歴史戦と思想戦 ――歴史問題の読み解き方

歴史戦と思想戦 ――歴史問題の読み解き方

ビジネス・実用
913円 (税込)

4pt

今、出版界と言論界で一つの「戦い」が繰り広げられています。南京虐殺や慰安婦問題など、歴史問題に起因する中国や韓国からの批判を「不当な日本攻撃」と解釈し、日本人は積極的にそうした「侵略」に反撃すべきだという歴史問題を戦場とする戦い、すなわち「歴史戦」です。近年、そうしたスタンスの書籍が次々と刊行され、中にはベストセラーとなる本も出ています。実は戦中にも、それと酷似するプロパガンダ政策が存在しました。しかし、政府主導の「思想戦」は、国民の現実認識を歪ませ、日本を破滅的な敗戦へと導く一翼を担いました。同じ轍を踏まないために、歴史問題にまつわる欺瞞とトリックをどう見抜くか。豊富な具体例を挙げて読み解きます。

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歴史戦と思想戦 ――歴史問題の読み解き方 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

     書店の売り場に「中国・韓国の反日攻勢」「南京大虐殺の嘘」「慰安婦問題のデタラメ」「あの戦争は日本の侵略ではなかった」「自虐史観の洗脳からの脱却」などの歴史修正主義に関する書籍に目が行き、つい手を伸ばして購入したことはないだろうか?最近では、安倍元総理の銃撃事件に端を発し、国葬問題や統一協会問題、東京五輪不正など綴じ蓋が弾けた様な報道に、歴史修正主義者と歴史や事実の積み重ねによる研究書籍など、両論の書籍を並べる書店をSNS等で多数見かけるようになり、読者の目が片方に向かないようになってきているのを肌で感じる。
     本書は、歴史修正主義者が「歴史戦」と称して、歴史の一部分をあたかも全体であるかのように見せかけるトリックの概要を解説し、その巧妙さを指摘する。例えば、南京大虐殺では、虐殺の事実の積み重ねが重要であるものを「虐殺された人数」への論点のすり替を行われている点を指摘する。アジア・太平洋戦争では、帝国陸軍は敗戦と同時に多くの書類を焼却・隠滅したために、正確な記録が無い中では明確に数値化できない点を巧妙に突いてくる。しかし、一方で最近になって軍の記録や個人の日記などが多数見つかり、またNHK等の番組で紹介されるようになり、事実の積み重ねと歴史の検証は続いている。この思想戦は、アジア・太平洋戦争中に開始され、戦後も続いている経過とトリックを丹念に追いかけ、歴史教科書や事実の積み重ねの重要性を伝え、ともすれば「非国民」=「反日」のレッテルのトリックも喝破する。作家保坂正康氏は、「自虐史観」から「自省史観」への転換を訴えるが、正に反省、自省、内省、猛省など、「自省史観」が重要な事を再確認した。また、学生を含めた社会人たちと共に歴史の積み重ねを学び、複眼で多面的に考える重要性を再認識した一冊となった。

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    2022年09月23日

    Posted by ブクログ

    2019年5月。集英社新書。帯に内田樹、望月衣塑子、鴻上尚史、想田和弘の推薦文。
    中韓への排斥論にあるもやもや感を「事実」と「論理」の角度から検証し解消する。

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    2022年06月14日

    Posted by ブクログ

    歴史学者がきちんと歴史を捻じ曲げようとしている言説に対して、どこがどうおかしいのか解説。
    おかしいとはわかっているのに、うまく説明できないで、モヤモヤとしていたことをすっきりとさせてくれる。心のもやが晴れて、くっきりと問題点が浮き彫りにされる感じだ。
    歴史修正主義の本が、ゴロゴロある中で、このような本を出してもらえるのは大切なことだ。歴史学者ならではの明快さが救ってくれる。最近のおかしな社会の動きにモヤモヤしている人は必読書。

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    2021年08月12日

    Posted by ブクログ

    耳ざわりの良い言葉に踊らされる事なく、事実を事実として受け入れる思考を手に入れられる本だと思った。
    筆者の終始一貫した冷静さに救われる。

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    2020年10月04日

    Posted by ブクログ

    現在、第二次世界大戦で大日本帝国が行ったことを否定または矮小化する言説が言論界や出版界で繰り広げられている。以前もあったことではあるが、一笑にふされていたのが、大手を振るうようになった。この問題について、歴史的な経過や事実も踏まえて論証した本である。客観的な歴史認識を広げる事自体が国益を守る事につながるという事を強調したい。

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    2019年11月14日

    Posted by ブクログ

    今、本でもネット上でも、歴史問題について日本は正しかったと言う主張があふれている。その一見正しいと見える主張に、どのようなトリックや欺瞞が、そこに隠されているかを、明快に暴いている。
    今後、国際社会の中で、まるで説得力のない、日本は正しかった、という主張に固執するのでなく、大日本帝国時代の過ちについて、認めつつ検証していく方が、国としての評価に結び付くということに、賛同する。
    どのような学問領域でもそうだが、専門家が、その分野のトンデモ本や、トンデモ発言に、違うと真っ向から否定してくださることが、大切なのでしょう。

