倉田幸信のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【文章】
とても読みやすい
【ハマり】
★★★★★
【気付き】
★★★★・
2050年から人口は減少する。
飢饉、自然災害、戦争、感染症などの外圧によってではなく、自分たち自身の選択による人口減少は、人類史上初めての経験。
先進国だけでなく、発展途上国でも出生率は低下傾向にある。
出生率低下の原因は、都市化と女性の教育水準の上昇。
経済合理性の観点で考えた場合、子供を産むことは、農業社会では「投資(働き手が増える)」であるが、都市社会では、「負債」になる。
女性に対する教育水準が上がるほど、子供の数が減る。
田舎暮らしは環境負荷が高い。
人々が暮らす場所は集約した方がエネルギー効率が -
Posted by ブクログ
この本を読む前提として以下の2点をまず整理する
・学生時代にサッチャー回顧録を読んでおり同じ「鉄の女」比較を意識した
・メルケル時代のドイツに住んで難民危機の社会の雰囲気も体感していた
メルケルの基礎知識はあるつもりだったが幼少期の話しはへぇという話も多く興味深い。彼女にとって自由という理念がもっとも崇高なものであり、ソ連および社会主義体制への根本的な不信感と裏返しのアメリカへの大きな期待がある。ある意味でドイツの戦後を背負った人物である。さらにいえば、欧州域内で大人しく振る舞うこと、なおかつ欧州の地盤沈下を食い止めるリーダー役を宿命付けられたドイツの悩み・葛藤と向き合った政治家といえる。
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Posted by ブクログ
政治家として16年ドイツの首相を務めたメルケル。それを支えた自分の資質を一つだけ挙げるとすれば何かと著者がインタビューした際に得られた答えは「忍耐力」。その言葉には、途切れぬ集中力やダメージを受けてからの回復力(レジリエンス)も含まれると著者。読み終えて、この意味がよく分かる。
為政者を取り上げた著作には、軸とする好奇の視点に加え、好意あるいは悪意が、どちらかに偏って主張される。本著は明らかに前者だ。メルケルを批判しようにも、隙が無かったとも言えるかも知れない。東ドイツ出身の科学者で女性政治家というマイノリティ。少なからず、そうしたバックボーンは彼女の人格に影響しているだろう。知的で理性的、 -
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非常に読み応えがあり、学びが多い一冊でした。
メルケルという人物を知るだけでなく、ヨーロッパの歴史や政治、世界の流れを理解する上で、非常に役立ちました。
メルケルは事実に基づいた粘り強い交渉の人でした。
多くの歴史・文化・思想を持つ難しいヨーロッパの中で、物理学者らしく事実をベースに困難な調整を進めます。そして東独出身の彼女は民主主義や自由の重要性を認識しており、その価値観を世界に訴えていきます。
プーチン、トランプ、中国などとも、謙虚な姿勢で対等に謙虚な交渉を続けていきました。
彼女のライフスタイルは、政治スタイルと同様、目立つことはなく、ベルリンの賃貸アパートで、質素に配偶者と暮ら -
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読みごたえのある一冊でした。
2021年首相退任までの様子が書かれているので、現在の世界(EU)情勢がよく分かった。
イギリスのEU離脱に見られるように、決して一枚岩ではないEUの中で重要なポジションにいるのがドイツの首相。
メルケルさんは、35歳まで東ドイツで暮らした女性の物理学博士という西側諸国の政治家としては稀有な存在です。
謙虚で質素、正確で根拠(エビデンス)に基づいた意思決定を信条とする。
どんな時でも、どんな相手でも、地道に辛抱強く合意点を見つけ出し問題解決に取り組んできた。
「日本の女性政治家」といえば、市川房枝さん、土井たか子さん、「日本のお母さん」といえば、京塚昌子さんが -
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世界最高の権力を持った女性宰相メルケルの決定的評伝!東独出身の地味な理系少女が、なぜ権力の頂点に立てたのか?――その強さの源泉は「倫理」と「科学」にあった。
メルケルのことはあまり知らなかった。東独出身の女性ということくらいしか。結婚していたことも知らない。でも演説などからは自分の理想に近いなと思っていた。
でもこの本を読んで、彼女の冷静さ、女性たちが後に続けるよう声高に叫ぶよりも着実に実績を残すこと、話し合いを諦めず妥協地点を見つけること、全てに感銘を受けた。自分はかっとなりやすさがあるし、立場も仕事も違うけれど、おおいに参考にしたい部分がたくさんある。もちろん欠点もあるけれど人だから当たり -
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この時期(ウクライナ情勢の懸念からウクライナとロシアの戦争となってしまった)に、この本を偶然読めたことで、もしもメルケルがまだドイツの首相であったなら...
ウクライナ情勢は変わっていたのかもしれないなぁ〜と思いながらワールドニュースを毎日見ていました。というか見ています。
読み応えありです。かなり...
政治の裏(?)話、交渉とは...
文章を読みながらTVで見ていた過去のニュースの画像が目に浮かび、世界の政治がよりリアルに感じられます。
そしてメルケル、そのほかの登場人物(各国の首相など)の
心の動きまでも読み取れる文体で政治音痴の私も本当に十分に興味津々で読み進めることができた。
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Posted by ブクログ
「メルケル 世界一の宰相」。
「私にはいくつか問題があります。女であること、カリスマ性がないこと、コミュニケーションが下手なこと」(P95)。
まぎれもなくこれは名著である。
我が娘が将来仕事をするようになり、社会に貢献したいと願いながらなおその社会の理不尽さに翻弄されるようなときがきたらこの本を贈りたい。
同じようなバックグラウンドを持った同質な集団(西ドイツのエリート政治家集グループ、全員男性)の中に投げ込まれ、異物(東ドイツの田舎者と軽んじられる女性)として孤独を味わったときどうたち振る舞うべきか。
あまりにも多くの利害を調整せねばならず、しかもそのそれぞれの立場から無能をなじ -
Posted by ブクログ
2005年から16年の長きに渡り、ドイツ初の女性首相として活躍し、自国の欧州盟主国としての地位を確固たるものにしたアンゲラ・メルケル氏の生い立ちや素顔に迫るとともに、様々な危機を乗り越えて多くの偉業を成し遂げた政治手腕の秘密を解き明かした一冊。
著者は、幼少期〜青年期を東ドイツの監視社会の中で過ごし、厳格な両親に育てられながらも共産主義イデオロギーに染まることがなかったメルケルが、ベルリンの壁崩壊を機に優秀な物理学者として地位を捨てて政界に転身し、巨大政党CDUで頭角を表し、要職を歴任後に首相まで登り詰め、国際政治の舞台で活躍した背景には、常に慎重でファクトや論理を重視する姿勢、政治家同士の -
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ネタバレ日本やその他先進国、それに中国、アジア。人口減少はこれらの国々で起きていること。でもなぜか将来的には人口増加をなんとかしなくちゃならない。なんだか矛盾した考えを持っていた。
しかし実はアフリカでもそうなるだろうということが実データや各国での聞き取り調査でリアルに実感できた。
キーワードは女性だったのだ。女性が教育を受け、自分で自分の運命を決められる権利を持つ社会では同じことが起きる。これは腑に落ちた。
とすると、フランスなどは人口減に踏みとどまっているように私には見えていたが(大多数の人はそう思っているだろう)、それもあくまで延命措置に過ぎないように思える。
移民を増やすぐらいしか策が