皆川博子のレビュー一覧

  • アルモニカ・ディアボリカ

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    ネタバレ

    プロットそのものがかなり入り組み、相当複雑な構造になっているのだが、それを齟齬なくまとめ上げているのはさすがだと思う。
    ただ、通読して感じるのが、なんだかこれまでの皆川作品とは少し違う、という漠とした心地。
    二昔前のロールプレイングゲームのように、極めて限定的な細い筋の上を、辻褄を合わせるために辿らされているかのような、とでも表現すればいいのだろうか。
    登場人物のことごとくがストーリーにバチッとリンクしていく様に、いつものような気持ちよさの代わりにちょっとした強引さというか、お仕着せのご都合主義に近いものを感じてしまった。

    「開かせていただき光栄です」の世界が再び展開されていることについては

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    2022年01月04日
  • 少女外道

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    現実と幻想と、夢と記憶と、彼岸と此岸と、それらのあわいをふわふわと漂っているみたいな感覚。
    そこに血の匂いが立ち込め、死の気配が漂い、すべてを見下ろしている「神」的なものの存在を感じさせる。
    やっぱり皆川博子さんの短編はすごい。

    「戦時中」の「少女」という視点が、すでに大きな仕掛けになっているのだと思う。
    慎ましく生きることを望まれ、純真無垢であることが当たり前だった少女の中に、芽生えてしまった「外道」性。それが少女たちの心の中に隠されて、沼の奥深くに沈められているうちに、ここまで大きな幻想に成長したのだろうか。
    それでいて語り手が、その「少女」自身ではなく、(神的な)第三者であったり、成長

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    2014年04月30日
  • 妖恋

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    1作約30頁という短篇でありながら、読者を世界観に浸らせさらに主人公の狂気的な恋情を恐怖や絶望だけでなく切なさと幸福に変える文章に感服。
    江戸なのに江戸ではない、江戸でないようで江戸の出来事。曖昧さ加減が絶妙で、そのなかで揺れ動く恋もまた絶妙で、この人にしか書けない文章だなと思った。
    挿絵がまたきれいで、作品の雰囲気にとてもあっている。

    濡れ千鳥が一番好き。

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    2014年04月20日
  • 恋紅

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    ずいぶん前の直木賞作品ですが読んでみました。
    江戸から明治にかけて吉原の遊郭の娘として生まれた主人公が役者にほれ、恋に身を投げこみ、不自由な暮らしながら旅役者の恋人として時を過ごしていく様があでやかに描かれていて十分に楽しめた。恋に一途になれるのって素晴らしいなあ。

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    2014年04月06日
  • 妖恋

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     ファンタジーだなぁと思ったら、解説で幻想小説とあって納得。
     1話1話の重みが軽いんだけれど、よくよく読むと、がっつりと重い。そして酷い。
     それなのにきれいなのか文体のせいなのか、書き手の心根ゆえなのか。

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    2014年03月20日
  • 倒立する塔の殺人

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    戦時下のミッションスクールで女生徒が不可解な死を遂げます。彼女ら3人が書いたリレー小説「倒立する塔の殺人」を読んで死の真相を探るお話です。
    構造が複雑にも関わらず、作中作の使い方が絶妙ですし、そこに仕掛けられたトリックは圧巻でした。
    ただ、少女漫画チックな独特な表現方法が苦手だったのと、西洋絵画に関する会話が多く、そっち方面に疎い私には多少苦痛でした。

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    2014年02月19日
  • 少女外道

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    「蝶」よりアウトローな感じは薄いと感じたけど、相変わらずの薄暗さ。
    「標本箱」と「有翼日輪」が、よい倒錯でした。だけど前者はちょっとオカルト?なのが…不意打ちでなじまないけど、設定が好きなので

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    2014年02月14日
  • 倒立する塔の殺人

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    嫌いではないけど、あまりピンと来なかった。
    謎解きとしても、雰囲気としても、登場人物も。
    戦争中の女学生と学校、街…その時代の匂いみたいなのは興味深かったかな。

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    2013年12月22日
  • 妖恋

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    タイトルからして美しい言葉が並ぶ。合わせて挿絵の妖しい美しさ。
    本篇を彩る言葉がまた贅を尽くした絢爛さだ・・・人物や風景、行事、召し物などの江戸模様がまた良い。
    今宵はどの篇で甘美な絶望の夢をみようか・・・蛍舞い飛ぶ沢か、菊の香漂う薄もやの早朝か・・・

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    2013年09月04日
  • 妖恋

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    江戸時代を舞台にした幻想的な短編集。恋に縛られ身を滅ぼす男女の心の機微が、幽玄かつ繊細な筆致で描かれる。読んでいるうちに、夢と幻の境目が曖昧になっていくような不思議な感覚が味わえる。特に前半収録の何篇かは、語り口調が泉鏡花っぽいなと思った。

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    2013年07月20日
  • 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