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    2019年11月08日

    Posted by ブクログ

    読みながら自分自身の考えが整理されていくようでした。大変分かり易かったです。事実に反する事柄が広まっていくのを黙認するのは、それを支持していることと同じですね。意見が対立することを嫌がらず、対話する努力を持ちたいです。

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    2019年09月24日

    Posted by ブクログ

     日本の歴史問題について、論理的に記した本。

     特に注目したのは、現在の「日本国」と「大日本帝国」を峻別する点。

     確かに、繋がる面があるとはいえ、体制等異なるのだから別の「国家」である。

     そこを峻別しきれていない所に、歴史問題の厄介さがあるように思う。

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    2019年09月08日

    Posted by ブクログ

    本書の特徴と意義は著者が「おわりに」で書いています。
    「・・・大日本帝国時代の『負の歴史』を否認する言説の論理構造や、そこで多用される論理のトリック、認識の誘導などのテクニックをわかりやすく読み解くこと・・・」(p289)。

    例えば、よく使われるトリックで南京事件の虐殺数が30万人というのはありえない、故に虐殺はなかったと論理が飛躍する点です。

    また、基本的事項として気づかされた事は「日本」の具体的な概念とは?という事です。「日本」は現代の日本と戦前の大日本帝国の両方を含んでおり、どの日本を意識して語るかが重要です。

    全体を通じて、著書は産経新聞が主張する歴史戦を起点に、歴史戦の主要著書に対して具体的かつ論理的に反証を提示していきます。

    歴史を専門とするプロの研究家たちが積み上げてきた研究成果を、素人たちが見て見ぬ振りをして、自分たちの言いたいことを言っています。故に敢えて素人にもわかるように再度わかりやすく説明している構図に見えます。おまけにこの素人たちは、産経新聞を始めとして、いくつかの発表の媒体も持っており、それなりに影響力もあるので始末が悪いです。

    プロ対素人の関係性の中で語られる言説であり、プロ側から見れば何の知見も得られない、何の生産性もない不毛な議論(というのもおこがましいですが)という事です。
    逆に素人がプロに喧嘩を吹っかけているわけです。

    プロである歴史学者は、意見の違いはあれど、新たに発見された歴史の事実を基準にそこから何かを学び、未来へつなげていく志向は同じです。故に、同じ土俵での議論が可能となり、その場から多くの知見を得ることができます。
    「・・・歴史研究が尊重するのは個々の『事実』であって、最終的に導き出される『結論』ではありません。まず『事実』があって、それを適切に配列した結果として導き出されるのが『結論』です」(p70)。

    一方で歴史戦を謳う方々は、
    「・・・まず『日本は悪くない』という『結論』を立て、それに合う『事実』だけを集めたり、それに合うように『事実』を歪曲する手法をとっています」(p70)。

    著者は最後にこう述べています。
    「・・・専門家が傍観すれば、一般の人々は『専門家が批判も否定もしないということは一定の信憑性がある事実なのか』と思い、結果としてそれを信じる人の数が徐々に増加していくことになります」(p295)
    著者には面倒臭いことだとは思いますが、
    「社会の健全さを維持するための分担作業」(p296)と捉えて本書を上梓しています。非常に成熟した大人の振舞と感心しました。

    昨今の歴史修正主義者の言説は子どもの戯れ言かもしれません。大人と子どもの間には議論は噛み合わないです。噛み合わないどころか「議論」という表現自体が不適切です。通常大人達の話の中には子供は入ってはいけません。間違って入っても相手にされないか、子供がわかるように諭されるだけです。一言でいうと対等ではないんです。故に、大人と子どもの言説が両論併記される事はあり得ないのです。
    その異常さを暴露したのが、映画『主戦場』ではなかったでしょうか。本著書を読んで、構図が同じことに気づかされました。

    最後に。エーリッヒ・フロム『自由からの闘争』を題材にして、歴史戦の言説に傾倒していき、権威へ服従していくプロセスを、わかりやすく解説しています。まだ読んでいないので、早速買って読んでみます。

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    2019年07月01日

    Posted by ブクログ

    ”あれ、おかしいな?”がキーワード。副題にしても良いくらい繰り返されるけど、実際、終戦後の大戦論に関する詭弁たる諸々を、一見勇壮に見える中に垣間見える矛盾から、丁寧に解き明かしていくという内容。戦後の”日本国”と”大日本帝国”を、十把一絡げに”日本”と表記するレトリックを知るだけでも、随分と選別眼が鍛えられると思う。ここでも痛感されたのは、先日読んだ『病理医ヤンデル』でも触れられていたけど、声高な意見の頑迷さ・強大さ。ただ、その差は文章のうまさとかじゃなく、論者の誠実さにあるのではないか、と。かたやピンポイントを誇張して、あたかもそれが全てを表すかのように、断定的に声高に叫ばれる意見。かたや多方面からそれぞれの立場に立って検討しつつ、留保すべきところは留保しながら、じっくりと語られる意見。きっと、ぱっと聞きの心地よさは前者有利。しかも圧倒的に。だって素人からすれば、玄人に考えてもらって、”こうですよ”って決めてもらう方が楽だもの。そこをもう一歩踏み込んで、自力で答えを出そうとする向きがもう少し増えれば、本書における歴史問題も然り、件の書における医療問題然り、良い方向にいくはず。やっぱり、あきらめちゃダメですな。

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    2019年06月18日

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