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19世紀、英国ロンドン近郊のリーフスタウンヒルには小さな仕立屋「薔薇色(ローズ・カラーズ)」。売り子である友人パメラとともにこの店を営む少女クリスが仕立てるドレスは恋をかなえてくれるという噂がある。噂を耳にした公爵家の長男シャーロックが妹のためにドレスを頼みに来て…というお話から始まる、短編集を挟みながら長く続く少女向けライトノベルです。これを「ラノベだから」と見逃すのはもったいない! 上流階級のシャーロックと労働者階級のクリスの恋を通底に、1冊ごとにドレスを仕立てたい令嬢たちを主役としたお話が完結しますが、「恋のドレス」とそれに対立する「闇のドレス」も登場し、ミステリの要素も。ヴィクトリア朝における身分違いの恋を描きながら、恋愛関係やご都合主義だけに終わらず、母娘や夫婦などの人間関係を含めて、登場人物たちの葛藤や成長が丁寧に表現されている非常に優れた少女小説です。シリーズの主人公2人の行く末が気になって、どんどん続きを読みたくなってしまうので、大人買いがオススメ。
内容は面白い
しかし、書籍版なのに名前がどう読んでも、別の人間の名前であるべきだったり、誤字とおもえる箇所があった。
電子書籍化する際間違ったのか?
Posted by ブクログ
“「怖がるなよ。『薔薇色』がロンドンからここに移転したってことは知っていたけど、来たのははじめてだ。リンダはどうなって?知らないのか?そんなことはどうでもいい。俺が頼みたいことはただひとつ」
「頼みたい――こと?わたしに……」
「あんたは、リンダの娘だろう。誰にも作れないドレスを作る」
頭がくらくらする。だけれど、今倒れるわけにはいかない!ああ、パメラ!
「パトリシアのドレスを、闇のドレスにするんだ。闇の布を使って、闇の心をとき放つ。リンダ・パレスの娘なら、つくれるだろう、クリス」
「つくれません」
クリスは答えた。あとずさりし、ひとり掛けの椅子の背を持つ。手がふるえて、椅子の脚がいやな音をたてた。
「いいや、できる。つくったことだってあるんだろう。なにも表だって頼んでいるわけじゃない。俺は口が堅い。だからあの売り子がいなくなるのを待っていたんだ」
「いいえ。――何のことを言っているのか、わかりません」
「まさか、ロンドンの『薔薇色』で、リンダがつくっていたドレスを、ミス・クリスティンが知らないとでも?」”
シャーロックは確かにクリスが好きで、でも侯爵としての自分の考えがそれを否定している……のか?
闇のドレスと恋のドレス。二つのドレスは=なのか否か。
クリスが何を隠しているのかが気になって仕方ない。
“歩こうとして軽くよろけ、かたわらのサイドテーブルに手をついた。きっとパメラがブランデーを持ってきてくれるわ。そうしたら、もっと落ち着いて考えられる。クリスは自分をはげまして、サイドテーブルから手を放し、顔をあげた。
そこには、鏡があった。
パトリシアの好みなのだろうか、全身を映してもなおあまる、大きな、金の飾りにふちどられた鏡。
クリスは鏡の真正面にたたずみ、自分の姿を見た。避けられなかった。目を逸らすこともできなかった。
黒い髪が、肩を流れている。深い緑色の瞳。透きとおるような肌。白いドレスにつつまれた、華奢な体。見たことのある女。
彼女は、ママ――リンダ・パレスに、よく似ていた。”
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