倉田幸信のレビュー一覧
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ESG、サステナビリティ、、、
企業の責任が利益追求だけだった時代はもう終わった。潮目が変わった。
それはデータで裏付けできる。
著者はそういう。
なぜか何回もミルトン・フリードマンが引き合いに出される。
「企業の社会的責任は利潤を増やすこと」ということばとともに。
私はフリードマンが大好きなので、ん?と思う。
著者は必ずしもフリードマンを否定していない。
企業がESGに取り組むことで、利潤が減る、という見方は既に古く、
ESGへの取り組みのスピード、量によって、利潤に差が出る、
経営者はそこを失敗すれば馘にもなる、
と言っているのだ。
正直ほんまかいな?と思うところもある。
物言う株主は、そんないい人たちなのか?
地球思いなのか?
ディズニーランドの株を売れ、と京成電鉄に行っている株主は、
地球のことを考えていっているのか?
・・・もしかしたらそうなのかもしれない。
本業に投資して、サステナブルな鉄道事業、、、
どうしても懐疑的になってしまう。
あの合理的、というか、独善的なアメリカが、
そんな神さまみたいな判断ができるのか。
トランプ前大統領みたいな、地球温暖化などない!
と言っている金持ちも多いのではなかろうか。
しかししかし、確かに信じたい。
目の前のカネだけを追う人ばかりではないと。
未来の地球を美しい姿で自分の子孫に残したい、
そういう、ある意味本能に従う人たちが多数派であることを。
あれ?
パーパスが主役の本ではないのかな?
ESG、サステナビリティなどを前面に打ち出すのがその企業のパーパス、
ということなのかな。
読みこみきれていなかったかな、、、 -
Posted by ブクログ
読む奇きっかけ、ロシアによるウクライナ侵略
世界が直面している問題に関心を向けられる内容
ヨーロッパの一国であるが、近年の独裁、侵略、分断の歴史がメルケルのスター性を自身に求めない人柄を作った
特に気づいた点
•外国目線で世界の歴史を振り返ると、日本など殆ど存在しない。
•プーチンの厄介さをヒットラー独裁の歴史と東ドイツで育ったメルケルはとても理解していた。
•目を引くような事はしないが科学者らしく、着実で正確な措置ができ支持されていた。
•先端分野でトップに立つ中国の脅威
印象的な章
シリア難民の受け入れ
国民の不安、反対の声が相次いでも受け入れる意志を貫いた、生い立ちとも深い関わり感じる章です。
意外に面白い点
サッカー好きとしては熱狂的サッカーファンのメルケルチャーミングさ溢れ話も◎ -
Posted by ブクログ
【感想】
国連の「世界人口予測2019」によれば、世界人口は2030年に85億人、2050年には97億人、2100年には109億人に達するとされている。しかし、筆者のダリル・ブリッカーはこの予測に懐疑的だ。筆者は2050年に90億人で人口がピークに達し、その後は減少が続き二度と上昇しなくなると予想している。
この「人口はどんどん減っていく」という前提条件のもと話が展開していくのだが、筆者の主張の数々はあまりに暗く悲劇的だ。人口減少は避けられない運命であり、しかもそれを覆す手段は「ない」。高福祉国が出産奨励施策を実行しても、中東地域からの移民を受け入れても、はたまた若い国であるインドやアフリカ諸国が頑張っても「人類の縮小は止められない」と述べている。大変ショッキングな内容だ。
ひとつ、先進国による重点的な子育て支援をピックアップしてみよう。
現在先進国の中で出生率がかなり上位なのがスウェーデンだ。
