プロフィール

  • 作者名:佐野眞一(サノシンイチ)
  • 性別:男性
  • 生年月日:1947年01月29日
  • 出身地:日本 / 東京都
  • 職業:作家

早稲田大学第一文学部卒。『旅する巨人』で第28回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『甘粕正彦 乱心の曠野』で第31回講談社ノンフィクション賞受賞。『東電OL殺人事件』、『小泉純一郎 血脈の王朝』など数多くの著書がある。

作品一覧

  • 津波と原発

    津波と原発

    小説・文芸

    4.7
    1巻704円 (税込)
    被災者の肉声を横軸に、現地の歴史的背景を横軸に紡ぎ、各メディアから高い評価を得た東日本大震災ルポルタージュの傑作を文庫化。あの未曾有の大災害の、一週間後に津波に襲われた被災地各所を、一ヶ月半後には福島第一原発周辺の立ち入り禁止区域内を緊急取材した筆者が見たものとは――。「あのとき、何が起きたのか。何が問題になっているのか。佐野さんにしか表せない、骨太な文章に心を打たれた」(解説・菅原文太)
  • 誰も書けなかった石原慎太郎

    誰も書けなかった石原慎太郎

    小説・文芸

    4.7
    1巻1,037円 (税込)
    なぜ、彼はこの半世紀、人びとの関心を集め続けてきたのか。「男が惚(ほ)れる男」だった父・潔と、「日本で最も愛された男」と言われた弟・裕次郎へのコンプレックスから、新銀行東京問題までを徹底取材。大衆の心にひそむ欲望を、無意識に、しかし過剰なまでに映し出す鏡であり続けてきた慎太郎の本質を暴く! (講談社文庫)
  • だれが「本」を殺すのか

    だれが「本」を殺すのか

    小説・文芸

    4.6
    1巻770円 (税込)
    「本」の世界で起きている事件は、既に、すべて、ここに書かれていた! 電子書籍の本質、オンライン書店の変容、出版界の制度疲労、そして活字離れと少子化……いま、グーテンベルク以来の巨大な地殻変動の真っ只中で、「本」が悲鳴を上げている! 取材・執筆に丸2年、現代日本を代表するノンフィクション作家・佐野眞一が、「本」の世界を川上から川下まで《串刺し》にし、多くの出版関係者に今も強い影響を与え続ける名作、遂に電子書籍版、登場。
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上

    沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史

    小説・文芸

    4.3
    1~2巻715円 (税込)
    沖縄の戦後65年余を知らずに現代日本は語れない。歴史的な政権交代と鳩山民主党による普天間飛行場移設問題の裏切り、「琉球処分」後に王朝尚家を見舞った数奇な運命、尖閣諸島の秘められた歴史、沖縄の戦後そのものの人生を生きたヒットマンの悲しい最期など……東日本大震災後の沖縄の今日を視座に入れながら、大幅加筆200枚。沖縄戦後史を抉る渾身のルポルタージュ。
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三

    旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三

    小説・文芸

    4.2
    1巻950円 (税込)
    第28回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。 民俗学者・宮本常一の人と業績を、財界人・渋沢敬三との交流から描いた傑作評伝。 日本中の村と島を歩き尽くした男がいた――。 瀬戸内海の貧しい島で生まれ、日本列島を隅から隅まで旅し、柳田国男以来最大の業績を上げた民俗学者・宮本常一。 「日本資本主義の父」渋沢栄一の孫として生まれ、財界人として活動する一方で、パトロンとして物心両面で宮本を支え続けた渋沢敬三。 対照的なふたりの30年に及ぶ交流を描き、宮本民俗学の輝かしい業績に改めて光を当てた傑作評伝。 第28回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。 解説・稲泉連 電子書籍化にあたり、新稿「素晴しき「助平」たち――渋沢栄一と宮本常一」を収録した。
  • 渋沢家三代

