【感想・ネタバレ】天國 パライゾのレビュー

あらすじ

「最も苦しんだ者こそが、天國(パライゾ)の門を開くーー」


戦後の混乱収まらぬ頃。
汚穢と悲哀、最底辺の貧民窟で、寄る辺なき混血の少年は今日のみを生きる。
【ネンコロリ】


ナガサキとアウシュビッツを、ある宣教師と名もなき少年が繋ぐ。
惨たらしくも美しい地上の地獄絵図。
【オランダさん】


第二次世界大戦下の強制収容所。
逆境と抑圧、苦痛に塗れた獄舎に、神はいるのか……。
【童貞マリア】


日本漫画界が世界に誇る魔神・丸尾末広、画業40周年記念。
計5作を収録した、漆黒の作品集。


●丸尾末広 ビームコミックス好評既刊●
『トミノの地獄』(全4巻)
『笑う吸血鬼』(全2巻)
『瓶詰の地獄』
『芋虫』
『パノラマ島綺譚』

●コミックビーム 公式ツイッター●
@COMIC_BEAM

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Posted by ブクログ

第二次大戦敗戦後の戦災孤児のエピソードから、少しずつ時間をさかのぼって、長崎の被曝、そしてアウシュビッツのコルベ神父のエピソードに到る、ゆるやかにつながった連作。コルベ神父のエピソードは二つの視点から二度描かれている。掲載誌も異なるが、掲載時期は近い。丸尾末広的な露悪趣味がメインではなく、コルベ神父のエピソードに収束するところが興味深い。考えてみたらアングラ的な題材の多い丸尾末広が、これほど有名なコルベ神父のエピソードを中心に据えるというのも珍しいのではないか。

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2021年01月02日

Posted by ブクログ

「漫画界の魔人が拓く新境地」とオビにはありますが、とにかくずっと待ち望んでいた一冊です。ようやっと読めました。
そしていざ読み始めてみて、思わずびっくりしてしまいました。なるほど、これは新境地と言えるかも知れない…。エログロからは確実に遠ざかり、新しく丸尾末広の世界が創られている…! なかんずく『オランダさん』や『童貞マリア』なんかめちゃめちゃいい話じゃないか…! フィクションとはいえ戦時中や戦後の長崎・東京、アウシュヴィッツの凄惨な描写には圧倒的な力があるし、絵画の構図にインスピレーションされた各コマの芸術性もますます洗練されているような気がして、ひたすらに圧巻、満足の一冊でした。好きなお話はやっぱり『童貞マリア』です。

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2023年01月03日

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