スウェーデンは1990年代の不況が終わると、出生率向上のために新しい施策を導入した。育児休暇は480日間に延長され、ほぼ全期間で収入の80%が補償される。夫婦はそれぞれが少なくとも2カ月間の育児休暇を取るよう求められ(取得努力ではなく必須だ)、それが消化できないと権利の一部を失うことになる。ベースとなる手厚い家族手当に加え、子供がひとり増えるごとに手当が加算される。子供の数が多いほど、ひとり当たりの手当の額も増額される仕組みだ。ストックホルムでは、ベビーカーを押している親は無料で公共交通機関を利用できる。ほとんどの職場では、従業員の子供が病気になって親が家に残る必要がある場合、有給休暇が与えられる。
そうしたたゆまぬ努力の結果、スウェーデンの出生率は見事に「1.9」である。悲しいことにこれだけやっても人口を長期間維持するには足りない水準なのだ。お隣のフィンランド――こちらも世界最高レベルの子育て政策を採用している――はなんと1.35(2019年)。日本よりも低いのだ。
ここまで頑張っても自国民が子どもを産まないのであれば、もはや移民に頼るしかない。事実、スウェーデンは人口を底支えするために次第に移民に頼るようになってきており、生粋のスウェーデン人の間に新たな移民流入に対する反発も広がりつつある。ただし、移民は人口こそ増やすが出生率の改善にはつながらない。すぐに移住先の出生率に合わせて子供を産まなくなるからだ。そうすると、移民を受け入れてもその場しのぎにしかならないばかりか、将来的には移民すら高齢者となって経済を圧迫していく。
現在人口増加地域であるインド、アフリカ諸国においても減少トレンドは変わらない。
多くの発展途上国における家族計画とは、経済的必要性であり、宗教と家父長制という伝統に則った儀式だった。今でも家と家との結びつきを重視した婚姻制度は強く残っているが、それも徐々に変革を迎えている。経済状況の好転と女性の権利の拡大によって、「子供は多くて二人」と考える女性が増えているのだ。伝統的な男性優位社会においては子供を産むことによる女性の負担は尋常じゃないため、結婚相手を自力で選べるようになった女性の間では、理想とする「家族サイズ」の縮小が進んでいる。もはや世界の価値観は少子化に傾いており、これを覆すことはできないというわけだ。
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「世界人口は減少し続ける」「どの国も出生率は2.1を割り込むようになる」「移民は人口を増やすが、出生率の向上にはつながらない」など、筆者の主張は単純明快だが、それを補強するためのエピソードが抜群に面白い。各国の女性(とくに社会的に高い位置にいる人)へのインタビューにより割り出した家族意識の変遷や、ケニア人を例に取った、先進国と発展途上国の個人のアイデンティティの違い(先進国はアイデンティティを国に根ざし、発展途上国は部族と親族と家族に根ざす)、また経済発展による家族形態の変化が出生率をどう下げていくかなど、読んでいて新たな発見が生まれるものばかりだった。内容はシンプルでわかりやすいが読み応えは抜群。とてもおすすめの一冊だ。
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【まとめ】
1 世界人口が減少に転じるとき
世界の人口は2050年に90億人で頂点に達し、減り始める。そして一度減少に転じれば、二度と増加することなくずっと減り続ける。
出生率が下がる最も大きな要因は都市化だ。
中世ヨーロッパの社会では人口の90%が農業で暮らしていた。だが産業革命とともに登場した工場により、労働者は都市に集まってきた。農場では子供を作るのが「投資」になる。だが都市では子供は「負債」になる。2008年に行われたガーナの都市化と出生率に関する研究では、次のように結論している。「都市生活では子育ての費用がかさむ見込みが高いため、都市化は出生率を下げる。都市では住宅費が余計にかかるし、おそらく家庭内生産の面でも子供は都市ではあまり役に立たない」。
