中野康司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
先に見た映画で少し物足りなさを感じた細かい心理描写は、やっぱり小説ならでは。
たしかに前半では妄想や思い込みが激しく、半ば遊び半分に見えていた縁結びとか、何かエマの性格ってちょっと…みたいな感じだったけど、ナイトリー氏の指摘などから徐々に自分を改めて成長していく姿を見ると、やっぱりエマってとても魅力的。
自分を顧みて欠点を率直に認め、持ち前の聡明さでこれまでの行いを改め、いかに人生を歩んでいくか決意する場面は清々しく、思わずそうよ!がんばって!と応援したくなる。
「欠点だらけだが、完璧なエマ」
ナイトリー氏が欠点を探し指摘する憎まれ役、その裏にある愛情に気づかず反発するエマ。まさに王道の少女漫画。特に告白シーンは目に浮かぶよう。
異常に健康を気にする心配性なウッドハウス氏、つまらない話を延々と続けるミス・ベイツ、超性格悪いエルトン夫人など、脇役もキャラ立ちしてて、200年後の今でも充分楽しめる作品。
上巻で少し飽きてしまったけど、最後まで読んでよかった! -
Posted by ブクログ
1813年初出。この年代で「普通に楽しめる小説」ってそれだけでもすごい。
当たり前ですがイギリスです。「源氏物語」などと違って、「複製され商品化される前提で出された小説」というのは要するに産業革命がなされて都市労働者、消費者、商業ブルジョワジーがいないとそもそもマーケットが無いので。
その古さでしかも恋愛心理小説、「夏目漱石も参考にした」らしいという興味でいつかは読もうと思っていた本。
面白かったです。
要は労働者の中の最上流階級の娘エリザベスと、大貴族ダーシーの「身分違いの恋愛」物語。ハッピーエンドです。
これが疾風怒濤の破天荒ロマンではなくて、当時の経済的な常識とか社会的な見え方、世間体なども踏まえたでティール豊かな小説で、なるほど夏目漱石や丸谷才一に繋がるな、と。
こういうことに戦争をぶち込んで、社会階級の習慣を超えて「人間としての真実」みたいな探求を持ち込んで、エンタメとしてのスケール感をブローアップすると、トルストイの「戦争と平和」(1867)になるし、「世間体とは何か?消費社会の自己実現とは?」という方向にシニカルに深く向かうと「ボヴァリー夫人」(1857)になる。更にはアメリカ的な大らかさ(大雑把さとプロテスタント的な肯定感)と個人主義・家族主義、の津波を浴びると「若草物語」(1868)になるとも言えます。
古典は現在へのヒントに満ち満ちていてとにかくワクワクします。ただ、「中世」を纏っている本ってやっぱり寄り付きづらいんですよね。
本と小説の「近現代」を押し開いた作品の一つだなあ、という楽しみかたも加味して満足でした。
どの翻訳で読むか悩んだ末に筑摩を選択。比較してないから比較論はできませんが、割りと不満なく読みやすい文章でした。 -
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ネタバレ2019.12.14
【感想】
展開はベタなのに、とても面白かった!!!
メインの内容は、少女漫画で言うところの「歳の離れた幼馴染みが無自覚のうちに想い合う、そこにライバルが出現したことによって各々の気持ちをやっと自覚」って感じかな?!
「ずっと同じナイトリーさんでいてほしい。」エマの言葉がとてもわがままで、とても切実
ナイトリーさんの想いを告げる言葉たちが誠実で好き
エマとフランクのたわむれを見たくなくてロンドン行くとか可愛すぎる好き
「欠点だらけだが完璧なエマ」とはその通りだと思う
エルトン夫人が苦手すぎる!!!
