ、習近平に好き勝手にやられる。世界の秩序を守るためにリーダーの役目を続けるしかない。
メルケルさんは、4期目は特に環境問題対策とデジタル技術の向上に注力するつもりだった。
AIと量子コンピュータの勉強もしていた。中国の技術力に脅威を感じていたのだ。
しかし未知のウイルスのパンデミックにより、コロナ危機管理マネージャーに急遽変身せざるを得なくなる。
コロナ対応に関しては、ドイツ人はメルケルの発する言葉を信じた。
メルケルに嘘をつかれたことは一度もなかったからだ。
15年間信頼を積み重ねてきた首相が、自分の言葉で自分の本心で語っているのが伝わって来たのだ。
日本やアメリカのように、公式な情報が信じられないのとは違っていた。
「国家レベルの危機にあっては、首相はそこにいる必要があって、責任者として指揮する姿を人々に見せなくてはならない。」
という当たり前のことをきちんと実践し、頻繁に国民に訴えかけた。
2005年首相になった当時は、東ヨーロッパやロシアとの友好関係維持やドイツ国内の問題改善に注力していたようだが、
2010ギリシャ財政危機からは、ドイツの首相というよりもヨーロッパの代表のようになる。
「自国のことだけを考えていればいいわけではないのです。我々はみな、この世界の一員なのです。」と言わざるを得ない世の中になってしまった。
メルケルさんの考え方や演説での発言内容は、当たり前のことのように思えるのだが、それが絶賛されるような社会は危険な兆候なのだともいえそうだ。
4期目の任期の終盤にきて、「レガシーは何か。」という質問には、そんなことを考えているヒマはないと答えていた。
自分を振り返る(=おおむね自分への言い分けで終わる)ことがじれったく我慢ならなかったようだ。
メルケルさんは、サッカーが大好きらしい。
世界中が平和の中で、純粋にワールドカップサッカーが楽しめる日が来て欲しいものだ。
Posted by ブクログ
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