次に関係している要因は女性の教育水準の向上である。社会が都市化して女性の力が増すと、親族の結びつき(子供を作れとプレッシャーをかけてくる存在)、組織的宗教の影響力(避妊と堕胎を悪とみなす存在)、そして男性の支配力が、出生率とともに低下する。
2 老いゆくヨーロッパ
EUの現在の出生率の平均は1.6である。
1930年代の大恐慌の時代になると、欧州の多くの国では、かろうじて人口を維持できる程度の赤ちゃんしか生まれなくなった。その危機が去ったあとには、大恐慌と第二次世界大戦により出産が抑圧された反動で、先進国にベビーブームが起きる。
スカンジナビア諸国の出生率は1世紀以上も着実な低下を続けたのち、1930年代中頃に底打ちして増加に転じた。1935年、イングランドおよびウェールズの出生率は1.7、ベルギーは1.9で底を打ち、その後は上昇傾向に転じている。戦後に西ドイツとなる地域の出生率は、1933年には1.6と人口置換水準を大きく下回っていた。ところがその後ドイツ人はふたたび赤ちゃんを産み始め、フランスでも同様に出生率は上昇に転じた。フランスとベルギーの出生率は第二次世界大戦の最中にも増加していたようだ。
しかし、1960年代まで続いたヨーロッパのベビーブームは1970年代になるとふたたび人口置換水準まで落ち、その後もさらに下がり続けた。現在、フィンランドの出生率は1.8、スロベニアは1.6。欧州で出生率が最高レベルのフランスは2.0、デンマークは1.7だ。
このトレンドはなんら新しいものではない。前述したように、それまで出生率は1世紀半にわたり下落してきた。都市化、公衆衛生の改善、豊かさの広がり、そしてなによりも女性の自立性が高まったことの結果として、世代を経るごとに女性はますます子供を産まなくなっていた。ピルの登場や産児制限が利用しやすくなったこと、適切な性教育なども一定の役割を果たした。要するに、ベビーブームは一時的な例外現象だったのだ。
人口減少に対する欧州の解決策は「移民」だった。だが、移民はメリットに匹敵するだけの問題も引き起こす。孤立、拒絶、民族間の衝突、高まる緊張感などだ。さらに、移民を「輸入」すれば確かに下がりつつある出生率の底上げにはなるが、その移民は(イスラム系移民も含め)すぐに移住先の出生率に合わせて子供を産まなくなる。わずか一世代、移民本人の子供の世代になれば、もう20世紀の都市生活に馴染み、「子供というのは少数を大事に育てるものだ」と考えるようになる。
子供を持とうと思わせるための多彩な支援政策は確かに一定の効果を持つ。目盛りを動かすことができるのだ。ただし目盛りを大きく動かすことはできない。しかもそうした支援政策には巨額の費用がかかり、不況時にも同じ政策を続けるのは難しい。
工業化と都市化、そして経済成長によって初めて、産む子供を少なくしようという選択を女性ができる条件が整えられる。しかし、一度そうなったあとでは、不況になると出生率が低下し、景気が回復して生活が豊かになっても出生率を下げるのだ。
3 人口減少トップランナー、日本
日本の出生率は1.4であり、長期に渡り低迷が続いている。このトレンドはほか先進国と比べて珍しいものではないが、日本の特徴は強力な移民制限政策を採っていることにある。
日本は血統主義、すなわち国籍が血筋に応じて与えられる。より正確に言えば、生まれた子の親の片方がすでに日本国籍を持っていることが条件になる。2015年に日本が国籍を与えた外国人の数は9469人であり、2010年より3500人近く減っている計算だ。
アジアの女性が結婚と出産を先延ばしにする理由のひとつに、男性優位の文化がある。
