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若く美しい母・静子から溺愛されている中学2年生の静一。
クラスの女子・吹石に淡い思いを寄せたり、従兄弟のしげると遊んだり
ごく普通の中学生として暮らしていた彼の日常は
夏休み中に両親としげる一家との登山中に起きた事故から明確に壊れ始めます。
事故当時に母が取った行動が信じられず、彼女の一挙手一投足に過敏になる静一。
静一の心境を知ってか知らずか、吹石と静一の関係の進展を露骨に阻み、抑圧する静子。
抑え込んでいた苦しみと狂気を解き放ち始めた母と、静一はどう闘っていくのでしょうか?
事故の真相が明らかになるかどうか、というサスペンス要素もあり、
とにかく緊張感がすさまじい一作です。
Posted by ブクログ
母親の夢を見た。
何度とも繰り返された。
私の行動、発言、一つひとつに干渉し、理解のできない持論を押し付ける。
今思えば子供騙しなくだらない嘘や、勝手な理屈ばかり。
私の境界に萎びた手と臭い息で入り込んでくる。
心底気色が悪かった。
夢の中でもまさにそんな時、姉は後ろで観ている。
私は「そう言うの、嫌だ」「もうやめてほしい」と言おうとするのだけど、喉がつかえて、声が出ない。
もどかしい、伝えられない。
わかっていた。
伝えたってわかってもらうことなんてできない。
姉だって味方じゃない。
父親はどこかに行った。
学校では「母親が病気だからと言って甘えるな」と教師に友達の前で家庭のことを暴露され、相手にされない。
いつも鬱だった私は、学校でも馴染めず、いつも怒りを湛えていた。
だから、声が声にならない。
早くそんなもの捨てて仕舞えばよかったのだ。
親戚も皆いう。
「女で一つで大学まで出してもらったんだから、大事にしなさい」
何も知らないのに。
でも私は幼く、そうしなければならないと思っていた。
姉も「あなたは長男なんだから」と言う。
私はわかっていた。
親など見捨てたところで、生活保護でもなんでも、勝手に生きていく。
なのに、みんなに押し付けられた。
私は声が出せなかった。
喉がカラカラで、張り付いて、掠れた呻き声しか出ない。
家族が、大切なものなどと、親は子供を思っているなどと、そんなことを語れる人間は、ただただ自分の境遇に感謝すればいい。
それを押し付けるのは、馬鹿なだけだ。
風景が物凄く綺麗
怖いけど哀しい。読む度に苦しくなります。その苦しさを風景の美しさが緩和してくれるような、救ってはくれないけど包み込んでくれるような、怖くて残酷だけど何度も覗き込みたくなる作品です。
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