丸尾末広のレビュー一覧
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ネタバレこれは面白かった……!
帯に「地下潜行的マンガ道」とあるから、え、丸尾先生が自伝を? と思いきや、たぶんフィクションに思い切り振っている。
というのも、ご本人と比べると約10年くらい年上の文化が中心に来ているのだ。
おそらくご自身の思春期の精神的彷徨も交えつつ、少し上の世代の文化への郷愁(グロ入り)を交えつつ、構築された世界だろう。
藤子不二雄Aよりは、水木しげる。
そしておそらく、林静一「赤色エレジー」も。
押井守ですら学生運動はパロディにしたのだから、丸尾先生の世代ならより高度なパロディになるのだ。
たった一巻でこの密度。
"ロンパリ"のサチコ、実に丸尾的でいい。 -
Posted by ブクログ
物心がつく前に母の親類に預けられた二卵性双生児は、
浅草の見世物小屋に売り飛ばされたが、
そこに集まっていたのは疎外された優しい人たちで、
束の間、安らぎを覚えたものの、
悪意ある大人の目論見によって引き裂かれ……。
トミノはカルト教団の巫女として祭り上げられたエリーゼの
付き人にされ、
カタンは孤島で身体改造を施されそうになったが、辛くも脱出。
一方、双子の母である元女優・歌川唄子こと松田昌江は、
見世物小屋を焼け出された一同を引き取って、
郊外で平凡な暮らしを始めた。
トミノとカタンがそこに合流できれば
ハッピーエンド、だったのだが――。
地獄巡りの果ては空襲。
犠牲になるのは、いつも -
Posted by ブクログ
『パノラマ島綺譚』に続いての江戸川乱歩×丸山末広コラボ。
前作よりも、エロ・グロ・ナンセンスが強くなっています。
時代はロシア戦争を経てのシベリア出兵の後、
戦傷で両手両足と、声を失った兵士とその妻が主人公。
貞淑な妻の中に潜む嗜虐的な性癖、、
不具となった夫のやるせなさと、抑えきれない欲望、
それぞれが徐々に“壊れながら”つまびらかにしていく、
そんな人の“欲望”の描きようが、なんとも衝撃的です。
原作自体が、いろいろと衝撃的な内容ですが、
なんとも上手く表現されているなぁ、、と。
原作を初めて読んだ時にゾッと感じたその世界観、
それがそのまま伝わってきたと感じています。
冒頭の -
Posted by ブクログ
江戸川乱歩『芋虫』のコミカライズ
活字を読まれた方、あらすじを知っている方はわかると思いますがストーリーの決め手となる三文字の言葉、またその光景が冒頭に描かれています。これは活字でなく、絵で魅せる漫画ならではの表現で個人的にとてもよかったです(活字はさらっとした印象でしたが、漫画は冒頭からそれを持ってくることによってより印象深くなりました)
登場人物の表情が痛いほど美しく、切ないです。(特に其ノ参からラストにかけて、夫である須永中尉の表情。活字と同様、ストーリーは妻である時子がメインで描かれていますがこちらも絵で表現されているぶん活字ではわからなかった須永中尉の心情、表情がわかりやすく描か