【感想・ネタバレ】古書の来歴のレビュー

あらすじ

伝説の古書『サラエボ・ハガダー』が発見された――深夜のその電話が、数世紀を遡る謎解きの始まりだった。容赦ない焚書と戦火の時代にありながら、この本は誰に読まれ、守られ、現代まで生き延びてきたのか? 調査を依頼された古書鑑定家のハンナは、ページに挟まった蝶の羽や、羊皮紙に染み込んだワインの一滴を手がかりとして、美しい古書の歩んできた歴史をひも解いてゆく。その旅路には、激動の世を懸命に生きる人々の姿があった――科学調査に基づく謎解きの妙と、哀惜に満ちた人間ドラマが絡み合う、第2回翻訳ミステリー大賞受賞作!/解説=千街晶之

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Posted by ブクログ

「古書の来歴」
古書サラエボ・ハダガーが発見され、古書鑑定家のハンナは本の謎を遡る。
現代の章と本から見つかった蝶の羽、染み等、何故それが在り、本が巡ってきた各時代の章 読み進めると現代も「この本の歴史の一つ」であると感じる瞬間があり何度も心を揺さぶられた。
本好きには読んで欲しい本。

余談:古本を買った時に、今はもうない書店の栞とか前に購入した方のレシートなどが挟まってたりしたことはあったけれど
この本の話くらいドラマチックなことは無かったな…

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2024年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初対面の人間と肉体関係を持つその早さ!
ただ事ではないなと思ったらやっぱりただ事ではなかった。

現在のパレスチナのことを思うと、没入して読むことは難しい。
時代描写から、日本の外国人嫌悪の空気に重なるものも多く感じられた。
これを単なる歴史ロマンとは読ませない状況に更になりつつあると思う。

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2025年07月06日

Posted by ブクログ

スペイン、ヴェネツィア、ウィーン、サラエボを渡ってきた、伝説の古書『サラエボ・ハガダー』500年の旅を遡っていくミステリー。

1990年代の古書鑑定士が例の古書に付いている、蝶の羽やらワインのシミやら何かの毛を専門家に鑑定依頼していく。
証拠品の鑑定結果が次の章の引きとなって、それが古書に挟まった土地と時代のストーリーが展開されていく構成。
1990年代から1800年代、1600年代、1480年代まで徐々に遡っていくわけだけど、最初はわからなくても、徐々につながりが見えてくる。この名前どこかで見たなー、あの人の知り合いがこっちの話に登場している、みたいな気を抜けば読み飛ばしてしまいそう。

それぞれの時代のストーリーが濃厚で、焚書や紛争、アウシュビッツ、激動の時代を生きていた登場人物たちそれぞれのストーリーが良かった。ユダヤ人迫害の時代だから残酷さがある。
例の証拠が本に付着するところまで進んだら、まだ続きそうなところで話が終わってしまい、また1990年代の話に戻る。厳しい時を生きていた各人のストーリーが濃かっただけに、その人たちの続きがすごく気になるんだけどなー。

最後の方はちょっとほっこりする場面もあったり、裏切りが…裏切りがあったりしたけど、救われる感じもあった。

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2024年11月13日

Posted by ブクログ

実際にあったんじゃないか、と思えるような描写力が印象的な作品。実際は殆どがフィクションだが、ハガター自体は本物。
サラエボで見付かったハガターがテーマ。ユダヤ教についてはなんとなくしか知らなかったが、ドイツだけではない、長い迫害の歴史に驚いた。
もう一度歴史を勉強しなおして、話を読んだら、もっとよく理解できそう。

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2024年04月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・あらすじ
1400年代に作られたとされる伝説のユダヤ教の祈祷書「サラエボ・ハガダー」が発見された。
古書鑑定家のハンナはサラエボに赴き古書の修復、科学的調査を行うことになる。

ハガダーに残された痕跡(蝶の羽、ワインの染み、残されたサイン、塩の結晶、猫の毛)からこの古書がどのような人々と運命を共にしたのか。
スペインで作られたこの古書がサラエボに辿り着くまでの過去パートを逆行していくパートと古書修復家のハンナがその謎を科学的に調査していく現代パートが交互に綴られる。

・感想
サラエボ・ハガダーという古書があることをこの本で知った。
サラエボ•ハガダーとは「14世紀中葉のスペインで作られたハッガッダー。ユダヤ教の過越の日のための物語と祈りの言葉が記されている。中世の細密画が描かれたヘブライ語最後の本」(by wiki)
・アンダルス時代以降のキリスト教が統治する土地(スペイン)で作られたユダヤ教の祈祷書
・偶像崇拝禁止とされていた中世のユダヤ教時代に作られたのに全ページに細密画が描かれており美術史が書き換わった。