    渋沢家三代

    小説・文芸

    4.2
    1巻896円 (税込)
    新1万円札の肖像に決定した渋沢栄一とは一体、何者だったのか? 日本銀行、第一国立銀行(みずほ銀行)、日本郵船、東京電燈(東京電力)、東京瓦斯(東京ガス)、大日本麦酒(サッポロビール、アサヒビール)、商法講習所(一橋大学)、東京ホテル(帝国ホテル)など、日本を代表する約650の企業や団体をつくった「日本資本主義の育ての親」。それにも関わらず、三井、三菱、住友のような財閥となることを拒み、静かに没落していった──。人物ノンフィクションの第一人者が、栄一・篤二・敬三と続いた渋沢一族三代の真実の姿を描く。 わが国に資本主義を産み落とし根づかせた栄一、それを継承し育んだ嫡孫・敬三。その狭間にあって、廃嫡の憂き目にあった篤二。勤勉と遊蕩の血が織りなす渋沢家の人間模様をたどることは、拝金思想に冒されるはるか以前の「忘れられた日本人」の生き生きとした息吹を伝えることにも重なる。この一族は、なにゆえに「財なき財閥」と呼ばれたのか? なぜ実業家を輩出しなかったのか? いま新たな資料を得て、大宅賞受賞作家が渋沢家三代の謎を解き明かす。 「私はこの本で“偉人伝”を書いたつもりはない。それより意図したのは、栄一という人物の偉大さに押しつぶされた渋沢家の人々の悲劇を、明治、大正、昭和の時代相に重ねて描くことだった。これはまったく類書がない着眼点だといまも自負している」 (本書より) 電子書籍化にあたり、新稿「渋沢家の真相」を収録した。
  • あんぽん 孫正義伝

    あんぽん 孫正義伝

    小説・文芸

    4.1
    1巻825円 (税込)
    異端経営者はなぜ生まれたのか。 今から一世紀前。韓国・大邱で食い詰め、命からがら難破船で対馬海峡を渡った一族は、豚の糞尿と密造酒の臭いが充満する佐賀・鳥栖駅前の朝鮮部落に、一人の異端児を産み落とした。 ノンフィクション作家・佐野眞一が、全4回の本人インタビューや、ルーツである朝鮮半島の現地取材によって、うさんくさく、いかがわしく、ずる狡く……時代をひっかき回し続ける男の正体に迫る。 在日三世として生をうけ、泥水をすするような「貧しさ」を体験した孫正義氏はいかにして身を起こしたのか。そして事あるごとに民族差別を受けてきたにも関わらず、なぜ国を愛するようになったのか。そしてなぜ東日本大震災以降、「脱原発」に固執し、成功者となったいま、再び全米の通信業界に喧嘩を売りにいこうとするのか――。飽くなき「経営」の原点が本書で明らかになる。
  • 災害時にこそ問われる学級経営力:岩手・三陸編

    早稲田大学ブックレット 「震災後」に考える

    ビジネス・実用

    4.0
    1~28巻660~770円 (税込)
    悲しみのなか子どもたちを支えたのは、日常と変わらない学校生活、そして友人たちとの関わりだった。学校、学級の再建に向けて取り組んだ岩手県教師たちの記録。全国教職員必読の書。全国学校図書館協議会選定図書 第 1 章 3.11 当日とその後の教育現場 (河村茂雄) 1 その時何が起こったのか 震災当時の学校の様子 2 教師たちによる復旧の取組 物理的環境の確保に向けて 第2 章 学校再開から1 学期末まで 教育関係者はどう取り組んだのか 1 生徒指導主事の立場から 1 つの校舎で2 つの中学校の生徒が生活・活動した中学校の実践 (佐藤謙二) 2管理職の立場から 被災地域支援の前線基地にある中学校の実践 (根田真江) 3 養護教諭の立場から 専門家と学校現場をつないで効果を上げた養護教諭の実践 (工藤宣子) 4 教育関係者の立場から 多くの支援を学校につなげ, 学校を後方から支えた取組 (森本晋也) 第 3 章 危機にこそ大事にしたい学級集団の力 (河村茂雄) 1 心理面での総合的援助の必要性 2 グループアプローチの土壌としての学級集団 3 第 2 章の先生方の実践から学ぶこと 4 改めて認識した人と人との絆の大切さ
  • 沖縄戦いまだ終わらず

    沖縄戦いまだ終わらず

    小説・文芸

    4.0
    1巻737円 (税込)
    戦後70年の沈黙を破って、孤児たちが“あの夏”の辛く哀しい記憶を語り始めた。だが、オスプレイ、米軍基地、集団レイプ……沖縄の現状はあの頃と変わっていない。沖縄の叫びはなぜ本土に届かないのか。『僕の島は戦場だった』を改題し、米軍普天間基地の辺野古移設問題が争点だった2014年県知事選挙の原稿を加え、今なお続く“沖縄戦”に迫る。現代日本の歪みを暴く渾身のルポルタージュ。
  • 東電OL症候群(シンドローム)

    東電OL症候群(シンドローム)