ミレニアル世代の男たちは、自分が親の世代より進歩的で家事や子育ても喜んで分担していると主張するが、統計データからは別の姿が見えてくる。日本人男性が家事に割く時間は1996年(1日27分)から2011年(90分)で確かに3倍になっている。だが、日本人女性の平均である3時間と比べればまだはるかに少ないし、大半の先進国の男性と比べてもやはり少ない。OECDの調査によれば、日本人男性はOECD諸国のなかで子供の世話をする時間が一番少なく、家事をする時間は韓国人男性の次に少ない。
この理由はアジア人男性が怠惰だからではない。その正反対である。日本人男性は一週間の労働時間が80時間になるケースも珍しくないのだ。あまりに疲れ切って性交渉さえ持たなくなることが日本の少子化危機の一因かもしれない。ある調査では、18歳から4歳までの日本人男性の4%が、過去1ヵ月間にセックスをしていないと回答しており、2年前の調査より10%ほど上昇している。
人口減少を埋め合わせる別の方法は移民だが、日本やアジア諸国は移民にまったく対応していない。カナダは国民人口1000人当り4人の難民を受け入れているが、中国は0.22人、日本は0.02人、韓国は0.03人だ。こうした移民受け入れ反対の国や地域の人々は、自分たちが人種的に同一だと考え、その同一性には価値があり、守るべきものだと思っている。
日本経済の停滞基調がそろそろ30年にも及ぼうという理由の一端は、人口の高齢化にある。人口の減少はイノベーションを起こせる若者の減少を生み、イノベーションの減少は銀行の融資の減少を生む。そして人々は年齢とともに消費を減らしていく。
日本人全体が今、ひとつの選択を迫られている。日本社会に移民を受け入れるか、それとも小国として生きるすべを学ぶか、そのどちらかしかない。おそらく日本人は後者を選ぶのではないだろうか。感情を表さずに優雅な冷静さを保ちながら、消えゆく村落や国富の減少を淡々と受け入れるのだ。
4 移民は減少している
貧しい国から豊かな国への移住は今でもある。だが、最貧国でも1世代前と比べてずっと豊かになっている。1990年には極貧状態(1日2米ドル未満)で暮らす人が18億人以上いたのに、2015年には8億人未満まで減った。今世紀中に極貧状態を皆無にできる可能性は、たんに「ある」のではなく「高い」。そして、貧困状態にない人はあまり移動しない。要するに、近年の中東からの難民は、我々の祖先とまったく変わらぬ危険と困難に耐えているとはいえ、より大きな真実を見えにくくしている。実は、難民をめぐる状況は見かけよりも落ち着いているのだ。
2015年、世界の難民の半数以上(54%)はわずか3カ国から発生した。シリア(490万人)、アフガニスタン(270万人)、ソマリア(110万人)だ。また、一部のヨーロッパ人は欧州大陸が難民であふれていると主張するが、世界の難民の90%は先進国でなく発展途上国の難民キャンプで暮らしている。中東と北アフリカが40%、サハラ以南のアフリカが30%だ。難民受け入れ国のトップ3はトルコ(250万人)、パキスタン(160万人)、レバノン(110万人)である。そして、西側諸国の支援を受けたイラク軍やクルド軍が次々とISISを撃退し、シリア内戦の暴力も沈静化しつつあるため、難民たちは少しずつ帰国を始めている。2017年前半だけで30万人が帰国した。
難民を除く国際移民を見ると、全体の4分の3は「押し出される」のではなく「引き寄せられる」動きをしている。中所得の国からより豊かな国へと引き寄せられているのだ。
全体として、局地紛争を除くと、ここ数十年の移民をめぐる状況はかなり落ち着いていたと言える。もはや移民危機など存在していない。
そもそも、移民は人口減少や高齢化の根本的解決にはならない。移民はそれほど若くなく、中央年齢は39歳だ。その年齢だと多くの人は、もう新たに子供をつくらないだろう。したがって、移民人口が出生率を上げてくれる可能性は実はとても低い。また、別の理由として、移民は移住先の国の出生パターンにすぐ適応するという点もある。