【印象に残った言葉】
心の慰めや平静さを求めたいなら、これから良い行ないをしようと決意するしかないではないか。
→エマの人間的な素晴らしさを感じた。
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言わずと知れたイギリス古典の名作で、サマセット・モームが『世界の十大小説』にも挙げている本作。読んでみるとなるほどたしかにまるでジェットコースターのように次々と形成が変化する恋愛模様がなかなかに面白く、近年も映画化されるなど長く読み継がれてきた理由がよくわかる。内容はちっとも古びておらず、むしろ今日に至るまで多く作られている恋愛小説やドラマの原型であるとすらいえるだろう。ただ、申し訳ないが本作をあまり高く「評価」したいとも思えなかった。事件らしい事件は起こらないし、世界もあまりにも狭い。おなじ姉妹の惚れた腫れたの話は、所詮「コップの中の嵐」である。それでもストーリイテラーとして力があることは間違いないし、21歳でこの完成度は驚愕に値する。ただ、やはり個人的な好みとは合わないことが残念である。
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Posted by ブクログ
言わずと知れたイギリス古典の名作で、サマセット・モームが『世界の十大小説』にも挙げている本作。読んでみるとなるほどたしかにまるでジェットコースターのように次々と形成が変化する恋愛模様がなかなかに面白く、近年も映画化されるなど長く読み継がれてきた理由がよくわかる。内容はちっとも古びておらず、むしろ今日に至るまで多く作られている恋愛小説やドラマの原型であるとすらいえるだろう。ただ、申し訳ないが本作をあまり高く「評価」したいとも思えなかった。事件らしい事件は起こらないし、世界もあまりにも狭い。おなじ姉妹の惚れた腫れたの話は、所詮「コップの中の嵐」である。それでもストーリイテラーとして力があることは間違いないし、21歳でこの完成度は驚愕に値する。ただ、やはり個人的な好みとは合わないことが残念である。
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この作品を読んで、恐らくはじめのうちはエマを好きな読者は少ないはずだ。エマの悪意ないお節介や思い込みと決めつけは、読者に苛立ちを感じさせる。
それでも読み進めていくうちに、エマを嫌いになりきれなくなるに違いない。エマは軽率とも言える行動を繰り返すが、あくまで厚意でしており、芳しくない結果になったときは素直に反省する。
だから憎みきれないのだ。
ジェイン・オースティンの魅力は、何と言ってもこういった登場人物の性格描写の巧みさにある。
エマに限らず、エマに何でも言える存在のナイトリーや、いつでも自分と周囲の健康ばかりを気にするエマの父親、ちょっとした悪役的存在のエルトン夫妻、善人でおしゃべり好きな元牧師の未亡人ミス・ベイツなど、どの登場人物も個性豊かで活き活きと描かれている。
このように登場人物が魅力的に描かれていなければ、たかが恋愛物語に750ページ余りもの長い作品に仕上げることは難しいだろうと思う。
恋愛喜劇物語であるのに、最後にちょっとしたミステリーめいた出来事の謎解きのようなもの(フランクの勘違いに関すること)が織りまぜてあるところも心憎く面白い。
ジェイン・オースティン自身がエマの父親を“心やさしい身勝手さ”などと的確に評していることなどが書かれた訳者あとがきも読んで面白い。
重い作品などの合間に息抜きのように気軽に読めるジェイン・オースティンは、なかなか侮れない名作家だと思う。
本当に若く亡くなったことが残念だ。 -
Posted by ブクログ
「高慢と偏見」が面白かったので、「エマ」を読んでみる。
ジェイン・オースティンの作品は、作家の訴えたい何かを探ったり、世間に対しての皮肉だったりという作品を通じての問題提起がなされたものではない。あくまで結婚を考える女性を中心に、家族や恋人である男性や周囲のひとびととの間で巻き起こる出来事を読みやすく書いた娯楽性の高い作品だと思う。
作品を読んで何かを考えるとかいった読書でなく、とにかく読んで面白い。絵のない漫画のようだ。
それでいて、くだらないと一蹴してしまうのは勿体無い。不思議に読みたくなる作家だ。
上流家庭に育ったエマは美人で頭が良く、自分は結婚するつもりは毛頭ないくせに、ひとの結婚を纏めたい女性。
エマは、愛らしい私生児のハリエットとエルトン牧師との結婚を纏めたいと思い、ハリエットに思いを寄せるマーティンとの結婚話を壊してしまう。
美人で頭が良い主人公エマは、世話焼きで、思い込みと決めつけが激しい。
そんなエマなので、ひとの気持ちに気づくことが出来ずとんちんかんな思い込みと決めつけで、本人は至って真面目にとんでもないことをする。
勿論、読者にはエマのすることが的を外したことだと想像出来る。まさに喜劇。
今回の作品でも、エマをはじめ登場人物は個性豊かな面々で、読みはじめてすぐにジェイン・オースティンの世界に引き込まれる。
エマのお節介でハリエットはどうなるのか、エマの恋はあるのかないのか、下巻へ。 -
Posted by ブクログ
