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身の丈ほどもある大きなトランクを持った少年・才賀勝に「サーカスに連れて行ってくれませんか」と頼まれた、拳法家の青年・加藤鳴海。そこに人間と見紛う奇妙な人形が現れ、勝を連れ去ろうとします。拳法が通じない人形相手にピンチを迎えた2人の前に現れたのは、謎の銀髪の美女・しろがね。さあ、ここに世紀の機巧活劇が開幕する――。
不死の体を持つ人間「しろがね」と自動人形(オートマータ)との闘いを、国境そして時空を超えて壮大なスケールで描いた藤田和日郎先生の代表作。
これほどまでに人間の持つ感情、喜怒哀楽全てがビビットに描かれた作品を私は他に知りません。ストーリーは闘いを中心に進んでいくのですが、その闘いに身を投じた「しろがね」達の生き様、闘いに巻き込まれた人間の悲劇、そして「しろがね」ではないものの大きな鍵を握る存在である勝の成長――その全てがクソデカ感情でもって読者の胸に迫りくるのです。
登場人物たちは火傷しそうなほどの熱さを持った愛すべき奴らなのですが、物語は彼らをあざ笑うかのように残酷な展開を見せます。なので、後半は傍らにティッシュのご用意を。
「面白い」「ドキドキする」「泣ける」「感動する」「怒りを覚える」「声を上げて応援したくなる」。こうした漫画体験の全てが詰まったこの作品、陳腐ですが、読まないと人生の半分損してると言わざるを得ません……!
構成が、見事としか、表現する術がない。からくり編があり、サーカス編があり、ストーリーが行ったり来たりするけど、こんがらがる事なく、読者の集中を引っ張っていってくれる吸引力があるので、話が複雑だと思う時もあるけれど、どんどん読み進めれます。
子どもも楽しめるマンガだけど、大人にも楽しめるマンガです。
並行して進む二つのサーカス。リンクし交わるそれらが、胸に熱いものを覚えさせる。落とし物ギイ・クリストフ・レッシュが彼岸から此岸へと渡ることで、仲町サーカスに化学変化を齎すのだったか。楽しみだね。ナルミとルシールと、新しい旅の仲間にも期待だ。
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