もはや、移民が国境を超えることはほとんどなくなるかもしれない。どこでも出生率は下がっており、最貧国ですら下がっている。しかも、かつては極めて貧しかった国でも賃金は上昇傾向にあり、移民になる動機は減っている。
それでも、人口減少が目前に迫った国にとって、減少を食い止める当面の最適な方法は移民の受け入れを増やすことである。移民がその国を必要とするのと同じだけ、その国も移民を必要としているのだから。
5 カナダの成功
カナダの総人口は3520万人。5年間で人口は5%増えており、現状のままでも2060年までに5000万人まで増える計算だ。
この増加の鍵を握っているのが移民だ。年間30万人の移民を受け入れており、さらにその数を年間45万人に増やそうという動きもある。それでいてカナダに来る移民はカナダで生まれ育ったカナダ人より良い教育を受けており、治安の悪化もない。トロントは住民の半数が外国生まれだが、殺人事件の発生数は世界で8番目に少ない。
その秘密は移民の選定条件にある。カナダでは、カナダ経済に貢献できる人を条件に移住を許している。欧州の国のように、人道的な理由をメインとしていない。難民受け入れを自国の利益のために利用する、と完全に割り切っているのがカナダの特徴であり強みだ。
1960年代、カナダで移民・永住希望者へのポイント制度が導入される。これは教育水準や仕事のスキル、英語もしくはフランス語の能力、カナダとの関係の深さなどに応じて加点し、可否を判断する制度だ。これにより、世界中どこの誰でも移民を申請できるようになった。ラテンアメリカから何百万もの移民(多くは違法)を吸収するアメリカや、近隣の北アフリカや中東から移民を引き込むヨーロッパとは違い、カナダは全世界からの移民を歓迎するようになった。ただし、カナダに移住後すばやく仕事が見つけられるだけの職歴と学歴があることが条件として明記されている。移民とはカナダにとってなによりもまず経済政策なのだ。労働力不足をおぎない、人口増加を支えることがその狙いだ。
1990年代になり、低出生率が一時的現象ではなく完全に社会に定着したとわかると、カナダ政府は水門を開け放ち、年間25万人の移民を受け入れることにした。
移民文化の代表例であるアメリカやオーストラリアでさえ、自国民のアイデンティティをしっかりひとつの概念として持っている。ところがカナダは多文化の寄せ集めになった。それぞれのコミュニティは独自の文化的な繋がりを保ち、出身地である市町村や州、国といった共通の単位でまとまっている。
移民を積極的に受け入れている国であっても明確な「国民的気質」と呼べるものがある。移民はその気質を自分にも取り入れるか、さもなくばその国を去るしかない。
ところが、カナダにはそこまで強い国民的気質というものがない。カナダ人はお互いが相手に合わせようとする。この「調整の文化」がカナダという国を、形もなければ目的もなく、結局は意味すら持たない場所にしている。
しかし、まさにこの国をひとつにまとめる機能の欠如こそ、カナダが脱国家的国家(ポストナショナル・ステート)として成功できた秘訣なのである。カナダには世界中のあらゆる地域、あらゆる階層に属する人がやって来て、主に大都市に住み、仕事を始め、友好的な人々に囲まれ新生活を送れる。こうしてカナダは地球上で最も多様性に富みながら平和で和気あいあいとした国になったのだ。
ただし、カナダ人の移民に対する意識は、必ずしも全員肯定的なわけではない。全カナダ人の1/3は多文化主義をまったく支持しておらず、ケベック州(独立のための住民投票があった州だ)は多文化受け入れに対する許容度がはるかに低い。
6 2050年に世界はどうなっているか
環境負荷の面を考えると、地方に住んで車を使うより、都心の高層ビルにぎゅうぎゅうに住んで地下鉄を使ったほうがいい。都市化とイノベーション、そして人口減少こそ地球温暖化を止める最適解かもしれない。
しかし、その時世界は平和なのか?