19世紀初頭のジェントリたち…とりわけその子女たちが抱いた野心、けん怠、不自由、無知、理性と誤認。オースティンの作品がおもしろいのはそこらへんのことを、キャラクター化してみせてくれること。
「エルトンさんの態度は、ある意味では、ナイトリーさんやウェストンさんより上かもしれないわ。エルトンさんの態度のほうが丁重だから、いいお手本になるわ。ウェストンさんの態度はあけっぴろげで、きびきびして、すこし無遠慮なところがあるわ。みんな彼のそういうところが好きだけど、それは彼がすごく陽気な人だからよ。でも、彼の態度は真似しないほうがいいわ。ナイトリーさんの態度は単刀直入で、断固として、人に命令するようなところがあるけど、やはり真似しないほうがいいわ。ナイトリーさんにはぴったり合っているし、あれほどの立派な容姿と、社会的地位があるから許されるけど、若い人が真似したら鼻持ちならないわ。でもエルトンさんの態度は、いいお手本として若い人にも勧められる。エルトンさんはとても明るくて、陽気で、親切で、丁重ですもの。最近とくに丁重になったような気がするわ。私かあなたに気に入られようという下心でもあるのかしら。それで急に丁重になったのかどうかわからないけど、彼の態度が前よりずっと丁重になったのは確かよ。何か目的があってそうしているのだとしたら、たぶん、あなたに気に入られたいからよ。このあいだ彼があなたのことをどう言っていたか、話したかしら?」(52-53ペ)
散策、ピクニック、ディナー、舞踏会…そういった「社交」を基調として描かれるジェントリの「優雅」な生活の合間には、農場経営にまつわる雑事や慈善訪問、地方行政に関わる職務への素っ気ない言及が登場する。
上級貴族階級と農民階級・商人階級の間にあって、牧師たちと隣り合う彼らは、土地資産の経営によって経済的な資本を、教養と「品の良い」振る舞いにより文化的な資本を、そして慈善と公共への奉仕によって社会関係資本を蓄積してきた人びと。
少なくともオースティンが描く世界において、登場人物たちの伝統や血筋への繰り返しの言及にもかかわらず、彼らの世界の境界線上での流動性の高さがそこここで仄めかされていて──まさにそうであればこそ、自分たちの正統性を主張せざるをえない人びととして呈示されているのも、読んでいて興味深い。 -
Posted by ブクログ
誤解が解けた後の話。
紆余曲折繰り返しつつ、お互いの葛藤踏まえつつ、かつ主人公の妹がまさかのあの人と結婚するという波乱の事態に。。。。
見せ方は本当にすごいなと思います。主人公そっちのけで気になった(笑)
だけどここまで引っ張ってきたら妹関連よりむしろ主人公ペアのもっとごたごたが見たかったです。。。たぶん恋愛もの重視じゃなくて「人ってこんなに面白い生き物なのよハハ」がメインなら仕方ないのかな。ダーシーの鬱陶しい叔母さんがもう少し鬱陶しさをかもし出してくれたり、二人の中をかき回してくれたらよかったのに……けどそうするとオースティンらしさが消えてしまうのかもしれないから、これはこれで満足するしかないのかな。
そしてやっぱり主人公エリザベスも人のこと棚にあげている場合ではなく、彼女も十分高慢と偏見に満ちていると思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったです。
イギリス文学と聞いて、少しとっつきにくい(独特な)文章、言葉遣いなど最初はなじめなかったのですが、ヒロインのエリザベスが相手役(?)のダーシーと出合った辺りから怒涛のようにストーリーが展開していきます。
主人公含め脇役たちの性格がものすごく人間臭くて面白かった。もちろん誇張はあるのでしょうが、「うわ、実際に職場にいそうな……」という女性たち、男性たちの態度、言葉の使いまわしがものすごい。
一応主人公エリザベスは美化されている? ようですが、むしろ彼女のほうが「偏見」に満ちていると思いました。題名から判断すると対する高慢はダーシーというところでしょうか。
(とは言っても、私としては「気難しいが、実は素直な男の人」という印象でしたが。エリザベスが文中で言うほど悪い男性には思えません……エリザベスに勘違いされている彼が非常にかわいそう(苦笑)
エリザベスは確かに頭が回り(とくに彼女の家族から考えると彼女の頭の回転の速さはほとんど奇跡に近い)
自分の意見をはっきり言う強い女性ですが、ダーシーに対する考え方を自分の好意を持っている相手からの受け入り、もしくは自分の第一印象で決め付けているところなど「?」な部分があったので、ちょっとそこはどうなのよ、と個人的に思います。むしろ主人公っぽいのは、彼女の姉のほうなのでは。。。
ダーシーも恐らく自分の素直になれない性格から、あのような言動を言ったり態度を取ったりするだけなのでは。むしろエリザベスに対してはとても紳士だと思うのですが……。
とにかく、登場人物もさることながら、展開も早いです。メイン二人以外にもそれぞれ色々事情を抱えたりしていた「この人は、あの人はどうなるの?!」とやきもきさせます(笑)
文学作品と苦手意識を持つ前に、一度読んでみるだけでも楽しいかと。ちょっと日本人用に題名も分かりやすいものに変えれば読む人が多くなるかもしれません。実際、中身は「高慢と偏見(ドーン)」というような硬いものでは決してありませんので。
恋愛ものが好きな女性にはオススメですよ?