作品一覧

  • 陸軍作戦部長 田中新一 なぜ参謀は対米開戦を叫んだのか?
    4.0
    1巻1,200円 (税込)
    対米戦争を決した男は何を考えていたのか? 田中は陸軍の中でも最も強硬に日米開戦を主張した人物です。参謀本部作戦部長という重要なポジションにあって、作戦立案の中心を担った田中は、国策決定上、大きな発言力を持ちました。 なぜ圧倒的な国力差のある米国と戦わなければならないか。実はかなり開戦のギリギリまで、日本は、なんとか米国とは戦わない方法はないか、と検討を重ねています。しかし、田中は早くから米国との戦争を決意していました。 現代の眼からは田中が唱えた「日米開戦すべし(そしてソ連も)」との主張は理解しがたいでしょう。しかも田中は同時にソ連とも戦うべきだ、と主張します。無理に決まっています(実際、陸軍も無理だと判断しました)。しかし田中は陸軍の頭脳ともいうべき参謀本部の、しかも作戦担当のトップだったのです。彼の対米開戦論は、参謀本部に結集した情報に基づき、彼なりのロジックで組み立てられたものでした。その論理とは何だったのか。 参謀は、いかに勝利への答えが出ない状況でも、何か無理やりにでも、「これなら勝てる(可能性がないわけではないかも)」みたいなプランを出し続けなくてはなりません。田中はその仕事にきわめて精力的に取り組みました(その結果、日本を敗戦に導きます)。 戦争の途中で、田中は軍務局長をぶん殴り、東条英機首相に「馬鹿者共」を罵声を投げつけて、ビルマに飛ばされてしまいますが、田中がいなくなると陸軍にはもう、「これなら勝てる(以下略)」を絞り出せる人はいなくなってしまいます。そのあと2年半くらい、日本はずるずると犠牲を出し続けて、負けます。そういう本です。是非ご一読を。
  • 石原莞爾の世界戦略構想
    5.0
    1巻990円 (税込)
    彼は何を考え、何をしようとしたのか――そこから見えてきたのは、今も変わらぬ戦略なき国家・日本の姿だった……。満州事変の首謀者であり、希代の戦略家として知られる石原莞爾。太平洋戦争に至る戦前の歴史は、石原を抜きには考えられない。戦後70年を経て、石原への関心は衰えることなく、伝記をはじめとする出版物も陸続と上梓されている。ところが、石原の戦略構想を分析・検討したものは、ほとんど見当たらない。本書は、石原の戦略構想を時代状況や陸軍の動向と関連づけて詳しく検討、その行動を紹介するものである。戦略なき国家・日本にあって、石原は何を考え、何をしようとしたのか――そこには、歴史の教訓が隠されている。
  • 木戸幸一 内大臣の太平洋戦争
    4.4
    1巻1,300円 (税込)
    東条内閣を生み、「聖断」を演出した昭和史のキーパーソン、初の本格的評伝! なぜ日本政治は軍部に引きずられたのか? 昭和史最大の謎を解く鍵を握る人物が木戸幸一だ。 昭和日本の運命を決する重大な岐路には、必ず彼の姿があった。 開戦時から終戦時まで内大臣をつとめ、東条内閣の生みの親。 木戸孝允の子孫、昭和天皇最側近のひとりにして、 昭和史の基本文献として知られる『木戸日記』を書いた木戸だが、 彼がいかなる政治認識を持ち、重要な局面で何を行ったか、 正面から論じた著作は少ない。 満州事変、二・二六事件から終戦まで、昭和の岐路に立ち続けた木戸を通して、 昭和前期、日本が直面した難局が浮かび上がる。 ロングセラー『昭和陸軍全史』をはじめ、永田鉄山、石原莞爾、浜口雄幸などの評伝で 定評がある著者が描く昭和史のキーパーソン初の本格的評伝。 【内容】 満州事変 内大臣秘書官としていち早く陸軍情報を入手 陸軍最高の戦略家・永田鉄山との交流 二・二六事件 反乱軍鎮圧を上申 日中戦争 トラウトマン工作に反対 「軍部と右翼に厳しすぎる」昭和天皇に抱いた不満 三国同盟と日米諒解案は両立できると考えていた 独ソ開戦という大誤算 日米戦回避のためにあえて東条英機を首相に 「聖断」の演出者として ほか