可能性を挙げればきりがない。いずれにせよ、未来は放っておいてもやってくる。我々は自分の道を進むだけだ。高齢者を大事にし、若者をはげまし、すべての人が平等に扱われる社会にしなければならない。移民を歓迎し、彼らと共に暮らしつつ、人々がその社会で暮らしたいと思えるよう自由と寛大さを維持していかねばならない。人口減少時代が必ずしも社会の衰退期になると決まっているわけではない。とはいえ、現在我々に起きつつあること、近い将来に起きることを理解する必要はある。人類が地球に生まれてからこのかた、このような事態に直面したことは一度もないのだ。 -
Posted by ブクログ
メルケルのコロナ対応に際して国民に呼び掛けた演説に感動して、どんな人物か少しでも知りたいと思い、読み始めました。
東日本大震災の惨事から原発政策からの完全撤退の決断、ロシアの天然ガスパイプラインへの投資の決断、中国への経済的傾斜への舵取り、ユーロ危機に際してEU支援に背を向けるも、コロナ禍で財政疲弊したEU加盟の国への支援にフランスと共に財政負担を決断等、その時々のドイツやEU、民主主義陣営を守るべく行動の数々がまさにメルケルなのだと思います。
首相の仕事を「私の呪わしい努め」と表現する人物、「努力の人だったと歴史書に書かれたい」と語る人物、本書が言うには「名誉や功績より、結果を求める人物」、国内政治への権限が制約されている連立政権の首相でありながら、世界のリーダーとしての活躍に驚くばかりです。
メルケルの再登場を求める様なロシアのウクライナ侵攻を目にして、この事態を今解決に導いてくれる政治家が居るのだろうかと思いました。
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Posted by ブクログ
メルケルの人生と政治家としてのスタンス、実績、他国との付き合い方が分かる本。
日本にいると、欧州のトップ同士の付き合いとか分かりにくいけど、よくそれが理解できる。
メルケルとプーチンは元警察国家出身だから、お互い理解(ただし共感では決してない)できるし、対ロシアとの交渉は、欧州、時にはアメリカも含めメルケルが対応することが多かったよう。
また、アメリカ大統領で1番信頼していたのがブッシュだったらしい。
同じ女性として、ここまで頭が切れて人生を切り拓き、だけど権力に溺れず、家庭を大事にする人は素直に尊敬できる。
勿論かなり良い方に描かれてはいるだろうけど、メルケルと統治下のドイツ政治を知る最適な入門書だと思う。
ドイツは首相の権限がかなり狭く、しかも連立政権なので、実は内政で出来ることはあまり無く外交に力を注いでいた、最後の一年は与党党首を辞めて外交強化のつもりがコロナ対策に追われたなど、よく知らないドイツの政治もなんとなく全体像が見えてくる。 -
Posted by ブクログ
著者をあまり意識せずに読み始めたので、誰目線?って感じが強かった。
今でも存命の方の、伝記的要素の強い本なので、どうしてもフラットな書き方はできないのは分かりつつも、賞賛する方の書いた本と言う雰囲気がダダ漏れだったのはちょっと残念。
ただ、日本人が、日本語で、遠いヨーロッパの首相を務めた女性のあゆみを知ることに於いては、決して内容的に劣るものでは無い事も確かです。
この本を日本に出版し、彼女について私たちが知る事はとても有意義な事でしょう。
彼女が引退し、ウクライナとの戦争が始まったのは偶然では無いと思います。彼女の力で今までくすぶりつつも戦争にまで発展しなかったんだと、この本を読み、強く思いました。 -
Posted by ブクログ
私達はメルケルの多くを知りません。
確かに、ドイツという欧州で重要な国の一つである以上、日本にいてもメディアを通じて触れる機会は多いです。
しかしそれはあくまで一政治家としてのメルケルです。ドイツ関連の本でメルケルに触れる記述をみても、その人物像に触れる記載はほとんどありません。メルケルは多くの自己顕示欲の強い、派手な各国のトップと異なり、プライベートを徹底して明かさない人でした。
そのためメルケルについて多くを知る、ということは困難なことなのでした。
本書はそんなメルケルについて多くを知ることができます。
牧師の娘として生まれ、冷戦下の東ドイツで育ったメルケル
抑圧された生活の中で自分を巧みに守りながら勉学に励む。名門ライプツィヒ大学(カール•マルクス 大学)へ入学。物理学を選んだ理由の一つが「東ドイツでも基礎的な算術と自然の法則を止めることはできなかったから」。
23歳で結婚し現在まで名乗ることになるメルケルとなるも3年で離婚。ちなみに直後しばらくは荒廃地域のアパートの空き部屋に無断で住んでいたとのこと。
ベルリンの壁が崩壊。
眩い輝く未来が広がっていることを感じ、刺激を求め、また新たな国をつくることにも魅力を感じ、政治家へ転向。