    小説・文芸

    3.7
    1巻660円 (税込)
    女なら誰しもがもっているんじゃないかしら、そういう堕ちてみたいといった感情を――。『東電OL殺人事件』に自らを投影した女たちの肉声、赤裸に語られた事柄は胸が潰れるほどの真摯な性だった。「逆転有罪」で迷走を続ける法廷、新たに起きる事件。死してなお強い磁力を発するエリートOLの眼差しが、日本社会の闇までをも浮き彫りにする。もはや瞠目するしかない、渾身のルポ。
  • 凡宰伝

    凡宰伝

    小説・文芸

    3.7
    1巻621円 (税込)
    真空総理、冷めたピザと揶揄された小渕恵三は本当に無能だったのか。政治生命を失いかねぬ日の丸、君が代問題に手をつけ、通信傍受法=盗聴法を通し、サミットの沖縄開催に踏み切り世間の度肝を抜く。「庶民派」を自任し、小市民的側面を臆面なくさらす半面、権力闘争をしたたかに渡り歩く、余人をもってかえがたい不思議なパーソナリティは緻密な演出なのか、それとも……。突然の病に倒れた凡人宰相の実像をあますところなく描いた傑作ノンフィクション。
  • 東電OL殺人事件

    東電OL殺人事件

    小説・文芸

    3.6
    1巻935円 (税込)
    彼女は私に会釈して、「セックスしませんか。一回五千円です」といってきました――。古ぼけたアパートの一室で絞殺された娼婦、その昼の顔はエリートOLだった。なぜ彼女は夜の街に立ったのか、逮捕されたネパール人は果たして真犯人なのか、そして事件が炙り出した人間存在の底無き闇とは……。衝撃の事件発生から劇的な無罪判決までを追った、事件ノンフィクションの金字塔。
  • 枢密院議長の日記

    枢密院議長の日記

    小説・文芸

    3.3
    1巻1,210円 (税込)
    一読茫然。日記に生涯を捧げた男 その名は倉富勇三郎! 幕末に生まれ、明治、大正、昭和を生き、三代の天皇に仕えた倉富は、時代の変遷をどう見つめ、年月の足音をどう聞いて、記録にとどめたのか? いざ、前人未到の倉富ワールドへ!
  • 唐牛伝~敗者の戦後漂流~

    唐牛伝~敗者の戦後漂流~

    小説・文芸

    3.0
    1巻957円 (税込)
    六〇年安保に火をつけた男の全生涯。 装甲車を乗り越えよ――。その男は国会前に群がった学生たちに咆哮すると、車の上から、警官隊にダイブした。全学連委員長・唐牛健太郎。六〇年安保はこの男の情念が火を付けた。 しかし、500万人の男を熱狂させた「政治の季節」は岸信介政権退陣とともに過ぎ去る。ともに闘った若者たちは社会に戻り、高度経済成長を享受した。 唐牛健太郎だけはヨットスクール経営、居酒屋店主、漁師と職を変え、日本中を漂流した。彼はなぜ、“何者か”になることを拒否したのか。ノンフィクション作家・佐野眞一が北は紋別、南は沖縄まで足を運んだ傑作評伝。 ※この作品は過去に単行本版として配信されていた同名タイトル の文庫版となります。
  • 遠い「山びこ」 無着成恭と教え子たちの四十年

    遠い「山びこ」 無着成恭と教え子たちの四十年

    ビジネス・実用

    -
    1巻1,540円 (税込)
    〈戦後民主主義の申し子〉43人が生きた軌跡 昭和二十三年、山形県の寒村に赴任した新任教師・無着成恭が教え子たちと取り組んだ作文集「山びこ学校」。書籍化されるやベストセラーになり、子どもたちは「戦後民主主義の申し子」と讃えられた。 二十代で時代の寵児となった無着と、教え子たちのその後を通して、高度成長、滅びゆく農村、教育と日本人の意識の変容を描いたルポ。〈解説〉森健
  • 日本のゴミ〈豊かさの中でモノたちは〉

    日本のゴミ〈豊かさの中でモノたちは〉

    小説・文芸

    -
    1巻1,485円 (税込)
    すべての商品はゴミになる。豊かさとゆがみを映し出すさまざまな廃棄物から見えてきた現代ニッポンの正体。――消費の最末端から見た異色経済ルポ。自動車、衣料品、OA機器、紙、乾電池、建築廃材、水医療廃棄物、核廃棄物、生ゴミ、各種容器、ペット……ハイテク日本が生み出す代表的ゴミの最期を克明に辿る! ●ゴミという名で総称される、生産、流通、消費活動の残滓には、この国の豊かさと同時に、そのゆがみもまた付着している。使ったそばから捨てられる片道切符にも似た宿命は、程度の差こそあれ、現代流通するどんな商品にも付与されている。(「プロローグ」より)
  • 別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判

