人生を"ロングゲーム"に例えて、長期的な戦略を持ってそのゲームをプレイしようという一冊。
本書は「1.余白」「2.集中」「3.信念」の3パートから構成されているが、伝えたいこともとてもシンプル。
短期的な視野で忙殺されがちな毎日の中に本当に大切なことを考え実行するための、時間的、心理的な「余白」をつくること。
できた余白を使って、自分が心から叶えたいと思える目標、観たい景色を思い描き、その実現のために一点「集中」すること。
何事も成果が実るまでには時間がかかることを理解し、長長期的な視点と忍耐力を持って「信念」を貫くこと。
即効性が求められがちな現代、こういったビジネス書や自己啓発本も「明日から変われる!」みたいな謳い文句のものも多い中で、5年、10年、それ以上のスパンで人生を実り多いものにしましょうという本書のどっしり感は、個人的にとても信用ができるなと思いました。
-----
私たちにとって、「挑戦」とは「自分への挑戦」だ。誰にも気づかれず、無視されていても、それでも前に進んでいく。世界がいつか自分の存在に気づくはずだと信じ続ける。 p.17
暗い時期を乗り越えたときに手に入る報酬は、だんだんと増えるのではない。ある瞬間に一気に増えるのだ。 p.18
自分の時間、自分の人生をどう使うのか。意識的に選択すれば、あなたは巨大な力を手に入れることができる。
「自分はこれに賭ける」と決め、行動を起こし、そして待たねばならない。 p.19
激務をこなし、それをまわりにアピールするのは、意識的にせよ、無意識にせよ、自分の自尊心にとって大切だということだ。もちろんゆっくり考える時間は欲しい。だが、その時間が「ある」というのは、社会でそれほど必要とされていないということかもしれない。 p.38
「忙しさ」の定義を考え直す。「忙しい人」は「仕事ができる人」ではない。むしろ「自分のスケジュールさえコントロールできない人」だ。そう考えれば、忙しさの魅力も半減するだろう。 p.49
私たちもまた、「選択」を恐れることがあまりにも多すぎる。何かのドアを閉めれば、ほかのドアが開くことに気づいていない。やがて私たちは、自分でもきづかないうちに深刻な状態に陥ってしまう。「ノー」と言えないがためにスケジュールを詰め込み、一つの予定を早めに切り上げ、次の予定には遅れるということを繰り返すのだ。 p.64
すべてのことに「イエス」と言うのは、すべてに凡庸であるということだ。逆に「ノー」と言うことができれば、偉大な存在になれる貴重なチャンスが手に入る。 p.65
おそらく最も重要なのは、質問することでさらに明確な説明を求めれば、「相手にも努力が必要になる」ということだ。たいていの人は、努力する気がない。そうやって相手をふるいにかければ、本当にやる気がある人とだけ会うことができる。 p.68
する価値があるかどうか判断するときに役に立つ四つの質問。「①トータルでかかる時間はどれくらいか?」「②機会費用はどのくらいか?」「③身体的コスト、心理的コストはどんなものがあるか?」「④これをしなかったら1年後に後悔するだろうか?」 p.75
ロングゲームをプレイするなら、「自分は完璧ではない」と認めなければならない場面もある。なりたい自分になるためなら、たまにはバカに見えるようなことをするのもいいものだ。 p.94
自分の時間の20%を使って新しい分野に挑戦する。20%は、その分野が自分に合っているか、大きな可能性を秘めているかを知るには十分な時間だ。一方、うまくいかなくても悲惨な結果になるほどの時間でもない。 p.130
自分の時間を賢く配分したいなら、「波で考える」という方法がおすすめだ。自分の分野で一目置かれる存在を目指すには、キャリアを「学ぶ」「創造する」「つながる」「収穫する」という四つの大きな波に区切って考える必要がある。 p.139
ほかの人の考え方やアイデアを十分に吸収し、それらを評価する目も養った。共感できるものもあれば、完全に間違っていると感じるものもある。それらを自分の中で熟成させ、そして自分の意見を形成する。この段階にきたら、次は「創造」だ。創造を通して自分の分野に貢献し、同じような考えをもつ人たちと出会う必要がある。 p.145
粘り強く続ければ、注目の「雨粒」がいずれ空から落ちてくる。 p.223
私が主催する「一流エキスパート」でも、ブログなどで自分の意見を発信し始めてから何らかの反応があるまでに、最低でも2、3年はかかると教えている。だから、最初は思いきって飛び込まなければならない。最初のうちは、結果ははっきり出ない。膨大な時間を費やすことにもなる。すぐにあきらめる人、そもそも挑戦しない人が多いのもしかたないことだ。しかしここで努力できれば、あなたは競争で優位に立てる。
このときに必要となるのが「戦略的忍耐」だ。これは、「いいこと」が魔法のように起こるのを待つことではない。必要な努力を理解し、その努力を続けることで、自分の力で「いいこと」を起こす。それができれば、圧倒的な優位に立てる。 p.224
もう一度言おう。人生のほとんどは「欺きの段階」だ。欺かれているのは、外から見ている他者だけではない。私たち自身もそうだ。目に見える結果が出ない状態が、時には何年も続くこともある。その状況では、自分の能力を疑ってしまうのも当然だろう。ロングゲームをプレイするとは、その不安の時期を乗り越える粘り強さをもつということだ。 p.227
「紙に書かなければならない。『私はこれを大切にしている。これが私にとっての真実だ。私はこういう人になりたい』ということを」 p.229
「夢は何でもいいの。本を書きたい、起業したい、一人旅がしたい。でも、これだけははっきりしている。カレンダーに予定を書き込まなければ、それを実行することは絶対にない。やらなければいけないことは次から次へとやってくる。だから開始日を決めていない人は、そのたびに夢を先延ばしにすることになるの」 p.255
自分を鍛え、本当に大切なことを優先できるようになる方法はあるのだろうか?
答えは「ある」だ。秘訣はごくシンプルで、「ただ始めるだけ」でいい。ただし、とても小さく始めること。 p.265
「ノー」と言うことが大切なのは、自分の時間を確保しないと、目標を達成することはできないからだ。失敗することが大切なのは、ほとんどの人が失敗だと思うものは、本当は役に立つデータの収集にすぎないからだ。さらに結果が出る前にあきらめず、自分の努力を信じることも大切だ。 p.266
長期の戦略で動いていると、結果が出るのはずっと先のことだ。そのため、他人からの承認を評価の基準にしている人は、その待ち時間に耐えられない。強い心でロングゲームをプレイするには、自分の中に自分の評価基準をもつことが大切だ。
「ほかの人からどう見られようと関係ない。自分はこれに賭けることに決めた。そのために必要な努力をする」と言えるようにならなければならない。 p.285