よ、横書き……!? と最初はまず、びっくりしました。
今でこそ、そういう形態の本、増えたからそんなに珍しくもないかと思うんですが、やっぱり違和感でした。
話自体は女子高生・游宛ての幼馴染兼元彼のメールから始まります。
基本的に物語はすべてメールのやり取りだけで完結されているので、どちらかと
...続きを読むいうと、ネット上で見るお遊び小説のやり方に近いと思います。なので、それが苦手! という方には、もうこの時点でだいぶきついかと。
でもこの作者さんの小説って基本的に若者向けの小説だと思っているので、これも一つの試練かと思って頭を切り替えたら、そんなに違和感なく読めました。
物語は、主人公である游のメールボックスがメインでやりとりされているようでした。
游とメールのやり取りをするのは、游の元彼の嵩巳。そして游の親友兼嵩巳の現彼女・李花。游と李花のバイト先の先輩で游の想い人・野亜。
最後に嵩巳に相談を持ちかけていたcrowことNINA。
実際には、NINAが游にメールを送ってきたのは最後の一回だけで、むしろNINAは游と生身でふれあい、メールでの話題の中心になっていることが一番多かったです。
そこに割って入ったのが、Apri*Kissと名乗る謎の人物。
游のことを「何でも知っている」と書き、そして游に占いじみた脅迫に近い文章を送りつけてくる。
その内容がかなり脅しに近い内容なので、てっきりこの物語もバッドエンドだと思ったんですが、何だかそれなりにハッピーエンドだったような気が……。
いえ、いつものように終わりはどちらとでも取れるような形で終わっているのですが、なんだか、今まで読んだ中で、もしかしたら一番読後感が爽やかで、ちょっとびっくり。
もちろん全てが全てハッピーでは終わらなかったのですが、これはこれで「よくある話」の範疇で片付けられることだよなー……と。
若者の葛藤を描く純文学が好きな方はどうぞ。
なんていうか、思春期からうまく抜け出せなくて引きずってるような人が読まないと面白くない本だとはこの作者さん自体にいつも思ってます。