  • 近衛文麿と日米開戦――内閣書記長官が残した『敗戦日本の内側』
    4.3
    1巻1,430円 (税込)
    昭和史の貴重な記録を読み解く。日本が太平洋戦争に突入していく重要な時期に国政を担った、第二次・第三次近衛文麿内閣。その内閣書記官長を務めた富田健治によって、戦後に書かれたのが『敗戦日本の内側――近衛公の思い出』である。そこには、近衛らが緊迫する国内外の情勢にいかに対応したかが、当事者しか知りえない舞台裏と共に、息づかいまで感じられる筆致で綴られている。解説は、昭和史研究の第一人者である川田稔名古屋大学名誉教授。会話などからも歴史的価値を見出し、読み解いていく。はたして、日米開戦は不可避だったのか、それとも――。
  • 昭和陸軍全史 1 満州事変
    4.1
    1~3巻1,045~1,265円 (税込)
    日本を破滅へと導くことになった陸軍の独断専行という事態はなぜおこったのか? 彼らはいかなる思想の元に行動していたのか? 日本陸軍という日本の歴史においても特異な性質を持った組織がいかに形成され、そしてついには日本を敗戦という破滅に引きずり込みながら自らも崩壊に至ったかのプロセスを描く3部作の第1巻。少壮エリート軍人層による組織内での下克上、その結果としての満州事変から政党政治の終焉までを描く。(講談社現代新書)
  • 昭和陸軍全史 全3冊合本版
    値引きあり
    -
    1巻1,540円 (税込)
    日本を破滅へと導くことになった陸軍の独断専行はなぜ起きたのか? 彼らはいかなる思想の元に行動したのか? 日本陸軍という日本の歴史上、特異な性質を持った組織がいかに形成され、ついには日本を敗戦という破滅に引きずり込みながら自らも崩壊に至ったのか? 日中戦争未解決のまま勝算なき対米戦へ突入、リーダーなき陸軍は迷走を続け、膨大な数の犠牲者を出し日本は無条件降伏する。 (講談社現代新書) ※この電子書籍は、2014年7月に講談社現代新書として刊行されました『昭和陸軍全史 1 満州事変』、2014年11月に講談社現代新書として刊行されました『昭和陸軍全史 2 日中戦争』、2015年6月に講談社現代新書として刊行されました『昭和陸軍全史 3 太平洋戦争』を合本とし、電子書籍化したものです。この電子書籍とは別に『昭和陸軍全史 1 満州事変』、『昭和陸軍全史 2 日中戦争』、『昭和陸軍全史 3 太平洋戦争』もそれぞれ電子書籍で配信中です。
  • 昭和陸軍の軌跡 永田鉄山の構想とその分岐
    4.3
    1巻1,034円 (税込)
    昭和十年八月十二日、一人の軍人が執務室で斬殺された。陸軍軍務局長永田鉄山。中堅幕僚時代、陸軍は組織として政治を動かすべきだとして「一夕会」を結成した人物である。彼の抱いた政策構想は、同志であった石原莞爾、武藤章、田中新一らにどう受け継がれ、分岐していったのか。満蒙の領有をめぐる中ソとの軋轢、南洋の資源をめぐる英米との対立、また緊張する欧州情勢を背景に、満州事変から敗戦まで昭和陸軍の興亡を描く。
  • 戦前日本の安全保障
    4.2
    1巻1,023円 (税込)
    日露同盟か、日米提携か、集団的相互安全保障か、それとも――。第一次世界大戦以降、日英同盟が空洞化し、中国をめぐる欧米との軋轢が進むなか指導者たちが描いた外交構想とは? 山県有朋、原敬、浜口雄幸、永田鉄山という大戦間期を代表する4人の世界戦略を読み解く。現代の安全保障を考える際の手がかりとなる一冊。(講談社現代新書)