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    タイトルがコジャレている。
    作者は、様々なジャンルの作品を書いているが、古い時代のヨーロッパを舞台とした耽美的なミステリーがピカイチ。
    本作は、やや軽めだったが、80近いお年を考えると、なんと若々しいことか。まだまだ、たくさん書いていただきたい。

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    2023年06月25日
  • 倒立する塔の殺人

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    雰囲気とか良かったし、伏線も全部回収されてて綺麗に終わってるけど、トリックとかちょっと残念な感じがする。

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    2013年02月06日
  • 倒立する塔の殺人

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    戦時中の女学校を舞台に巡る秘密のノート。
    幾人もの手に渡り書き出され、明かされる真実。
    作中で流れる歌や語られる絵画と文学に読者までも引き寄せられる。
    物資が乏しい寒々しい時代の中で、知識と教養で色づく女学生たちが眩しかった。
    書き綴られた結末と最後の真相しばらく浸ってしまう作品。
    ジャスミンティーが飲みたくなる。
    解説では三浦しをんさんが熱く語っており、より楽しむことが出来ました。

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    2013年01月24日
  • 倒立する塔の殺人

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    ネタバレ

    分かりずらいうえに時系列がややこしい。
    話の中で別の文章が出てくるのは
    何度読んでも苦手なんですが、
    そこがまたわかりずらい。

    ですが、文章的には
    面白かったので、ほかの作品も
    挑戦してみたいです。

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    2013年12月02日
  • 聖女の島

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    『恐るべき子供たち』の物語かと思いきや...

    長崎の軍艦島を想わせる孤島。そこにはさまざまな背徳行為によって矯正を余儀なくされた少女たちが集められている。そして施設の秩序が崩壊しつつある今、ひとりの修道女(マ・スール)が召喚された。

    妖しい香りが匂っています。しかし幻想的という訳ではなく、妙に生々しく泥臭く、土埃を感じさせるリアルさがあります。
    矯正施設を束ねようとするどこか愚かな大人たちと、頭の切れるリーダー格の二人を中心とした少女たちの攻防。その中で修道女(マ・スール)はどういう役割を演じるのか。
    読み進めていくうちにめまいに似た感覚が起こり、しだいに幻惑されていきます。

    果たしてそ

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    2012年04月07日
  • 冬の旅人(下)

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    ■あらすじ
    時は19世紀末。一枚の絵に見入られ、芸術の悪魔に身も心も奪われた環は、露西亜の大地を彷徨い続ける。高名な美術収集家トレチャコフ、怪僧ラスプーチンとも出会い、宮廷へと招かれるが、やがて抗いがたい革命の炎と欲望、過酷な運命の渦に巻き込まれていく……。実在の人物に想を得た壮大な歴史フィクション。

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    2011年10月08日
  • 冬の旅人(上)

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    ■あらすじ
    裕福な骨董商の家に育った少女・環は、幼いころに見た一枚の西洋画に心を奪われる。その運命の導くまま、聖像画を学ぶために、17歳で革命前夜の帝政露西亜へと留学するが、尼僧たちのいる窮屈な名門女学院を脱走、市中の貧民窟、そしてシベリアへと北の大地を彷徨い、絵筆をとり続ける。大河歴史ロマン。

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    2011年10月06日
  • 蝶

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    すべてにおいて幻想かと思うような話だったけど、そのなかでも「妙に清らの」がいちばんよかった。
    まさに「痙攣的な美を感じ、金縛りになる」珠玉です。

    ■概略
    インパール戦線から帰還した男は、銃で妻と情夫を撃ち、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海にほど近い「司祭館」に住みつく。
    ある日、そこに映画のロケ隊がやってきて……戦後の長い虚無を生きる男を描く表題作のほか、現代最高の幻視者が、俳句から触発された全八篇。夢幻へ、狂気へと誘われる戦慄の短篇集。

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    2011年08月26日
  • 伯林蝋人形館

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    正直外国を舞台にした話は苦手(というかカタカナが多用されるのが苦手w)なのでどうしようかな、とも思ったが、前に読んだこの方の短編集の面白さを覚えていたので。

    第二次大戦後のドイツが舞台となっていたせいで時代背景がわからず、カタカナも多く、第一章でまず一度読むのをやめようとして、でも読み続けて見ればなるほど、これは面白い。
    構成自体が変わった形態をとっていたのもあとあと考えると震えるほどよくできていて、感動した。
    前に短編を読んだ時同様、このひとの頭の中はどうなっているんだろうと思ってしまう。これだけ幻想的な、ある意味幻覚のような後味を残す小説は、すごい。

    個人的にはアルトゥールとヨハンの関

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    2011年08月20日
  • 死の泉

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     次第に崩壊していくナチスドイツと、それに歩調を合わせるように次第に退廃的になっていく登場人物たちの人間模様が、ある種の陶酔感を残す魅力的な作品でした。
     
     ただラストに近づくにつれて、ストーリーが一気に進むが、スピード感が増すというより、文章が粗くなった。

     非常に惜しい気がする。

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    2017年08月15日