    別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判

    小説・文芸

    -
    1巻1,485円 (税込)
    「これは、私の書いた『東電OL殺人事件』を超える事件だ」――著者  殺人3件・未遂多数。北海道・別海町の名家に育った女が、男たちを次々と毒牙にかける――女と男の闇を射る佐野ノンフィクションの真骨頂! あなたも、木嶋佳苗の魔力から逃れられなくなる。 昂奮のサスペンス・ノンフィクション ・木嶋の祖父の遺言になった「決定的証言」 ・事件後に生き残った男の恐るべき現在 ・木嶋の「本命恋人」が私に見せた素顔 ・百日裁判「新聞が報じられなかったこと」 ・徹底取材 木嶋家四代に遡るロードムービー 戦後犯罪史上ナンバーワン「首都圏連続不審死事件」の全てを描いた力作! 私たちはこの事件からなぜ目が離せないのか。それはおそらく、この事件に関心をもつすべての人が、木嶋佳苗に、そして木嶋佳苗にだまされた人に、いくらかずつ似ている自分に無意識のうちに気がついているからである。――本文より

ユーザーレビュー

  • 東電OL殺人事件

    Posted by ブクログ

    著者が方々に向かい綿密に調べた内容、裁判の一部始終が細かく書いてあって本件をよく知ることができました。
    文章はややクセがありますが、通読にはなりませんでした。

    0
    2026年04月12日
  • 津波と原発

    Posted by ブクログ

    ノンフィクションの巨人が描く震災と原発事故で浮き彫りになった日本人の姿。そこには美もあれば醜もあって、読む人間を「真実」の世界に引き込んでいきます。




    いまだ復興のめどが立たないまま、時間だけがただ流れている。そんな印象が否めないのは果たして僕だけでしょうか?この本はノンフィクションの巨人といわれる筆者が震災直後に実際に現地を歩いて丹念な取材の元に書かれたルポルタージュです。

    震災に関する報道に関しては正直『真実』が報道されていないなぁ、という印象がものすごくあって、本当は実際に自分の目で確かめることが一番なのでしょうけれど、諸般の事情でどうすることもできず、というときに出会いました。

    圧巻でした。自分が知りたいのはここに書かれてることだったのだとはたと膝を打ったことを覚えています。ここには『紋切り型』の報道ではなく、津波で行方不明となった新宿ゴールデン街の名物オカマと筆者との再開のエピソードや、津波にあいながらも九死に一生を得て筆者のインタビューに答える日本共産党元幹部の「津波博士」との邂逅。

    津波で財産や船をなくして慟哭する『日本一』の猟師。彼らの言葉や息遣いが生々しいもので、以下に今回の震災および津波は彼らの心に残した爪あとが深いものだったかということを思い知ることができました。

    そして、中盤の同じ筆者の手による『巨怪伝』で取り上げられていた正力松太郎と、天皇・原発のトライアングル。この話は執念深さとどろどろしたものが渦巻いていましたね。

    そして後半部の福島原発の立っている土地は江戸時代には飢饉にあえぎ、戦時中には旧陸軍の飛行場として使われ、西武の堤康次郎に買収されて現在のようになった、ということが丹念な取材によって明らかにされており、まだまだ知らないことがこんなにもあったのかと、唖然とする思いでページをめくっておりました。

    いま、震災の復興がどの程度まで進んでいるのか?原発事故はどこまで収束されているのか、まったくわからない状態でこの記事をしたためていますがこれからも、この問題には最低でも数年。場合によっては数十年のスパンで見ていかなくてはならないな、ということを再確認する次第になりました。

    ※追記
    本書は2014年2月14日、講談社より『津波と原発 (講談社文庫 さ 96-2)』として文庫化されました。著者の佐野眞一氏はが26日、肺がんのため千葉県流山市内の病院で死去しました。 75歳でした。

    0
    2025年03月15日
  • あんぽん 孫正義伝

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    ここに書かれているのは我々が知ることがなかった孫正義一族の三代に渡る『海峡』の物語です。ありきたりなサクセスストーリーとは一線を画す『血と骨』を凌駕するような凄まじい「物語」の上に彼の存在があります。




    この本は2011年に週刊ポストに連載されていたものを中心として掲載後にあきらかになった事実を加筆したものです。

    雑誌に掲載されていた当時、僕はパラパラと飛び飛びに読んでいましたが、こうして単行本化されたものをじっくりと読むにつけ、ここ近年自分が読み進めてきた本の数々は、実はこの本を読むためにあったのではないかと錯覚してしまうほどでありました。