  • 永田鉄山軍事戦略論集
    値引きあり
    5.0
    1巻1,463円 (税込)
    「彼が生きていれば、太平洋戦争は起こらなかった」――近年再評価が進む、帝国陸軍の至宝・永田鉄山(1884-1935)。これまであまり世に出てこなかった永田自身の文書や発言録から、戦間期に残した論考6編を収録。その冷静かつ合理的な分析が訴える、あるべき国家の姿とは? 詳細な解説を加え、昭和の大日本帝国を支えた理論・思想の背骨を明らかにしてゆく。
  • 永田鉄山の総力戦
    4.0
    1巻1,100円 (税込)
    総力戦の時代、日本にどんな選択があったか 昭和史に新たな光をあてる! 昭和10年、人事抗争の末、陸軍省内で殺害された陸軍の最高頭脳、永田鉄山。彼が挑んだのは「国を守るための戦争か、戦争のための国家か?」という総力戦のパラドックスだった。その永田の国家総動員体制論と、国家観として、正面からぶつかったのが美濃部達吉「天皇機関説」であった。 トランプの関税外交ひとつとっても、国家と国家が、経済、政治、外交など 総力でぶつかり合う「総力戦」は、実は現代の世界にも通じる難問にほかならない。総力戦の時代、日本にどのような選択があり得るのか? 〈ひとたび総力戦が開始されると、国家の存続、国民の安全のためには、その国の軍事、経済、政治、社会生活、文化などのすべてを動員して戦わなければならない。これが「総力戦」の出発点のはずである。ところが、総力戦を前提とすると、「国民と国家を守るための戦争」であるはずのものが、「戦争のための国家」へと反転してしまう。それは、「国家総力戦」自体がもつ不条理の反映でもあった。国家の全てを賭けて戦わなければ生き残れない、という過酷な現実にいかに対応するか、という難問が、永田のテーマだった。〉(「はじめに」より)
  • 浜口雄幸と永田鉄山
    4.0
    1巻1,705円 (税込)
    第一次世界大戦の未曾有の惨禍は日本指導層に甚大な衝撃をもたらした。もはや進むべき道は国際協調以外にないと対中融和を含む協調路線に賭けた浜口。最終戦争は必至と満蒙・華北領有を含む軍中心の総力戦体制の構築を計った永田。ともにテロに斃れた2人の国家存亡を巡る究極の対立を描く。(講談社選書メチエ)
  • 満州事変と政党政治 軍部と政党の激闘
    -
    1巻1,595円 (税込)
    激闘86日。万策尽き政党政治は終焉した。従来考えられていた以上に堅固だった戦前政党政治が、なぜ軍部に打破されたのか。そこには陸軍革新派による綿密な国家改造・実権奪取構想があった。最後の政党政治内閣首班、若槻礼次郎の「弱腰」との評価を覆し、満州事変を画期とする内閣と軍部の暗闘が若槻内閣総辞職=軍の勝利に至る86日間を、綿密な史料分析に基づき活写する。(講談社選書メチエ)
  • 武藤章 昭和陸軍最後の戦略家
    4.6
    1巻1,200円 (税込)
    昭和陸軍キーパーソンの本格評伝 昭和の戦争に大きな影響を与えた武藤章。陸軍をリードしつつ対米戦反対という「つかみにくい」人物とされる。その思考を解き明かす。
  • 柳田国男 ──知と社会構想の全貌
    4.0
    民俗学の祖として知られる柳田国男。しかしその学問は狭義の民俗学にとどまらぬ「柳田学」として、日本近代史上に燦然と輝いている。それは近代化に立ち後れた日本社会が、今後いかにあるべきかを構想し、翻ってその社会の基層にあるものが何かを考え尽くした知の体系だった。農政官僚、新聞人、そして民俗学者としてフィールドワークを積み重ねるなかで、その思想をいかに展開していったのか。その政治・経済・社会構想と氏神信仰論を中心としつつ、その知の全貌を再検討する。

