【感想・ネタバレ】歴史戦と思想戦 ――歴史問題の読み解き方のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年10月04日

耳ざわりの良い言葉に踊らされる事なく、事実を事実として受け入れる思考を手に入れられる本だと思った。
筆者の終始一貫した冷静さに救われる。

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Posted by ブクログ 2019年11月14日

現在、第二次世界大戦で大日本帝国が行ったことを否定または矮小化する言説が言論界や出版界で繰り広げられている。以前もあったことではあるが、一笑にふされていたのが、大手を振るうようになった。この問題について、歴史的な経過や事実も踏まえて論証した本である。客観的な歴史認識を広げる事自体が国益を守る事につな...続きを読むがるという事を強調したい。

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Posted by ブクログ 2019年11月08日

今、本でもネット上でも、歴史問題について日本は正しかったと言う主張があふれている。その一見正しいと見える主張に、どのようなトリックや欺瞞が、そこに隠されているかを、明快に暴いている。
今後、国際社会の中で、まるで説得力のない、日本は正しかった、という主張に固執するのでなく、大日本帝国時代の過ちについ...続きを読むて、認めつつ検証していく方が、国としての評価に結び付くということに、賛同する。
どのような学問領域でもそうだが、専門家が、その分野のトンデモ本や、トンデモ発言に、違うと真っ向から否定してくださることが、大切なのでしょう。

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Posted by ブクログ 2019年09月24日

読みながら自分自身の考えが整理されていくようでした。大変分かり易かったです。事実に反する事柄が広まっていくのを黙認するのは、それを支持していることと同じですね。意見が対立することを嫌がらず、対話する努力を持ちたいです。

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Posted by ブクログ 2019年09月08日

 日本の歴史問題について、論理的に記した本。

 特に注目したのは、現在の「日本国」と「大日本帝国」を峻別する点。

 確かに、繋がる面があるとはいえ、体制等異なるのだから別の「国家」である。

 そこを峻別しきれていない所に、歴史問題の厄介さがあるように思う。

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Posted by ブクログ 2019年07月01日

本書の特徴と意義は著者が「おわりに」で書いています。
「・・・大日本帝国時代の『負の歴史』を否認する言説の論理構造や、そこで多用される論理のトリック、認識の誘導などのテクニックをわかりやすく読み解くこと・・・」(p289)。

例えば、よく使われるトリックで南京事件の虐殺数が30万人というのはありえ...続きを読むない、故に虐殺はなかったと論理が飛躍する点です。

また、基本的事項として気づかされた事は「日本」の具体的な概念とは?という事です。「日本」は現代の日本と戦前の大日本帝国の両方を含んでおり、どの日本を意識して語るかが重要です。

全体を通じて、著書は産経新聞が主張する歴史戦を起点に、歴史戦の主要著書に対して具体的かつ論理的に反証を提示していきます。

歴史を専門とするプロの研究家たちが積み上げてきた研究成果を、素人たちが見て見ぬ振りをして、自分たちの言いたいことを言っています。故に敢えて素人にもわかるように再度わかりやすく説明している構図に見えます。おまけにこの素人たちは、産経新聞を始めとして、いくつかの発表の媒体も持っており、それなりに影響力もあるので始末が悪いです。

プロ対素人の関係性の中で語られる言説であり、プロ側から見れば何の知見も得られない、何の生産性もない不毛な議論(というのもおこがましいですが)という事です。
逆に素人がプロに喧嘩を吹っかけているわけです。

プロである歴史学者は、意見の違いはあれど、新たに発見された歴史の事実を基準にそこから何かを学び、未来へつなげていく志向は同じです。故に、同じ土俵での議論が可能となり、その場から多くの知見を得ることができます。
「・・・歴史研究が尊重するのは個々の『事実』であって、最終的に導き出される『結論』ではありません。まず『事実』があって、それを適切に配列した結果として導き出されるのが『結論』です」(p70)。

一方で歴史戦を謳う方々は、
「・・・まず『日本は悪くない』という『結論』を立て、それに合う『事実』だけを集めたり、それに合うように『事実』を歪曲する手法をとっています」(p70)。

著者は最後にこう述べています。
「・・・専門家が傍観すれば、一般の人々は『専門家が批判も否定もしないということは一定の信憑性がある事実なのか』と思い、結果としてそれを信じる人の数が徐々に増加していくことになります」(p295)
著者には面倒臭いことだとは思いますが、
「社会の健全さを維持するための分担作業」(p296)と捉えて本書を上梓しています。非常に成熟した大人の振舞と感心しました。

昨今の歴史修正主義者の言説は子どもの戯れ言かもしれません。大人と子どもの間には議論は噛み合わないです。噛み合わないどころか「議論」という表現自体が不適切です。通常大人達の話の中には子供は入ってはいけません。間違って入っても相手にされないか、子供がわかるように諭されるだけです。一言でいうと対等ではないんです。故に、大人と子どもの言説が両論併記される事はあり得ないのです。
その異常さを暴露したのが、映画『主戦場』ではなかったでしょうか。本著書を読んで、構図が同じことに気づかされました。

最後に。エーリッヒ・フロム『自由からの闘争』を題材にして、歴史戦の言説に傾倒していき、権威へ服従していくプロセスを、わかりやすく解説しています。まだ読んでいないので、早速買って読んでみます。