この2点だけでもこの本がどのようにして成立したのか…とても興味が惹かれるものがある。
サラエボ・ハガダーの詳細な来歴は判明していないけど、作者は巧みに判明している事実と妄想を織り交ぜてドラマティックな作品にしててすごい!
実際にサラエボ・ハガダーが現存するためにも、きっと同じようなドラマがあったんだろうな…と思わせる説得力があった。
ドラマティックといっても使命感を持ち命をかけて本を守った英雄たちの話ではない。

ユダヤ教に関しては無知。
民族対立、宗教対立の他に金融業によるユダヤ資本が僻まれ迫害されていた(間違ってるかも)、割礼という風習がある程度しか知らなかったけど、本作を読むにあたっては知識の寡多はあまり問題にはならないかな。
でももちろん教義や歴史の知識があった方がより物語を楽しめるかも。

過去パートは年代が遡っていくんだけどどの年代もとても印象深かった。
・WWⅡ時代、ナチによる迫害から逃れるユダヤ人少女と焚書から古書を守ろうと奮闘する博物館に勤めるイスラム教徒の男性の話。
 少女の過酷で残酷な運命は読んでいてとても辛かったけど、イスラム教徒でありながらユダヤ人を匿い、ユダヤの祈祷書を守る男性の優しさと信念が良かった。
・1890年代のウィーン。ユダヤ人医師とハガダーの再装丁を依頼された装丁氏と、いつの間にか紛失していたハガダーの銀の留め金の話。
 ユダヤ人医師の性癖はNTR属性云々ではなく、宗教的倫理観からのとかなんかそういうのがきっとあるんだよね…?そこら辺ちょっと読み取れなかったw
・1600年代ヴェネチア。ユダヤ教、イスラム教が異端とされ検閲、焚書されていた時代。アル中の異端審問官の司祭とギャンブル中毒のユダヤ教のラビ(先生)の話。
 このターンは実際のサラエボ・ハガダーにもサインが残されている司祭「ヴィストリニ」をメインに据えているんだけど、個人的にはこの話が1番切なかったかも…。
 名前と過去を奪われ改宗したヴィストリニの苦悩とラストが切なかった。
・1492年スペインのタラゴナ。レコンキスタ完了の年。スペインでユダヤ教徒追放令が公布された年にスペインを脱出するユダヤ能書家一家の話。
 この話は1番宗教的だったかも。「諸行無常 盛者必衰」をモットーとする私にはこの唯一絶対神を信仰する強い心があまり理解できなかったり…。
でも「絶対」を持つ方が人間良くも悪くも強くなれるんだよなーと思う。
・1480年のセビリア。イスラム教徒の少女とイスラム総督に戦利品として略奪され妃となったキリスト教徒の女性の話。
 実際にハガダーに描かれている黒人女性からインスピレーションを受けて書かれていて、成立の過程が判明するくだりが良かった。

 現代パートでも陰謀が起こってミステリー仕立てになっている。ローラが出てきてハガダーを発見するという終着点は良かった。
あとオーストラリアのアボリジニの遺跡保護活動をしているハンナのセリフにふと自分たちのことを省みたり。
 足元の自国の文化をもっと知って、大事にしていくことも大事だなと。

 そしてやっぱり現在の状況を憂えてしまうな…長い間迫害され追放され放浪してきた民族の望みである「自由と祖国」。
 人間の歴史は戦争の歴史だから仕方ないのかもだけど。

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2024年03月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まず、ボスニアってどこ?ユダヤ教…、紛争?
この時代ってどんなどの辺だ?ってまるで背景が分かりませんでした。
そういった教養ないと読めないかなと不安でしたが、大丈夫でした。でも多分そういったこと詳しい方が面白いのかもしれません。

本に携わってきた人たちのエピソードが過酷でした。
蝶の羽の章が第二次世界大戦のユダヤ人の人の話なので鬱々としてしまいました。
また、本の修復者のハンナのお母さんも酷いというか…
子供育てるの向いてない人でした。

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2023年12月21日

Posted by ブクログ

1つの事実からこんなに想像力が膨らませられるのは、凄いと思う。
宗教、歴史を理解していれば、もっと面白いと感じられたのかもしれない。
フィクションとノンフィクションの混じり合い。
今は亡き国、場所と時代が変わるのが、私には難しかった。
Google mapsを何回も確認。

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2024年10月06日

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