ユーザーレビュー

  • 武藤章 昭和陸軍最後の戦略家

    Posted by ブクログ

    戦後80年・昭和100年に相応しい一書。NHKスペシャル「昭和16年夏の敗戦(猪瀬直樹)」とセットで読むのをお勧め。対米開戦の謎が少し解ける。
    満州事変・日中戦争を経て日米開戦そして敗戦までの10年間、日本は陸軍の軍事政権だったと改めて思う。その政権を担ったのは、「東條英機陸相-武藤章陸軍省軍務局長-田中新一参謀本部作戦部長」の3名で、構想は武藤が担った。
    武藤は米国の動向を最重要視し「対米避戦」を基本として世界戦略を構想したのは松岡洋右外相とスタンスを同じくする。
    「日独伊+ソ連」の4国同盟で英米体制を牽制し、世界の新体制を構築する。
    危うさはあるし、肝心のヒトラーが理解できていたか疑問だが

    0
    2025年08月25日
  • 武藤章 昭和陸軍最後の戦略家

    Posted by ブクログ

    旧日本陸軍軍務局長を務めた武藤章が描いた戦略を解き明かす本作。

    第二次世界大戦前夜の国際情勢、その時に世界を支配していたプラグマティズムを淡々と描き、そのプラグマティズムの中で採りうる大日本帝国の針路を探り続けた戦略家の思考を追う良作である。

    武藤が対米戦回避に邁進したのはあくまで対米戦に勝利することが出来ないと確信していたからであって、国際協調などといった観点ではない点が当時の空気感を感じさせる。あくまで冷徹な現実思考の結果として導き出された結論が対米戦回避だった。

    対米戦回避のため、中国からの撤兵を決意出来なかったのは、永田鉄山が追求した国防国家論が無に帰すことを肯んじなかった点は興

    0
    2025年04月20日
  • 昭和陸軍の軌跡 永田鉄山の構想とその分岐

    Posted by ブクログ

    満州事変以降、組織として政治化していく陸軍を「昭和陸軍」と定義し、永田鉄山を中心にした陸軍官僚の動きを追いながら太平洋戦争へ至る過程を明らかにしていく。永田鉄山は皇道派と統制派の対立の中で暗殺されたが、彼の構想は後継者たる武藤、田中らに引き継がれて昭和陸軍の動向を規定していた。

    以下気になった記述のメモ
    60ページ 満州事変は関東軍に陸軍中央が引っ張られたイメージだが、中央の一夕会系中堅幕僚は関東軍に呼応して陸軍首脳を動かしていたのが実態。
    91ページ 対ソ戦略をめぐり一夕会は対立。速やかにソ連侵攻を目指すべきと考える小畑(皇道派)、ソ連侵攻前に未だ調整すべきことが多いので早急な侵攻は控え

    0
    2025年01月05日
  • 武藤章 昭和陸軍最後の戦略家

    Posted by ブクログ

     昭和陸軍といえば、川田先生。今回は永田鉄山の後継者ともいえる武藤章を取り上げている。
     武藤は陸軍内部ではいわゆる「統制派」の中心人物として、大東亜戦争開戦直前の日本の外交、政治をリードしてきた人物の一人でもあった。他の陸軍軍人と同様、地位があがることによって視野が広がり、それまでの方針を変更していくという過程は同じ(例えば、石原莞爾も似たような思考変化を見せている)で、その点は興味深かった。特に興味深い点が、石原と対峙したものと同じことを、開戦前に田中新一と立場を変えてやったのは、因果応報というものか。
     
     どちらかというと軍政家であり、永田鉄山の理想を忠実に踏襲していく。いわゆる「昭和

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    2023年11月19日
  • 近衛文麿と日米開戦――内閣書記長官が残した『敗戦日本の内側』

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     第二次、第三次近衛内閣という歴史的に枢要かつ重要な時期に内閣書記官長を務めた富田健二が、戦後に書いた手記の内、近衛内閣時代および大東亜戦争期の部分を収録した本である。
     日本近代史において近衛文麿が果たした役割というのはマイナスのイメージが強いが、本書においては、近衛自身が意図していたものとは違った方向に事態が進んでいく場面もあり、この手記により近衛に対する評価をあらためて再検討する必要があると感じた。
     解説は陸軍および昭和政治史に多くの論文や著作がある川田稔氏である。本書の1/5にわたって書かれた解説部分は、非常にわかりやすく纏められているだけでなく、既存の先行研究等も明記されているので

    0
    2021年11月07日

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