    『孫正義とは何者か?』ここに描かれている彼の姿は筆者の真骨頂による徹底した取材力で全4回の本人取材はもちろんのこと、近親者への徹底した聞き込みや彼の一族のルーツである朝鮮半島の現地取材によって僕もある程度は読み込んでいましたが、彼自身の華々しいコンピュータや通信事業を中心としたサクセスストーリーとは一線を画すような『血と骨』を中心とする梁石日の小説を地で行くような孫正義の理屈抜きの生々しい世界を抉り出しております。

    僕が読んでいてのっけから孫正義をして『無番地』と言わしめたバラックの中で豚に酒粕を食わせて育て、その豚をしめて正肉やホルモンをとって売り歩き、雨が降って豚の糞が浮かぶ水が床上や床下から浸水するところで孫正義氏はヒザまでその水に漬かりながら机にかじりついて勉強をしていた、というまことにもってみもふたもない『破壊力』抜群の話が全編にわたって描かれております。

    『孫正義本人も知らない孫正義』を描き出している、ということで、彼の人格形成をする上で決定的な影響を与えたといわれる父親の三憲や『海峡』を14歳で渡ってきてリアカーにドラム缶をつめて飲食店から残飯を集め、養豚や『頼母子講』という小口の金融業まで行った祖母の李元照の『仔豚に自分の乳を含ませて母乳を与えていた』というまさに常軌を逸したエピソードがものすごく印象に残っていてページをめくりながらその一つ一つに圧倒されてしまいました。

    『3.11』後の原発事故の際、孫正義は100億円の義捐金をポンと出し、その後も反原発、脱原発の旗を振り続ける彼の母方の叔父に、かつて日本の『国策』としてエネルギーを担っていた炭鉱で過酷な労働に従事し、筑豊炭鉱の爆発事故で命を落としたという箇所は以前読んだ山本作兵衛翁の書いた著作や画文集が、本当に彼らの実態を類推するために非常に役立ちました。その中で事故の描写は作兵衛翁の事故の絵と自筆による解説の画文が頭の中にありありと思い浮かんできました。

    時は流れて日本の『国策』で推し進められた原発に反旗を翻す孫正義の姿に、すさまじいばかりの『縁』というかなんというか…。並々ならぬ深い『業』という一筋ならないものを感じて戦慄を憶えました。

    筆者は彼ら三代に渡る血脈を『魑魅魍魎』という言葉で表現しましたけれど、そうでもしなければ生きていくことが出来なかった彼らのことを想い、同じく『海峡』を渡ってきた半島にルーツを持っている人間の物語、僕は伊集院静、梁石日、そして柳美里の小説やエッセイに描かれている物語の数々を連想し、そうした『物語』を一身に体現した存在が孫正義なのだということを読んだ後に思いました。

    ありきたりの『成功物語』という範疇にはまずくくられることのない、『孫正義』という『怪物』の物語は筆者いわく『日本のスティーブ・ジョブズの物語を描きたい』という大願に沿うものであると思いました。

    僕はジョブズの評伝も読みましたけれど、彼のドラマチックな人生に勝るとも劣らないすさまじいばかりの三世代にもわたる人生の記録がここに記されております。

    ※追記
    本書は2014年9月5日、小学館より『あんぽん 孫正義伝 (小学館文庫)』として文庫化されました。

    0
    2025年02月12日
  • 東電OL殺人事件

    購入済み

    読み応えあり

    この事件は結構インパクトのある事件として記憶していたので、どこまで掘り下げられているのか興味が湧いて読んでみた。なかなか奥の深い色んな組織の思惑までも暴露していく内容に感心しながら読ませてもらいました。

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    2023年01月11日
  • 渋沢家三代

    Posted by ブクログ

    攘夷から幕臣に転じ、明治維新以降の偉業を成し遂げた渋沢栄一についてはそれなりに知るところではあったが、その子である篤二と孫の敬三についてそれぞれ激動の人生であった事については初めて知っただけにその驚きは大きかった。
    あまりにも壮大な一族の繁栄から没落までの流れはただただ感嘆するばかりで、一言では語れない。
    渋沢家三代が日本経済に残してくれたものは大きいし偉大だ、と言う事が実感として強く残る。
    最後に著者が語っている事を心に残った言葉としてここにそのまま残しておきたい。
    『事業にしろ遊芸にしろ学問にしろ、自分の信ずるせかいにこれほど真摯に没入していさぎよく没落していった一族が、ほかにいただろうか。渋沢家三代のおおいぶりな健全さとなにもかも心得たふところの深さは、日本人の精神からことごとく消えてしまった。』

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    2022年03月21日

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