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Posted by ブクログ 2019年06月18日

”あれ、おかしいな?”がキーワード。副題にしても良いくらい繰り返されるけど、実際、終戦後の大戦論に関する詭弁たる諸々を、一見勇壮に見える中に垣間見える矛盾から、丁寧に解き明かしていくという内容。戦後の”日本国”と”大日本帝国”を、十把一絡げに”日本”と表記するレトリックを知るだけでも、随分と選別眼が...続きを読む鍛えられると思う。ここでも痛感されたのは、先日読んだ『病理医ヤンデル』でも触れられていたけど、声高な意見の頑迷さ・強大さ。ただ、その差は文章のうまさとかじゃなく、論者の誠実さにあるのではないか、と。かたやピンポイントを誇張して、あたかもそれが全てを表すかのように、断定的に声高に叫ばれる意見。かたや多方面からそれぞれの立場に立って検討しつつ、留保すべきところは留保しながら、じっくりと語られる意見。きっと、ぱっと聞きの心地よさは前者有利。しかも圧倒的に。だって素人からすれば、玄人に考えてもらって、”こうですよ”って決めてもらう方が楽だもの。そこをもう一歩踏み込んで、自力で答えを出そうとする向きがもう少し増えれば、本書における歴史問題も然り、件の書における医療問題然り、良い方向にいくはず。やっぱり、あきらめちゃダメですな。

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Posted by ブクログ 2020年01月24日

内容的には、面白く読めましたが。
相手にしている、右翼的な大日本帝国に
シンパシーを持っていて、大日本帝国に
戻したいと思っている人達の書いた本や内容を、
そこまで目くじら立てるような輩ではなく
ほっておくしかないかなと思うこともあります。
ただ、その反面。最後の文書にあったように
相手にしない態度...続きを読むが、全体の方向性を間違った
方向に進めてしまう一助になることがあり得る
ということについては。
そうかもしれないという危機感は持ちました。

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Posted by ブクログ 2020年01月17日

従軍慰安婦、南京大虐殺、大東亜共栄圏に対して、保守派論客達の主張を、冷静に反論していく著述に、著者との真剣勝負しないければならない新書。
愛国や郷土愛において、本来の日本と大日本帝国とは、別に考えなければならないと教えてくれる。
本作のお陰で、当面、刺激的な愛国主義風のエセ歴史本を衝動買いしなくてす...続きを読むみそうだ。

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Posted by ブクログ 2019年08月04日

愛国者でも昨今の出版・ネットメディア等の主張には胸が悪くなる。よくぞ出版してくれたと思う。
私たちの現実認識を誤った方向に導くプロパガンダ策略というのは昔も今も続いている。
まんまと乗っかる俺たちって。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年07月21日

「主戦場」という映画を観た。日系アメリカ人が慰安婦問題をドキュメンタリーで撮った映画だ。題名の「主戦場」に違和感を持っていたが、この本を読んでガッテンした。
産経新聞社が「『主戦場』は米国、『主敵』は中国というキャンペーンを張っていたからだ」。アメリカ人がこの主張に対して関係者から聞き取りをして映画...続きを読むにした。
大阪人の僕としては、60年も続いたサンフランシスコ市と
の姉妹都市提携を解消したのは残念だと思っている。一人の市長により一方的に終わらせる事がい事なのか?
軍国主義復活を目論んでいる人の文章を読んで、いつもモヤモヤした思いが残っていたが、この本を読んではっきりと理解できた。つまり、彼らのいう日本とは「大日本帝国」のことで戦後の平和憲法を選んだ日本国ではないということだ。つまり、賛美は「大日本帝国」自虐は「日本国」となる。そういう文脈からは当然「戦争放棄」「軍隊禁止」の日本国を擁護する人間は非国民となる思想なのだ。

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Posted by ブクログ 2019年12月16日

『鴻上尚史のほのぼの人生相談』での推しで読む。
歴史戦&思想戦に対する批判本。
歴史戦とは、大日本帝国による南京大虐殺や慰安婦などを擁護する産経新聞を始めとする論陣のこと。中国や韓国による歴史糾弾への戦いともいえそう。
それが大日本帝国による思想戦、政府主導のプロパガンダと同様だとする批判とともに、...続きを読む歴史戦を否定する。
被害者数や種々の事情の違いがあるにせよ南京大虐殺や慰安婦の不幸な事実から目を逸してはならないことは理解できる。しかし、日本側に歴史戦の論調が出てくる背景には、別の勢力からの歴史戦があるからではないだろうか。
歴史の動きには、それぞれの側に大義も事情もあるだろうから、一方の言い分だけが正解なはずもなく、不毛な論争を続けても折り合うとも思われないが、過去の過ちにはしっかりと向き合い、そうした過ちを再び繰り返さないために今後どうすればよいのかという視点は大切にしたいと感じた。
19-131

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Posted by ブクログ 2019年08月25日

著者は近代戦史がご専門の歴史学者。産経新聞などが中心となって展開している「歴史戦」は、戦時中にあった「思想戦」とそっくりな構造になっているという指摘は、かなり興味深いものだった。そしてそれらの主張には、詭弁やゴマカシがたくさん見られ、およそ学問的とはお世辞にも言えない稚拙なものであることを明らかにし...続きを読むている。ネット上で読みもせずに「左翼」と罵倒しておられる方がいるのは、著者も予想していたと思う。

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