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藤田和日郎先生インタビュー

名作『うしおととら』、『からくりサーカス』を世に送り出し、 20年以上の間、週刊連載というハードな環境の中で今なお作品を描き続ける藤田和日郎先生の情熱と素顔に、漫画家 田中圭一が対談形式のインタビューで迫る!

藤田和日郎 (ふじたかずひろ) 5月24日生まれ。北海道出身。血液型A型。
1988年、第22回新人コミック大賞入賞を経て、1989年、第2回少年サンデーコミックグランプリにて、『うしおととら』で入賞し、連載開始。1991年、『うしおととら』で、第37回小学館漫画賞・少年部門を受賞。代表作『からくりサーカス』。2008年17号より『月光条例』を連載!!!

インタビュアー:田中圭一(たなかけいいち) 1962年5月4日生まれ。大阪府出身。血液型A型。
手塚治虫タッチのパロディー漫画『神罰』がヒット。著名作家の絵柄をまねたシモネタギャグを得意とする。また、デビュー当時からサラリーマンを兼業する「二足のわらじマンガ家」としても有名。現在は株式会社BookLiveに勤務。

インタビューインデックス

プロ漫画家としてのデビュー

漫画家 田中圭一(以下、田中):藤田先生、どうもはじめまして!

漫画家 藤田和日郎(以下、藤田):どうもはじめまして!いやぁ、ビックリしましたよ。覚えていましたよ『昆虫物語ピースケの冒険』(※1)。

田中:え?覚えてくれていましたか? ありがとうございます!

藤田:よくもまぁ、お互いに業界から消えずに歩いてこられたもんだなぁって(笑)。

※1 藤田の『うしおととら』と田中の『昆虫物語ピースケの冒険』は1990年から週刊少年サンデーに同時期に掲載されていた。

藤田:田中さんが最初に作品を持ち込んだのは少年サンデーだったんですか?

田中:いや、私は小池一夫先生の劇画村塾出身なので、そちらの機関誌で既にデビューしていたんです。

藤田:オレの場合は、たくさんの新人の中の一人だったから。
当時の担当編集さんからファイルを見せられて「コレ、俺が担当している新人だから」って。
「藤田和日郎は、今はこのファイルの上の方にいるけど、ちゃんと"原稿みてくれ"って電話して来なかったらどんどん下に行くからな」って。
そのファイルが本当に分厚かったんだよね。うわ、こんな中から出てくるのはキツイですわって。

その後、「コミックグランプリ」って賞があって、2番目の賞に受かって。
「ちょっと使ってみようかな?使わないワケにはいかないよな」って感じで使ってもらって。
もしあの時、人気がバーンって来なかったら、その時点で連載は終わってましたよ。

田中:そんなことがあったんですか。
でも藤田さんの絵は、当時のサンデーの中でも勢いがあって、あの躍動感は他の作品にはなかったですし、とても目立っていましたよ。

藤田:本人はきっと一生懸命に描いていたんですけど。フリーハンドで何でも描いちゃうっていうのが今考えると新人っぽいというか、素人くさい感じで(笑)。
フリーハンドで描き殴ったような線って、新人だったら誰でも一度は通過するじゃないですか?その中でオレが拾って貰えたっていうのは本当にありがたいことなんだよね。
田中さんは社会人をやりながら漫画家としても活動してるんですよね?専業漫画家になる機会もたくさんあったでしょう?それにしても、よくあの手塚先生をいじれるなぁ(笑)。

田中:アレはきっと誰もやらないだろうから、あえてヤルっていう(笑)。
本当は、ちょうど劇画調の絵柄でギャグ漫画を描くのに行き詰っていて、何とかして絵柄を変えなきゃって悩んでいた時期があったんですよ。
自分は手塚先生の大ファンで、ただ根っからのギャグ漫画家だから、いつも"ブラックなギャグをやってやろう"というところがあって、たまたま執筆中の作品にあの絵柄をのせたところ「コレは面白いぞ!」って。今振り返ると…(笑)。

生き残るために爪を立てる・武器を持つ

藤田:漫画家にとって一番大切なのは気迫じゃないかって思うんだよね。気迫ってどこから来るのかって、結局は必死さから来るんだと思うんですよ。
90年代の前半って、お互いに何とか引っかかってやろうってもがいていた頃じゃない?
鍋の中で、爪も引っかからないような壁に向かって、何とか爪を立てて「この業界にいさせて!」って。
その必死さが、もしかしたらオレはあの描き殴ったような絵柄だったのかもしれないし。
何か相手に届く武器を必死で探した人間だけが、何とか引っかかって生き残ってるんだと思うんですよ。

田中さんの場合はパロディ。普通だったら、喧嘩を売っても大丈夫な人を出してゴマかしてしまうところに、もってきたのが手塚先生じゃない(笑)。
田中さんの作品を読んでいると、「飢えてる」っていうか、本気出している感じがするんですよね。

田中:確かに90年代の初めの頃って、生き残るために何をしようか?って試行錯誤させられた記憶がありますね。編集さんから「もうそろそろ社会人一本でやれば?」って。
自分の場合は、2000年の頃にも試行錯誤する時期があって。それで描かせていただいたのが『神罰』だったんです。考えてみればいつも試行錯誤している気がします(笑)。

藤田先生の場合、作品のクライマックス、ここぞって時に描かれるコマにエネルギーというか、オーラがありますよね。

藤田:さっきの話と少し矛盾するけど、オレね、人に話をする時に、スピリチュアルな言葉が入るのが本当は好きじゃないんです(笑)。
エンターテインメントっていうのは公式があって、積み木みたいに組み上げていって、それに乗っかれば面白いものができるぜ!って。だから才能が無いなんて言うなって。
公式を覚えて、キャラクターのギャップをより多く見せるっていうことを覚えれば何とかなるからって言いたくて。本当は、感覚的な話をするのがイヤなんですよ。
面白いアイディアの理由を「閃いたんだよ」とか、「才能かな?」って言い方はしたくない。

ただ、オレの場合は幸せなことに、描きたいモノとクライマックスが一致しているんですよ。
単純にカッコイイものが好きで、クライマックスに"ガ~ン"ってやってるのが好きなんで、それを描くためにそこまでの物語をコツコツと積み上げていく作り方だから。
一生懸命準備して、ようやく好きなモノを描ける状態になるわけだから、その頃にはもう体が完全に温まっていて、そのシーンは一生懸命描くしかない!思わず手を一生懸命に動かして描き込んでしまう(笑)。

田中さんがギャグ漫画を描く場合はどうですか?
ギャグ漫画の場合、描き込みとか複雑なモノはできる限り排除しないといけませんよね。

田中:そうですね。

藤田:こっちは読者に「このアクションシーンは手間をかけて描いてまっせ~」って見せないといけないんですが(笑)、ギャグ漫画は反対にクライマックスは一番明確に、シンプルにしなきゃいけない。

田中:このコマの落ちるポイントはどこかって。そのポイントに読者の視線が行くように余計なものは排除していくという感じですね。

藤田:一概に漫画といっても、描くジャンルによって方法論は結構違ってますよね。

田中:いかに目立つか?どうしたら他の作品と差別化できるかってことなんですよね。

藤田:まさに!だからみんな「自分の売りって何だろう?」って、新人の人だけじゃなく漫画家はみんな考えますよね。その時に、なるべくなら自分の売りを自覚していた方が良いような気がする。


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