以後現在に至る。
多様性と自由を尊重する、寛容である、感情的にならずに冷静に理性的に人と接し物事を取り組む、物事をじっくり考え慎重に行動を起こす、そのようなメルケルの姿勢がその生い立ちを背景にして染み入る様に理解できます。
著者のカティ•マートンは旧東欧のハンガリーで生まれ育ち、ユダヤ人の祖父母をアウシュビッツでなくした背景をもつ女性の元記者とのこと。
ドイツ、欧州、米国のかつての政権周辺の重要人物にも多く取材をしており、メルケルが関わった年代のドイツ国内、国際政治の裏側の一部を垣間見ることができるのも、本書の面白いところです。
尋常ではない体力で、国内、欧州、世界と大小の差はあれそれぞれの深刻さを抱えた問題に、焦らず、感情的にならず対処していく様は、ドラマチックと言う類のものではないにしても驚きを持って受け止めるべきものです。
2014年のロシアによるウクライナ侵攻以降のプーチンとの闘いについて。このあたりの話題は現在のウクライナ戦争にもつながるものであり、情報としても重要かつ価値があるものでしょう。
自由と民主主義の世界代表として話し合いで解決を目指すメルケルと、権威独裁主義で嘘を交え(真実を交え、の方が適当か?)争いで抑えつけようとするプーチンの闘い。政治的な描写だけでなく人間的な側面も交えて生々しく描かれています。
とはいえメルケルは、プーチンに対しても極めて冷静に(心の中ではともかく)、事実やデータを踏まえて、粘り強く対応していきます。十数時間のぶっ続けの会議の末に結ばれたミンスク合意も(内容とその後の現実はともかく)、それまでのメルケルの粉骨砕身の努力によるところが大きいのだということがよくわかります。
スキャンダルとは無縁で、自由、民主主義、人権の尊重などの確固たる信条を持ちながらも、様々な利害関係の中で多くの妥協をしてきたメルケル。こんなすごい人でも完璧にこなすことはできないんだ、と社会と世界が安定して存在することの絶望的な難しさをつくづく感じます。
と同時に多様な人々の間で一致点を探ろうとして、それが一時的にでも生まれた瞬間の輝きに触れると、人を信じて対話をしていくことを諦めてはいけないという思いにもさせてくれます。
首相時代からずっと賃貸マンションに夫と住んでおり、自分でスーパーへ買い物に行って料理を作る(洗濯は夫)メルケル。
現欧州委員会委員長かつメルケル政権元国防相であるウルズラ•フォン•デア•ライエンに手を添えられながら彼女を見つめるメルケルは、とても慈愛に満ちたチャーミングな表情をしています。 -
Posted by ブクログ
世界人工は増加すると言われていたが、実際は2050年頃をピークと
して減少を始め、二度と増えることは無い。
そんな予測を各国の出生率や都市化、移民政策などから読み解いている。
昔は人口爆発で大変だ!とか行ってたけど、確かに最近聞かないね、という
感じだったので、読んでいて感覚としては共感できるものだった。
日本の晩婚化、少子化はいくらでも感じるけど、タイやブラジルなど
イメージでは子供産んでそうな国でも低下してるのは知らなかった。
出生率高いのはアフリカの一部で、そこも低下し始めてるって
それもう絶対減っていくやん。
女性の教育水準の上昇や大学への進学率の上昇が、ライフスタイルを変え、
多くの子供を必要としなくなってる、とか、ジェンダーとか気にする女性が
読んだら火を噴いて怒りそうな内容やね。著者は別に教育を受けるなとは
一言も言ってないが、絶対ここで思考停止してキレる人いるだろう。
個人的には、都市化して親元を離れて都市で若者が暮らすようになり、
結婚しろ、子供産めとうるさくいわれなくなるから産まなくなる
というのはあるかも思った。都市部においては子供は労働力ではなく
ただの負債であるっていうのは流石に冷淡すぎる気はするが。
まぁ理由はどうあれ、この数字がリアルだとして、
個人的に気になるのは人口が減った世界は過ごしやすいかというと
全くそうでは無いという点だ。
コンテンツは金を持ってる老年層向けになり、レストランは
若者向けから車椅子に配慮したスペースの多い、単価の高い
クラシックな店ばかりになり、車や冷蔵庫、ジーンズ、ソファなど
購買層が減ったものはどんどん無くなり経済成長は減速していく、と。
解決するのは温暖化だけ。「老年性平和」って言葉もすごく響く。
人類は、今後別に核戦争や大災害がなくても、なんとなく
少なくなって滅びていくのかもしれない。人が老いて死ぬように。
最近は「あのコンテンツが復活!」とか「プレミアム復刻版!」とか
そういうのをよく見るし、引っかかってる自分もいる。
企業が壮年から老年しかターゲットにしなくなるのだ。
そんな世界はほんと終わってるが、もう取り返しの聞かないところまで
きてるのかもしれない。
スマートシティとかそういう構想あったよな?
