昨年は神話や伝説にハマりかけていて、ギリシアを中心に読み漁っていた。
アーサー王物語もその一つだったが、初心者にやさしい解説書を見つけられず、今の今まで諦めていた。本書は今までに手をつけた中では、まだ一番分かりやすい方だったかもしれない。
「解剖図鑑」だから、ケルト諸語文化やアーサー王が実在したかどうかのバックボーンまでが丁寧に解体されていた。
アーサー王は一般的には伝説上の人物とされているが、複数の歴史書に彼の記述が見つかっている。他にも複数の歴史上の人物をモデルにしており、そのほとんどがローマの軍人である。ちなみにアーサー王も元はブリトン軍を率いる騎士だったという記載も見られるので、益々モデル説が濃厚になる…
そこに聖剣やドラゴン・聖杯といったファンタジー要素が加わることで、今日我々の知るアーサー王物語が成立したというわけだ。(かなり端的にまとめています笑)
アーサー王物語は6世紀頃のケルトが舞台となっているが、元を辿ればフランス語圏で語り継がれてきたという。
1469年にはイギリス人のトマス・マロリーが、集大成として『アーサー王の死』を刊行。本書ではその『アーサー王の死』を中心に、解説が展開されている。
一旦人気が下火になったものの、19世紀にはアーサー王熱が人々の間で再燃。そこからはワーグナー作のオペラや伝説を基にした作品群が世に放たれていった。(巻末にはそうした作品群が列挙されているが、その中に『インディージョーンズ 最後の聖戦』も含まれていた。主要人物がアーサー勢でないのに、インディー入れちゃうんだーと…笑)
少し残念だったのがイラスト。
人物や出来事を表したイラストは、絵画か巻物かレリーフを基にしたのかもしれないが、何せ判別し辛い…!同一人物でも章によって違う風貌だから、読んでいるこちらは困惑してしまう。何を参考にして描いたのかを、せめて解説の中か注釈に入れて欲しかった。。
あとこれは超個人的なリクエストだが、(憶測でも良いから)年齢を書いてくれるとイメージが膨らみやすかったかも。あるページのアーサー王と王妃グウィネヴィアなんか、父親と娘くらいの年齢差に見えちゃったし…
人物名にフランス語読みが用いられる。円卓の騎士であるランスロットがフランスの生まれで故国に居城を構えたりしている。(更にはトリスタンとイゾルデが駆け落ちした際にはちゃっかり城に匿ってたりも…。2人の悲恋物語はアーサー王とは別物だと思っていたが、実は「取り込まれている」そう)
そんな風にフランスが頻出するのを不思議に思っていたが、どうやら『アーサー王の死』が執筆された頃はフランスとの百年戦争が終結したばかりで、マロリーはそれを意識したのではないかとの事。
ヨーロッパのほぼ全域を支配下に収めた(と伝えられている)ように、物語も当時のヨーロッパ史を丸ごと取り込んだ風である。
円卓の騎士にはイスラム教徒がいたというが(!)、後でキリスト教に改宗させられたらしい。ヨーロッパ史だな〜…(苦笑い)