中村元のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
お釈迦様の一代記である。
前半はブッダの生誕から壮年期くらいまでを多くのエピソードを交えながらわかりやすく展開し、後半は中村元氏の執筆のようだが(後半は秀逸である)、ややエッセイ風にお釈迦様の晩年を静かな筆致で書き進めており、全体として誰にでも読みやすい記述ながら極めて深い感動を呼ぶ作品となっている。
このように平易な書き方をしてはいるが、例えば家庭内暴力少年アジャータサットゥ(阿闍世)王子とビンビサーラ王、韋提希夫人の物語は『観無量寿経』に出てくるし、ブッダの最後の旅から入滅にいたる物語は『大パリニッバーナ経』にその記述を見ることができるなど、詳細に経典に則って描かれている。
さて、私は -
Posted by ブクログ
初期仏教の聖典をわかり易く解説している。ゴータマ・シッダルタ、釈尊がその当時説かれたであろう教えに一番近いものとして伝わったものが阿含経典である。人間が生きていくうえで必要な教えが説かれている。現代においても重要で何度でも振り返って人生の杖にするべきものであろう。
「ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もし汚れた心で話したり行ったりするならば、苦しみはその人につき従う。車をひく牛の足跡に車輪がついて行くように。」
「ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もしも清らかな心で話したり行ったりするならば、福楽はその人につき従う。影がそのからだから -
Posted by ブクログ
なんとなしに¥108だったから…だれかれとなく、仏教というものに触れてみたい、そんな気がしたからだった気がする。
お題目のように唱えられたり、写経されているこの般若心経。それを無駄とは言わないが、この般若心経は一種仏陀という男の境地であるから、実践以上のなにものからも、その境地は得られない。書いたり唱えたりすることだけで得られるのなら、誰も苦労しない。しかし、きわめて当たり前のこと。こんな当たり前のことをわざわざ書かなくても、存在するということそのものが、般若波羅蜜多なのだから。おそらく、哲学の境地というのは、一周まわってみたとき、当たり前が当たり前であると驚ける、そこにあるのだといつも思う。 -
Posted by ブクログ
亡くなった同僚僧の名前を次々と上げて、彼らはどうなったんだと聞いたり、ブッダが死んだらどうしていいのかわからないと縋り付いたりする、アーナンダとのやり取りが印象的。
ブッダは、それに対して決して明確に死後について語らない。自らの老いや寿命を率直に説いて、人は皆死ぬんだと諭す。その上で、ただブッダとその教えを守って正しく生きよと説くのみ。
宗教と聞いて、思い浮かべる奇跡とか超人的な力とは全く別次元、普通の人間としてのやり取りがある。そして、この悩みや対話は、数千年を経た我々にも全く同じ質量感で迫ってきます。
実は、本書を読む前に、本書については、五木寛之さんの百寺巡礼のインド編とNHKの100分 -
Posted by ブクログ
数多い仏教書おうちで最も古い聖典といわれているのがこの「スッタニパータ」であります。
現在の仏教とは少し違う原始仏教のことを知りたくて、もっともブッダの発言に近いといわれているこの本が前々から読みたいなぁ~って思ってたんだけど、難しそうだなぁ~って思ってなかなか手をつけれないでいた。
きっと難しいんだろうと思い、気合を入れてエイヤーっ!っと読み始めたら、これがなかなか読みやすい。わかりやすい訳のおかげなんだけど、読みやすいし、これがおもしろいかった。
個人的に最も感銘を受けたのが「蛇の章 八、慈しみ」の中にあるこんな言葉です。
いかなる生物生類であっても、怯えているものでも、強剛なものでも、 -
Posted by ブクログ
仏陀が大きな教団を作る前に説いた人生の道標。
人は生まれによってバラモンとなるのでなく、行為によってバラモンとなるのである。
理法に従って道を歩む「信仰」(saddha)が大切とされる。
チュンダに語った四種の修行者の話でソクラテスやイエスの言ってたことと本質的には一致するのではないかと思いました。
「疑いを越え、苦悩を離れ、安らぎ(ニルヴァーナ)を楽しみ、貪る執念をもたず、神々と世間とを導く人、──そのような人を<道による勝者>であると目ざめた人々は説く。
この世で最高のものを最高のものであると知り、ここで法を説き判別する人、疑いを絶ち欲念に動かされない聖者を修行者た -
Posted by ブクログ
カテゴリの中に新たに「仏教」を追加した。
本から
五蓋 ― 貪欲、瞋り、心の沈むこと、心のそわそわすること、疑い
眼ある人 ― 一般に仏の異名
諸々の邪まな見解にとらわれず、戒を保ち、知見を具えて、
諸々の欲望に関する貪りを除いた人は、決して再び母体に
宿ることがないであろう。
この世では信仰が人間の最上の富である。徳行に篤いことは
安楽をもたらす。実に真実が味の中での美味である。智慧に
よって生きるのが最上の生活である。
愛欲にともあって起こる、清く見える外形を捨てて考えよ。
(身は)不浄であると心に観じて、心をよく一つに統一せよ。
汝の第一の軍隊は欲望であり、第二の軍隊は嫌悪