この本では人口増やすなら移民しか無いよ、とまとめてるが
日本は絶対それに踏み切れない、やろうとしてもうまくいかない。
ならば人口は減るのはしょうが無い、そこからどうやって
幸せをつかんでいくか、を考えるしか無いと思う。
まぁそれが難しいのだけどね・・・ -
Posted by ブクログ
ネタバレ人口が減る!!ってことには納得した。
人口減少による暗黒の未来を語っている。ディストピア。著者は逆マルサス。
解決策は継続的な移民受け入れしかないぞ!と主張。
『かつて行われた人口増を過剰に恐れての出産抑制政策+核家族称賛宣伝+核家族の増加+貧困の減少+宗教権威の低下+女性の権利上昇+都市化=人口減少』みたいな。
人口減少
先進国では100年前以上から出生率が低下トレンドへ。ベビーブームは偶然も重なった一過性の減少。人口減少トレンドはずっと続いてきた。顕在化が最近というだけ。発展途上国も出生率が急速に低下している。世界の人口は2050年とかがピークだろう。国連の人口推計は過大すぎる。
人口動態から見る未来
アメリカは移民受け入れにより活力を維持できる。中国は深刻な事態となる。アフリカは巨大都市ができて人口増加は急速に鈍化する。覇権争いに関して人口動態ではアメリカが圧倒的優位。中国は厳しい。アメリカが移民受け入れをやめる場合はインドが浮上する。
移民受け入れの推奨
著者は先鋭的なリベラル的移民国家カナダの人なんで、その立場から人口減少の解決策は移民しかないと主張。自動化では消費する人がいないから移民じゃないとダメと主張。カナダは多文化主義により移民受け入れが大成功。日本や欧米、中国が人口減少で活力を失う中でカナダは移民による人口増加が続くので相対的なパワーがアップするだろうと主張。
移民受入の条件
国家や民族への帰属意識があると移民受け入れは成功しない、と。軋轢を生んでしまう。多文化主義によって移民が社会に溶け込む。カナダのトロントの住民の半分は移民。メリットを得るためにこそ移民を受け入れるべき。人道的な移民受け入れは軋轢を生みデメリットの方が多い。
移民の奪い合い
カナダは教育を受けた高能力移民しか受け入れない。そういう移民は奪い合いになる。移民は近隣国を希望するし、発展途上国の生活底上げで移民の供給は減少していく。多くの発展途上国が人口増加局面を終えつつある。中東とアフリカがまだ人口増加段階。
移民の限界
とりあえず移民受入で人口は増加するが、移民は移住先の人々と同じような出生率になるのでとくに子供を多く産むということはない。世代を超えた波及効果は限定的。移民の平均年齢は30代後半なので子供はあまり期待できない。=継続的に移民受け入れを続けないと人口減少には対処できないという主張。
日本への提言
「日本人が「自分は日本人だ」と感じなくなるくらいに国家や民族への帰属意識、アイデンティティを捨てること。そうすれば多文化主義により移民受け入れが成功して人口減少に対処できるかも」と。=逆に言えば、そこまでせずに移民受け入れたら大惨事になるってこと。